「Eileen Gunn "Stable Strategies And Others"」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「Eileen Gunn "Stable Strategies And Others"」(2005/12/04 (日) 17:58:50) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<div class="datebody">
<h2 class="date">May 10, 2005</h2>
</div>
<div class="blogbodytop"></div>
<div class="blogbody">
<div class="titlebody">
<h3 class="title">Eileen Gunn "Coming To Terms"</h3>
</div>
<div class="main"><a href=
"http://image.blog.livedoor.jp/silvering/imgs/9/9/990ec349.jpg" target=
"_blank"><img class="pict" height="238" alt="安定戦略" hspace="5" src=
"http://image.blog.livedoor.jp/silvering/imgs/9/9/990ec349-s.jpg" width="160"
align="left" border="0"></a>アイリーン・ガンの短編集"Stable
Strategies And
Others"より、2005年ネビュラ賞短編部門受賞作。<br clear="all"></div>
<a name="more" id="more"></a>
<div class="mainmore">
アヴラム・デヴィッドソンの死後、アパートの書物の整理を手伝った経験を元にした作品らしい。<br>
父を亡くした娘が父の本を整理するうちに、本の書き込みを通じて永年心の通じなかった父の心に近づき、時を超えた幻覚を見る、という小品。何分にも短くあっさりしすぎていて、ふうんという程度の感想しかない。<br>
作者についてはよく分らない。<br>
最近のネビュラ賞は、こういう純文学とファンタシイの境界作品が受賞することが多いように感じる。<br>
テーマ性 ★★★<br>
奇想性 ★<br>
物語性 ★<br>
一般性 ★★★<br>
平均 2点<br>
文体 ★★★<br>
意外な結末★<br>
感情移入力★★★<br>
主観評価 ★★(20/50点)<br>
<br>
<要旨><br>
<br>
折り合い アイリーン・ガン<br>
<br>
ある老作家が病に伏し、自己の半生を振り返り、身辺整理にあれこれと悪戦苦闘するが、結局死んでしまった。訃報に合わせるようにエッセイ集が出版され、話題になった。他にも未出版の原稿が多数あった。<br>
***<br>
数週間の悲しみのあとに、娘が老作家のアパートに荷物の整理にやってきた。中は本と原稿の山で、盗みに入られたのか、かなり散らかっていた。だが金目のものはなかった。結局彼が持っていたもので価値があるのは精神と忍耐力と書く能力だけだったが、それらは全てあの世へ持っていってしまったのだ。<br>
***<br>
娘は掃除に疲れて茶を飲もうと思い、台所へ行くと、あらゆるものに張り紙がしてあった。オーブンには、35年前になくなった彼の母親の思い出が記されていた。娘は、自分も35年後、父にそんな感情を抱けるだろうかと思った。何しろこれまで父は女や仕事をおって、娘をかえりみず住所を転々としていた。娘も父の不在という状況と折り合いをつけてしまっているのだ。今更父を失った悲しみを35年も持続できるだろうか。<br>
***<br>
娘は茶を飲みながら、賃貸が一週間で切れるから急いで整理をしようと思った。箱があったので、本を残すもの、売るもの、寄付するものに分類して詰めることにした。本にはやたら書きこみが多く、売るときの価値を下げていた。本棚に隙間がやたら多かった。誰かが侵入して盗んだのか?<br>
***<br>
数日かけて原稿や手紙類をまとめて図書館に寄贈する準備をした。食料類は全部平らげた。それから写真を見つけた。若いころ、子供のころの写真。戦時中の写真があり、知らない男の写真があった。「ウッディ・ヘラルド ガダルカナルで死亡」誰だろう。<br>
***<br>
娘は本の整理をしながら父の書きこみを読みつづけた。ヘラルドや自分や母のことがでてくるのではと思いながら。そして、書きこみのある本を売るのはやめて自宅に送ることにした。それは自分に宛てて書かれたのかもしれない。いずれにしろそれは父の声であり、まとめた形でなければ意味を持たないのだ。<br>
***<br>
三日目の夕べになっても整理ははかどらなかった。未整理の山の中に「時間の非対称性の物理学」という本があった。とっておくべきだろうか? それは膨大な数の方程式を使って時間が逆向きには流れないことについて書いた本だった。父がこんな本を理解できたはずはないが、なぜ持っているのだろう。そして椅子に座り、娘は居眠りをした。<br>
ふと物音で目を覚ました。窓から少年が入ってきた。娘を見て驚いていたが、本棚の本をとり、何かを探し始めた。奇妙に見知った顔だ。幼い頃の父か自分に似ているかも。<br>
「何を探してるの?」きいても答えない。そして、突然飛びかかってきて、ものすごい力で首を閉めた。娘は必死でもぎ離した。少年に馬乗りになっておさえつけているうちに、動かなくなった。首の骨が折れて死んでいる。警察を呼ぼうか。<br>
キッチンに行き水を飲む。それから戻ると、少年の死体はない。死体のあった場所には本の山。そのてっぺんに「時間の非対称性の物理学」。<br>
娘はその本に書きこんだ。「物理学では知られていない理由により、時間は一方向にのみ流れる。だが、精神と心は、奇妙なことに、時間を超える」<br>
~完~<br>
<br>
<br clear="all"></div>
<div class="posted">silvering at 06:18</div>
</div>
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: