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―――…気付いた時にはそこにいた。
眩暈を覚える程の深い碧と喪失感を覚えさせられるような高い天。足元には小さな白きが風に揺られざわついた辺りの空気がやがて静まっていくのを待つ。

…俺はただ、ただじっとそこにいた。

吹いた光も澄んだ大地も凪いだ空気も穏やかな水面も。
すべてが俺を包んだ。静かに瞳を閉じる。 



 「――――なぁ、聞こえるか…?」



 優しいその暖かさに抱かれて、俺はただ一言だけ。想いに駆られて、いつも隣りで微笑ってくれる愛しい月へと…赦されるの事ない一片をひっそりと紡いだ。


軌跡は朽ちていく。あらわしてはいけないこの想いを、全てを引き連れて滅んでく。



 『 将臣くん 』



声が、聞こえる。



嗚呼、あいつの…



 「あいつの声、だ…」



そして俺はゆっくりと 光満ちる地の果てへ振り返る



 「―――…望美、」



――――…、……。



 「――…ん…」
 「……クッ…やっと重盛兄上は御目覚めか…?」

柔らかな光と聞き覚えのある耳障りな声音。相反する二つに俺はゆるゆると気怠げに瞼を持ち上げる。そして真っ先に視界に飛び込んで来た白銀に俺は少し眉を顰めた。

 「…知盛、」
 「随分と…気持ち良さそうに寝てたじゃないか…」

呑気なものだ…とその無駄に整った顔に酷く艶やかな微笑を浮かべ、知盛は俺に視線を投げ掛ける。どうやらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。

 「あぁ、悪かったな」

大きな欠伸を一つし、俺は立ち上がって部屋を出た。それにならい、知盛も俺の後を黙ってついてくる。

…そう、あいつの元を去った俺は…八葉という仮面を捨て去り還内府へと戻る。先程の夢はきっと…今回長く幼馴染の側にいすぎたせいだろう。穏やかでとても平和な夢を見
た気がする。


 『私はね…早く皆が笑顔で暮らせるようになればいいって思うよ』


 その為に 私は刀を振るの。いつだったかそんな事をあいつが言っていた気がする。あの時は笑って「そうだな」とだけ答えたけれど…………いつか。…いつか…本当にそんな日が来るといいと思う。

…でも本当にこんな平和な日がくるのか。時にそんな不安を抱いてしまう事もある。こんな事、考えていい筈がないのに。


―――けど俺は。…俺が平家を引き連れて、生き延びて生き延びて……



 「………きっと、生き延びてみせるさ」



負けるわけには、いかない。



 「望美、」


俺はひっそりと愛しい名を紡いだ。祈るように瞳を閉じ、開けた時には俺の覚悟は決まる。



 「…ごめん、な」



そして俺は陣へと向かう。手にいれるのは難しいであろう夢を実現する為、立ち塞がる者を潰す為に。


立ち塞がった者がたとえ――――――お前の大切な者だったとしても。



【振り返るように夢から醒めた。】


あとがきという名の言い訳。

霞野薙サマからの素敵なお題です♪これから少しずつ消化していきます。・・・うう、難しいなぁ・・(涙)