SF百科図鑑

英国SF協会賞(2003版)

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可

英国SF作家協会賞受賞作リスト [an error occurred while processing this directive]


英国SF作家協会が英国内で出版されたSF作品から毎年選出する年間ベスト作品に授与される賞。当初は長篇賞のみだったが、次第に短編賞など、部門が増えて今に至る。
ヒューゴー賞、ネビュラ賞というアメリカ二大SF賞をコンプリートしたので、次は本賞受賞作を読破することにする。(着手日:2003年11月15日)

* 1970
* 【Novel】 stand on zanzibar
* Winner Stand on Zanzibar ジョン・ブラナー(John Brunner) 10点
人口爆発SFの最高傑作。実験的手法、複雑なプロットとハイペースのストーリー展開、華麗なアイデアと文体はサイバーパンクの先取り。

* 1971
* 【Novel】 jagged orbit
* Winner The Jagged Orbit ジョン・ブラナー(John Brunner)

* 1972

* 【Novel】 * Winner The Moment of Eclipse ブライアン・W・オールディス(Brian W. Aldiss)

* 1973
* 【Novel】 * No Award
* 1974
* 【Novel】 * Winner 『宇宙のランデヴー』Rendezvous with Rama アーサー・C・クラーク(Arthur C. Clarke) 9点
クラークの「不条理ファーストコンタクトもの宇宙SF」の最高峰。巨大構築物ものの最高傑作でもある。ほとんどストーリーらしいストーリーのないまま、巨大構築物のスケールのインパクトだけでラストまでもたせる描写力には脱帽。
* 1975
* 【Novel】 * Winner 『逆転世界』Inverted World クリストファー・プリースト(Christopher Priest) 10点
「1回限り」の強烈なアイデアで読者に目眩を起こさせる、大ドンデン返しのラストが鮮烈なプリーストの初期の最高傑作。「認識の変革もの」の最高峰である。必読中の必読。

* 1976
* 【Novel】 * Winner Orbitsville ボブ・ショウ(Bob Shaw)

* 1977
* 【Novel】 * Winner 『ブロントメク』 Brontomek! マイクル・G・コーニイ(Michael G. Coney) 9点
メランコリックな恋愛SFで一世を風靡したコーニイの70年代代表作。私の好みでいうと『カリスマ』に軍配があがるが、本作も、分かりやすいSFアイデアに人間/恋愛ドラマを絶妙にからめる手腕はリーダビリティ高く見事の一言。

* 1978
* 【Novel】 * Winner 『ヨナ・キット』 The Jonah Kit イアン・ワトスン(Ian Watson)

* 1979
* 【Novel】 * Winner 『暗闇のスキャナー』 A Scanner Darkly フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick) 10点
すさんだ不遇な私生活を送り自宅がドラッグ中毒者のたまり場と化していた時代の経験が全編に影響を与えており、それだけ哀切で胸に迫るディックの半私小説的長編。ドラッグはディック作品の重要要素だが、本作はドラッグと人間の関わり合いを真正面から扱っている。日本で出ている翻訳は2種類あるが、いずれも訳の出来がよくない。にもかかわらずこの作品は胸に迫る。間違いなくディックの最高作のひとつだ。
* 1980
* 【Novel】 * Winner 『夢幻会社』 The Unlimited Dream Company J・G・バラード(J. G. Ballard) 8点
「内宇宙の具象化」というバラード流ニューウェーウ゛SFの特徴が最もよく表れた作品の一つ。飛翔のイメージにとらわれた男の意識が外部化され、詩的夢幻空間がめまぐるしく展開する本作の視覚イメージは強烈だ。ストーリーではなく、悪夢的な映像のシークエンスをひたすら味わうべき作品。

* 【Short Fiction】 * Winner 「青ざめた逍遥」 Palely Loitering クリストファー・プリースト(Christopher Priest) 未入手

