SF百科図鑑 ブライアン・オールディス『スーパートイズ』


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■2003/12/23 (火)14:51:00スーパートイズ 既読分その1

「スーパートイズ いつまでもつづく夏」はmomentofeclipse参照
「冬きたりなば」「季節がめぐりて」は続編、「いつまでも・・・」が書かれてからだいぶ後に書かれているせいか、かなり内容に深みが出ている。特別図抜けた作品とは呼べないが、佳作とはいえるだろう。ちなみに「AI」は基本的にはこのストーリーに沿っているものの、特に後半は全く独自の話になっていた。途中からスピルバーグにバトンタッチされ、ピノキオに無理になぞらえようとしたせいか、押し付けがましい内容になっていた。駄作とまでは思わないが、失敗作とは言っていいように思った。

「遠地点、ふたたび」
こことは異なる宇宙で展開される神話的ストーリーというオールディスの得意なネタ。想像力の極致に挑むオールディスが最も力を発揮できるスタイルの作品である。「スーパートイズ」のような「普通の」SFよりも、こういった作風の作品の方がやはりオールディスの本領部分だ。

「III」
風刺のきいたオールディスらしいショートショート。大笑いした。滑稽な宇宙生命と人類による自然破壊の組み合わせが最高。

「古い神話」
コンテストで優勝した賞品として神話誕生前の石器時代に戻った女性が体験する強烈な神話形成体験。面白い。いかにもオールディスらしい短編。

*****

2001年日記より

4/14
ううっ、「ヴォル・ゲーム」よりオールディスの短編集のほうが面白い・・・。
二度とわが国で翻訳が出ることはあるまいと思っていたオールディスのぱりぱりの新刊短編集の翻訳が出るとは!!!!!
びっくりしました!!!!!
もちろん、早川や創元といった俗悪出版社がオールディスの新刊を出すなんてことはSF並みにあり得ないことなので、出したのは映画原作しか出さない竹書房(笑)。つまりこれも、映画原作が入っているからこその翻訳なのです(涙)。「スーパートイズ」。キューブリック/スピルバーグの映画化「AI」がもうじき公開されるのにあわせての出版らしい。その映画のほうには全く興味はないが、おかげで長らく絶版になっていた短編集「食の刻」(英国SF作家協会賞)が復刊されたし(スーパートイズ第1作目収録)、この本では、スーパートイズの続編/完結編と、オールディスの最新短編がまとめられ、翻訳されて日本語で読めるというのだから、生きててよかったとしかいいようがない。
ほんとは「ヴォル・ゲーム」を先に読まなければいけないんだけど、こっちのほうが面白いんだからしょうがない。
「スーパートイズ」★★★★★
名作。「食の刻」収録の「いつまでもつづく夏」(原題は正しく訳すと「スーパートイは一夏を生きのびた」なので意味が違うのだが、日本語としてきれいなのでまあいいでしょう。内容とも合わないけど)は特にどうということはない小品で、オールディスには珍しく何のひねりもない素朴でストレートなロボット小説であり、キューブリックがそこまで入れ込んだということ自体がよくわからないが(しかも人口問題の扱いは既に古くなっている)、この本で書き下ろした続編2編が出色の出来で、オールディスの作家的力量の如実な進歩が表れており全体としての高評価である。「冬きたりなば」のディヴィッドが発狂し暴れるラスト、「季節がめぐりて」の工場シーン及びラストと、いずれもツボを心得ており、明快にテーマが伝わってくる。テーマ自体はオーソドックスなもので今さらという気がしないでもないが、万人に受け入れられそうな分かりやすさがかえって今時のSFにはなく新鮮かも。
「遠地点、ふたたび」★★★★★
しかし、個人的にはオールディスの真骨頂はやはりこういう作品にあります。思弁とイマジネーションの破壊力は未だ衰えていない(「スーパートイ」第1作以外はすべて90年代以後の作品)。遠未来の話なのか遠過去の話なのか、どこの惑星の話なのかもはっきりしませんが、どことなく神話的でどことなくユーモラスな幻想宇宙の幻想人類が遠ざかる太陽と液体空気の長い寒冷期を生き延びる話です。もう最高。
「III」★★★★★
見事な風刺ショートショート。笑わせながら見事に頸動脈を狙った作品です。いちばん笑ったのはトリトンの「フラバー(和名ブヨブヨ)」という知的生命体。言語を持ち、人類とコミュニケートしようとし、驚異的な都市まで作っているというのに、食べ物としてしか扱われていないのです(笑)。もう最高。