「ジーン・ウルフ『警士の剣』(新しい太陽の書3)ハヤカワ文庫」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「ジーン・ウルフ『警士の剣』(新しい太陽の書3)ハヤカワ文庫」(2005/12/04 (日) 17:11:57) の最新版変更点
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<h2 class="date">March 29, 2005</h2>
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ジーン・ウルフ『警士の剣』(新しい太陽の書?B)ハヤカワ文庫</h3>
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プリングル100冊より新しい太陽の書、未読の3,4巻をそろそろ読むことに。実は第5巻も出ている。<a href="http://image.blog.livedoor.jp/silvering/imgs/6/3/6360faae.jpg"
target="_blank"><img class="pict" height="214" alt="警士の剣" hspace="5"
src="http://image.blog.livedoor.jp/silvering/imgs/6/3/6360faae-s.jpg" width=
"160" align="left" border="0"></a><br>
読了。<br>
オールディスも「一兆年の宴」で書いている通り、本シリーズの前4巻はそれぞれ単独の長編というよりも異常に長い大長編の一部というべきもののようなので、本作単独での評価にあまり意味があるとは思えないが、出版当時は別々の長編として出され受賞対象となっていたことからとりあえず本巻単独での感想を記す。<br>
冗長である。そして、ストーリーがつまらない。ヒロイックファンタシイないし剣と魔法の小説、あるいはジャック・ヴァンス作品へのオマージュないしそのパシュティース的な本作の持つ執筆意図の一面からして、故意に様式性を強調しているのであろうことは、本書半ばごろで語り手自身が「この冗長な冒険物語を理想的な読者である君が読む意味は&&」云々と語っていることからも明らかだが、わざとしたから免罪符になるわけでもなくてただの確信犯というだけのことだ。上記したファンタシイの様式性に愛着のある一部のマニアにはたまらない世界像なのだろうが、私のように愛着どころかむしろ苦手意識、嫌悪感の強い読者にとっては、文字通り無間地獄となる。抑揚のないのっぺりとした目的のはっきりしない旅と出会いと別れとちまちました小競り合いの連続には、退屈を通り越して気が狂いそうになる。<br>
本作におけるわずかな救いは後半においてSF性が高まるところだけだろう。主人公が持っていた癒しの石である「かぎ爪」が対象物の時間を逆行させるとかそういった類のメタフィジカルな力を持った物質らしいことが明らかになって来るほか、エイリアンやミュータント、サイボーグの類と思われる珍妙な種族、一見魔法のように見えるが超高度科学文明の遺物のように思える道具や船(宇宙船?)などが大量出演し、更に、宇宙そのものを統べる唯一絶対神的なものに関する主人公の考察場面なども増え第4巻で予想される宇宙規模SF(推定)のお膳立てが整えられる。<br>
だが、あくまでもお膳立て程度であり、本作の展開内ではお世辞にも面白いといえるものではない。主人公が妙な巨人と闘って殺しておしまいである。<br>
何がつらいといって、主人公の行動目的や倫理基準がさっぱり判らないのがつらい。こいつはいったい何のためにやたらと放浪するのか。いろんな女を次々と取り替えるのか。通りすがりのやつと闘っては殺すのか。理解も共感も出来ない。ウルフはそもそも人物の性格描写などをするタイプの作家ではなく、どの作品も初めから感情移入など想定していないが、ケルベロス程度の長さならば我慢できても、これだけ長い作品になると地獄に近い。<br>
異常なディテールへのこだわりやそこに濃密に込められた象徴的表現、メタファーも、百人に一人いるかどうかも疑わしい変質者的な文学オタクのオナニーのネタにしかならない。<br>
これでは、大衆の支持は得られまい。ごくひと握りの鼻持ちならない文学スノッブのための、相互オナニー小説、という印象である。<br>
テーマ性 ★★★<br>
奇想性 ★★★<br>
物語性 ★<br>
一般性 ★<br>
平均 2点<br>
文体 ★★★<br>
意外な結末 ─<br>
感情移入力 ─<br>
主観評価 ★1/2(16/50点)<br clear="all"></div>
<a name="more" id="more"></a>
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<h3 class="commenthead">この記事へのコメント</h3>
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<div class="commentttl">1. Posted by slg <span>April 01, 2005
06:20</span></div>
<div class="commenttext">52ページ読んだので寝る。<br>
第1巻、第2巻と同じセヴェリアンという語り手が主人公なようだがどんなストーリーだったか全く覚えていないし、思い出すのも面倒なので思い出さない。<br>
適当に調べたところではこの男はギルド組織のいろんな職業につく役人らしく、調停者のかぎ爪という病気を治す指輪を持っているらしい。ここまで読んでもさっぱり思い出せない。<br>
本書では、警士といって刑務官のような仕事をしている。ドルカスという少女とつきあっているが、この娘は地下監獄の悲惨な有様を見て鬱病にかかる。セウ゛ェリアンは娘を近所のオバサンに預けて役所に向かう途中、病気の少年にもっと酷い病気の姉を見てくれといわれるがかぎ爪での治療に失敗したトラウマから断って逃げ出す。出勤してみると執政官がきているというので護衛についてもらい謁見に行く、町では殺人事件が頻発している、というところまで。<br></div>
<div class="commentttl">2. Posted by slg <span>April 01, 2005
06:20</span></div>
<div class="commenttext">
ストーリーはすぐ忘れてしまいそうなほど薄味なのは1、2話のストーリーを忘れていることからも明白で、それよりもむしろこの不思議な物語空間のディテールを味わい尽くすのが本書の正しい楽しみ方のようだ。<br>
一般性の低いことは確定。</div>
<div class="commentttl">3. Posted by slg <span>April 01, 2005
06:26</span></div>
<div class="commenttext">
1、2巻を読んだときの日記が見つかった。2002年5月下旬に読んでいる。<br>
「5/26<br>
ダービーつまらんかった。1万円スッた。<br>
「拷問者の影」★★★★★<br>
5/29<br>
もうちょっとで「調停者の鉤爪」読み終わるっす。<br>
読み終わった。★★★★1/2<br>
濃密だが、なかなか話が進まん。SFになりそうでならない。妙な海棲人間が出てきた。滅んだ昔の文明の姿がなかなか明らかにならない。新しい太陽早く出てこい!<br>
ついに読み終わるまで34巻訳本手に入らず。原書を読むしかなさそうだ。でもその前に吸血鬼。」<br>
<br>
もうちょっと何か書いてくれよ。どんな本なのかさっぱり思い出せない。</div>
<div class="commentttl">4. Posted by slg <span>April 01, 2005
16:12</span></div>
<div class="commenttext">タイタンの幼女近所で買うか。<br>
あとは去勢。古本和書か洋書か。</div>
<div class="commentttl">5. Posted by slg <span>April 01, 2005
23:11</span></div>
<div class="commenttext">
ひいひいいいながら250ページ。覚悟した以上に面白くない。<br>
「第4巻の感動を味わうために我慢して最後まで読め」と解説にあるから、要するにその程度の位置づけの本と割り切って何とか斜め読みでも読み終わろう。</div>
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