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ジェイムズ・モロウ「真実の都市」」(2005/12/05 (月) 02:12:48) の最新版変更点

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<p>2003.9.16</p> <p>9月9日<br> <br> ジェイムズ・モロウ「真実の都市」読み始める。1章読了。<br> 何か凄いぞ、これは。嘘をつくことが狂気とみなされる未来。主人公は「批評家」で、嘘の書かれた芸術、文学作品を「脱構築」=破壊するのが仕事。設定がとにかくいっちゃってる。傑作の予感。第1章は、主人公が知り合った詩人の娘マルティナ・コベントリの作品に「私は心の中に翼を隠し持っている、世界が見ていないときに私は飛ぶ」というくだりがあり、「それって嘘じゃん!」と主人公がびっくりする、という事件軸と、主人公の息子トビイがキャンプDitch-the-Kidsでウサギに噛まれ、そのウサギが隔離され死ぬ(伝染病?)、という事件軸が設定されている。「嘘があり得ない社会」における夫婦の会話、手紙の表現などが面白い。例えば、<br> 「彼女にセックスしたいと言ったの?」<br> 「うん」<br> 「将来すると思う?」<br> 「わからない。したいとも思うし、したくないとも思う──言いたいことは分かるだろう。きみを傷つけるのはいやだ」<br> とか、マルティナの原稿を焼く前に彼女の住所と電話番号を覚えたことを告げた夫に対し、<br> 「正直、ジャック、ときどき何で私たち結婚したんだろうって思うことがあるわ」<br> 「ぼくもときどき同じことを思う。あのウサギが死ななければよかったのに」<br> 「ウサギのことは忘れなさい。どうして私があなたと結婚したのかってことを話してるのよ」<br> 「きみがぼくと結婚したのは、ぼくが最後のチャンスだと思ったからさ」<br> といった具合に、何でも腹蔵なく言わなくていいことまでズバズバ言う。<br> 正直、ほんとに嘘が想像もつかない狂気という設定なら、「正直いって(honestly)」とかいう副詞が使われるのは変じゃない?とか、厳密に考えると突っ込みどころは多数あるのだが、あまり厳密にエクストラポレートし過ぎても「物語」としてつまらなくなるから、そのへんは流して読もう。<br> あと面白いのは食い物の名前。ビフテキが「殺された牛」とか表現され、「私たちは死んだ牛を食べ終えた」とか書かれているのは笑った。<br> 今日中に7章まで読み終わり、分析する予定。<br> <br> <br> 9月10日<br> <br> ゴメン、疲労のため読めなかった。<br> 明日こそ読む。<br> <br> <br> 9月11日<br> <br> また疲労のため読みながら寝てしまった、トホホ。<br> 50ページがやっと。すごく面白いよ、これ。単語も結構、10000~30000語範疇のが多いので、例文コレクションにも有益だし。息子がウサギに噛まれ、そのウサギが致死率100%のザビエル病にかかっていたことが判明する。当然、嘘の許されないこの社会では、子供に「お前は死ぬ。絶対死ぬ。死後の世界の科学的根拠はない。お前の脳は酸素欠乏で組織が破壊される」などと真実を語らなければならない。主人公は耐え切れず、妻の制止もきかずに、嘘つき女マルティナに相談しようと電話をかける・・・子供を救うには嘘を語るしかないと。<br> 面白くて、早く読むのが勿体無い。<br> あと、「brainburn」という単語の意味が判明。この社会では一定の年齢に達すると、嘘がつけないようにオペラント条件づけを施す。身体を拘束して、一定の嘘をつかせ肉体的苦痛を与えることにより、嘘をつけない体にするのだ。これが「brainburn」。「洗脳」ならぬ「焼脳」というわけだ。「焼脳」と訳せばいいんじゃないかな。<br> 3章マルティナ住所を訪れた主人公ジャックは、そこで家主のアナーキスト、ボリスと出会う。<br> <br> <br> 9月12日<br> <br> ついにダイナブック完全にいかれ発狂。よって本は読めず。仕事で帰ったのも遅かったんだけどサ。<br> <br> <br> 9月13~15日<br> <br> 新規購入したパソコン、let's noteの立ち上げ&LAN接続。<br> WIN、MACのIP割り振りやインターネット、WIN間のファイル共有は成功。<br> あとは、MACとWINのファイル共有だが、MACのsambaの設定がうまくいかず頓挫。パソコンを相互に認識するところまではいくが、その後のパスワード設定ができない。本を買って研究せねば。<br> 明日以後、購入予定なのは<br> 母艦たるLaVie<br> マックOS10.2またはサンバについての本、ソフト<br> 携帯通信用のパーツ<br> テーブル(母艦用)<br> <br> 「真実の都市」読了。8点。ややストーリー展開が安易に流れて、結末も予測がついてしまったのが難点だが、アイデアがよいので救われている。息子は案の定、エイズに似た「ザビエル病」で亡くなってしまうのだが、「うそ」と「本当」のいずれも人間には必要だと悟った主人公がヴェリタスを後にするラストは、意外と清清しい。<br> 設定=未来、「嘘が許されない都市ベリタス」、子供は一定の年齢になると「焼脳」を施される<br> 人物=子供を救うため嘘つき集団に弟子入りする脱構築批評家の主人公、ザビエル病で不治の病にかかる息子、妻、嘘つき集団の娘マルティナ、などなど多彩<br> 変化=子供の病気という軸と、嘘つき集団の都市スタリヴェを軸とする「反真実」運動の軸。<br> 評価=子供の死というバッドエンドを通じて、主人公&嘘つき集団の一部の者はヴェリタスを逃げ出すという課題達成をする。マルティナをめぐる妻の嫉妬などの要素も色を添える。特に設定が秀逸な分、多少ストーリーが陳腐でも読める作品になっている。<br></p>

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