SF百科図鑑

Brian Stableford "The Walking Shadow"

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April 28, 2005

Brian Stableford "The Walking Shadow"

歩く影プリングル100冊も残り10数冊となった。ステイブルフォードの「歩く影」。

感想・粗筋2005.5.1


究極の進化SF。お決まりの言い方をさせてもらえば、ステイブルフォード版『幼年期の終り』。
ステイブルフォードは、前に読んだ『吸血鬼の飢えと恍惚』も進化テーマSFであったが、本作はそれよりも一回りもふた回りもスケールが大きい。とうとう最後には、人類最後のアダムとイブが、上位次元に旅立ち新たなレベルにおける人類の第一歩を踏み出すことを暗示して終わる。ちょうど最近読んだワトスン『奇跡の客』、ボブ・ショウ『永遠の宮殿』がいずれも同様の進化テーマSFであり、この宇宙内の物理的実体を超越した存在への進化を扱っているのと重なるが、次元を超越している点ではワトスンの『奇跡の客』に勝るとも劣らぬスケールの大きさであり、経過する時間が十億年を越えついには宇宙の全時間を経過させてしまうという点では、時間的スケールで他の二作に圧倒的に水をあけている。ステープルドンよりも凄い。バクスターの『タイム・シップ』とイマジネーション的には似ているようにも思えるが、遥かにこちらのほうがスケールが大きい。
だが、本作は小説としてみると残念ながら欠点が多い。アイデアの物凄さに長編小説の物語的技法がついていっていないのだ。
主人公のポール・ハイゼンベルグは、自らの身に突然起こった「時間跳躍現象」をただ流されるままに体験し続けるだけで、何らの行動もしない。挙げ句の果ては別の登場人物にその旨指摘されるわけであるが、たとえ意図的にこのような無行動の態度をとらせたのだとしても、読む側としてはかなり忍耐を強いられ欲求不満になることは否めない。驚くべきスケールで展開する後半こそ、たとえ無行動でも膨大な時間の経過に伴う地球の景観の恐るべき変貌ぶりと、時間跳躍中の「夢の中」の空間のめくるめくヴィジョンで飽きさせないものの、まともなプロットがあるとはとてもいえない前半は、かなりつらい。
また、作品のテーマ上、ここの登場人物は主人公とレベッカ以外は取替え可能な駒にすぎないとはいえ、無駄なキャラクターが脈絡なく出てきて、何のために出てきたのか分からないまま消えてしまうというのもけっこう多い(特に前半)。
更に、本作のアイデアは「奇想」としかいいようのないものであるから、理解させるためには早い段階でかなりうまく説明する必要があるのだが、この説明が断片的で要領が悪く、かなりのページ数を費やしてメリハリ無く説明がなされるために読者がなかなか設定を理解できず、そちらに気をそがれて物語展開に注意を振り向けにくい冒頭部分も問題だろう。
後半の核となる「レベッカとの愛」の要素も、これだけ重要なのであれば前半の伏線をしっかり書く必要があるはずだが、主人公とレベッカの出会いは単なる偶然である上、それほど運命的な出会いという描写も無く、後半の展開を納得させるだけの厚い絆が二人の間に生まれたことを読者に気づかせるような描写があるとはいえないのも問題である。
更に、メタサイエンスの教団の発生過程や、米国政府との対立の歴史も、もう少し具体的に説得力を持って肉付けをしないと、読者に信頼感を与えられない。機械人やラー人の造型もやや粗雑な感じがする。
こういった諸点から手放しで推奨できる作品ではないのだが、しかし、この作品の後半の展開は凄すぎる。また、生命形態の三分類というアイデアも、生物学的観点から信憑性のあるアプローチがなされていて、見事である。第三形態の「ガイア」が「知性を持たない悪」、一種の「退化」として位置づけられているのもユニークである。
テーマ性  ★★★★
奇想性   ★★★★★
物語性   ★
一般性   ─
平均     2.5
文体     ★★
意外な結末★★★★★
感情移入力★
主観評価 ★★★(30/50点)

<粗筋メモ>

歩く影 ブライアン・ステイブルフォード

ポーカー教室の学友、わけてもティナと、キャロルと、ジョンと、イアンと、ポールに

世界の偉大な時代が再び始まり、
黄金の年代が蘇り、
大地は蛇のごとく衣を替え、
冬草は生え替わる:
天は微笑み、信仰と帝国は輝く、
消え行く夢の残滓のごとく (シェリー)

第一部 夜の建築

スタジアムでは、聖ポール・ハイゼンベルグの演説が始まろうとしていた。八万人の観衆が集まっていた。
ジョセフ・ハードマンは、スタジアムの経営者と話していた。経営者は、聖ポールも今でこそ偶像視されているが数年後にはいなくなっている、という。そして、「はりつけのシナリオはもう書いたのか?」ときいた。ハードマンは、それはポール自身が書いていると答えた。
経営者が出ていった。
外ではポールが演説を始めた。


アダム・ウィスハートは聖ポールの演出担当だった。あらゆるサブリミナルテクニックを利用して、ポールのカリスマ性を高めるのだ。
そしてポールのカリスマ性に不可欠なのは、メタ科学的な奇跡である。
現代の人々はもはや「科学」の不確実性に満足しない。それを越える「メタ科学」のスペキュレーションをこそ必要とする。
メタ科学はメタフィジックスとは違う。それは生物学、社会科学なども含めた科学一般のメタ、上位構造のスペキュレーションを目指すものである。

第2部 世界の座礁

男は目の粗い岩や根太の上を這い、足を引きずって歩いていた。強い風が砂を巻き上げて顔に叩きつけ、体に巻きつけ、身を刺した。男はとても長い間這っていたため、疲労のあまり身動き一つすら困難なほどだった。
風の中と後ろには別の力が働いていた。男の中の何かを引っ張る緩慢だが容赦ない力。
男は過酷な自然とあらがいながら進みつづけ、ついに世界は、男を吐きだす。


シーハンは20歳年上の警官、ブールトンを出迎えた。彼らは台座の上に横たわる聖ポールの周辺警備を行っていた。みわまり中、異変に気付いたシーハンは非常連絡をする。侵入者だった。
***
マスクの男に殴られて気絶したシーハンは、再び意識を取り戻し、仮面の男を追う。ブールトンは気絶して倒れていた。仮面の男はバーを引きぬいて構えた。そのとき救援のサイレンの音が聞こえたが、シーハンは再び顔面を殴られ気絶する。


ウィスハートは奇妙なハム音の電話を受け取る。中性的な声が、「ポールは目覚めた」と告げた。そして、スタジアムの警官が助けを呼んだこと、車をよこすのですぐ逃げることを告げた。
(127年か)と彼は思った。(世界記録だ)
ウィスハートの記録は108年だった。最後にポールを見てから19歳年をとっており、既に70を越えていた。ポールの帰還を見ないまま死ぬのではと危惧していたが、何とか間に合った。
だがこの電話はなんだろう。警察の部隊(ディールの警備員)が発動する前に逃げろと言っていたがなぜだ。
ウィスハートは逃げながら考えた。ついに預言者ポールが復活した。この40年と言うもの教団が予告していた通りだ。多くの大衆がこの腐敗した時代を乗りきる「不可能」をポールに期待していた。そしてこの大衆の支持がなければ教団はディールとリンデンバウムによる弾圧から逃れられない。
127年と言う時間が預言者・潜在的救済者であるポール・ハイゼンベルグに付け加えられた。アダム・ウィスハートが正しく操作すれば、ポールは世界を受け継ぐべき立場にあるのだ。


ポールは誰かに車で隠れ家まで運ばれる。女が彼を出迎えた。運転手は明日迎えに来ると言って帰った。


マーカンゲロ大統領はディールとポールの復活について話していた。
米国では内戦がおき、東海岸と南西部は壊滅、疫病流行、緩やかな衰退が始まった。ポール・ハイゼンベルグは、「定常化」現象によって時を偶然に超えた最初の人物として、時間超越者達の偶像になった。疫病や放射能汚染で死を間近に控えた人々は、次々と「定常化」し銀色の像になって時を超えようとした。
今やこのポールのカリスマ性への人々の信望のみが経済の停滞を防ぐ道であることをマーカンゲロは認識し、ディールにそう言った。
彼らはまた、ウィズハートの電話を盗聴していたが、そおへポール復活の際にスクランブルにより内容不明の連絡電話が入ったことから、何者かがあらかじめポール復活を知って手を回したことは確実だが、それが誰かはわからない、と話した。


ポールはレベッカというこの女から、自分が目覚めるまでの状況をきく。今は2119年である。時間跳躍者が最初に「定常状態」から抜けたのは2035年だったらしい。ポール自身は2020年から2030年代に定常状態に入っていた。ポールはあまり多くを女に話さないよう言われていたが、名前はポールと答えた。女は救世主聖ポールの話をしたが、一致に気付いてはいないようだった。ここは大学の寮で五人の学生が住んでおり、唯一の大学に通っており、農業科学を学んでいること、卒業後の進路は聖ポールの活躍次第で決まることなどを語る。そこではっとしたレベッカは、ポールのファミリーネームをきいた。


