SF百科図鑑 ロイス・マクマスター・ビジョルド『ヴォル・ゲーム』


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2001年

4/11
ふぅ、(略)いやがらせしてみたかった気もするけどまあいいか(笑)。

さてやっと読書に専念できると思ったけどほんとに90年代のSFってつまらないのが多いね。「タクラマカン」読んでいるけど、これってどこがSFなの?って感じ。
「招き猫」★★
これはひどい。これがローカス賞? 馬鹿じゃないの?って感じ。日本を舞台にしているだけにひどさがはっきりわかる。小説の書き方そのものに根本的な欠陥があるとしかいいようがない。訳も下手くそ。小川隆ってこんなに下手だったっけ? なまじ日本を舞台にしているだけに感覚の古さ(70年代的?)がよけいひきたつ。普通のハイテクスパイ小説じゃん。しかも出来損ないの。人間は描けていないし。ほとんどマンガ。それも後ろのほうのページに載っている出来損ないレベル。マンガチックならせめて面白くなければならないのに、面白くない。とにかく、ほめるところのほとんどない小説で、一応ストーリーになっている分★1つおまけしたが、こんな本がSFとしてまかり通っているのなら、SF嫌いの読者が増えるのは当たり前だといいたくなる。特にひどいのが清水剛の兄。残業がきつくて山の奥にこもるだって? そんなやついないって。とにかく筒井の短編でこれに似たのがあったけどそれ以上のひどさ。このひどさがわからないなんて、まったくどうかしている。
次の「クラゲが飛んだ日」も面白くない。要するにくだらないのです。こんな本や作家がのさばって平気でいるんじゃあ、馬鹿にされても仕方がないでしょう。やっぱり、「SFは死んだ」ってほんとうだったんだね。訳もオヤジ臭い。大森ももうオヤジじゃん。この題名は何なの、マトモな神経していたらこの題を見て読むのをやめるよ(笑)。今時の若い人はそんな曲知らないって(苦笑)。コメントするのも恥ずかしい。原題はbig jelly(fish)なんだから「巨大クラゲ」とか普通に訳せばいいのに。こんな題をつけて気のきいた題をつけた気になっていると考えただけで、はらわたが煮えくり返る。

SFってもはやオヤジの読み物だ。高感度の子供はそんな古臭く保守的なもの読まない。・・・と90年代のSFを読む限り、認めざるを得ない。その元凶はもちろん80年代の女流と巨匠なんだろうけどね、堕落の布石を打ったのは。
それに比べると50、60年代のSFの何と若々しく光り輝いていることよ!!!

というわけで、「タクラマカンは愚作」「スターリングは無能」とほぼ確認できたので容赦なくぶん投げ、辛うじて小説になっている「ヴォル・ゲーム」に戻します。

4/13
「ヴォル・ゲーム」はかなり面白い。「バラヤ」がつまんなかったのはやはり女が主人公で、田舎が舞台だったせいか。とりあえずマイルズが主人公なら面白い。しかもこの本は前半の中編に書き足して長編にしたもので、前半の気象観測の島に派遣されて危機をくぐり抜ける話はそれ自体完結していてそれだけでも十分面白い。しかもこの作品の後半は、マイルズが宇宙をまたにかけて活躍?する話である上、例の鬱病気味の(笑)皇帝グレゴールが逃げ出して浮浪者の姿をしてマイルズと行動をともにするというおまけつき。こんな親しみやすい皇帝みたことありません(笑)。ワームホールネクサス宇宙の図表入り解説も入っていて非常に親切。評価できます。
平行して「ミラーダンス」も少し読み始めました。こちらもやはり「わが親愛なるクローン」を先に読んでいたほうがいいのでしょうね、クィン中尉?だって「ヴォル・ゲーム」では出てこないし。
心配したけど、ヒューゴー賞とるぐらいの作品なのでそれなりの面白さは期待できそうです。「バラヤ」1作だけで軽視して失礼しました。

