SF百科図鑑

ボブ・ショウ「去りにし日々、今ひとたびの幻」

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316 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/09/19 19:31
ボブ・ショウ「去りにし日々、今ひとたびの幻」

本作は、70年代イギリスを代表する器用なSF作家ショウの傑作短編
「去りにし日々の光」に大幅加筆した、代表作とされる。
本作はまずスローガラス発明の発端と、普及の状況をリアルに描きながら、
メインストーリーの間にスローグラスを巡るサイドストーリーを差し挟む
という構成になっている。
「去りにし日々の光」は見事に美しいストーリーで、ショウが長編に
書き直すことを決意したのも十分にうなずける。

しかし、肝心の長編部分のストーリー展開があまりにも陳腐で、
ちまちましている。しょうもない三角関係や、何の意外性もない
暗殺事件の捜査など、エンタテインメントとしての最低水準を
大幅に下回っており、誉めるのが難しい。
辛うじて、ラストのスローガラスの塵で、若干名誉回復するものの、
ジェーンと結ばれるラストはあまりにもありふれていて、
怒りすら覚える。
結論。ショウはやはり短編のほうがうまいのではないか。
本作はアイデアが秀逸であるにもかかわらず、長編としては
明白な愚作。
収録された短編「去りにし日々の光」一編を読めば十分。

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