SF百科図鑑

マイク・コナー 「盲導犬」

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2001年

9/2
コナー「盲導犬」★★★★★
名作。こんな無名の作家にこれだけの作品があったとは。一種の人類家畜テーマですが、ホラー/破滅色の強い従来の同種作品と比べ、この作品は家畜と主人の愛を描いており、ほのぼのとした情感に満ちあふれた感動の名作である。異種族との共生という点で「血をわけた子供」なども思い出すがあれはかなりホラー仕立てだった。どっちかというとディクスン「巡礼の道」に似ているかな。ディクスンの場合は最後エイリアンを撃退してしまったが、この作品では骨の髄まで受容してしまっているところが、いかにも今風。最後は、マネージャーに助けられるのか? 続編も書かれ長編化されたらしいので、その長編版を読んでみたいところだ。この作家、今のところ本作のみの一発屋で終わっているようだから。

後は、今日寝る前にリーミイ「サンディエゴライトフットスー」を読み終える予定。「ブラッドベリに通ずる情感」と評されるが、読んでみたところかなり異質な感じがする。ブラッドベリの情感は幼児から小学校低学年ぐらいの情感(これは褒め言葉)なのに対し、リーミイは本作を読む限り思春期から青春前期ぐらいの情感で、その精神年齢に大分差がある。田舎から出てきた少年が都会の「大人の性」に触れてとまどう場面など、自分の18、9のころを思い出して笑っちゃいました。わくわくしながらポルノ映画を見に行ったら、ホモの痴漢?に遭ったことなどを思い出してしまった。あっこれわかるわかる、あるある、みたいな。しかし今のところ、どこがSFなの?って感じですね。ファンタジーですらない。単なる青春小説です、今んとこ。でも読者に不思議と共感を覚えさせ、気づかないうちに引き込まれているのは作者の力量なんでしょうけど。
ほんとはこの作品、サンリオの短編集を入手して読むつもりだったのですが、古本屋の相場が7000~8000円というべらぼうなものになっている現状ではとても無理で、SFM版を読むはめになった次第です。もう一つ「デトワイラーボーイ」が有名ですがこれも「SF9つの犯罪」で読むことになりそうです。「沈黙の声」はしっかり安価な筑摩文庫入手したけど。

ハインライン「ガニメデの少年」「デリラと宇宙野郎たち」品切れ? 本屋にない。おいおい、ハインラインぐらい目録落ちにすんなよ。

(略)。

ちなみにオーウェルのレトロヒューゴー賞ノヴェラ受賞作「動物農場」と、「ダーウィニア」を買ったウィルスンの「時に架ける橋」という時間SF(オーソドックスな古き良きネタらしいところにそそられる)を買いました。それから、山田正紀の復刊された「地球精神分析記録」(ジュブナイルのような装丁なのが難点だが、徳間デュアルだからしょうがないか、この形態でなければ、そもそも再刊自体ありえなかったことだし)、ルグィンのゲド戦記2/3巻を子供版で購入。ゲドは一冊目が大人向け版だったのですが、大人向けも子供向けも訳文は全く同じで、違いはふりがながふってあるないと挿し絵の多い少ないだけというのなら、500円ぐらい安い子供向け版のほうを買ったほうが得です。これであとはネビュラ受賞作の4冊目を買えば全部揃い、ネビュラ賞長編で持っていないのは、新しい太陽の書(古本4冊1万円は高い!)と「ダーウィンの使者」だけになります。とにかく早く、ヒューゴー/ネビュラを全部制覇しないと。(略)になる前にせめて翻訳分だけでもと思っていたけどそれも無理っぽい雲行きになってきたしな、中短編だけでも結構きつそう、頑張らないといけない。

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