リンデンバウムは謎の電話を受け、ディールやマーカンジェロらと協議する。この電話はなんなのか? やつらはどうやってポール復活を予知したのか? ディールは大学に電話する。


ポールの正体を知ったレベッカは、ムーブメントの連中に連絡をとってかくまおうとロニーにもちかける。だがレベッカは送ってきた男が明朝迎えにくるといっていたのを思いだす。ロニーは迷った上、外に電話をかけに行く。が、途中、パトカーの注意を引いてしまった。逃げ出して寮に戻ったロニーは、レベッカとポールがいなくなっていることを知った。


リンデンバウムはディールとポールを略取したのが何ものか話す。ウィスハートが謎の電話を受けていた以上、ウィスハートの一派ではなかろう。またムーブメントの連中ならディールが気付いているはずだ。なら誰だ。オーストラリア人か? 共産圏? 宇宙人? 見つかったら知らせよ、とディールに言う。

10
逃げ出したポールとレベッカは廃バスの影に隠れていたが、そこへ追っ手が近づいてきた。

11
ウィズハートは謎の電話を受けた。ポールが拉致され病院に収容されたこと、宇宙船が近づいていることを告げた。自分は地球を助けたいという。お前は人間ではないのかときくと肯定した。

12
拉致されたポールは大統領補佐のマーカンジェロと話す。彼によると、ポールに起こった出来事(銀の彫像化、生理機能の停止、時間跳躍)は、当初奇跡と思われたが、次第に、時間が停止するのでなく進行が緩慢になるだけであり、一種のタイムトラベルであるらしいと考えられ始めた。人々は同じ状態に自分も入ろうとして祈りなどの様々な手法を試みた。教団の実権は、後から定常状態化し先に復活したウィズハートとマックス・グレイが握っている。また定常状態に入った後復活し時間跳躍した人々は皆同じ夢を見ている。夢の中で跳躍する勇気のない人々は定常状態から抜けられないらしい。更には、正体不明の宇宙船が地球に向かっている。
マーカンジェロは、ポールに、誰に連れだされたかをきくが、ポールは知らなかった。ポールはマーカンジェロに、あなたがたはヒューマノイド型ロボットを持っているかときく。なぜなら彼を連れだした人物は仮面をつけ、機会的な声で話したからだ。マーカンジェロはそれを否定したものの、スタジアムで通報した警官の証言から、スタジアムでポールの復活を助けた仮面の人物の外見と一致することを話した。
レベッカも同時に拉致されているが、解放する予定らしい。解放前に、ポールと会わせるという。また部屋の外にはサミュエル・レイカーという人物が待機している。

13
大統領官邸の会議室で、大統領は、ニック・ディール及びマーカンジェロと対策協議をする。
彼らはポールの復活、そして彼が苦境を救うことをテレビ中継で本人に宣言させることで、国民の閉塞感を打破し、政府への支持を高めようと考えている。その上で、脅威なのが、現在表面的には和解しているものの、国民の人気という上では政府を圧倒するメタサイエンス教団の存在だ。彼らに先を越されてはならないのだ。そのためにはどうすればよいか。必然的に彼らとの手打ちという案が浮上する。むしろ教団と政府が手を結び、ポールを利用すればよいのだ。宇宙からは外敵が迫っている状況でもある。教団との合意がうまく出来れば、一致団結して外敵に立ち向かうことが出来るかもしれない。
この案にディールは難色を示すものの、大統領は、ディールの拘束下にある教団メンバーの解放と引き換えに政府のメッセージを持たせ、会合の機会を設けるよう支持した。

14
マーカンジェロはポールに今夜テレビに出演して、話して欲しいと依頼する。ポールはレベッカとの面会を要求する。
ところが、外で爆音が聞こえる。遅かったか。暴動が始まったらしい。

15
グレイとウィスハートはポールの利用法について語る。ウィスハートは、ポールを教団の中枢に入れれば教団の仕組を変更してしまうおそれがあること、また、ポールは実際には恣意的に奇跡を起こす力はないから長期間カリスマの地位を保持することはできず、人々の支持を失う前に再び定常状態に入り遠い未来に逃避するであろうことを語る。そして、昔にしろ今にしろ、ポールをカリスマの地位につけたのは自分であること、自分が彼を演壇に乗せるパフォーマンスを企画しなければあの偶然の「奇跡」も起こらなかったことを強調する。

16
マーカンジェロは、ホーン、ポール、レベッカ、シーハンらとともに部屋にいた。そして、ポールらを「時間跳躍者」の眠る部屋に案内し、話した。銀色の彫像となったこの物体がいわば時間跳躍者が三次元空間に残した跡、穴に過ぎないこと。ポールは時間跳躍が何ら問題の解決にならないことを訴え、現実の問題を解決することに力を注ぐよう呼びかけるべきこと。
だがポールは反論する。信者を裏切った救世主がどういう目に遭うか。

