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ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」(ハヤカワ文庫FT)

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November 21, 2004

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」(ハヤカワ文庫FT)

キンタナ・ロープラチナ・ファンタジイ第二期スタート。
ティプトリーの1986年の本。世界幻想文学大賞短編集部門受賞。
メキシコ、ユカタン半島のキンタナ・ロー地方(という場所があることはこの本ではじめて知った)を舞台にした連作短編三編を収録。恐らく作者の分身であろう老人?の語り手(外部から来て現地の文化になじもうとしているらしい人物)が現地で旅行者や現地人から聞いたふしぎな話をまとめたもの。現地の自然とマヤ族の文化が一体となって、生命のようにふしぎ現象を巻き起こし、外敵を排除するというような感じの話が三編。それを通じて、(エイリアンなどの異質なものに烈しく感情移入するティプトリーらしく)キンタナ・ローの現地文化への烈しい愛着と、それを侵そうとする物質文明への批判を展開した作品と思われる。七十年代「男性作家時代」の作品のような強烈な思弁の凄みはないものの、ティプトリーでなければ書き得ない視点の作品になっていることは確か。熱狂は出来ないが、佳作といっていい。
収録作
『リリオスの浜に流れついたもの」
「水上スキーで永遠をめざした若者」
「デッド・リーフの彼方」

テーマ性 ★★★★
奇想性  ★★
物語性  ★★
一般性  ★★
平均   2.5点
文体   ★★★
結末の意外性★★
感情移入度★★
主観評価 ★★(24/50点)
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