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―七【半】―


 “鬼を刻む 我が十二の刃たちよ・・・”


 「――――――だれ?」


僕は静かに後ろを振り返る。でも後ろには誰もいない。今日で何度目?ここ数日聞こえている何度も何度も僕を呼ぶ・・・切ない響きをもった声音。振り向いても誰もいない。その声は僕の名前を呼んでいるわけでもなく、僕が知っている声なわけでもない。一体この声は何なのだろう・・?
 「・・・ほんと、誰なんだろ・・」
一人でぼそりと呟いて、僕はお腹をすかせているであろう一つ年上の幼馴染に弁当を届けるべく中庭のいつもの場所へと急ぐ。胸に弁当を抱え、僕はひたすら前へと進んだ。


 “応えよ―――――か・・・きの・・く”


・・・心なしか どんどん歩調が早くなっていく。


 「・・・はぁっ・・・はぁっ・・」


嫌だ。僕に話し掛けないで。耳の奥で声が木霊す。


 “―――――応えよ・・・”


お願いだから、もうそっとしておいて。これ以上は・・もう。

 「・・い、彗?」
 「きゃっ」

少し強めにつかまれた肩。その手を思いっきり振り払って僕はその方を見る。見開いた瞳の先に見ゆるのは、見慣れた漆黒と・・鮮やかな紅。
 「・・・かな、め・・?」
 「どうしたんだよ彗、ここもう中庭だぞ?」
 「え・・・」
言われて辺りを見渡せば、ここはいつものメンバーの集まった中庭。蒼月と呼ばれる14人の男女が集まる・・・特別な中庭。
 「あれ・・今日は壱之くんと途瑠ちゃん・・あと香澄さんはいないんだ??」
 「あぁ、あいつら 今日はこっちには来ないと」
なんでだか知らねぇけどな。そう言って幼馴染は僕の手から素早くお弁当を取り上げると、さっさといつもの位置へと腰を降ろす。
 「早く食おうぜ?俺マジ腹減って死にそうなんだけど」
 「もぅっ要ってば・・」
勝手に取り上げて既に口に頬張ってるのはどこのどいつですか。まったく・・僕より年上なのに手のかかる幼馴染なんだから。

 「天宮先輩っ美月先輩っ俺たちもお昼ご一緒してもいいですか?」

そんなこんなで僕も要の隣に腰を下ろすと三つの影と柔らかな声音が頭上から降ってくる。見ればそこに、見覚えのある元気一杯な笑顔とその後ろに二つの見覚えのある顔。
 「透くん?」
 「おっ透に桜井の双子じゃねぇか。お前らも一緒に食うか?」
 「ふんっ・・わしらは可愛い可愛い透が心配でついて来ているだけじゃ」
 「・・・そうだ、お前となんか・・遊んでいる暇はない・・」
 「琴波っ彼方っ!!ほんとにいつもいつもすいません、美月先輩・・」
すまなそうに要を見つめるその銀灰色の双眸に、僕は微笑んで三人が座れるように端へとつめる。有難う御座いますと嬉しそうに僕の隣へと座るその黒髪に僕はそっと手を乗せた。
 「良い子ですね、透くんは」
 「え・・・?」
 「「っ気安く透に触れるなあああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」」
 「うっさい双子」
にこにこと笑いあいながら後輩の頭を撫でる僕を横目に、要は問答無用とばかりに桜井くんたちの口の中大きめの卵焼きをいくつか勢いよく突っ込む。
 「「ふごっ!!?」」
 「これで少しは静かになったか?・・あーでも俺の卵焼きー」
 「美月先輩、よかったら俺のをどうぞ」
 「おっさんきゅー」
 「要っ透くんのお弁当をとりあげるような事はしないっっ!!」
僕のあげるから止めなさい・・・そう言った時には既に遅し。いつの間にやら透くんのお弁当から卵焼きをもらい、ついでに僕のお弁当からも幾つかおかずが消えている・・・。
 「要っ!!」
 「い~じゃん、俺足りなかったんだし」
 「だからって透くんからとらないのっっ!!」
 「だ、大丈夫ですよ天宮先輩・・」
 「「ふごっ!!も、もご・・」」
 「はいはいそこの双子は食い終わってから発言しろよー?」
じゃなきゃ今度はおにぎり突っ込むぞー??特大おにぎりを手にした幼馴染はにやりと笑ってそれを桜井兄弟へと見せびらかす。するとそれを見てさすがに青くなった桜井兄弟は、無理に喋る事を諦めて食べる事に専念し始めた。・・・もちろん、射殺そうとするかのような視線だけはぎらぎらと要へ注がれていたが。
 「ふふっなんだかとっても楽しそうな事やってるねぇ~??」
 「そうだねぇー??」
 「ほぇっ!?」
急に辺りが暗くなったかと思うと、楽しそうな声音が降りてくるのと同時にがしりと後ろから思いっきり抱きつかれる。

