SF百科図鑑 Parable of the Talentsオクティヴィア・E・バトラー(Octavia E. Butler) 済


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Parable of the Talentsオクティヴィア・E・バトラー(OctaviaE. Butler) 済
タレントの寓話
女流黒人SF作家バトラー初の長編受賞。Parable oftheSowerに続く寓話の書第二弾である。人類を世代宇宙船に導く新興宗教「アースシード」女教祖のオラミナの日記を、娘のラーキンがコメントを加えながら編集する形でその一生を描き出す。しっかりしたリアリティと説得力のある教義内容、クリスチャンアメリカなる既存宗教との対立がもたらす政治絵巻と圧制と虐待、フェミニズム黒人作家の面目躍如たる暴力と虐待と抵抗の迫力ある描写、生き別れ宗教的にも反目する姉と弟、母と娘の確執と再会と微妙な心理のゆれや愛憎劇、紆余曲折を経てアースシードが一大ブレイクをし、世代宇宙船発進へと至るラストのカタルシスと、読みどころ満載のパワフルな一編である。[未訳、8点]


<以下、読んでいたときの日記>

2003年

5/29
現在、Parable of the Talents
タレントの寓話(但し私が持っている本の表紙とは違っているが、見つからなかったので廉価版ペーパーバックの表紙画像で代用します)と
「言の葉の樹」
telling
を併読中だが、パラブルの方が面白いな。前作を読んでるから話の流れがわかりやすいせいもあるけど。4章が終わって5章に入ったところ。娘が母の思い出を振り返りながら、エイコーンに定住してからのアースシード教の勃興過程を、様々な引用の形で描いていく凝った構成。このアースシード教ってのがいいね。神とは変化なり。熱力学の第2法則、相対性理論etcなり、という教義だから、科学法則/真理=神、変化こそ宇宙の真理だから、変化を捉え、コントロールし、宇宙に種をばらまけ! というユニークな宗教だ。描かれる宗教の教義自体が科学そのものなのが究極の科学小説! って感じだ。
対して「言葉」のほうは日本語にもかかわらずこ難しい。いや日本語だからかな。小尾ふさの訳文は結構読みにくい。「闇の左手」なんかはすごくいい訳文だったけど、もう年なのかな? もろ文化人類学SF。闇の左手とか所有せざるなんかと同じで、ユートピア探求がテーマといってよいと思うが、20年前の作品群のような図式化し易い明快さがなくなって、複雑なのか曖昧なのか分からないとらえどころのなさが漂う。一言で言ってしまうと、「地味すぎんじゃないの?」玄人受けはするからローカス賞はとったけど、この地味さじゃヒューゴー賞は無理だったのも分かる。ネビュラ賞は今さら、だしね(最近は新人優先の傾向が明らかにあるし)。

5/31~6/1
中京記念--ダイタクフラッグあぼ~ん。
ダービー--マイネルソロモンあぼ~ん。
あか~ん。

ルグィン「言の葉の樹」つまらんかった。2点。

6/2
ストラウブ「シャドウランド」にとりかかる。
シャドウランド
並行して読んでいるパラブル、100ページ前後で足踏み。がんがらねば。

6/3
ヒューゴー、ネビュラのページを大幅更新しますた。
今日はカレーを3連食しますた。

6/4
今日は「タレントの寓話」を少し読んで訳しますた。
近日公開。
弟マークと開し、アースシードについて語るシーン。
そろそろ、このシリーズの売りである波乱万丈の残虐シーンが始まるか?(笑
ヒューゴーネビュラの書評もぼちぼち更新すますま。


6/7
自宅に引きこもって競馬。全敗。
すさんでる。

6/8
とにかくきつい。今起きた。もう11時。倦怠感。安田記念、ダイタクフラッグ、グラスステージの後、仕事予定。(中略)タレントの寓話
ParableofTheTalents、夕べベッドで横になって読んだが、数ページで疲労のため眠り込んでしまった。なかなか進まなくて残念。内容は面白いんだけど、仕事と体調の問題。今日中に100ページぐらいは読まないと、生涯に読める本の冊数がまた減ってしまうのでまずいのだが。ともあれ、今まで断片的に作っていた仮訳&単語ファイルから訳の部分だけを抜き出して、ネビュラ賞ページからのリンクページに張り付けておいたので、これで勘弁して下さい。
愛知杯はダイタクフラッグからいきます。駄目でもしょうがないと思ってます。

