SF百科図鑑 アイザック・アシモフ『ファウンデーションの彼方へ(上下)』


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2001年

3/27
「ファウンデーションの彼方」面白い! オールディスは「商業的観点を別にすれば完全な失敗作」と糞味噌に言っていますが、1~3が面白くなかった(取り柄はアイデアだけ)私としては、逆に「1~3よりはまし」と言いたいです。訳文の良さに負うところも大きいとは思いますが、何と言っても小説としてこなれていて読み易いと言うのがいいですね。1~3が小説の書き方を知らずに書いていると言うような感じの(小説としては)ひどさだっただけに、いちだんと。またセリダン計画を不滅の鉄則として護持するための強引な辻褄合わせに不自然な窮屈さを感じてもいただけに、セリダン計画を相対化するスタンスをこの作品でとったのもいい傾向だと思います。少なくとも上巻を読み終わった現段階では満足度高いです。人物造型が旧3部作と比べても格段に進歩していますし(前のがひどすぎただけという気もするが)。

3/29
アシモフ「ファウンデーションの彼方へ」★★★★★
最高。間違いなく「銀河帝国の興亡1~3」よりは上です。「完全な失敗作」(オールディス)「ガイアのアイデア=集合知性=は全体主義に繋がる」などこの作品に対する非難轟々ですが、私は他人の評価など全く関係なしに、否むしろ他人が貶せば貶すほど逆に誉めたくなる性格なので、「ふっ、こいつら低能めらがこの作品の真価もわからずして貶しくさる、こいつらが貶しておれが誉めていることこそおれがまともでこいつらが馬鹿であることの証明だ」と嬉しくなってしまいます(笑)。だいたい、他人が貶すものが自分にもつまらなくて他人がほめるものが自分にも常に面白かったら本を読む意味などない。粗筋だけ人にきけば十分なのです。人気があるものが常にすばらしいと限らないのはラーメンもSFも同じです。
恐らくこの作品を貶す人は、大半が、旧3部作を面白いと思った人たちなのでしょうが、私の場合、旧3部作は失敗作だと思っており全然面白くなかったので(アシモフ作品中では二流、くだらない部類)、逆にこの作品で小説技術がアップしたことや世界の明晰度が増したことはこのシリーズのレベルを準A級に上げたとすら思っています(まだA級には達しない)。
旧3部作を面白いと思えるのはいったいどういう人種なのでしょうか? 全く理解できません。アイデアが面白いのは認めますが、取り柄はアイデアだけ。接客態度が悪いのに行列ができるラーメン屋が「売りは味だけ」といわれるのと通ずるものが、いや、それどころか、まずいのにインテリアと接客態度とテレビ出演だけで行列ができるラーメン屋が「売りはないけど単に並んでるから」といわれるのと同レベルかも(笑)。人間は描けてなく魅力がないし、政治システムは古臭くてリアリティがなくほとんど馬鹿馬鹿しいし、プロットはでたらめで不自然で強引な辻褄合わせに満ちており、習作レベルで、どう見ても失敗作であり、しかも「セルダンプラン」なるそれ自体不自然で無理があるアイデアを強引に通そうとしているがゆえに窮屈な閉塞感がある。ストーリーは下手なミステリ仕立てでもったいをつけ過ぎている割には種明かしに全く意外性がなく、ミステリとしては完全な駄作。とにかく小説としてみれば取り柄は全くないひどさで、どう見ても取り柄は「心理歴史学」というインチキ科学のアイデアただそれのみ、ワンアイデアストーリーに過ぎません。ただし、第3巻だけはかなり面白かったけど。
それに比べると、小説としての構成、人物描写が段違いに質的向上を見せ、すっきりと一本筋が通り、隅々まで透明度が増したこの作品のほうがはるかに魅力的に見えます。「セルダンプラン」なんていうそれ自体強引でとうてい信じられないものを無理に護持するのではなく、あっさり相対化してしまったのは完全に正しい、ハリセルダンざまあ見ろという感じです。「夜明けのロボット」などに見られた通俗な恋愛、セックス描写(必然性なし)の悪傾向は~若干、ないではないものの~不愉快にはならない程度に抑えられていますし。ガイアのアイデアが「安易」とか「全体主義」とかいうけど「セリダンプラン」への思い入れゆえの不当な偏見でしょう。集合知性は「ライアへの賛歌」「残像」などなど70年代に好まれたテーマですが、何度書かれても飽きない興味深いものなので個人的には面白かったですし。またロボットシリーズや永遠人との世界統合の試みを無意味な自己整序と貶す意見も同じぐらいよく耳にしますが、この作品に関する限りそれほど不自然な辻褄合わせには見えないし、そもそも他系列作品に思い入れがなければ「統合の試み」であること自体に気づきすらしないと思います。つまりそれほど不自然ではないから全くこの作品の価値を下げる要素にはならない。「ステープルドンに比しアシモフの宇宙は貧相」(オールディス)という貶し言葉もありますが、これにしたところでステープルドン(詩人)とアシモフ(科学者/ミステリ作家)という資質の違いからくる印象でしょう。
私はどちらかというとアンチアシモフですが、これだけこの作品が不当に貶されていると、逆に意地でもこの作品だけは弁護したくなります。
アシモフの最高作は、たぶん「裸の太陽」か「鋼鉄都市」のどちらかでしょうが、この作品は自分的にはその次ぐらいに位置づけても良いと(憤然と)思っています。

さて、次はチェリイ「ダウンビロウステーション」、いよいよ80年代最後の受賞長編です。内容は、くしくもアシモフ「ファウンデーション」の銀河帝国とかぶるなあ。商人が政治勢力になっているところなど特に。ディテールにかまけるのが売りの戦争政治経済スペオペです。これで来月からは90年代に入れるぞお。
あとはハインライン「月無慈悲」とシルヴァーバーグ「兵士1入力、兵士2入力」ですな。

兼子「新世紀未来科学」アシモフ「永遠の終わり」購入っす。