 「あっ皆やっぱりここにいたんだ?」

そんな言葉に後ろを振り向けば、そこには見慣れた6人の男女。
 「・・・港、天宮を放してやれ」
 「はいはい」
 「あれぇ~公先輩だぁ~お久しぶりです~」
 「ふふっ月白くんってば相変わらずだね」
瞳を丸くした僕の目の前では、何故かゆるくウェーブのかかった淡い金髪をサイドで束ねた少年は漆黒の髪をした少女に言われて僕から腕を放し、白銀の髪をした少年は紫色の瞳をした少年(一応先輩)へと和やかに挨拶を交わされる。
 「うわ~見事に皆そろってんな」
 「さっき会ったんだよ。どうせだから俺らも一緒に昼飯食ってもいい??」
 「・・・。」
 「別にいいぜ?なぁ、彗?」
 「え?う、うん」
 「有難う、天宮くん」
 「・・・。」
 「・・つか朝倉、お前も何か喋れよ」
 「・・・。」
 「『私のことはお気になさらず』・・だって」
急に要に話を降られてそちらに加わると、いつも通り柔らかい微笑を浮かべた生徒会長が同じくいつも静かに隣に佇んでいるその人と要と一緒に話していた。
 「あの、朝倉先輩・・?」
 「・・・。」
 「あー・・天宮くん、芽生はほとんど喋んないから気にしないで?」
 「はぁ・・」
 「・・・。」
 「『有難う、彗くん』だって」
もぐもぐとおにぎりを頬張りながら再び喋らないその人の通訳をしてくれる須藤先輩。いつの間にやら蒼月の11人も集まって何故かお昼を一緒に食べるという奇妙な光景が僕の目の前に広がっている。



“―――――鬼を刻む、我が十二の刃たちよ・・・”



また、聞こえた。僕はひっそりと溜息を吐き、卵焼きを口にする。・・・きっと誰も今の声聞いてないんだろうと思いながら。
 「・・・またか」
 「そうだねぇ~」
 「これで何回目かな・・?」
 「もう数えるのも面倒だよ」
 「・・・。」
 「・・・・・・え?」
ちょっと待って。面倒そうに言う皆の言葉に、僕はただただ目を丸くして皆を見渡す。もしかして・・・ううん、もしかしなくとも・・
 「皆も今の声、聞こえたの?」
 「 ? 聞こえるけど??」
要に呆然としたように問い掛ければ、当たり前のように返ってくる返答。皆口々に最近聞こえ出したんだと言いはじめる。
 「僕は“皐月の”なんとかって呼ばれましたよ?」
 「俺は“弥生”」
 「・・・。」
 「・・・俺は“文月”」
 「わしは・・確か“水無月”・・だったかのう?」
 「僕もなんか言われてたなぁー」
 「僕は“師走”だよ」
 「・・興味ない」
 「俺は“如月の”・・・だっけか?」
 「僕もなんか言われちゃったけど~彗くんはなんて言われたの~??」
 「え・・?」
僕?そんなの・・・聞いたっけ・・?問い掛けられて僕は少し、頭を悩ませる。


 “――――――応えよ、か・・・づきの・・く”


 「僕は・・・」


僕は。脳裏によみがえる声に少しずつ、意識が霞みがかったようにぼやけてくる。そう・・ぼくは・・・



 「“神無月の―――――白。”」



そう僕が答えた瞬間、辺りが急に突風が吹き荒れる。風・・・。皆の悲鳴が聞こえる。室内なのに風?そう思った瞬間、はっと意識が戻り、誰かの腕に抱えられている事に気付く。
 「っ要!?」
 「ちっ・・なんなんだよこれ!!」
飛ばされまいとし、僕を力強く抱えながら今にも飛ばされそうな公先輩をも掴む要。僕も必死で透くんの腕を掴む。
 「天宮先輩!!」
 「っつ・・透くんっ絶対手を放さないで下さいね!!」
 「ちっ」
 「っ裕貴!!!!」
あとどれくらいこの状態が続くのだろう。風は止むどころか強まるばかり。


 “応え・・・応えろ。・・・・っ頼む・・・応えてくれ・・!!”


戒斗を助けてくれ・・・!!失くしたくないという必死の懇願。こんなに一生懸命になるなんてそんなに失くしたくない人なの・・?
 「っ彗!!?」
 「え・・?」
要の悲鳴が耳を劈く。見れば光って透けていく・・・自分の身体。
 「か、要・・!!」
 「くそっ・・彗っ消えんなっ消えんなよっっ!!!!」
 「天宮先輩・・・・っっ要先輩っ!!?」
次々と光っては透けていく・・皆の身体。強くなる・・突風。



 “―――――応えろ”



鬼刻よ。そう耳にした瞬間、僕は意識を失った―――――


あとがきという名の言い訳。

・・・はい。怒涛の現代で御座います。――――長かった・・つか11人、かぁ・・・難しかったなぁ・・よく頑張った
なぁ・・同時進行(乾いた笑み)はい、これからどちらかというとメインで出てくる方々を一気に出しましたよ
♪名前はおいおい出てくる・・・筈です(ぇ)この鬼刻召喚が書けたのでここからやっとお話が進んでいく筈で
す。次はまた樹那国に戻りますvvさて、刹那さんも何か企んでいるようですし、葵依は無事に鬼刻を召喚す
る事が出来るのでしょうか・・・?