SF百科図鑑
C・M・コーンブルース「小さな黒いカバン」
最終更新:
匿名ユーザー
2001年
11/25
コーンブルース「小さな黒いカバン」★★★★1/2
さすが名高いだけあって、よくできている。未来の医師が過って過去に送った医療器具入りカバンを手にした飲んだくれ医師とあばずれ娘が一儲けの後、転落の人生に落ちてゆくまでの顛末を抑制のきいた普通小説的文体で描いている。SF的アイデアとしてもよくできていながら、短編小説としての気のきいたオチが見事に決まっているバランスの取れた作品である。コーンブルースは代表的短編がほとんど未訳で、訳されているものも大部分が雑誌に発表されたきり。「20世紀SF」「影が行く」や扶桑社アンソロジーなど好企画が続いている今こそ、こういった埋もれた名作をできるだけ単行本の形で残しておきたい。本作など、是非入れてほしい作品の一つである。
SFM76/2買わねば。クレメント「非常識」入っている。