SF百科図鑑 サミュエル・ディレイニー『バベル17』


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2001年

7/29
ディレーニイ「バベルー17」★★★★★
ディレーニイの出世作(初のネビュラ賞長編賞受賞作)。伝統的なスペースオペラのプロットに高度に思弁的な言語学/心理学/情報理論アイデアを乗せた見事なSFミステリに仕上がっております。コンピュータ言語に似た高性能の言語「バベル17」を介して人間を洗脳し謀略に利用するというアイデアはそれほど珍しいものではありません(ちょうど「スノウクラッシュ」も同じネタでした)が、さすが作者が言語学や数学を専攻していただけあって、アイデアのディテール説明は緻密で説得力があります。なおかつ、「高度な思弁を表現するに足りない言語のもどかしさ」「思考が言語によって規定されてしまう」といったネタやリドラとブッチャーのコミュニケーションのくだりなどは、失読症を患っていた作者の内面や関心を写した私小説的なものとしても読めます。本作で見せた言語への関心が、後のメタファ多用した言語実験的な作品群(「ノヴァ」「アインシュタイン交点」「ダルグレン」)へと発展していく原点となっています。
やっぱりディレーニイはいいですねえ。「アプターの宝石」原書注文、「エンパイアスター」「プリズマティカ」も入手せねば。さっそく「アインシュタイン交点」に入ります。「ダイヤモンドエイジ」と並行して。そういえばスティーヴンスン、作風結構似てるかも。