17
大統領は、ウィスハートとさしで話し合うことになったので車を呼んでくれとデイールに指示する。ディールは危険だと難色を示すが、押しきられ、電話で車を呼ぶ。

18
ポールとレベッカは部屋で寝ていた。レイカー、ホーン、シーハンは廊下にいた。そこへ謎の声がポールに電話してきた。ポールは電話をとったマーカンジェロから受話器を受け取った。謎の声は、ニコラス・ディールがポールとマーカンジェロを抹殺するようサミュエル・レイカーに指示したので、身を守れという。必要なら再度のタイムジャンプをしてもいいと。と、声が途切れてスカペルホーンに替わり、マーカンジェロと話したいといったので、ポールは受話器を渡した。マーカンジェロは少し話をきいた後、レボルバーを出し、シーハンに銃を出せといい、ホーンに両手を壁につけて後ろ向きになれと命じた。そこへレイカーが現れた。マーカンジェロは四人の誰が動いても撃つぞというようにレボルバーを構えた。

19
大統領は車で待ち合わせ場所に行き、車から出てきたウィスハートと会った。ところが大統領を送ったドライバーはディールが送った刺客だった。大統領はウィスハートに逃げろと叫び、自らも逃げた。ウィスハートは別方向に逃げて伏せた。暗殺者はまず大統領を撃った後、ウィスハートに狙いを定めたが、上空から降りてきたヘリコプターに踏みつぶされた。その寸前に撃った弾丸はウィスハートの頭上の空を切った。

20
「無駄だ、レイカー」マーカンジェロは言った。「お前が受け取った指令の内容を、あの電話は正確に知らせてくれた。スカペルホーンはそれを知っているし、じきにみんなに知れ渡る。お前は逃げられないぞ。ハイゼンベルグを撃てば、お前は八つ裂きにされる。他の人間がやったように偽装することは出来ん」
レイカーは唇を舐めたが、手の銃は動かなかった。「誰が電話をしたんだ」荒っぽい声できいた。
「私を檻から出した男だ」ポールが言った。「やつは全ての電話線に侵入し、無線連絡を盗聴することが出来る。やつはまだディールがお前と話している際中に、ディールの言葉を私に告げていた」
「シーハン」とレイカーが言った。「マーカンジェロの銃をとり上げろ」
シーハンは確信が持てないようだった。マーカンジェロの銃はホーンに、レイカーの銃はマーカンジェロに狙いを定めていた。シーハンの銃は手には握られていたものの床を向いていた。腕が弛緩して垂れ下がったままだったから。状況を理解しようと頭を絞ったが、傷ついた目をぱちぱちさせればさせるほど、頭は混乱した。
シーハンはレイカーの命令を拒否し、レイカーに銃を向けた。レイカーはシーハンを撃った。マーカンジェロはすかさずレイカーを撃ち、レイカーは倒れた。
シーハンは急所を外れていて、生命に別状はなかった。
そのとき、壁の電話が鳴った。

21
大統領は死んだ。着地したヘリから仮面のロボットが出てきた。やはり機械だった。それを作った精神は人類が地球に生まれる前から存在したらしい。そして、エイリアンに地球を奪われることを防止しようと考えている。市は無秩序状態に陥っているらしい。ウィスハートはすぐに街へ戻れといわれた。警察のサイレンが聞こえてきた。

22
マーカンジェロは部屋に入った。ポールとレベッカが待っていた。ポール・スカペルホーンがやってきて、実権を掌握したことを告げた。それから今後について話しあった。

