SF百科図鑑

ハヤカワSFシリーズ『ヒューゴー賞傑作集NO.1』

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可

2000年

3/21
「ヒューゴー1」より、「星」★★★★1/2クラークと「あるいは牡蠣でいっぱいの海」★★★デイヴィッドスン読み終える。
「星」は、掌編ながら、「都市と星」並みに気宇壮大な話で、「宇宙のランデヴー」「2001年宇宙の旅」のような中期以後のファーストコンタクトテーマ(それも、他種族の「痕跡」「遺物」との接触という意味での)の名作群の原型を示してもいる上、古代史(聖書)ネタのオチも非常に鮮やかで、短編にしておくのが惜しいほど内容の濃い一編である。
「あるいは・・・」はSFというより、ホラーないし「奇妙な味」に近い作品。ただ、無機物が生命を持ち、最後には人を襲うというホラーネタに「擬態」云々といった疑似科学的といえなくもない解説を加えた点が、強いていえばSFっぽいといえるかも知れない。よくできた佳作で、それなりに怖いものの、SF的な思弁の凄みを感じさせるものではなく、どちらかというと、作者の文体、語り口の洒脱さ、洗練ぶりを楽しむタイプの作品といえる。

それにしても、ブリッシュ「悪魔の星」が見つからないよう。

6/9
「異星の客」読み終わる。
中身は面白いんだけど何しろ分厚くて、結構疲れた。
次いで、「ヒューゴー1」と「高い城の男」に入る。
ここから比較的薄めが続くので、加速するぜ! 以上。

(略)


6/10
イヤーズベストSF5届く。1999年作品収録。うひひひっひひっひっひっひひひ。
マリアマリアついに1位から落ちた。10週か。

6/11
「ヒューゴー1」読み終わる。
「時代おくれの名優」「ロボット植民地」といずれも、機械化に抵抗する人間という牧歌的テーマで、テクノロジーの描写は今読むと微笑ましいが、その分、最近のSFからは失われた、素朴な力強さに満ちている。
「ちんぷんかんぷん」は驚異のユーモアSF。渋い魅力で異彩を放つ傑作である。

ミラーは「黙示録」で歴史に名を残しているが、ラインスター、ラッセルは作品的にはやや小粒なので、この3者の作品を少し整理しておこうと、「エンサイクロペディア」をひいてみた。
ミラー?長編ではやはり「黙示録」のみ。短編集は4冊ほど出ているようだが、題名の挙がっている短編はやはりこの「時代おくれ・・・」のみのよう。寡作な作家で、他に特に押さえるべき作品はなし。
ラインスター?1919年デビューし、バド・グレゴリー・シリーズなどの連作長編を量産する。作品的なピークは、第2時大戦後の短編群で、「最初の接触」(1945)「最後の審判は延期された」(1949)「孤独の惑星」(1949)「もしきみがモクリンだったら」(1951)「ロボット植民地」(1956)あたりが代表作。「ロボット植民地」は連作長編として「植民地探査」(1956)にまとめられ、これが彼の1冊本としては最高作で、大抵は長編より短編の方が上、とのこと。連作長編も、例えば初期の「狂気の惑星」(1920)を連作化した「忘れられた惑星」(1954)は出版時既に説得力を失い、初期作品を纏めた短編集も、後記の作品を纏めたJ・J・ピエール編の「ベスト・オブ・ラインスター」(1978)には数段劣るらしい。・・・ということで、恐らく上記の戦後の短編と、「植民地探査」程度を押さえていれば十分であろう。「最初の接触」は講談社文庫のアンソロジーにも入っていた古典的名作として有名で、恐らくこのテーマの嚆矢。
ラッセル?長編で有名なのは「超生命ヴァイトン」だが、既に超古典の部類に入るだろう。英国作家というのは初めて知った。1937年アスタウンディング誌デヴュ-。戦前はやはりジェイ・スコア・シリーズなどの量産系作家で、作品のピークは主に戦後。代表的な作品は、「変態(メタモルフォーゼ)」(1946)「ホビイスト」(1947)「親愛なる悪魔」(1950)。後に「大いなる爆発」(1962)としてまとめられる「最後の夜戦」(1948)「わたしは無」(1952)「そして誰もいなくなった」(1951)等のシリーズもの。「いばら」(1955)「悪魔の論理」(1955)「宇宙のウィリーズ」(長編、1956)「迷惑の価値」(1957)「ワスプ」(長編、1957)。そして、「ちんぷんかんぷん」(1955)まで、いずれも風刺とユーモアに満ちた作風に特徴あり。長編はもっとシリアスだがぱっとしないらしい。・・・ということで、作品名は多数挙がっているが、とりあえず創元文庫から出ている短編集と、ハヤカワシリーズの「超生命ヴァイトン」ぐらいを押さえれば足りるのではないだろうか。

さて、今後であるが、「ヒューゴー2」をできるだけ入手、無理ならばSFマガジンを入手。大きな前庭(シマック)地獄行き列車(ブロック)アルジャーノンに花束を(キイス)長い旅路(アンダースン)のうち、大きな前庭はシマック短編集、アルジャーノンはキイス「心の鏡」を入手するが、他の2作は単行本未収録なので「ヒューゴー2」ゲットできなければSFマガジンしか手はない。また、竜を駆る種族(ヴァンス)はハヤカワ文庫で。
ところで、アンダースンの受賞作は、「長い旅路」「王に対して休戦なし」「肉の分かち合い」「空気と闇の女王」「トラジェディ」「狩人の月」「サターン・ゲーム」という具合で中短編だけで実に7作に及んでおり、これだけで1冊の本が出来てしまうほどだ。これを全部潰すのは、集めるだけでも大変そうだが、逆に楽しみでもある。長編で有名なところでは「脳波」「タウゼロ」「アーヴァタール」といったあたりがあり、あと「タイムパトロール」あたりまで押さえればとりあえず合格レベルに達すると言えよう。アンダースンは有名なのに結構読み漏らしていることが多い作家なので、気を抜かずに丁寧に読み潰していく必要があろう。

競馬ぶんとへい。

(略)で「成長の儀式」「琥珀のひとみ」「大きな前庭」(略)で「心の鏡」入手。

記事メニュー
目安箱バナー