* 1981
* 【Novel】 * Winner 『タイムスケープ』 Timescape グレゴリイ・ベンフォード(Gregory Benford) 9点
並行宇宙をテーマにしたハードなSFとしても優秀だが、本作の新しさは「科学者の生活」というものを一つのテーマにとりあげている点である。ベンフォードの提唱したこの「科学者についての小説=新しいSF」論は主流になるに至らなかったものの、80年代以降のSFの活性化に一役買った。

* 【Short Fiction】 * Winner 『いさましいちびのトースター』 The Brave Little Toaster トーマス・M・ディッシュ(Thomas M. Disch) 未入手

* 1982
* 【Novel】 * Winner 『拷問者の影』 The Shadow of the Torturer ジーン・ウルフ(Gene Wolfe) 9点
「新しい太陽の書」4部作の第2巻。緻密で華麗な世界像とプロット、ニヒルでクールなキャラクターたち。80年代前半に一つの潮流となった「サイエンス・ファンタジー」の最高傑作として長く後世に残るべき、金字塔だ。

* 【Short Fiction】 * Winner 『ミサゴの森 -短編版』 Mythago Wood ロバート・ホールドストック(Robert Holdstock) 未入手

* 1983

* 【Novel】 * Winner Helliconia Spring ブライアン・W・オールディス(Brian W. Aldiss)


* 【Short Fiction】 * Winner 「カイトマスター」 Kitemaster キイス・ロバーツ(Keith Roberts)

* 1984

* 【Novel】 * Winner Tik-Tok ジョン・スラデック(John Sladek)


* 【Short Fiction】 * Winner After Images エドワーズ・マルコム(Edwards Malcolm) 未入手

* 1985

* 【Novel】 * Winner 『ミサゴの森』 Mythago Wood ロバート・ホールドストック(Robert Holdstock)


* 【Short Fiction】 * Winner 「征たれざる国 」The Unconquered Country ジェフ・ライマン(Geoff Ryman)
* 1986

* 【Novel】 * Winner Helliconia Winter ブライアン・W・オールディス(Brian W. Aldiss)


* 【Short Fiction】 * Winner Cube Root デイヴィッド・ラングフォード(David Langford)
* 1987

* 【Novel】 * Winner The Ragged Astronauts ボブ・ショウ(Bob Shaw)


* 【Short Fiction】 * Winner Kaeti and the Hangman キース・ロバーツ(Keith Roberts) 未入手

* 1988

* 【Novel】 * Winner Grainne キイス・ロバーツ(Keith Roberts)


* 【Short Fiction】 * Winner Love Sickness ジェフ・ライマン(Geoff Ryman) 未入手

* 1989

* 【Novel】 * Winner Lavondyss ロバート・ホールドストック(Robert Holdstock)


* 【Short Fiction】 * Winner Dark Night in Toyland ボブ・ショウ(Bob Shaw) 未入手

* 1990

* 【Novel】 * Winner 『ピラミッド』 Pyramids テリー・プラチェット(Terry Pratchett)


* 【Short Fiction】 * Winner In Translation リサ・タトル(Lisa Tuttle) 未入手

* 1991

* 【Novel】 * Winner Take Back Plenty コリン・グリーンランド(Colin Greenland)


* 【Short Fiction】 * Winner The Original Dr. Shade キム・ニューマン(Kim Newman) 未入手

* 1992

* 【Novel】 * Winner 『ハイペリオンの没落』The Fall of Hyperion ダン・シモンズ(Dan Simmons)


* 【Short Fiction】 * Winner 「愛は時を超えて」 Bad Timing モリイ・ブラウン(Molly Brown) 未入手

* 1993
* 【Novel】 * Winner 『レッド・マーズ』Red Mars キム・スタンリー・ロビンスン(Kim Stanley Robinson) 7点
90年代SFの一つのブームであった「火星地球化SF」を良くも悪くも代表するのがロビンスンの「火星三部作」である。かなり癖の強い作品で好き嫌いは激しく分かれるが、その緻密なディテールの練り込みと執拗な「変容する火星の生態系」の視覚的描写、エキセントリックな登場人物の心理描写は強烈なインパクトがある。本作はその第1巻。プロットのバランスはやや悪いが、作品としての強烈な個性は否定できない。但し日本誤訳はかなりひどいので印象半減。

