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中村融&山岸真『20世紀SF2 1950年代』河出文庫」(2005/12/07 (水) 01:26:47) の最新版変更点

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<p>2000年代</p> <p>12/7<br> 「20世紀SF・初めの終わり」★★★★★<br> もうすばらしいっ! 超有名作品をあえて外し、単発では地味な作品をうまく選んでコンセプト性を持たせている。それゆえ、初訳作品は入っていなくても、1/3ぐらいが既読作品でも、読みごたえのある内容になっている。「あれも入れてほしい、これも入れて欲しい」というのはあるけど、編者も同じ悩みを乗り越えてこのセレクションに達したのであろう。このシリーズに引き続いてテーマ別のアンソロジーや、作家別の短編集に収録されるのを期待するとしよう。<br> ブラッドベリ「初めの終わり」★★★<br> もちろん、ブラッドベリとしては、スペースマンものの短編は超絶的な傑作が多く、なぜこんなエッセイのように地味な作品を?という気もするが、この本のイントロダクションとしてこの作品ほど据わりのいい作品も確かにない。あくまでもイントロとしての収録であり、この作品を単独で評価することにあまり意味はないだろう。<br> シェクリイ「ひる」★★★★1/2<br> 福島アンソロジー「破滅の日」からまず1つ目(とにかくこの「破滅の日」はオールタイムベスト級の破滅小説揃い)。20年ぶりに読んでも、やはり傑作は傑作。政治風刺に満ちたユーモアの冴えがシェクリイの持ち味を表している。<br> ディック「父さんもどき」★★★★★<br> いかにもディック! こうやって他の作家の作品と並べて読むと、その非凡さが際立っている。「にせもの」「変種第2号」などにせものネタで超絶的傑作の多いディックだが、この作品もそれらに肩を並べる強烈な作品だ。しかも、「日常生活に紛れ込んだにせもの」という点でよりホラー色が強く、物凄いインパクトがある。しかし、「父さんもどき」がチャールズの名を呼びながら追いかけてくる場面は、ほんとうに怖い(笑)。<br> マシスン「終わりの日」★★★★★<br> 「破滅の日」から2つ目、あの古典的名作を収録だ。20年後に読んでも名作は名作だった。太陽が肥大化して飲み込まれるというアイデア自体は今読むと「んな阿呆な」だが、そんな瑕が消し飛んでしまうほど、終末を迎えた人間の行動の描写と、このあまりにも美しいラストは完璧すぎる。福島アンソロジーでも「大当たりの年」「ロト」と並ぶ傑作だったが、この本でもトップクラスの出来。マシスンの短編でも「ショク・・・」と並び、オールタイムベスト級だ。<br> ヘンダースン「なんでも箱」★★★1/2<br> ヘンダースンは、やはり今読むとかなりファンタジー色が強い。この作品は、ぼくにはよくわからなかった。有名な作品だけに、読んでみて「あれ? 何これ?」という拍子抜けの感じ。自分の読解力に問題があるのかも、もう一回読んでみないと。同じようなことは、ライバー「性的魅力」、ディレーニイ「然りそしてゴモラ」とかでも感じた、「何これ?」<br> シマックは個人短編集でコメントしたのでとばす。<br> ポール「幻影の街」★★★★★<br> 集中最高最大の収穫。凄すぎる。アイデアはディック的だが、それを社会派的な風刺の視点で語るところに強烈な個性がある。「ゲイトウエイ」とかでは結構辟易したが、このあまりにも見事な短編を 見ると、彼の本領はむしろ短編にあるという気がする。最後の最後の見事などんでん返しまで、ほとんど完璧! 短編を全部読んでみたい作家である。<br> コーンブルース「真夜中の祭壇」★★★★1/2<br> 小じゃれた作品を書くねえ。