「ミラーダンス」、いきなりマイルズのクローンらしき男?が現れます。エスコバンのステーションで、デンダリイと接触をします。これはやはり、主要登場人物すら共通しないのでは、いくら何でも前作「わが親愛なるクローン」を先に読んでいたほうが面白いでしょう。どうしてビジョルドのこのシリーズって、受賞作と非受賞作が交互に入っているんですかね(笑)。まあわざとじゃないけどさ。受賞作を楽しむためには間の非受賞作も読まないといけない。「自由軌道」「名誉のかけら」「バラヤー内乱」「戦士志願」「ヴォル・ゲーム」「わが親愛なるクローン」「ミラーダンス」の順なんですもん(中編、番外編除く)。ほんとに見事に1作おきになっているよ(笑)。

あと、シルヴァーバーグの「戦士入力」も今日中に読もう。ヴァーチャルリアリティの話でしたね。どうもあのドゾアの本は、でかくて分厚くて読みにくくて困る。まあ、収録量がけたちがいに多いのは嬉しいんだけどさ。

シルヴァーバーグ「兵士1を入力、次に2を入力」★★★★
シルヴァーバーグの3つ目のヒューゴー賞受賞作です。歴史上の人物をコンピュータプログラムとして再構成してホログラム空間に再生する実験。インカの征服者ピサロとソクラテスを対決させたらどうなるか? SFアイデアをベースにしている点を除くと、ネタは前回の受賞作「奥地のギルガメッシュ」とほとんど同じで、やや二番煎じ(自己模倣?)の感もなきにしもあらずですが・・・。「生後の生」なんて同じ言葉を使っているし、オチまで似ている(苦笑)。いかにもヒューゴー賞向きの娯楽性の高い内容で、かつての思弁性はあまり感じられませんが、ユーモラスな語り口で笑わかしてくれるハチャハチャSF(笑)ですので、これはこれでよいでしょう。でもギャグのキレは「ギルガメシュ」のほうがよかったから★1つ落としました。シルヴァーバーグの歴史好きが臆面もなく出ているという点でも、いかにも彼らしい。でも最近のシルヴァーバーグでいちばん読んでみたいのは、「ギルガメシュ王伝説」だったりするからなあ(失笑)。
さあ、これでとうとう80年代ヒューゴー賞は読破しました。

