SF百科図鑑 アンナ・カヴァン『ジュリアとバズーカ』サンリオSF文庫


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September 19, 2005

アンナ・カヴァン『ジュリアとバズーカ』サンリオSF文庫

『氷』作者の短編集
SFじゃないじゃん。
覚せい剤中毒の神経症者の妄想スケッチ集といった趣の幻覚的短編集。強烈な厭人病、外界への恐怖と劣等感、死・静寂・消滅への願望が全編に満ち溢れている。作者がリアルシャブ中だっただけに、リアリティとインパクトは圧倒的だ。ストーリーに物語的な脈絡がないのも逆にインパクトを増している。
こういう本は作品ごとに評価をしても意味がないので全体として評価する。
収録作品
以前の住所(精神病院から退院し外に出た女性が恐怖のあまり逃げ帰る)
ある訪問(豹の訪問を妄想する)
霧(離人状態になって人をひき殺すが、自覚のない女性の話)
実験(不倫をした女の離人症が悪化し、男との不倫をやめる)
英雄たちの世界(レースに熱狂した過去を振り返る女性)
メルセデス(男が車に乗って去ってしまう)
クラリータ(自分を罵倒する活動的な女クラリータを追ってパーティに行った女がクラリータに食われる)
はるか離れて(学校生活になじめない娘が双子の妹を妄想)
今と昔(画家の男と結婚するがこの男が自堕落になってしまう)
山の上高く(離人症の女が山の上に車を運転し対向車を崖から落とす)
失われたものの間で(宇宙に思いをはせる女が性別を超え人間ではないものになり、存在すら失う)
縞馬(自殺未遂を繰り返した女が振り返る年上の死んだ恋人の話)
タウン・ガーデン(庭付き家に住んで嫉妬される人嫌いの女)
取り憑かれて(死んだ恋人の幽霊が現れる)
ジュリアとバズーカ(覚せい剤の注射器を離さなかった女が死に、火葬され、存在がなくなる)

テーマ性   ★★★★
奇想性    ★★★★
物語性    ★
一般性    ★★
平均     2.75
文体     ★★★★★
意外な結末  ★★
感情移入力  ★★★★
主観評価   ★★★1/2(35/50)
silvering at 00:17 │Comments(0)読書