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C・S・ルイス『サルカンドラ かの忌わしき砦』ちくま文庫

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August 09, 2005

C・S・ルイス『サルカンドラ かの忌わしき砦』ちくま文庫

別世界物語3(完結編)
いやあ、見違えるように面白かった。前2作と違い、舞台が地球。天上界の神々が、邪神に支配された地球を舞台に最後の解放の戦いを繰り広げる。悪の使者となるのは暗黒の国営科学者集団NICE、これを討つ神々の代理人は、かのランサム。蘇った伝説の魔法使いマーリンを味方につけ、囚われの動物たちを解放し、邪悪な人間たちを食い殺す。逃げ惑う首謀者たちはそれぞれ抹殺される。NICEによって引き裂かれた社会学者の夫と予知夢能力を持つ妻は、この戦いを経て夫婦の倦怠期を乗り越える。
とにかく、対立構造が明確で、これに従って一貫してたるみなくストーリーが展開するうえに、地球上の現実社会を舞台にしているせいか、圧倒的なリアリティがある。人物描写も多彩で厚みがある。マーリンや動物たちのユーモラスな描写も彩りを添える。前半のミステリアスな筆致から中断のネタバレ、後半のアクションへという流れも見事。
同じ作者の手になるとは思えないぐらい、出来がいい。
テーマ性 ★★★★★
奇想性  ★★★★
物語性  ★★★★★
一般性  ★★
平均   4
文体   ★★★★
意外な結末★★
感情移入力★★★
主観評価 ★★★1/2(36/50)
silvering at 22:00 │Comments(0)読書
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