* 【Short Fiction】 * Winner 「イノセント」 The Innocents イアン・マクドナルド(Ian McDonald) 未入手

* 1994

* 【Novel】 * Winner Aztec Century クリストファー・エヴァンズ(Christopher Evans)


* 【Short Fiction】 * Winner The Ragthorn ロバート・ホールドストック& ギャリー・キルワース(Robert Holdstock & Garry Kilworth) 未入手

* 1995

* 【Novel】 * Winner 『フィアサム・エンジン』 Feersum Endjinn イアン・バンクス(Iain Banks)


* 【Short Fiction】 * Winner The Double Helix ポール・ディ・フィリポ(Paul Di Filippo) 未入手

* 1996

* 【Novel】 * Winner 『タイム・シップ』 The Time Ships スティーヴン・バクスター(Stephen Baxter)


* 【Short Fiction】 * Winner The Hunger and Ecstasy of Vampires ブライアン・ステイブルフォード(Brian Stableford) 未入手

* 1997

* 【Novel】 * Winner Excession イアン・バンクス(Iain Banks)


* 【Short Fiction】 * Winner A Crab Must Try バリントン・J・ベイリー(Barrington J. Bayley) 未入手

* 1998

* 【Novel】 * Winner The Sparrow メアリ・ドリア・ラッセル(Mary Doria Russell)


* 【Short Fiction】 * Winner War Birds スティーヴン・バクスター(Stephen Baxter) 未入手

* 1999

* 【Novel】 * Winner The Extremes クリストファー・プリースト(Christopher Priest)


* 【Short Fiction】 * Winner La Cenerentola  グウィネス・ジョーンズ(Gwyneth Jones) 未入手

* 2000
* 【Novel】 sky road
* Winner The Sky Road  ケン・マクラウト(Ken MacLeod) 10点
21世紀の新しい潮流は、「洗練された宇宙小説」だが、その流れをくむイギリスSFの新星の一人がこのケン・マクラウト。マイクル・コーニイを思わせる魅力的なキャラクター描写と、古き良きオールド・ウェイブSFを換骨奪胎したような骨太なストーリー展開が、素晴らしいの一言。私がいま最も期待する作家の一人だ。

* 【Short Fiction】 * Winner Hunting the Slarque エリック・ブラウン(Eric Brown) 未入手

* 2001

* 【Novel】 * Winner Ash: A Secret History メアリ・ジェントル(Mary Gentle)


* 【Short Fiction】 * Winner The Suspect Genome ピーター・ハミルトン(Peter F. Hamilton) 未入手

* 2002

* 【Novel】 * Winner Chasm City アレステア・レナルズ(Alastair Reynolds)


* 【Short Fiction】 * Winner "The Children of Winter" エリック・ブラウン(Eric Brown) 未入手

* 2003
* 【Novel】

* The Separation クリストファー・プリースト (Christopher Priest) 未入手


* 【Short Fiction】 * 『コララインとボタンの魔女』Coraline ニール・ゲイマン (Neil Gaiman) 8点
本職はコミック原作者であったが、作家に転身して大ブレイクしたゲイマンの大ヒット児童ファンタジー。ヒューゴー賞とダブル受賞。開かずの間の向こうに鏡像世界があり、もう一人のパパとママが・・・という昔懐かしい児童文学の基本パターンを押さえつつ、ゲイマン独特のグロテスクでユーモラスなキャラクターたちの繰り広げる奇妙な物語は読む者の心をとらえる。才能は否定のしようがない。映画化の噂もある。
記事メニュー
目安箱バナー