6/9
ParableoftheTalents、寸暇を惜しんで読み進む。仕事は意外に多忙なときほど、どういうわけか読む方もはかどるから不思議。といってもあまりページ数はこなせないんだけどね。仕事の圧迫から逃れたいという本能が、集中力を高めるのかもね。逆に一番はかどらないのは、多忙でなくて、ただ仕事上の悩みごとだけがあるようなとき。多忙で悩んでるときは考える暇もないから、集中力は阻害されないのだが、忙しくもないのに悩みごとのあるときは、時間はあるのに悩みごとが頭を離れなくて集中ができない。不思議なものだ。
で、姉妹を探しに出かけたメンバーがドングリ村に帰ってきたはよいが、医療道具の不備で結局死んでしまった。姉妹のうち一人は何とか生き延びたが・・・。これがきっかけとなって、主人公オラミナの夫(医師)は、ハルステッドへの移住を強く薦めるもオラミナの意志は固い。この先、また破滅の予感が・・・。前作で村皆殺しをやってのけた作者のこと、今度はどんな残虐シーンが繰り広げられるのであろうか、怖いような、楽しみ(おいおい)なような。

6/10
Parable of the Talents続き
きたよきたよ、ジャレット政権下のクリスチャンどもがドングリ村征服! 首に環をつけられて奴隷扱い。レイプされるわ、強制労働させられるわ、逆らうやつは殺されるわ。子供は略奪されて養子に出された。書物は全部捨てられた。バトラーのお約束ですな。男と女は分けられ、女の中にはレズに走るやつもいる(密告されて拷問でひとり死ぬ)。旦那は最初に心臓発作で死んだ(首輪で)。
大雨で丘が崩れて、首輪のメインの装置のおいてある小屋が埋まったせいで首輪が機能しなくなり、反乱成功、というところまで読んだ。
このへん、ちょっとやり過ぎという気もするが(笑
230ページまで来た。頑張れば1日50ページはいけそうだ。

6/11
ふひぃ、残業で帰宅は12時半だった。
明日も早い。今日はもう寝ます。ていうか既に夜中の1時過ぎだ。やばいよ。
Parable of the Talents続き
朝、ちょっと読んで現在242ページ。
14章読み終わった。金目のものと、子供の指紋足紋、書き物等を秘密の小屋から抜き出して、キャンプを燃やして出発。次は子供探し。
15章ちょっと。養親の下で育ったオラミナの娘の自伝が最初に少し。その後オラミナのジャーナルに戻る。
今から寝ながら264ページまではいきたい。

6/12
きつい。きつい。きつい。
ふひぃ~。
目がおかしい。脂汗。
Parable of the Talents、数ページしか読めなかったっす。
何か、キャンプから抜け出し、バラバラに行動して子供を探すことになったんだけど。オラミナは他三人のメンバーと一緒に、働きながらわが子を探すことになった。
今日、明日で読み終わりたいんだが・・・けっこう、体にガタがきてる。年だね。年を感じるね。頑張ると朝が辛いんだよ・・・風呂入る気にならないからね。もう三日入っていない。木曜、金曜の未入浴率結構高いし。やっぱ疲れてるときは。清原、動きが鈍い。

6/13
(略)

Parable of the Talents。
17章まで読了。つまり276ページ。残り100ページまで来た。
この作者の特徴として、クライマックスを早めに持ってき過ぎるために後半がやや冗長になってしまう傾向がある。本作の一つのクライマックスは、クリスチャンアメリカの過激派連中がアースシードのメンバーを拉致り、無線で首を絞める首輪をはめて虐待するところから、大雨で首輪のメインコントローラが壊れたのをきっかけに大反乱を起こすところまでが挙げられるが、その後やや低調な感じ。アースシードのメンバーがバラバラになって子供を探し始めて以後今までは結構かったるい。
第17章、Olamina went back to one of the cashes. Then she went totheCAcenter and found Marc (her brother) preaching. She sent a message tohimwhichsaid he should come to see herthenextday. ということで、18章に突入なのだ。何か予想のついた展開だが・・・マークとオラミナの対決? 和解? 何かマークは死ぬような気がする。気がするだけだけど。
毎朝鏡の中で田代まさし。

