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「『それでも貴方は微笑んで』」(2006/07/30 (日) 20:51:48) の最新版変更点
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<p><br>
―――――光。</p>
<p>柔らかき翡翠に
色鮮やかな髪。貴女はいつだって美しく、誰に対しても慎ましく
微笑んでいる。まるで・・・穏やかな野に咲く
一輪の花のように。</p>
<br>
<p align="center"><br>
<strong>『それでも貴方は微笑んで』</strong></p>
<br>
<p><br>
酷く寂れた
美しき空。苦痛を伴うこの地とは違い、その無邪気な蒼さは
自由すら包み込んでしまいそうなほどで。鮮やかなその景色は、この手にある罪すら
飲み込んでしまい・・・毅然と 面を上げる。</p>
<p> ・・・あぁ、今日もまた憎らしいほどに
あの空は青々としていて。</p>
<p><br>
「――――――神子様、こちらにおいででしたか」</p>
<p><br>
ふいに降り注ぐ 柔らかな声音。振り返らず
背後に現れたいつもと同じ穏やかな気配に、私はそっと笑みを零した。</p>
<p>「・・・また 見つかっちゃったね」</p>
<p>また私の負けか・・と苦笑をもらしながら
私は隣へ移動してきた美しき白銀を見上げる。優しい微笑を浮かべるその人は
ただただ「私の全ては
神子様の為にありますから」と私を見つめ。そして私はまた、自分の敗北を改めて感じる。</p>
<p> 「神子様?」<br>
「・・・なんでもないですよー・・・」</p>
<p>
―――――なんだか悔しい。無性に悔しい。そんな風に思うくせに
心の何処かで嬉しいと感じる自分がいる。</p>
<p><br>
(惚れた弱みってこの事かな・・・)</p>
<p><br>
なんかずるい。私ばっかりこんなに嬉しくって。私ばっかりこんなにどきどきして。なんか・・・なんか・・・</p>
<p><br>
「・・・・・なんか不公平・・」<br>
「何が・・・ですか??」<br>
ぼそりと漏らした独り言。きょとりと私を見つめる目に、本当にこの人は
私の気持ちを知らないのだろうか?という疑いが私の胸に芽生えてしまう。・・・最も
知っていたとしたら・・相当な確信犯だろうけど。</p>
<p> 「ううん、なんでもないよ??」<br>
そう言って
私は何事も無かったかのように跳ね上がるようにして立ち上がる。それに続いて
日の光を受けてきらきらと光る白銀が――――揺れる。<br>
「帰ろっか?」<br>
「・・・はい」<br>
譲くん、今日のご飯は何作ってるのかなぁ?と微笑いながら
私は前へと進む。</p>
<p><br>
(・・・本当に、平和。)</p>
<p><br>
ふいにぽつりと心の中でもらした独り言は
現在の平泉を的確に現していて。私の隣で穏やかに微笑ってくれるこの青年は、一体どれだけ
疲れた私の支えになってくれているか知れない。</p>
<p> 「・・・銀」<br>
「はい」</p>
<p>
立ち止まる青年を小走りに追い抜き、くるりと振り返ると
私はにっこりと笑顔を浮かべた。</p>
<br>
<br>
<p> 「――――ありがと」</p>
<br>
<br>
<p>さぁっと風が吹き抜け、刹那に
世界が止まる。なんで急に「有難う」なんて言いたくなったかなんて分からない。でも
なんとなく・・・言わなきゃいけないような気がしてた。</p>
<p>
青年は驚いたかのように目を見開き、私を見つめる。そして何度か瞬きして
青年は「・・・はい」と
花が綻ぶように柔らかな微笑を、とても嬉しそうに零した―――</p>
<br>
<br>
<p><br>
・・・まさか「有難う」と言われるとは思っていなかった。その名のとおり
満月のように美しい微笑を浮かべ、私には
勿体無いくらいの言葉を授けてくれた。</p>
<p><br>
「・・・はい」</p>
<p><br>
そういうだけで 精一杯だった。胸が
苦しかった。・・・・嬉しかったから。</p>
<br>
<p> 「神子様」</p>
<br>
<p>有難う。それは私こそが
貴女へと向ける言葉です。いつもいつも・・・私は
貴女をお守りできることを誇りに思います。</p>
<p><br>
「銀」</p>
<p><br>
鈴の転がるような声音。 柔らかな 微笑。 ・・・ 暖かな
人。<br>
嗚呼、私はきっと――――</p>
<br>
<p>
そして私は歩き出す。いけないとは分かっていても、その手をとって
