想風月華
【何度だって振り返らずにはいられない】
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benhino3
「もうっ将臣くんってばいっつも先に行っちゃうんだから!!」
「仕方ないですよ、先輩。兄さんはいつもああなんですから」
そう言って俺は先を歩く兄を見やり、貴女は片頬を膨らませる。苦笑混じりに宥めれば いつもと同じ、あの暖かな笑顔を向けてくれる。そんな貴女を見て 一体何度…この胸に閉じ込めたいと願っただろう。
――――先輩、今の貴女の心は 何処にあるんですか…?
今日も俺は心の中で貴女へと問い掛ける。
「譲くんっ早く将臣くんの所に行こう!!」
そんな事なんか全く知る由もない貴女は、そう微笑って俺の名を呼んで。俺に手を差し伸べてくれる。…いつも先を歩いては振り返り、待っていてくれる…優しい貴女だから、
もし俺が貴女を追い越してしまっても 俺はずっと貴女を待っている。
「…、そうですね」
そう言って俺はその手をとって。笑いあって二人で兄の元へと急ぐ。あたたかな手の温もりに
長年の想いが胸に募って溢れていく。
(先輩が、好きです)
決して口には出す事はないけれど。貴女が迷う事がないように。
置いて行かれてしまう事が…ないように。
―――だから…
何度だって。何度だって振り返らずにはいられない。
【何度だって振り返らずにはいられない】
…有川兄弟終了…某苦労性眼鏡な彼は半端な感じが否めないけど 気にしないで下さい(爆)…難しすぎよう・・・というか、お題に沿っているのだろうか・・?(涙)