SF百科図鑑 マイクル・ムアコック『永遠のチャンピオン』


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2. Posted by slg   October 02, 2005 14:26
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マイクル・ムアコック『永遠のチャンピオン』
エレコーゼサーガその1
これは凄い、強烈なアンチ人類、アンチヒーロー、反戦小説だ。未来とも別次元とも知れぬ世界に呼び出されたジョン・テイカーはこの世界では伝説の英雄エレコーゼだった。彼は人類の仇敵エルドレンを皆殺しにするため戦うが、エルドレンが人類とは見違えるほどに美しく平和的な種族であることを知り、その王の妹に惚れる。にもかかわらず、かれは人類の王女の許嫁に偽りの愛を語り、その望みに従いエルドレン皆殺し計画を実践。最後の最後で和平案を人類の王女(既に女王)に進言し裏切り者として国を追われ、エルドレン側に寝返り、核兵器を思わせる最終古代兵器で人類を滅亡させる。
3. Posted by slg   October 02, 2005 14:27
彼は夢の中でムアコック作品の様々なシリーズの主人公(エルリック、ジェリー・コーネリアスなど)であった記憶がある。そして、歴史は円環状であり永遠に繰り返し、その中で彼は正体不明の何者かに操られて永遠に生き続け、死ぬことも許されず、永遠悪たる人類の象徴のように永遠に正義と称した不義と邪悪の戦いと殺戮を自らの意志にかかわりなく続けさせられる。
4. Posted by slg   October 02, 2005 14:27
設定、導入部などは明らかにバロウズの火星シリーズを意識していると思われるが、その後の展開が対象的で凄まじい。執筆時期(1970年)が時期だけに、作中にベトナム戦争への言及もあり、人類は死を忘れるために戦争を行うというトルストイの引用などもある。ヒトラーを軽く凌駕する両種族ジェノサイドの実行者にして人類の裏切り者、人類を絶滅させた主犯という究極の殺人鬼が主人公の「英雄」であり、そして自らの意志にかかわらず何かの宿命に操られている悲劇的な魅力的な人物であるという強烈なシニシズムが凄すぎる。
名作だ。
テーマ性  ★★★★★
奇想性   ★★
物語性   ★★★★★
一般性   ★★★★★
平均    4.25
文体    ★★★★
意外な結末 ★★★★
感情移入力 ★★★★★
主観評価  ★★★★(40/50)