酒場の描写はのちのディレーニイあたりを思わせるが、オチも綺麗にまとまっていて、見事。ただ、器用だけど凄さはあまり感じない。<br> ラッセル「証言」★★★★1/2<br> 見事な法廷SF(笑)。笑わしてもらいました。どちらかというと脇役的なイメージの作家だが、その特異な才能はこの短編にもよく表れている。最も忘れ去られやすいタイプだけに、頑張って再評価させたい作家でもある。決して二流ではない。<br> べスター「消失トリック」★★★1/2<br> べスターにしては地味だな。アイデアは例によっていかれているけど、プロットが今一つ単純。しかし、単行本未収録で貴重な作品だ。<br> ブリッシュ「芸術作品」★★★★<br> ブリッシュも凄い作家だ、屑がない。理屈っぽい作風のせいか地味な感じがするけど。この作品も最後の最後の種明かしが見事。「表面張力」とか、有名作で読めないのも結構あるし、短編集復刊望む!<br> スミス「燃える脳」★★★★<br> スミスってこうやって他の作家と並べるとファンタジー色が濃い。その独特の暗い世界像や心理描写が人気の秘密。この悲惨なオチも、いかにもだね。暗いわ、やっぱ(笑)。<br> スタージョン「たとえ世界を失っても」★★★★1/2<br> しかし、変な話を書くよねえ。さすがスタージョン。ちょっとキチガイじみた登場人物(グランティ)が出てくるところといい、まさにスタージョン節。ホモで星を追われたエイリアンの話、と一言で書くとくだらないとしかいいようがないが(笑)、スタージョンの筆にかかると魔法のように傑作に化けるんだよね。<br> アンダースン「サム・ホール」★★★★1/2<br> ブラナーを彷佛とさせるテクノスリラー政治小説。北欧風ファンタジーや生物/民俗学ミステリなど幅広い作風で知られるアンダースンだが、個人的に一番読みごたえがあるのは、「王に対して休戦なし」やこの作品のような政治色の前面に出た作品だ。残念ながらこの手の作品は長編にないが、隠れたアンダースンの才能であることはオールディスも認めている。「旅路の果て」などと並んで初期短編では傑作の部類に入るだろう。</p>
<p>2000年</p> <p>12/7<br> 「20世紀SF・初めの終わり」★★★★★<br> もうすばらしいっ! 超有名作品をあえて外し、単発では地味な作品をうまく選んでコンセプト性を持たせている。それゆえ、初訳作品は入っていなくても、1/3ぐらいが既読作品でも、読みごたえのある内容になっている。「あれも入れてほしい、これも入れて欲しい」というのはあるけど、編者も同じ悩みを乗り越えてこのセレクションに達したのであろう。このシリーズに引き続いてテーマ別のアンソロジーや、作家別の短編集に収録されるのを期待するとしよう。<br> ブラッドベリ「初めの終わり」★★★<br> もちろん、ブラッドベリとしては、スペースマンものの短編は超絶的な傑作が多く、なぜこんなエッセイのように地味な作品を?という気もするが、この本のイントロダクションとしてこの作品ほど据わりのいい作品も確かにない。あくまでもイントロとしての収録であり、この作品を単独で評価することにあまり意味はないだろう。<br> シェクリイ「ひる」★★★★1/2<br> 福島アンソロジー「破滅の日」からまず1つ目(とにかくこの「破滅の日」はオールタイムベスト級の破滅小説揃い)。20年ぶりに読んでも、やはり傑作は傑作。政治風刺に満ちたユーモアの冴えがシェクリイの持ち味を表している。<br> ディック「父さんもどき」★★★★★<br> いかにもディック! こうやって他の作家の作品と並べて読むと、その非凡さが際立っている。「にせもの」「変種第2号」などにせものネタで超絶的傑作の多いディックだが、この作品もそれらに肩を並べる強烈な作品だ。しかも、「日常生活に紛れ込んだにせもの」という点でよりホラー色が強く、物凄いインパクトがある。しかし、「父さんもどき」がチャールズの名を呼びながら追いかけてくる場面は、ほんとうに怖い(笑)。