SF百科図鑑 Stand on Zanzibar ジョン・ブラナー(John Brunner) 済10点


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stand on zanzibar
* Winner Stand on Zanzibarジョン・ブラナー(JohnBrunner)済10点
人口爆発SFの最高傑作。実験的手法、複雑なプロットとハイペースのストーリー展開、華麗なアイデアと文体はサイバーパンクの先取り。

2000年日記

7/11
「ザンジバー」読み始める。(放浪惑星がかったるいんで。)完全に理解しようと訳しながら読み始めたが、英語が、造語が多くて難しいのなんの。特に「コンテクスト1」のテレビ番組か何かの台本なんて、半分ぐらい造語(笑)。この部分だけでも1週間ぐらいかかりそうだ(笑)。
これに比べると、昨日ちょっとやった「スペイン乞食」「グリーンマーズ」なんて英語が超やさしくて読み易い。あんまり辞書をひかなくていいし。でも、ブラナーで鍛えられれば大概の作品は読めるようになるのでは。だいたいヒューゴー/英国SF協会/アポロ賞の3カ国トリプルクラウン作品だから避けては通れない、頑張って読むぞ。

ふひぃ~、難しい。全然わからない。造語だけじゃなく俗語まで出てきちゃったよぉ。こりゃあ翻訳が出ないわけだわ。poppa-mommaって何だ? そりゃパパとママを合わせた造語だぐらいはわかるけど、文脈からして別の意味で使ってそうだ。まぢ難しいっす。一筋縄ではいかね~なぁ、こりゃ。

7/30
お馬全敗。
「スタージョンは健在なり」注文。
その他英米SF多数注文。
「ザンジバー」少し読む(&最初のうちは訳しつつ)。最初のテレビ番組は何とか無理矢理こじつけて訳し、次に「ハップニング・ワールド」と題する引用部分に入った。筒井の「ヴィタミン」と似てるなあ、この手法は。結構面白くなってきた。確かにこの手法だけで長編一冊書き切ったら、それはそれですごいものになるかも。ただ、幸か不幸か、もと量産系娯楽作家のキャリアから、ストーリー部分は結構軽くて読み易いものになっているらしく、その落差がせっかくの思弁性を殺いでいるという酷評もあるので、そのへんを注意しながら読んでみたい。
あわせてヒューゴーのアンダースン読む。この第一巻は2作とも軍隊もの(アンダースンとディクスン、<ホーカ>のコンビがどっちもシリアスな作品を書いているのが興味深い)。アンダースンはレパートリーの広い作家で、ハード系の「脳波」「タウゼロ」のような作品から、娯楽作品の「タイムパトロール」「ホーカ」シリーズ、北欧的な異世界ファンタジイ、そしてこの作品のような割とリアルな軍隊ものまで、ジャンル、テーマ的にも幅広く書ける器用さがある。その器用さが個々の作品の印象の薄さに繋がっている気もするから、器用貧乏を地で行くというべきか。そんなわけで、いちどアンダースンについてもおさえるべき作品を整理しておく必要があるだろう。まず長編では、「脳波」「折れた魔剣」「タウ・ゼロ」「アーヴァタール」、シリーズものでは「タイム・パトロール」と<ホーカ>シリーズ(「地球人のお荷物」等)。次に短編では、受賞作全て(「長い旅路」「王に対して休戦なし」「肉の分かちあい」「空気と闇の女王」「トラジェディ」「狩人の月」「サターン・ゲーム」)と、超能力テーマの古典「旅路の果て」は外せない(有名な結びの一文=「ナンテイヤナヤツ、サッサトキエテシマエ」)。下線のものが未入手、頑張って集めて読もう。


2001年日記

2/26
「ザンジバル」めちゃめちゃわけわかんない。ホーガンは大学に残って10年、退屈な生活に飽き飽きしてやけ酒をのみ、某夫婦は色盲なのに子供を作った容疑で逮捕され、美容院経営者のグィネヴィアはめちゃめちゃはでな格好をしてインタビューに答える。「不愉快で不自然なメロドラマ」とオールディスが貶しているが、「メロドラマ」というほどのドラマは今のところないけどなあ。
ま、当時としては新しかったんだから、多少は我慢して、大目に見て読まねば。

