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※映画ネタですので、ネタばれが嫌な方もしくはイメージが崩されたら嫌な方はイメージを崩さないという保障は出来ませんので見ないことをオススメします。
















 「季史さん、」



私はいつでも 貴方を想うよ・・・



 はらり、ひらり



独り泣くことは簡単で

優しい気持ちで満たされて



いつまでも二人が添いながら

貴方を想い唄う



――――咲きかけの 恋の唄。



【咲きかけた唄】



こんな気持ち、本当は気づきたく・・なかった・・・


 「あの人が ・・・ 怨霊・・!?」


信じられなかった。あの人はいついつだって、暖かな人だったから。

 「神子。」
 「どうして・・・」

どうして。それしか言葉にならない。どうしてあの人が怨霊なのだろうか。どうしてあの優しい人が私の敵・・・なのだろうか。そして―――


 「どうして私がっ龍神の神子なのぉ・・・っっ!!!!」


どうしてどうしてどうして。なんで私ばかり。どうしてあの人ばかり。そんな問いばかりが頭を駆け巡る。

 「み・・」
 「あの人は私をっ『神子』とは呼ばなかった!!」

今だってすぐに思い出せる。あの柔らかな笑顔。あの穏やかな物腰。あのひたむきで澄んでいた――――優しい瞳。


 「どうして・・どうしてなのぉっ・・!!」
 「神子・・っあかね殿」


響きわたる悲痛な叫び。かえらない慟哭を私は・・・一体誰に聞かれたかったのか。




 『今、私の隣にそなたがいる。それだけでいい』




 「あの人は・・あの人は・・・っ!!」



 『 あかね 』



あの人の前でだけ、私はただの『元宮あかね』でいられた。龍神の神子ではない・・・ただの私で。


 「うっ・・・ひっく・・」


戻れない。・・・戻りたい。

あの 初めて逢った・・・雨の日に。


 「季史、さん・・・」


どうか。こんな知りたくなかった真実が、貴方の事でありませんよう。ささやかな祈りが、胸を突き刺す。

泣きつかれて眠った私に残されたのは、もうないに等しい微かな希望と・・・絶望の夜明け。



 『ふたりでなら、道に迷っても恐ろしくはないだろう』



耳の奥でこだます、大切だと思った声音。もし明日、貴方にその場所で逢ってしまったら私はどうするのだろうか。



 「行きましょう」



そう声を掛けて。着物を着替えて。あの人に逢ってしまったら、私はあの人を封印するのだろうか。それとも封印できない・・封印はしないのだろうか。でも怨霊ならば封印しなければならない。私は・・・私は・・



 「――――――嘘。」



舞殿にて不意に現れた見覚えのあるさらりとした赤毛。絶望の淵に立たされた私、暴走する貴方。でもどんな姿であろうと、貴方は貴方だから。私の大切な・・・愛しい貴方だから。

お願い。これ以上傷つかないで。寂しがらないで。私が、・・・わたしが


 「 私・・あなたと一緒にいる 」


私がずっと・・あなたと一緒にいるよ。


 「 季史さん 」


やっと、やっと名前で呼べた・・。その腕を掴んで縋るように名前を呼んで。頬を滑り落つ雫なんかに構わないで。


 「季史さん・・・季史さん、季史さん・・・・季史・・さん・・・っ」


どうして。どうして私たちは出逢ってしまったのだろう。どうしてこんな形で・・・。


哀しいほどに降り注ぐこの涙雨の中、私の懺悔は響き渡る。慟哭にも似たそれは、一体どれだけこの人の胸に届いたのだろうか。



――――――・・・、・・・。


青空が広がる。全てが終わって、京を見渡せるいつか来たこの丘で。


 「・・・大好き。」


皆が。貴方が。・・・それだけ?・・・・ううん、きっとそれだけでいい。貴方は私が覚えてる。私を貴方が覚えてる。きっとそれが一番大事。



 「 忘れないよ 」



忘れてなんて、あげないから。あの人を思い浮かべひっそりと一人呟いた言の葉は、涼しげなる風に・・・想いと共に誘われて。