SF百科図鑑 フィリップ・K・ディック『いたずらの問題』創元SF文庫


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1999年

8/11
ディック「いたずらの問題」読み終える。
面白いじゃん。どうということのない作品とか言われているけど、古き良き50年代SFという感じがして、何より後期ディックのような暗さがないのがいい。テーマも興味深いしストーリーもテンポよく面白く読めるし、登場人物も生き生きとしている。わたしは好きだね。
なにしろわたしは、シルヴァーバーグの最高傑作だって内心は「第四惑星の反乱」だとすら思っているような人間なんだ(笑)。下手をするとこれがディックの最高傑作だとすら言い兼ねないよ。
50年代SFと60年代以後のSFの違いを分かりやすく言え、と言われたら、50年代は明るく、60年代以後は暗い、と言ってしまえば足りる。わたしは暗い小説も死ぬほど好きで、バラードなんか大好きだしもちろんディックの後期ネクラ作品だって死ぬほど好きなのだが、暗いのばかりじゃやっぱり飽きてくる。根が自称弁証法的な頭の構造をしているだけに(悪く言えば躁鬱気味(笑))、50年代の明るく前向きなSFだってもともと大好きで、大体最初にはまったのはその手のやつだったりするわけだから、時にはあの爽快感をもう一度味わいたくなる。音楽だって暗いのばかり聴いてたら疲れてくるでしょ。
ただ、ディックは最初に「宇宙の眼」を読んで以来、60年代以後の暗めの作品しか読んでいなかったりするため、この作品を読んで、ヘぇ、昔はこんなの書いてたんだぁ、と再発見した次第なのだ。いや、正確には最近読んだ「時は乱れて」も50年代だったりするわけだが、あれは実はもう「偽の現実」のテーマにとりつかれ出した後の作品だったりするわけで、既に暗い。しかし思い出してみれば、「宇宙の眼」は偽の現実テーマだったけど50年代的な明るさがあったよなぁ。その後の代表作といわれる作品は結構読んだけど、やっぱりあの作品が頭の片隅で光り輝いているのは、あの明るさがあったからだと思うんだよ。
というわけで、当分、50年代の作品から順番に読んで行く、というような感じになるね。んで、最後に、「宇宙の眼」を総まとめに再読して(高校以来だねぇ)ディック一周目終わり、とこういう計画なんだ。
やっぱりディックぐらいは全部読んでないと、恥でしょ。一般教養だよね、既に。
で、次は「ジョーンズの世界」に入ります。これがまたいいんだな、出だしといい世界像の設定といい。