想風月華
『とどかない扉まで』
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benhino3
“・・・銀”
『――――神子様・・・?』
嗚呼、あの方が泣いている。・・・神子様が―――泣いている。
『・・・何故、泣いていらっしゃるのですか・・・?』
艶やかで色鮮やかな髪に・・・透明なる翡翠。その双眸から清らか過ぎる暖かな雫を貴女は何故、惜しげもなく溢れさせるのか。
“っ銀・・・”
聞こえる。あの方の・・・哀しみに暮れた声音。それは・・・私がいなくなったから―――そう考えても・・いいのでしょうか。
『――――神子、様・・・』
私は逃げません。私が貴女を苦しめる元凶の一つだとしても、私が貴女を泣かせてしまっている事もまた・・・事実だから。
“銀・・どうして・・・”
私が最後に見た先ほどの光景が、瞼に焼きつく。私の出した条件を呑んではくれなかった・・・我が主。
やはり 私は
「――――まだ死ぬわけには いきません」
そして私はまた・・・立ち上がる。
“銀・・・”
あの方の声が聞こえる。・・・お願いです、どうか泣かないで。私は・・・貴女を愛しております。願ってはいけないという事も承知の上です。―――けれど
「・・・それでも 私は」
私は――――貴女を愛しています。愛さずにはいられない。
そして私は走り出す。哀しみに泣き暮れたとどかない扉まで。清らかなそれにこの手が・・・届くようにと祈りつつ。
扉を開く10のお題より
3,とどかない扉まで
あとがきという名の言い訳。
・・・これ、誰ですか・・?(爆)し、銀さんのイメージが・・音をたてて崩れていっている気が・・・(汗)