SF百科図鑑 キイス・ロバーツ「パウ゛ァーヌ」


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■2004/04/14 (水) 01:36:39 パヴァーヌ読了!

ローマカトリック教会の圧制崩壊、世界各国が独立を宣言し、抑圧していたテクノロジーが解放される。
異端者ジョンは、ブリテンの原住民たる「古き人々」の血を引いていた。
マーガレット(新しいほう)は結局ロバートに嫁ぎ、その娘エリナーが反教会勢力を支援するが、結局国王によって抑えられる。エリナーは幽閉生活を逃れ身を潜めて暮らすが刺客の手で刺殺される。

SFの設定を借りた政治小説といっていい。筆致はきわめて地味でSF味は薄い。ディックの「高い城の男」(奇しくも同じ改変歴史小説だ)がそうであるように、小説としての錬度は極めて高いが、個人的な好みからすると少し違うという気がする。

■2004/04/13 (火) 05:43:33 パウ゛ァーヌ進まず

あと2話なのだが、いろいろと忙しくて進まず。来週も所用で読めないだろう。貧乏暇なしとはこのこと。
今日は最後から2番目の話、イギリスの王女が主人公で、教会に反旗を翻す気運が高まりつつある。
ますますSFぽくなくなってきたな。「黙示録3174年」あたりの筆致を思わせる地味な渋さ。


■2004/04/10 (土) 13:54:04 パウ゛ァーヌ続き

第3話「修道士ジョン」
画家の修道士が教会に反発し異端となって失踪、村人を救い例に船を貰って出立するところまで。教会による因習的支配が恐怖政治に近いものとして描かれ、ディストピアSF、政治SFの様相を帯びてきた。
第4話「雲の上の人々」
ジェシー・ストレンジ(第1話でウェイトレスに失恋した機関者輸送会社の後継者)の弟の娘で、くだんのウェイトレスと同名の「マーガレット・ストレンジ」が地区の領主に弄ばれ、捨てられる。第3話と対照的ながら、同様に、教会支配の影の部分をリアルに描き出している。ラストでジェシーは没する。「古き人々」がマーガレットの夢の中で登場する。

■2004/04/08 (木) 00:35:29 ロバーツ「信号手」

「パウ゛ァーヌ」の第2話、である。いよいよ、「古き人々」が登場し、オルタネートヒストリーにとどまらぬ、何やらファンタジー的展開に突入する。
この第2作は、「もう一つのイギリス」における通信の最新テクノロジーを司る「塔」の信号手に憧れた少年が、国家試験に合格し、修習を経ていよいよ第一線に就き、不慮の事故で死するまでの儚い一生と、「古き人々」とのファンタスティックな出会いを描いている。またもや、普通小説的であるが、この主人公の少年/青年はわれわれ自身の若き日を思い起こして感情移入せずにいられないようなリアリティを持って描き出されている。それだけに、山猫に襲われていまわの際に出会う「古き人々」の姿が非常な現実味を帯びて感じられる。
正体不明の「古き人々」の正体への興味をかき立てながら、本書は第3話へと突入してゆく。

■2004/04/06 (火) 20:20:57 「パウ゛ァーヌ」

第1話「レディ・マーガレット」まで読んだ。
エリザベス女王が暗殺され、カトリック教会が強大な権力を保ったまま20世紀を迎えてしまったオルタネートヒストリー。そんな設定における「蒸気機関車」がテクノロジーの核として君臨する田園社会の英国を舞台とした人間ドラマの数々である。設定こそ、SFであるが、その内容は完全に普通小説的である。したがって、本作は狭い意味でのSFとは言えないかもしれない。
内容が普通小説的と言うと、小市民的な人間が世俗的な事柄でちまちま悩むつまらない内容を想像しがちだが、本作は、まさに、そういった「もう一つの世界」における小市民的な人間が登場し、「その世界」における世俗的な事柄で、「ちまちま悩む」(笑)。では、やはりつまらないのか、と問われると、不思議とそんなことはないのだ。そこに描かれているのは、まさに、普通小説的な、どこにでもあると思われる田園風景と、どこにでもいそうな凡人たちであるのだが、現実の「この世界」と似ていながら、「そこ」はやはり「ここ」とどこか違う。はっきりと「どこか違う」のに、その違和感には何らの回答も与えられないまま、その「リアルな、現実的な、小さな波瀾万丈を伴った、平凡な日常描写」は続く。それは、読んでいるうちにじわじわと読む者を吸い寄せ、その世界に吸い込んでしまう不思議な力を持っている。
まだ、第1話を読んだだけだが、父を失い家業の機関車による輸送業を継ぐことになった青年が、機関車の名前の由来である初恋相手の居酒屋ウェイトレスに失恋をし、機関車の運転中に野盗に襲われ、貨車の火薬を爆発させながら逃げるラストまでの人間ドラマに、いつの間にやら引き込まれてしまった。一読して息もつかせぬ程おもしろい、というタイプではない。むしろ最初は退屈に思える。しかし、じわじわと効いてきて、最後に前の方を読み返したくなる、そんな小説である。
次の第2話「信号手」は多くのアンソロジーに収録されている有名な作品なので、楽しみだ。