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『黙示録3174年』 "A Canticle for Leibowitz"ウォルター・M・ミラー・ジュニア(Walter M. Miller, Jr.)済<br> (2000/5/6)「黙示録3174」(リーボウィッツ讃歌)は、悪魔の星より読み易い。宗教を扱っているというよりは、教団、宗教人を通じて人間を描いている、というスタンスであり、所々理解しがたい部分はあるものの、全体的に、突っ込んだ教義の話まで出てくる箇所はないので、普通に小説として読める。<br> 文体は、紹介文にある「勇壮かつ重厚」の表現がぴったり。独立して発表された連作中編3本をまとめたもの。最初の「人アレ」が有名かな。今「人アレ」だけ読み終えたところだが、修道僧フランシス・ジェラートが、「聖なる遺物」を発見し、破門されそうになりながらもついには認めさせ、「遺物」の模写に人生を費やし、「遺物」を献上しに行く道すがら蛮族に襲われ、模写のみ奪われて現物を取り戻して届けるのに成功したが、帰路、再び蛮族に襲われて一生を終える・・・という一大大河小説ともいうべき壮大なストーリイ。劇的ラストシーンが実に印象的。それとこの作者のセンスを感じさせるのは、ジェラートが発見した地下核シェルターの描写。設計技師の機械の設計図を「聖物」として有り難がるのであるが、ここの描写が実に巧み。完全に文明が崩壊した後の一修道僧の視点に入り込み、読者に「崩壊した核シェルターなんだよ」という意識を殆ど持たせないままに読ませる。ここが下手だと、「何だこいつら、馬鹿だな、そんなもの聖なる遺物なんかじゃねえよ」という意識を持たせてしまい、感動に導くことはできないのだ。<br> 二部以後は未読だが、これは恐らく崩壊した文明の再興の過程を、そこに生きる人間の視点に立ってリアルに描写することを目論んだ作品と予想される。とんでもない作品である。たいていの作品は、崩壊するまでの過程を描写し、その後を完全に放棄するが、この作品は崩壊までの過程を全く描かず、崩壊後の文明の再生過程だけを、しかも、壮大な時間的スケールで描写しようとするのであるから、凄いとしか言い様がない。<br> 二部、三部の感想は全部読んでから記す。<br> (2000/5/17)「黙示録」読み終えた。<br> (2003/6/7)というのが3年前に読んだときの日記である。<br> ともかく、この本は、史上初の本格文芸SFといった趣の重厚な大作である。当時としては質量共に圧巻だった。「悪魔の星」と違い、宗教をテーマにしているわけではなく、教会は文明再興の礎石として機能しているに過ぎないから、宗教ものの苦手の人も心配しないで読んで欲しい。そして、この重厚な破滅後の未来の人類は文明再興の手がかりを次第に見つけていく、ゆったりした時間の流れと仄かな感動を感じ取って欲しい。第三部の結びの一文もさり気なく、しかし抜群に旨い。【創元文庫、9点】

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