SF百科図鑑 ケン・グリムウッド『リプレイ』新潮文庫


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August 12, 2005

ケン・グリムウッド『リプレイ』新潮文庫

世界幻想文学大賞
途中まで冗長で退屈したが、切ない終盤の展開と、メッセージ性の高いラストは、ベタベタではあるが、素直にいいと思った。
主人公の男(テレビ局員)が不和の妻と電話で争っている最中、心臓発作で死んだ&&と思いきや、学生時代の自分の中に蘇る。かれは自分の記憶に従いギャンブルや投資で金儲けをし、違った人生を歩む。ところが再び同じ時点で死んでしまい、前に蘇ったのよりも少しあとの時点で蘇る。こうして自分の人生を何度も<リプレイ>しながら、さまざまな違った人生を試す。ところが蘇る時点が次第に遅くなり、遅れの幅がだんだん大きくなり、リプレイの期間が短くなってゆく。途中で、同様のリプレイ体験をしている女性と知り合い、恋仲になるが、この女性のリプレイ期間は主人公よりも速いペースで短くなりつつあった。ふたりは力をあわせて世界をよい方向に変えようとするが、ある悲劇を止めて歴史の流れを変えても別の悲劇が起こり、決して世界は思った方向によくはならなかった。そして、次第に蘇りの時点と死の時点とか近づいてゆく&&。二人を待っているのは永久死なのだろうか? という話。
前半から中盤にかけての細々した生活描写や、過去の事物のノスタルジックな描写、余計なエピソードが多く、非常に冗長に感じる。「よくありがちな陳腐な願望充足ファンタジーか」という印象だったが、「次第に蘇り時点が遅れていく」という仕掛けをうまく使った後半の展開は、見事だと思う。気恥ずかしくなるような王道のメッセージ性を込めたラストも、何か許せてしまう。
しかし、北村薫の『リピート』だっけ? 読んでないけど、完全にこれのパクリじゃないの? ちょっと本屋で調べてくるか。
テーマ性 ★★★★
奇想性  ★★
物語性  ★★★
一般性  ★★★
平均   3
文体   ★★
意外な結末★★
感情移入力★★★★
主観評価 ★★1/2(27/50)

silvering at 15:26 │Comments(1)読書

この記事へのコメント

1. Posted by slg   August 12, 2005 15:49
違った、リピートは乾くるみだった。
北村薫はリセット、ターン、スキップ。
いずれも脳内時間旅行話という点ではリプレイと同じ。
しかし、設定は微妙に変えていたり、新要素を付け加えていたりするようだから、盗作とはいえないか。むしろSFでよくあるように、共有するに足る大きな新アイデアを利用した派生バリエーションということで、セーフ。題名からも、リプレイを意識しているのは明らかだし。まあ先方が国内作家じゃない分、許されている部分もあるだろうな。