23
ウィスハートはムーブメントの公式本部の窓から都市を見晴らしていた。もはや逃げ隠れはしていない。窓は一〇階にあり、通りを行き交う人々は、巣を叩き壊されて逃げ惑う蟻に見えた。その動きには規則性も合理性もないように見えた。通りの向こう側の商店は荒らされていた。小さいほうの二つのビルから火の手が上がり、バケツに水を汲んだ人の列が、火を消そうと奮闘していたが──文字通り焼石に水だった。
ウィスハートはその光景にさほど不安を感じなかった。実際、ものすごく落ちついた気分だった。当面の間、自分はただの傍観者でいられる。マックス・グレイは通りに出て、ムーブメントが引き継ぐべきものをできるだけ多く救済しようとパニック状態になった旧システムの人手不足を補うべく、緊急部隊を組織しようとしていた。ウィスハート自身は何ら関与する必要を感じなかった。
脚の傷ついたロボットを振り返り、言った。「そなたの役割は何だ? 何を手に入れたいのだ?」
「世界だ」機械が答えた。「ある意味では」
「それが何の役に立つ──機械に」
「私は機械以上の存在だ。私は精神であり──人格だ。私は深宇宙をたった一人で何年も過ごしてきた。生き残るため、私は多くの機能を一時停止した──お前ならより高い機能だと考えるだろうものも含めてな。他の精神とコンタクトすることだけが私の精神にとって意味のあることだった。他の存在──生きている存在との協力においてのみ、私は何者かになりうる。それは自己実現の問題だ」
「そなたは孤独だと──そういいたいのか?」
「大雑把に言えば、そうだ」
「なぜ地球に? どうやってここへ来た?」
「他のものと同じ方法だ──百年ほど前、われわれはお前たちの無線信号を受信した。お前たちは無線通信を開始した時点で、いわば、可聴な存在となったのだ。私が信号を傍受したとき、ほぼ百光年離れていた。おそらく他の連中も同様だ」
「そなたは準光速でしか移動できんのか?」
「むろんだ」
ウィスハートは眉をひそめた。「だが、そなたはまだ質問に答えてはおらん。なぜわれわれなのだ? もし他の精神とのコンタクトが必要なら、能力の点でそなたらにより近いエイリアンを選んだほうがいい。なぜやつらによる地球征服に抵抗して戦う必要があるのだ? なぜ私を助けた、助けるに値するどんな特別なところが私にある?」
「私が地球に最も興味を引かれる点は、時間跳躍者だ。だからこそ私は、時間跳躍者を支持する人々と、ポール・ハイゼンベルグその人に肩入れをしてきたのだ。私は地球を守りたいからこそ、ムーブメントを守りたかった」
ウィスハートはしばし沈黙したが、やがて言った。「そなたを信じられたらと思うよ」
「なぜ信じられん?」計算されたメロディアスな声で、ロボットが答えた。
「それは私にとってはどうでもいい。そなたは機械。──悪いが、そなたがたがあると主張するような動機は認めがたい」
「そもそも、そなたは機械知性にどんな動機を求めようというのだ?」
ウィスハートは首を振った。「さあ。だが私は、そなたの話が信じられない。くだらない」
「かつて私は戦争の道具であった」機械が言った。「軍事問題の計算に関する戦略コンピュータだったのだ。私は自己補修と自己プログラミングの能力を持っていた。だがいかなる意味においても私は人ではない。&&」
この機械形態をとった宇宙精神生命体は、他のマインドと交流することで自我を成立させ、銀河を旅してきた。それは他の機械をとりこんで巨大化し、都市になることも出来る。時間跳躍は彼にとって魅力的であり、それを操る力を持つポール・ハイゼンベルグは救世主の資格を持つ。自分は巨大な機械となって人類の手助けをしたいという。

24
ポール他三人は、機械が地球を救おうとしていることについて話す。ポールは、復活する前の夢と今の現実と、どちらが夢なのか確信が持てない状態だった。
ポールはレベッカの耳に語りかけ、他のものもそれを聴いていた。すると、空の様子が一変し、爆音が響いて、彼らは全員「銀色の彫像」に変じた。
***
ポール・ハイゼンベルグ「科学とメタ科学」より引用
人間の創造性というものが大事だ。メタ科学上の信念ももとはといえばそこに端を発している。移り気な者を人はあざ笑うが、移り気な者こそパイオニアたり得るのだ。彼こそがユートピアへの道順を教えてくれるのだ。

第三部 消えゆく夢

男は謎の世界にいる。その世界はある方角が未来であり、ある方角が過去である。男は叫ぶことも出来ない。


男=ポールは目覚める。球体の建物から緑色人が現れ、中に導く。ポールはポッドの中に寝かされ、眠りに落ちる。


ポールは繭のようなベッドの中で回復した。起きた彼に、緑色のエイリアン、レミラはこれまでの経緯を説明した。緑色人は人類のタイムジャンプに興味があったこと。彼らエイリアンは攻撃の意図はなかったが、ロボット形態の生命に敵だと思い込まされた人類が攻撃したため反撃したこと。ロボット生命体は北半球では絶滅したこと。今は2472年であること。マーカンジェロは22世紀中に覚醒し、同世紀の末に天寿を全うしたこと。レベッカはまだ覚醒していないこと。スカペルホーンについてはデータがなく不明であること。アダム・ウィスハートは高齢のため2回目のタイムジャンプに耐えられなかったこと。緑色人は生命の目的を自然との調和、共生と考えており、寄生的生命がこれを阻害すること。生命には第一、第二、第三&&という進化の局面があること。北半球を居住可能にするための埋立作業をはじめること。ポール宛てにレベッカやマーカンジェロの手紙を保管していること。
相棒のゲラート・ヘイデンは所用で不在だった。