2/28
「ザンジバル」ようやく面白くなってきた。マリガンの演説が面白い。ネタは、人口爆発の先進国と適正規模の途上国/未開発国(ここが少し時代と合わなくなってきている。現実は、全く逆ではないか?)を対比させながら、ユートピア探究をする社会経済SFということになるが、マリガンの視線がシニカルなユーモアに満ちていて、どことなくコミカルなストーリーパートと密接に絡みながら進行して行く。間に差し挟まれる書物の引用や断片もリアリティを高めており、ちょっとした断片の中に重要な伏線が時々顔を出したりして、「読み解く快感」も味わえる。またストーリーパートも単線的ではなく、主として米国の同居人ハウス(黒人/GT社取締役でくそまじめ)/ホーガン(白人/政府の雇われ分析学者/しかし創造的なことは何もしていない/スパイ?)及びそれを取り巻く人々のドタバタ騒動を中心に展開してはいくのだが、西アフリカの小国ベニニア(オボミ大統領)やアジアの島国ヤタカン(スガイガントゥンク博士)のストーリーも同時進行し、全地球規模の緊密でヒップなストーリーが騒々しく進行して行く。
ルーミイ(同居人)同士のハウスとホーガンが、やり手の美容院オーナーのグィネヴィアの誘いで、「くるくるパーティー」に出かけようとする場面まで読んだ。ちなみにハウスのシギーのヴィクトリアも同行するようである。このヴィクトリアもなかなかイカレてて、おかしなことをしでかしそうで期待できるキャラクターである。
ブラナーは作中でいろいろな予言をしているが、このうち「留守番電話」は現に普及している。「ルーミイ」のアイデアについては、まだ普及とまではいかないが、時々、共同生活専用のアパートで「ルームメイト募集」の広告が貼っている物件を見かける。こういった予言の当たり外れも、必ずしも作品の真価、思弁性の部分と直結するわけではないが、附随する楽しみとしてある。
やっと波に乗ってきたので、少しペースを上げられそうだ。

3/1
ロビンスン「めくらの幾何学者」届く。いつもなら発送告知から1月半かかるのに、今回は1月足らず(どころか約半月)で届いた。
実は今までのも届いていたのは早かったんだけど、配達する人が、配達先が外人なんじゃないかと怯えて、抱え込んでいただけだったりして(笑)。何せ、一度複数の荷物が(発信日も違うのに)まとめて2月後ぐらいに届いたことがあったしなあ(笑)。
まあ、要は、届けばいいんです。

で、相変わらずザンジバル読み進む。また新しいキャラクターが出てきた。新しいキャラが出てくる度に話について行くのが大変になる。1つのブロックを理解するのに2度、3度読み直すのは当たり前で、なかなか先に進まない。やっと100ページだ。
今度は、エリフ・マスターズなる人物。外交官? ベニニアに行ってきた帰りらしく、ベニニアの生活が気に入ったらしい。その前の断片つぎはぎパートでは、排外主義、排他主義の断片が集められている。後のコンテクストではビショップが売春婦の講釈を垂れている。またもや前後の脈絡が掴みづらくなった。

3/2
「ザンジバル」やっと150ページ。エリフのベニニア復興計画が明るみに出て、話が動いてきた。

チャーナス「世界の果てまで歩こう」「吸血鬼つづれ織り」届く。

「ザンジバル」今日は何としても250ページまで進みたい。そして明日中に350ページで半分超えたい。なにしろ「デューン」より長いんだから、時間がかかるのは仕方がない(しかも内容も分かりやすくはない)。

それにしても、「スターメイカー」と「衝撃波を乗り切れ」の翻訳、何とか手に入らないものだろうか? どちらも原書は持っているのだけれど。

3/3
「ザンジバル」ついにチャド・マリガンその人が登場、急に面白くなってきた。一気に215ページまで進んでいよいよグィネヴィアのパーティーの場面である。
ここまでの粗筋。
1)ホーガンが夜の散歩に出かけて白タクの強盗に遭い、逃れようと助けを呼ぶうちに周辺住民の暴動を引き起こし、死者まで出る。
2)この暴動にちょうどエリフ宅から帰途にあったハウスが通りかかって巻き込まれる。
3)ホーガン、ハウスとも睡眠ガスで眠らされて病因にかつぎ込まれるが、IDカードを見せて解放される。
4)帰ってみるとヴィクトリアが荷物を持って出て行っている。
5)事件に遭ったショックで、ホーガンはハウスに自分の身分(政府の秘密諜報員)を明かしてしまう。
6)翌日政府職員がホーガンを訪問し、ホーガンに「ヤタカン」行きの指令を与える。
7)政府職員から、ヴィクトリアを逮捕し、仕掛けてあった盗聴器を全て取り去った旨告げられる。5)の会話はまだ聞かれていなかった。
8)2人はグィネヴィア宅のパーティーに行く。
9)グィネヴィア宅のパーティーに、マリガンが現れる。
他のサイドストーリーとしては、
1)妊娠したポピー・シェルドン夫妻のストーリー。父母の遺伝子等の検査をして、優性学的に問題があれば、中絶/不妊手術が義務付けられる。
2)サシャ&フィリップ・ピータースン母子のストーリー。過干渉で子供の話を聞かない母親とうんざりしながら面従腹背している息子。
3)潜水艇からの上陸作戦を試みるヤタカンのジョガジョンら革命戦士たちのストーリー。
その他、広告等の断片と、マリガンの引用。
このとおり、メインストーリーはいくぶん誇張が激しくコミカルに茶化してはあるが、アクションやサスペンスに満ちて面白いし、マリガン登場でいよいよ先の展開が読めなくなってきた。サイドストーリーも、優性保護、中絶、親子関係、地域紛争や革命など、現在的な政治/経済/社会問題を総花的に盛り込んでおり、飽きさせないし、マリガンの演説や著作の引用がテーマの要約として機能し、全体を引き締める効果を持っているし、広告やテレビ番組等の引用が視覚的イメージをもたらしリアリティを高めるのに役立っている。さすがヒューゴー賞受賞作である。
さて、いよいよ「くるくるパーティー」の場面。マリガン登場のパートであり、前半のクライマックスなので熟読玩味したい。

