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ジョン・クリストファー『トリポッド① 襲来』(ハヤカワ文庫SF)

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November 15, 2004

ジョン・クリストファー『トリポッド① 襲来』(ハヤカワ文庫SF)

トリポッド1子供のころ図書館で読んだ『鋼鉄の巨人』のシリーズです。
『鋼鉄の巨人』は、文字通り夢中になって読んだ記憶がありますが、同じシリーズの続編が2冊も同じ学研から出ているとは知りませんでした。細かいストーリーは既に忘れていますが、三本脚の鋼鉄の巨人が町を見張り、人間たちを支配しているという設定だけは頭に焼き付いています。武部画伯の迫力のある表紙絵もよかった。
で、今回はハヤカワ文庫から三部作全部の新訳による復刊と、それに加えて80年代に出た前日談1編を加えて怒涛の4部作全訳であります。うれしいっ! 表紙が西島大介氏のかわいらしい物に変わっていて、学研版の恐ろしいイメージとはかけ離れていますが、これはこれで味があるかもと思います。

で、本作は後から書き足された前日談。あっという間に読み終えてしまいました。まあ、大きい活字で250ページと、短いんだけど。
さすが破滅、侵略SFの騎手としてウィンダムと並び称されただけあって、イギリスの普通の家庭の日常生活の描写に始まり、徐々に正体不明の三本脚の巨人に侵略、洗脳されていく描写はうまいですね。
で、今回読んで思ったのは、かなり露骨な全体主義のアレゴリーによる批判になっているなと。サブリミナル効果などを駆使した洗脳の描写はいささかストレートすぎる気もしますが、児童文学ですから、これでよいでしょう。よくできたジュヴナイル作品だと思います。再読になる第二巻(『鋼鉄の巨人」に当たる部分)以下が楽しみです。

テーマ性  ★★★★
奇想性   ★★★
物語性   ★★★★
一般性   ★★★★★
平均    4点

文体    ★★
結末の意外性★★
感情移入力 ★★★★
主観評価  ★★★(30/50点)

silvering at 11:27 │Comments(0)TrackBack(1)読書

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