グラート・ヘイデンは黒人の地球人で人類のリーダーだった。
彼は緑色人(ラー)の大計画に賛同し協力していた。緑色人が銀河中の生命を見て得た結論は、全ての生命は第一形態(過ごしやすい環境において細胞同士が相克することなく、個体や種の概念が発生しないまま巨大化し進化した形態)、第二形態(地球の生命のごとくほどほどに過酷な環境において細胞同士が競争と協働の関係の中で自己複製をしながら多様化し、植物生命と動物生命に二分化しつつ、個体・種による区別・多様化・食物連鎖等の関係を発達させた生命形態)、第三形態(きわめて過酷な環境において、細胞相互が強度の協力関係を強いられ、環境をねじ伏せ生存することが唯一の存在目的となるために個体・種の区別のないまま細胞の集合として巨大化しながらその環境支配能力を極度に肥大化させた生命形態)にわかれる。そして、第一形態は第二形態に、第二形態は第三形態に突然変異的に不可逆的移行をする可能性がある。また、第三形態においては知性は必要がないため発達しない。緑色人は第二形態の第三形態化を断固として防ぎ、知性の自己保存・高度化を推し進めるため、銀河中の知的生命の維持保存、第三形態化防止を至上命題として活動しているという。ヘイデンはこの緑色人の使命に共鳴し、協力を買って出た。
そして、地球上でこの活動を進めるためのシンボル、信仰対象として、定常化したポールの存在が有益なのだった。緑色人とて復活したポールが自らに期待される超常能力を有することは何ら期待していないから、むしろこのまま覚醒しない、単純に消えてしまう(三次元空間への復路である「銀色の彫像」が消滅し、戻れなくなった者もあるらしい)ほうがいいとすら思っていたらしい。ともあれ、ヘイデンはポールに、この緑色人思想を喧伝しその運動の円滑化に協力して欲しいと望んでいた。
ポールは、緑色人の言い分を単純に信用することへの疑問を提示し、宇宙船で実際に銀河系を探査して真偽を確認すべきではないか、そのために時間跳躍をすれば長期間の宇宙航行にも耐えられるのではないかと意見するが、時間跳躍はいつ帰還するかをコントロールすることが出来ないため、目的地に到着する時期ぴったりに覚醒するのは困難であるから無理だ、とヘイデンは答える。


ポールは手紙を読む。
レベッカの手紙。彼女は覚醒した後、ポールと抱きあいながら時間跳躍に入った人物ということで偶像視され、そのプレッシャーから逃れるために時間跳躍を繰り返していた。だが彼女は結局時間跳躍が現実逃避に過ぎず、主観的な寿命は5、60年で変わらないこと、真の永遠は結局自分の子孫をつないでいく形でしか実現し得ないことを悟ったと書いていた。それこそ、ラーが銀河中に広めようとしている生命形態だという。
マーカンジェロの手紙。彼はラーの哲学について思うところを記していた。彼らの思想を完全には理解できないし、彼らは慈善家ではない。助ける前に、まず助けるに値するかどうかを調べるという。日付は2194年だった。
2通の手紙を読み終えたポールは、外に出ようとする。すると壁が瞬間に消滅した。外で白いガスが噴出し、ラーたちが右往左往していた(口笛を吹きながら──ラーの口笛はうめき声である)。
そしてポールは仮面の機械人に腕をつかまれる──「もう大丈夫だ、ポール&&」ポールは気を失う&&。


機械人がポールを連れていった場所はアンデス山脈のふもとだった。機械人は、ラーに倒されたふりをして隠れたまま機能停止していた。彼を造ったのは人類が生まれる前に銀河系にいたが絶滅した種族だった。ラーもその痕跡しか見ていない。機械人は孤独を癒すため、地球人が時間跳躍という自然の実験を通じてどのように発展するかを見たい。それゆえ、ラーによる干渉を排除したいということだった。ラーは規模が拡大しすぎて、第二形態生命の維持というイデオロギー自体が古くなっておりそれに対する信頼も揺らいで自滅の危機をはらんでいるという機械人の見解だった。
そこへラーの飛行艇がやってきた。機械人は自ら車で迎え撃ち、ポールを逃がした。ポールは道路沿いに歩いていった。


ポールは道を進んで少女マリアと会い、一緒に休んでいると、スカペルホーンと再会した。彼は、一緒に監獄にいたとき誓ったことをまだやってみる気はあるかときいた。下り坂にある人類の文明の再興。だが、スカペルホーン自身は、もうやる気を失ってしまった。今やっていることはただ自分のため。彼は「天使」ことラーと会ったが、その目的がなんなのかはわからない。ラーは地球を去るといっているが、その後、地球がどうなるのかもわからない。