3/4
「ザンジバル」268ページまで進む。急展開! ヤタカンの遺伝子政策(優秀な遺伝子の者同士をかけあわせて超人を造る? 真相は未だ不明)が明るみに出て、政府が実戦配置に入ることを決定する。グィネヴィアのパーティーでは、グィネヴィアがサディスティックな罰ゲームを繰り返し、2000年のスーツを着て「21世紀のだ」と判定され罰ゲームの対象にされそうになっていた男性をハウスが助けたりする。このパーティーは最後には乱交パーティーになるのが常で、大半の客はこの乱交が目的で過酷な罰ゲームの試練に耐える。その最中にホーガンの通信機から政府軍の声明が流れ、パーティーが中断してしまうのである。
ハウス、ホーガン、マリガン、エリフがアパートに戻って、ヤタカンの政治情勢について話し合う。マリガンは今まで路上生活をしていたが、書物の印税で金には困っていない。ホーガンがヤタカン派遣指令を受けたため、自分の部屋にいてはどうかと申し出る。
また、プエルトリコの助産婦オリーヴ・アルメイロのもとをポッター夫妻が訪れ、自分の子をここで産んだ後、養子として紹介してくれないかと依頼する。しかし、法外な値段を出されて引き下がる。
飛行機でボートキャンプに到着したホーガンは上官になぜ派遣前にボートキャンプに来たのかをきく。返答は、EPT(特定任務強化教育)のためであり、その任務とは「殺し」である、と告げられる。
以上がP268までの粗筋。
これから寝る前に300までいく。何とか来週中に読み終わりたい。だんだんごちゃごちゃしてきて面白くなってきた。オールディスは批判的だが、個人的にはこういう展開のほうが好きだし、だからこそ実験作にもかかわらず「ヒューゴー賞」をとったのだろう。何といっても、他に似た小説がないというだけでもすごいこと。特に、ここまで真に迫った「政治経済予測小説」は他に例を見ないし、その力量も、トフラーが「衝撃波を乗り切れ」の返答として「第3の波」を書いたというぐらいだから、その筋が認めているということ。
しかし、グィネヴィアのキャラは笑える。この作品、突飛なキャラ、情けないキャラが結構出てくるが、このグィネヴィアが今時の若い女のキャラを先取りしていて楽しい。

3/6
ふぅ~今週はきつい。(略)特に今日は疲れた。

「ザンジバル」365ページまでいった。しかし、今日は疲労がたまっていたせいかあまり内容が頭に入っていない。
その後の主な進展は、次のとおり。
1)ホーガンストーリー>ボートキャンプで「殺し」の訓練を受け(この武器についての蘊蓄部分がむちゃくちゃ面白い。「宇宙の戦士」あたりを意識している?)、ホーガン「マーク2」(笑)という別人格に洗脳されたホーガンは、予定通りヤタカンに向かう。ところが、ヤタカンの入国チェックで係員に48時間有効の不妊薬を飲まされる。この入国チェックはやたら厳しく、「売春婦風ファッション」の娘が入国を拒否されて着替えたり、日本人商人が長時間押し問答をしていたりする(本筋とは関係ないエピソードにずいぶん深入りしているが、これはこれで雰囲気づくりに貢献している)。
2)ノーマン&エリフストーリー>ヤタカン&ベニニア情勢の分析をシャルマネサルに行わせる。エリフのベニニアプロジェクトの当否を判断するため。ノーマンはリサーチが終った後2、3日後にはベニニアに行く予定だが、ベニニアで、ホーガンがきっかけとなった暴動と同様の事態が起こることを恐れ、その恐怖をマリガンに語る。
3)マクロストーリー>ヤタカンの不妊&遺伝子操作?政策が全世界に大きな反響を巻き起こす。日本で暴動が起こって神社で身投げするやつまで出るというくだりは笑った。
疲労のためディテールの記憶があやふやなので、暇を見て再読&確認の必要がある。
さて、今日は400(できれば450)ページまで行く。うまくすればあと2日程度で読み終れる。
今日は、「クローズアップによるトラッキング18 若かりし日に」からである。ヴィクター・ワットモウ&メアリのストーリー。「ハプニング世界1 注意書き」の人物紹介によると、「同じ国に生まれ、20年前に結婚し、妻はバツイチ、夫はバツニ」とのことである。この再婚カップルの若い日の話? 
ちなみにこの後400ページまでは「続き物21 もっと急いで」(ノーマンストーリー