いよいよ90年代・・・あっ、ハインラインが残ってた(月無慈)、やだなぁ(笑)。

次は「ヴォル・ゲーム」「ミラーダンス」を並行読み、「ヴォル」が終わったら「ドゥームズデイブック」か「親愛クローン」です。

4/14
ううっ、「ヴォル・ゲーム」よりオールディスの短編集のほうが面白い・・・。
二度とわが国で翻訳が出ることはあるまいと思っていたオールディスのぱりぱりの新刊短編集の翻訳が出るとは!!!!!
びっくりしました!!!!!
もちろん、早川や創元といった俗悪出版社がオールディスの新刊を出すなんてことはSF並みにあり得ないことなので、出したのは映画原作しか出さない竹書房(笑)。つまりこれも、映画原作が入っているからこその翻訳なのです(涙)。「スーパートイズ」。キューブリック/スピルバーグの映画化「AI」がもうじき公開されるのにあわせての出版らしい。その映画のほうには全く興味はないが、おかげで長らく絶版になっていた短編集「食の刻」(英国SF作家協会賞)が復刊されたし(スーパートイズ第1作目収録)、この本では、スーパートイズの続編/完結編と、オールディスの最新短編がまとめられ、翻訳されて日本語で読めるというのだから、生きててよかったとしかいいようがない。
ほんとは「ヴォル・ゲーム」を先に読まなければいけないんだけど、こっちのほうが面白いんだからしょうがない。
「スーパートイズ」★★★★★
名作。「食の刻」収録の「いつまでもつづく夏」(原題は正しく訳すと「スーパートイは一夏を生きのびた」なので意味が違うのだが、日本語としてきれいなのでまあいいでしょう。内容とも合わないけど)は特にどうということはない小品で、オールディスには珍しく何のひねりもない素朴でストレートなロボット小説であり、キューブリックがそこまで入れ込んだということ自体がよくわからないが(しかも人口問題の扱いは既に古くなっている)、この本で書き下ろした続編2編が出色の出来で、オールディスの作家的力量の如実な進歩が表れており全体としての高評価である。「冬きたりなば」のディヴィッドが発狂し暴れるラスト、「季節がめぐりて」の工場シーン及びラストと、いずれもツボを心得ており、明快にテーマが伝わってくる。テーマ自体はオーソドックスなもので今さらという気がしないでもないが、万人に受け入れられそうな分かりやすさがかえって今時のSFにはなく新鮮かも。
「遠地点、ふたたび」★★★★★
しかし、個人的にはオールディスの真骨頂はやはりこういう作品にあります。思弁とイマジネーションの破壊力は未だ衰えていない(「スーパートイ」第1作以外はすべて90年代以後の作品)。遠未来の話なのか遠過去の話なのか、どこの惑星の話なのかもはっきりしませんが、どことなく神話的でどことなくユーモラスな幻想宇宙の幻想人類が遠ざかる太陽と液体空気の長い寒冷期を生き延びる話です。もう最高。
「III」★★★★★
見事な風刺ショートショート。笑わせながら見事に頸動脈を狙った作品です。いちばん笑ったのはトリトンの「フラバー(和名ブヨブヨ)」という知的生命体。言語を持ち、人類とコミュニケートしようとし、驚異的な都市まで作っているというのに、食べ物としてしか扱われていないのです(笑)。もう最高。

4/15
「ヴォル・ゲーム」面白くなってきました。キャヴィロの鬼畜ぶりがいいですね。グレゴールが嫁を押しつけられて逃げ出したというのも笑える。「バラヤー」と違い宇宙をまたにかけているというところがいいですね。平行して「ミラーダンス」も読んでいます。デンダリイ艦隊内部の人間関係が、「戦士志願」を読んでいない身にはわかりにくいですが、「トライアンフ」「アリエル」というのが船の名前だとわかったのは収穫でした(笑)。「ミラーダンス」ではよくわからなかったんだもの、いきなり固有名詞がぽんぽん出てくるので。

4/16
ビジョルド「ヴォル・ゲーム」★★★★
なかなか面白かった。あまり熱狂はできませんけど。「ミラーダンス」の伏線も張ってます。デンダリイ艦隊の隊員にはマイルズの素性は知られておらず、二足の草鞋を履いているという設定なのですね。「ミラーダンス」の冒頭はこの設定を予備知識として持っていないとよくわからない。やはり、「ミラーダンス」の前に「クローン」は読まざるを得ないようです。
ビジョルド、熱狂はできないけど一定の水準のスペースオペラで、好きな人にはたまんないんだろうなあ、というのは理解できます。チェリイよりは好きです。
しかし、やはりこのシリーズ、時系列順に読まないとわかりにくい。英語で読む「ミラーダンス」は更にきついので、用語辞典を作りながら読んだほうがよいでしょう。

さて、次は「ドゥームズデイブック」と「レッドマーズ」、いずれも途中で挫折した長編の再挑戦です。

「ドゥームズデイブック」はダンワーシイものの長編で中世イギリスが舞台、「レッドマーズ」はリアルな火星地球化もの3部作の第1部です。どちらも綿密な書き込みに特徴があり、どっちかというと苦手なタイプですが、好むと好まざるとに関わらず90年代を代表する人気シリーズの長編ですので、「なぜ受けたのか」の観点から、じっくり読み込んでみたいと思います。
基本的には、家では「ドゥームズデイ」外では「レッドマーズ」中心に読みたいと思います。