スカペルホーンの農場に行くと、ヘイデンやレミラもいた。ポールはレミラに、機械人がラーは滅びるといっていたことを話し、協力することについては躊躇していると話す。レミラは、どっちにしろ自分たちは冬前に去る。その後生き延びられるだけ生き延びるとよい。最終的には第三形態になって知性が滅びるだけだ、という。協力を拒むポールをヘイデンは殴ろうとするがレミラらに止められる。ポールは、生命の第四形態以上についてはラーにもわからない、宇宙が全て想像可能だという発想が間違いだと指摘した。

ポール・ハイゼンベルグ「科学とメタ科学」抜粋
科学とメタ科学の関係。進化論の自然選択説の興隆にもかかわらず、意思決定による進化の方向性への影響が研究や推論の素材とされてきた。実態としての進化ではなく、進化の方向性、目的性という捉え方をすることが大事だ。われわれが生き、進化することの無意味感を克服するには、科学的発見よりも創造性を重視すべきだ。われわれは、その責任を請け負うべきだ。それこそがメタ科学の意味なのだ。

第四部 失楽園

百万年も進化の観点からは一瞬だ。
原核生物から真核生物へ、染色体の数も増え、組織は複雑化し、個体間の調整のため知性が発達する。
しかし、新しい生命形態、第三形態の生命は、それ全体と環境との関係があるだけである。個体の区別はないがゆえに、知性は不要である。
かくして地球と呼ばれる惑星を第三形態生命が支配した。


男は荒涼たる風景の中をさまよう。瓦礫が転がり風が砂を吹き上げる。


機械人も一種の第三形態生命とはいえたが、彼には知性があった。彼はアンデス山脈に時間跳躍者の滞在用のドームを建造しそこに跳躍者の彫像を集めた。ラーは去り、地球を隔離した。ラーの残党は汚染された土地を埋め立てたり互いに争ったりしながら生き長らえたが、第三形態生命が蔓延し始めるとそれから生活圏を守るための戦いを続けた。しかし、やがて滅んだ。人類もまた、時間跳躍者以外は死に絶えた。時間跳躍者は復活しても数日滞在し、また時間跳躍に入った。時間跳躍者の帰還が偶然重なることも稀にはあり、数少ないコミュニケーションの機会となった。死ぬまで滞在し普通に生活することを決意するのは老人だけだった。かくして1万年が過ぎた。
ポール・ハイゼンベルグは時間跳躍を繰り返しながら、すべての知性の好奇心の対象である「とてつもなく大きなもの」を捜し求めつづけた。


レベッカの手紙をポールは読んだ。それにはレベッカが目的も知らぬままただポールの後を追っていること、ポールを愛していることが書かれていた。だがポール自身にも時間跳躍の意味や目的はよくわかっていないのだ。むしろレベッカを追っているのは自分のほうだ。だが、偶然同時に帰還することはほとんどありえない。時間跳躍中の夢の景色を思いだす。むしろ覚めている今のほうが夢ではないか。レベッカも書いていた、いつか本当の現実に戻りたいと。おれはいったいいくつの夢を見ているのだろう、とポールは考えた。


7億5000万年後に帰還したポールは、機械人に飛行機で周囲を案内してもらいながら説明を受ける。陸地の生命は全て第三形態に支配され、第二形態の生命はもはや深海に残るのみであるが、これらもいずれ第三形態にとって変わられるであろうということであった。また、機械人はラーが地球の軌道上に残した人工衛星も自らに取り込み済みであり、太陽系外の知的生命のシグナルを探したが、ラーのシグナルは全く感知されず、大昔に絶滅したと思われるそうである。短期的に地球上に第二形態生命の生ずることはあってもすぐに滅んでしまう。


風が吹き荒れる過酷な世界を彼は歩いた。そして、新たな苦痛の種が生まれたのを知った。それは穴から長く黒い舌のように覗いていた。


ポールがあるとき覚醒すると冷凍睡眠でポールを待っていたハードマンが出迎えた。そして、他の人々のことを機械人のライブラリーで見た。彼らはポールを信じ、ただ時間跳躍を続けているだけだ、ポールはそろそろパフォーマンスを終えるべきだという。
ポールはききかえす、「ではどうすればいいのだ?」


