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安部公房『石の眼』新潮文庫

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October 29, 2005

安部公房『石の眼』新潮文庫

文庫になっている安部長編最後の1冊。
出来の悪い社会派推理小説で、つまらなかった。
巻末解説によると『砂の女』で大ブレイクする直前の試行錯誤の作品らしい。手抜きダム工事によるダムの欠陥をめぐる住民や関係者の確執に、男女の私情などもからみ、置き石による転倒やオートバイ事故などをめぐり、殺人者が命を狙っていると疑い、人々は疑心暗鬼になり推理合戦を展開する。公共事業に絡んで、欲や感情におぼれる人間たちの醜さ、滑稽さ、むなしさを描いているが、ミステリ手法に気を取られて深みを欠いている上に、ミステリとしても中途半端な愚作であるため、面白くない。公共事業(ダム工事)批判というテーマも古すぎて陳腐に見える。失敗作といってよいだろう。
テーマ性  ★★★
奇想性   ─
物語性   ★
一般性   ★★★★
平均    2
文体    ★★
意外な結末 ★
感情移入  ★
主観評価  ★(12/50)

最近、本を読んでも、素直に楽しめることが少なくなった。読書に関するネット掲示板などを見ると、貶すことが自分が優れていることの証明になると勘違いしている人が多いように思うが、これは誤りで、貶すことは同時に、自分が老化し、物事を楽しむ能力、才能を喪失していることを公に示すと言うことである。わたしも今この作品を貶すことによって、他の優秀な『楽しみ能力』を持つ人であれば巧みに楽しんで読むであろうこの作品の魅力を理解する能力を欠いているという、己の老醜、加齢臭をさらしているに過ぎないのである。
あらゆる物事から楽しめる要素を瞬時に抽出し最大限に楽しむというのは、才能であり、能力である。それには知能を必要とする。人間は最も知能の高い若年時にこの能力に関してはピークを迎え、知識や経験量の蓄積と反比例して知能が劣化する<加齢の過程>の進行につれて、この能力が減退する(食べ物がおいしくなくなったり、セックスが楽しくなくなったりすることに喩えると分かりやすいだろう)。本来、人はその病の進行を食い止めるよう努力すべきであるが、某掲示板住人のように、「楽しまずに貶すこと」が知性の証であると勘違いすると大変なことになるので、注意しなければならない。
silvering at 13:54 │Comments(4)読書

この記事へのコメント

1. Posted by SLG   October 29, 2005 15:38
投票内容
件数 場名 レース 式別 馬組 金額
(1) 京都(土) 11R 3連複 軸2頭ながし 軸馬:04-07
相手:08,10

各100円(計200円)
合計 200円

東京11、アジュディミツオー単勝

明日天皇賞
◎タップダンスシチー
○アサクサデンエン
▲ストーミーカフェ
注リンカーン
△ゼンノロブロイ スズカマンボ スイープトウショウ サンライズペガサス ハーツクライ
2. Posted by SLG   October 30, 2005 15:06
天皇賞購入。
投票内容
件数 場名 レース 式別 馬組 金額
(1) 東京(日) 10R 馬 連 ながし 軸馬:06
相手:02,03,05,11,16,18
各100円(計600円)
合計 600円

タップダンスシチーから人気薄有力馬に流し。スズカマンボ リンカーン アサクサデンエン ストーミーカフェ サンライズペガサス バランスオブゲーム
ゼンノロブロイは人気過ぎるので外した。きたら諦める。
3. Posted by slg   October 30, 2005 16:10
はぁ? ヘヴンリーロマンス? まじかい&&
札幌記念なんて低レベルだと思ってたのに&&
しかし、外が全然伸びないな。
この展開・馬場で完敗のタップはもう引退だな。
4. Posted by 手下   October 30, 2005 21:33
つまんないものはつまんないと思うが、別の人が巧みに楽しめたと分かっているんならそいつに素直に教わったらどうだろう。
安部公房は少年期に何か読んで今でも家にあると思うがつまらんかった記憶しかない。
そんなの読んでる暇があったらフランス書院の「新任美教師・小泉麗 放課後の三年M組」読め。
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