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マーガレット・アトウッド『侍女の物語』ハヤカワepi文庫

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September 15, 2005

マーガレット・アトウッド『侍女の物語』ハヤカワepi文庫

クラーク賞、カナダ総督文学賞受賞
ディストピアもの。キリスト教原理主義者の革命で、女性の財産所有が禁止され、女性は生殖の道具として男性の所有物となり、<司令官>の侍女として仕えているという暗黒の未来を、当の女性の視点から極めて主観的な一人称のスタイルで克明に描写した強烈な作品。デフォルメされてはいるが、解説者も述べているとおりこれはむしろ過去の現実の女性の地位を描出したものであろう。同種のフェミニズム作品はたくさんあるが、観念的であったり、戦闘的であったりして、実際のインパクトという点では上滑りしている作品が圧倒的に多い中、本書の心理描写は極めて克明で迫力があるし、造形されている世界像も具体的でリアリティがある。
ただ、とにかくとことん陰鬱な作品なので、読んだあと気が晴れない。

テーマ性  ★★★★★
奇想性   ★
物語性   ★★★
一般性   ★★★★
平均    3.25
文体    ★★★★
意外な結末 ★
感情移入  ★★★★
主観評価  ★★1/2(28/50)
silvering at 02:12 │Comments(0)読書
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