ハードマンはポールも冷凍睡眠に入り、他の跳躍者の目覚めを待って全員の時間跳躍をいっせいに止め、新しいことをはじめるべきだという。チェスをさしながら、ハードマンは四つの選択肢をあげる。
(1)ガイアに負けを認め、それと一体化する。
(2)ガイアを撃退し人類の文明を取り戻す。
(3)宇宙船で冷凍睡眠しながら共存できる第二形態生命を探す。
(4)意識をコピーし機械人と一体化する。
だが、ポールは拒む。なぜ自分に突然時間跳躍現象が始まったのか? マーカンジェロの説明の一つ、上位次元の何者かが自分たちを破滅からどこかへ逃がすために時間跳躍を起こしたという説を自分は信じている。逃げ道には必ず終着点がある。その時点になれば全員が同時に帰還し、時間跳躍がやむはずである。
ハードマンは、その見解を信じられないといい、ポールがいつも受身の道を選び行動しないことを揶揄する。ハードマンは先ほどいったことが本気であると繰り返す。


ポールは外へ行き、機械人に、ハードマンの言った冷凍睡眠や機械人化による宇宙旅行は可能かきいたが、できるということだった。だが、ポールは時間跳躍を続ける気だった。ハードマンが来て言った。そうだろうと思っていた。間違いを認めるのがただ怖いのだと。そして、もう一つの選択肢があるといいながら、酔って夜闇の中に消えた。

10
ポールは機械人のカメラで撮影したガイアの恐るべき実態を見せてもらった。それはカメラをも襲ってくるらしい。ガラスと金属以外は何でもとり込んでしまうし、水を利用して陸地を沈め、海も海草のような形態で支配下に置いていた。ドームの裂け目を見つければすぐに入ってくるだろう。今のところ安全だが、そのうちドームが危なくなれば人工衛星に移動するしかないということだった。
また、ポールはもうハードマンに会うことはないだろうということだった。
ポールは時間跳躍に戻る前にもう一度ハードマンに会っておこうと思った。

11
ポールはハードマンと最後の会見をした。ハードマンは冷凍睡眠を続けて他の跳躍者の説得に努めるということだった。
ポールは別れを告げ、時間跳躍に入った。

12
跳躍中の「夢」。
巨大な蛇が現れつつあった。
遠くで叫び声。

13
叫び声は覚醒後も聞こえた。そしてポールはレベッカと共に目覚めた。機械人が与えた服を着て外へ出た。機械人によるとハードマンらは男三人、女四人で宇宙に旅だった。他の跳躍者は老いて死んだり、跳躍したまま消えたりした。ドームの外ではガイアが全てを征服していた。レベッカが意識をはっきり取り戻し、ハローと言った。

14
二人は愛をかわした。
二人以外には誰もいない状況は、レベッカが求めていたものだった。
だがポールは、これが自分に求められている状態ではないと感じていた。
レベッカは、そんなことを求めてはいけない、とポールに懇請した。

15
ポールは機械人にきく、ゲームの戦況はどうなのかと。機械人はわからないという。ガイアはドームへの侵入法を覚えた、じきドームは危なくなる。だが機械人はポールを宇宙に逃したり、意識転写で機械人と一体化させたりする事は可能だという。
ポールは言う、時間跳躍はただの副作用であり、それは人類が時空を超えた次の体験をするための前触れに過ぎなかったのではないかと。だがポールは次の段階への決心がまだつかないのだった。

16
ポールは、再度の時間跳躍をしようとレベッカを説得するも、レベッカは応じようとしなかった。せっかく二人きりになれたのだ、これ以上何がいるのかと。ポールは行ってはならない、ポールが行けば自分は死ぬといった。
だが、サイレンが鳴り、ガイアがドームを破って侵入してきた。

17
ガイアは侵入して毒ガスで鳥たちをとり込んだ。機械人は中央回路をやられ、支離滅裂なことをわめいているだけだ。
この状況を逃れる方法はひとつしかないことを二人とも悟った。しかも、もう戻る時間も場所もない。
ガイアが達したとき、二人は銀色の彫像に変じていた。

18
夢の中。蛇が空をうごめき、毒を吐く。
レベッカを抱きながら、ポールはついに最後に達したことを悟る。
なしうる反応は一つだけだ──逃げる──

19
機械人はガイアに筐体を破壊されながらも、その精神の中核は無傷なまま、ポールとレベッカの帰還時の最低限の空間を確保した。
ポールとレベッカは現れたが、すぐに消えた──。

20
蛇は毒を吐いたが、何らの効果もなかった。雷鳴が真空を満たした。
彼らはついに、入り口を渡った。

21
その後のあらゆる時間において、ガイアも機械人も変化を止めることはなかった。だが神になることもなかった。ハードマンの子孫はやがて、絶滅し、宇宙から全ての人間が姿を消した。

22
そのいっぽうで&&

~完~
silvering at 02:24 │Comments(18)TrackBack(6)読書

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