6/14
(略)
Parable of the Talents続き
危惧した通り、後半の展開が煮え切らない。かなりフェミニズム色、「奴隷解放」色が強くなってきた。作者が黒人女性作家であるがゆえの展開であるが、ちょっと類型化し過ぎな感じがする。マイノリティに対する暴行、抑圧に対する怒りを描きたいのは分かるが、やや誇張が過ぎて、ストーリーの楽しみを阻害している感じ。どうせやるなら、ねちねちでなく、中盤の展開のように思い切り過激にして欲しい。
18章
オラミナはマークに会い、娘を探すのを手伝って欲しいと頼む。だが、彼女が過去の出来事、すなわちドングリ村がクリスチャンアメリカの過激派である「救済者」に襲撃され奴隷キャンプ化されたこと、逃げるために彼らを殺害したことを語るや、彼は激怒し、オラミナを殴って立ち去る。オラミナはその後、マークから謝罪及び自分は別の町へ立ち去るがオラミナが希望すればこの町に彼女の住居を用意するとの内容のメッセージを受け取る。これを拒絶し、宿に戻る途中2人の暴漢に襲われ、間一髪で倒す。彼女はまだマ-クが娘を探すのを助けてくれると信じている。だが、彼はクリスチャンアメリカの暴力的な面を認めたがらない。彼は、オラミナが「クリスチャンアメリカ」に改宗すれば娘はすぐに見つかるとメッセージを残す。しかし、彼女はアースシードを捨てる気が毛頭ない。
19章
冒頭、娘の手記。
彼女は「ドリーマスク」(夢マスクといって、夢の中でドラマを楽しむ装置)の既存作に飽き足らず自分でシナリオを書く。同級生に見つかり、キリスト教への冒涜的な内容として仕置きをされる。彼女は母に似て体格よく育ち、ある日同級生を軽く殴ったら顎の骨が折れるほどになった。育ての父は彼女をかばってくれる一方、性的な目で見るようになり胸を揉んだり、風呂や着替えを覗いたりするようになった。彼女は嫌気がさし、ある日逃げ出す決意をする。名犬イチロー。

6/15
Parable of the Talents読了。
題名のtalentというのは「才能」ではなく、聖書の教訓話からとられていることがエピローグでやっと判明。talentというのは古代の貨幣のことだそうだ。タラントと一般に訳されている。神が3人の奴隷に貨幣を数枚ずつ配り管理をさせる。2人は運用して倍にするが、1人は埋めて隠しておいた。神が戻ってきて、倍にした2人には褒美を与えるが、埋めていた1人からはその1枚を奪い取り、一番たくさん稼いだ奴隷に渡す。働かざる者食うべからず的な教訓。
この小説がこの教訓話の寓話になっているとすると、さしずめ、「安穏たる死後の世界など約束されていない。ただ、宇宙に種を蒔くという目的を達成するためにひたすら働け、努力せよ」というアースシード教が、「頑張ってタラントを倍にした奴隷」であり、他方、ただ他力本願で死後天国に行くのを願うだけのクリスチャンアメリカ教が、ただタラントを埋めて隠していた奴隷にあたるだろうか。
で、それはともかく本作の評価。一言でいえば、「宇宙を目指す強い女の太腕一代記」といった感じだが、弟や娘との確執がうまくからみあって、ドラマティックな効果を上げているのと、アースシード教の教義内容が実によく考えられていて説得力のある点、情け容赦ない弾圧と暴力の描写の迫力などは特筆に値する。
この作者の他の作品もそうであるように、ややプロットに弱点があり、本作も「救済者」弾圧からの解放事件以後、ストーリーがやや平板になりかけるし、展開がいささか強引で御都合主義な部分があるのと、男性による女性抑圧の設定がところどころやや図式的になり過ぎる部分がある。しかし、そういった欠点を考慮しても、終盤のオラミナ=アースシード教がブレイクしてから、娘との再会、マークが娘のことを隠していた動機(マークは姉を愛していたが、思想/宗教的に相容れなかったことによる心の渇きを、よく似た娘に投影していたのではないだろうか?)などに筆の及ぶラストまでの流れはドラマティックで素晴らしい。
そして、ラストにおいてアースシードは第一弾の世代宇宙船を送りだす。やっぱりSF! このカタルシス。これこそSFを読む快楽だ。
終盤のカタルシスとドラマ性の高さで、若干のプロットの弱さと中だるみを相殺し、点数としては8点とさせていただく。
もし出るのなら、続編を読みたい。その男、ヤル気に飢えている。
<長篇>
時だけが敵(1983年ネビュラ賞)
ブルー・マーズ(1997年ヒューゴ-賞)
ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2001年ヒューゴ-賞)

<中編、短編>
マーキー(1992年ネビュラ短編賞)
真実の都市(1993年ネビュラノウ゛ェラ賞)
マーブル・アーチの風(2000年ヒューゴーノウ゛ェラ賞)
究極の地球、ミレニアムベビー(2001年ヒューゴーノウ゛ェラ、中編賞)
女神たち、お父さんの世界(2001年ネビュラノウ゛ェラ、中編賞)
フェアモント高地に速く流れる時間、犬がワンワンと言った(2002年ヒューゴーノウ゛ェラ、中編、短編賞)
万能治療薬(2002年ネビュラ中編、短編賞)
いきもの(2003年ネビュラ短編賞)
ブロンテの卵(2003年ネビュラ長中編賞)
残るは長編3、中短編12。次は「時だけが敵」だな。