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【冬の欠片】」(2007/01/20 (土) 15:27:02) の最新版変更点

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<p><br>  「敦盛さんっメリークリスマス!!」</p> <p> 楽しそうな笑顔。真冬にも負けないその明るい面差しに、私は今まで 何度救われてきたのだろう…</p> <br> <p align="center"><strong>【冬の欠片】</strong></p> <br> <p> 「くりすます…?」<br>  「はいっ!!…あ、そっかぁ…敦盛さんはクリスマスって初めてなんですよね??」<br>  「ああ…この前神子が話していたものか…」<br> 私の言葉に「そうですよっ」と楽しそうな声音が 耳朶を掠める。</p> <p>…ここは神子の世界。そこで私は今 この世で一番清らかな人の隣りにいる。<br> この夢のようで夢でない現実に、私は…言ってしまうと 今でも信じられない気持ちだ。<br> ……でも…<br>  「じゃあ今年は“ホワイトクリスマス”になるといいですね」<br>  「ほ、ほわいと…?」<br> 貴女が私に微笑みかけてくれるから。<br> 優しい面差しを 私に向けてくれるから。その笑顔が この夢のような時間が嘘ではない事を教えてくれる。<br>  「雪の降るクリスマスの事を“ホワイトクリスマス”っていうんですよ」<br>  「そう、なのか?」<br>  「はいっ」<br> 降ったらすごくロマンチックですよね。<br> 降らないかなぁと空へと視線を投げる少女に倣い、私も一緒に空へと視線を向ける。<br>  「本当に……もう冬なんですね」<br> 何かを懐かしむように ひとつひとつの言葉を愛しそうに紡ぐ少女。ふと空から視線を外し そのまま少女へと向ければ、少し寒そうに体を強張らせていた。<br>  「……神子、寒くないか…?」<br>  「え?大丈夫ですけ…っくしゅ!!」<br> 私の問いに大丈夫だと答えつつ、小さくくしゃみをする神子。このままでは風邪を引く事は確実だろう。私は急いで自分の上着を脱いで 少女に羽織らせる。<br>  「ないよりはましだろう…」<br>  「こ、これじゃあ敦盛さんが風邪引いちゃいますよ!!」<br>  「…私はそんなに寒くない」<br> 慌てる少女に小さく笑みを零し、私が言う。それでも神子は徐に私の手を取り<br>  「手もこんなに冷たいじゃないですか!!」<br> と 困惑気味に私に言う。<br>  「…て、手を……。神子、私に触れてはいけな…」<br>  「大丈夫ですよ。それに、こっちの方が温かいじゃないですか」<br> 私って子供体温なんですよね。<br> 触れてはいけないと言っても 平気だと言って笑う少女。あまりに無邪気に微笑ってみせるから、どうしたらいいのか 尚更分からなくなってしまう。</p> <br> <p> 「――――敦盛さんは遠慮しすぎですよ」<br>  「…え?」</p> <br> <p> 突然の神子の言葉。目を丸くして視線を向ければ、苦笑気味に私を見る 少女の瞳。何がと問えば 無意識でやってるんですねと、また苦笑される。</p> <p> 「まぁ今は私が繋ぎたくて繋いだんですから 敦盛さんは気にしないで下さい」<br>  「だ、だが…」<br>  「ね?」</p> <p>顔を覗き込むようにして私を見つめる二対の翡翠。<br>  「迷惑、ですか?」<br>  「ぇ…い、いや…そうではないが」<br> 少し悲しそうに瞳を伏せた少女。そんな顔はさせたくなくて、私は思わずぎゅっと握っていた手に力を込めてしまう。<br>  「…っ…敦 盛、さん…?」<br>  「あ、すっすまない…!!」<br> 自分の思いがけない行動に困惑し 私は一人で慌ててしまう。どさくさに紛れてその拍子に振りほどいた手を 少女はもう一度掴み、微笑いながら私のそれへと指を絡ませた。</p> <p> 「神、子…?」<br>  「―――もう少しだけ、このままで」</p> <p>好きです、貴方の事が。<br> 大好きなんです。そう呟いて私の手を握り 頬を紅く染める少女。<br> 呆然とその姿を見つめ、私は一人思考を停止していた。<br>  「敦盛さん?」<br> 神子が…私を?そんな夢のような事、本当にあるのだろうか。<br>  「本当、に 私を…?」<br>  「………はい、」<br> 私の問いに柔らかく微笑みかけてくれる…暖かな翡翠。</p> <p>嗚呼、私はなんて</p> <p><br>  「………っ私も、神子が…」<br>  「敦盛さん…」</p> <p><br> ―――――幸せ者なのだろう。</p> <br> <p>「わぁっ綺麗ー…」</p> <p> 見てください敦盛さんっ!!そう私に呼び掛けた少女に淡く白く降り注いだ冬の欠片。神子の元へ舞い降りるあの雪のように降り注ぎ、そして積もり溢れるこの想いは きっといつまでもどこまでも貴女に寄り添うのだろう。<br> 雪にはしゃぐその姿が愛しくて、たまらず私は その細い肩を抱き寄せたのだった…――――</p> <br> <p><br> ―END―</p> <p><br> あとがきという名の言い訳。<br> あーもう、いつのSSですか。クリスマスなんてとっくにすぎてるじゃないですか∥orz 遅れてしまってほんっとーにすみません!!!!今年のクリスマスこそは ちゃんとUPできるよう精進いたします(涙)<br></p>

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