<br> マシスン「終わりの日」★★★★★<br> 「破滅の日」から2つ目、あの古典的名作を収録だ。20年後に読んでも名作は名作だった。太陽が肥大化して飲み込まれるというアイデア自体は今読むと「んな阿呆な」だが、そんな瑕が消し飛んでしまうほど、終末を迎えた人間の行動の描写と、このあまりにも美しいラストは完璧すぎる。福島アンソロジーでも「大当たりの年」「ロト」と並ぶ傑作だったが、この本でもトップクラスの出来。マシスンの短編でも「ショク・・・」と並び、オールタイムベスト級だ。<br> ヘンダースン「なんでも箱」★★★1/2<br> ヘンダースンは、やはり今読むとかなりファンタジー色が強い。この作品は、ぼくにはよくわからなかった。有名な作品だけに、読んでみて「あれ? 何これ?」という拍子抜けの感じ。自分の読解力に問題があるのかも、もう一回読んでみないと。同じようなことは、ライバー「性的魅力」、ディレーニイ「然りそしてゴモラ」とかでも感じた、「何これ?」<br> シマックは個人短編集でコメントしたのでとばす。<br> ポール「幻影の街」★★★★★<br> 集中最高最大の収穫。凄すぎる。アイデアはディック的だが、それを社会派的な風刺の視点で語るところに強烈な個性がある。「ゲイトウエイ」とかでは結構辟易したが、このあまりにも見事な短編を見ると、彼の本領はむしろ短編にあるという気がする。最後の最後の見事などんでん返しまで、ほとんど完璧! 短編を全部読んでみたい作家である。<br> コーンブルース「真夜中の祭壇」★★★★1/2<br> 小じゃれた作品を書くねえ。酒場の描写はのちのディレーニイあたりを思わせるが、オチも綺麗にまとまっていて、見事。ただ、器用だけど凄さはあまり感じない。<br> ラッセル「証言」★★★★1/2<br> 見事な法廷SF(笑)。笑わしてもらいました。どちらかというと脇役的なイメージの作家だが、その特異な才能はこの短編にもよく表れている。最も忘れ去られやすいタイプだけに、頑張って再評価させたい作家でもある。決して二流ではない。<br> べスター「消失トリック」★★★1/2<br> べスターにしては地味だな。アイデアは例によっていかれているけど、プロットが今一つ単純。しかし、単行本未収録で貴重な作品だ。<br> ブリッシュ「芸術作品」★★★★<br> ブリッシュも凄い作家だ、屑がない。理屈っぽい作風のせいか地味な感じがするけど。この作品も最後の最後の種明かしが見事。「表面張力」とか、有名作で読めないのも結構あるし、短編集復刊望む!<br> スミス「燃える脳」★★★★<br> スミスってこうやって他の作家と並べるとファンタジー色が濃い。その独特の暗い世界像や心理描写が人気の秘密。この悲惨なオチも、いかにもだね。暗いわ、やっぱ(笑)。<br> スタージョン「たとえ世界を失っても」★★★★1/2<br> しかし、変な話を書くよねえ。さすがスタージョン。ちょっとキチガイじみた登場人物(グランティ)が出てくるところといい、まさにスタージョン節。ホモで星を追われたエイリアンの話、と一言で書くとくだらないとしかいいようがないが(笑)、スタージョンの筆にかかると魔法のように傑作に化けるんだよね。<br> アンダースン「サム・ホール」★★★★1/2<br> ブラナーを彷佛とさせるテクノスリラー政治小説。北欧風ファンタジーや生物/民俗学ミステリなど幅広い作風で知られるアンダースンだが、個人的に一番読みごたえがあるのは、「王に対して休戦なし」やこの作品のような政治色の前面に出た作品だ。残念ながらこの手の作品は長編にないが、隠れたアンダースンの才能であることはオールディスも認めている。「旅路の果て」などと並んで初期短編では傑作の部類に入るだろう。</p>

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