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中村融&山岸真『20世紀SF5 1980年代』河出文庫」(2005/12/07 (水) 16:32:42) の最新版変更点

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<p>2001年</p> <p>8/24<br> 久々に「20世紀SF5」に復帰。<br> 総じて他の巻よりレベルが低い気がするのは、早川の2冊本アンソロジーとのダブりを避けているためでしょう。おいしいところをほとんどさらわれているからねえ。もっと収録してほしい作品はいっぱいあるのに、作品選定がややマニアックな感じがする。<br> ラッカー「宇宙の恍惚」★★★★<br> 全6巻を通じて最大の馬鹿SFでしょう。ラファティを飛び越えてあっちの宇宙にいっちゃってます。宇宙AV製作と妊夫の話。はっきりいってあまりにもくだらな過ぎます(笑)。筒井っぽいともいえます。まあ、ただそれだけの作品で、特にそれ以上コメントしたいこともありません。<br> カード「肥育園」★★★★<br> カードにしては意外なホラー色の濃い作品だが、奇想のせっかくのディテールがやや薄弱というか、あやふやな感じがする。まあまあですね。<br> というわけでこの巻はやや粒が小さすぎるかなあ。</p> <p> マクラウトの英国協会賞受賞作(ヒューゴー有力候補作)「空の道」、ウィルスンのディック記念賞受賞作「ダーウィニア」、ネビュラショウケース2000/2001、SFM10月号、バックナンバー6冊、購入。</p> <p>ベア「姉妹たち」★★★★1/2<br> ネタは、後にクレス「無眠人シリーズ」で大ブレイクする「遺伝子操作された子供達」もの。彼らに訪れる大災厄を通じて種としての人類そのものに視点が向かうのがいかにもポスト・クラークと呼ばれるベアらしい。ややつかみが弱く地味な印象の作品だが(プロットもいささか単調)、それでも後半の悲劇的な展開はインパクトを残す。無眠人とは全く逆の視点、逆の展開なのが非常に興味深い。<br> ドライヤー「ほうれん草の最期」★★★★<br> 「ギブスンより古いハッカー小説」というのがこの作品が収録された理由。プロットは単純で特にどうということはないショートショートだが、強いていえばとぼけたユーモアが売りか。<br> フィリポ「系統発生」★★★★1/2<br> 人類がウイルスになって種の存続を図ろうとする、凄まじい話。ウイルスそっくりの新人類の生態がめちゃめちゃ面白い。結末が素直でひねりがないのが惜しまれる。アイデアだけなら集中のベストワン。これぞSF、思弁小説、という感じですね。作者フィリポはバイオ/ナノテクの手加減のない強烈なアイデアによる凄まじい話を書くのが得意で、早川アンソロジーにも「スキンツイスター」という大傑作が収録されていた。何か一つぽこっと賞を取れば、一気にブレイクすると思うんだけど。<br> スティーグラー「やさしき誘惑」★★★★1/2<br> ナノテクによる技術革新と身体改変による長命が、めくるめくステープルドン的進化のヴィジョンへと拡張した後、極めて個人的な問題へと回帰して終わる。収録の理由は「初のナノテクSF」だからだそうだが、初物というだけではない、一個の作品としてみても面白い作品である。<br> ドゾワ「調停者」★★★★1/2<br> 温暖化で南極の氷が解け平地が水没した近未来、カルト教団に生け贄に捧げられる少年の一日を静謐な筆致で描き出した技巧的な小品。地味だが完成度は高く、いかにもネビュラ賞向きの作風だ。アメリカ1の編集者/アンソロジストの彼だが実は作家としても一流。今回初めて読んだが、短編集「測地線の夢」でまとめて読んでみたい気もする。<br> ワトスン「世界の広さ」★★★★<br> オーソドックスな奇想小説で、編者危惧のとおり素直すぎてやや粒が小さい感じ。奇想に理屈をつけて説明するところはワトスンらしいが。<br> 残るは1編だが、その前に「モーニングチャイルド」読もう。</p> <p>ライマン「征たれざる国」★★★★<br> 戦争ファンタジー(?)。登場人物たちに動物の名が与えられたり、機械を子宮で育てたり、家が生きていたり、とにかく怪作(笑)。よくわかりませんでした。どう見てもSFとはいえないが、インターゾーンの作家だからスペキュレイティヴフィクションの範疇には入りそう。しかし、SFの短編集ならトリは普通のSFにしてほしかったなあ。ファンタジーは苦手だし。</p> <p>というわけで、<br> 「20世紀SF5」★★★★<br> 総じて粒が小さく不満の残る内容。満点をつけたのはウィリスの「リアルトホテル」だけ(だったよな?)。シリーズ5冊中ではいちばん面白くなかった。<br></p>

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