前へと進む。</p>
<p> 「しっ銀!?」</p>
<p>貴女の慌てた声音。紅く染まった頬。</p>
<p> 「はい?」</p>
<p>小走り気味の貴女に歩調を合わせ
少しずつ、歩いていきましょう。</p>
<p> 「はいってその・・・手・・」<br>
「手がどうかなさいましたか?」</p>
<p>きゅっと小さな手を握る力を込めて、私は少し
笑みを浮かべた。<br>
「そろそろ暗くなってきましたので
逸れないようにと思ったのですが・・」<br>
「・・・もういいです・・」<br>
諦めたかのような言葉が聞こえると同時に
暖かな手の温もりに静かに握り返される。私は思わず
口元が緩むのを感じた。</p>
<p><br>
「では、参りましょうか」<br>
「――――はい」</p>
<p><br>
そして私たちは
暗がりの道を真っ直ぐと見据える。・・・これから起こる事にも逃げずに立ち向かおうと、心の中に
決意を秘めて――――</p>
<br>
<p>END</p>
<p>あとがきという名の言い訳。<br>
はい、お初☆銀でっす♪あはははははー・・・誰だよこいつら。(聞くな)<br>
・・・実はこれ、管理人のお友達である咲紅羅様に捧げるお誕生日リクの筈・・・・なんですが!!管理人が不甲斐ないばかりに
お誕生日から相当過ぎてしまいました。咲紅羅様っっ本当にごめんなさいですっっ!!(ジャンピング土下座/ぇ)こんなSSで宜しければ貰ってやって下さい。<br>
お持ち帰りは 咲紅羅様のみOKです!!<br></p>
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―――――光。</p>
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柔らかき翡翠に色鮮やかな髪。貴女はいつだって美しく、誰に対しても慎ましく微笑んでいる。まるで・・・穏やかな野に咲く一輪の花のように。</p>
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<strong>『それでも貴方は微笑んで』</strong></p>
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酷く寂れた美しき空。苦痛を伴うこの地とは違い、その無邪気な蒼さは自由すら包み込んでしまいそうなほどで。鮮やかなその景色は、この手にある罪すら飲み込んでしまい・・・毅然と
面を上げる。</p>
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・・・あぁ、今日もまた憎らしいほどにあの空は青々としていて。</p>
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「――――――神子様、こちらにおいででしたか」</p>
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ふいに降り注ぐ
柔らかな声音。振り返らず背後に現れたいつもと同じ穏やかな気配に、私はそっと笑みを零した。</p>
<p>「・・・また 見つかっちゃったね」</p>
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また私の負けか・・と苦笑をもらしながら私は隣へ移動してきた美しき白銀を見上げる。優しい微笑を浮かべるその人はただただ「私の全ては神子様の為にありますから」と私を見つめ。そして私はまた、自分の敗北を改めて感じる。</p>
<p> 「神子様?」<br>
「・・・なんでもないですよー・・・」</p>
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―――――なんだか悔しい。無性に悔しい。そんな風に思うくせに心の何処かで嬉しいと感じる自分がいる。</p>
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(惚れた弱みってこの事かな・・・)</p>
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なんかずるい。私ばっかりこんなに嬉しくって。私ばっかりこんなにどきどきして。なんか・・・なんか・・・</p>
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「・・・・・なんか不公平・・」<br>
「何が・・・ですか??」<br>
ぼそりと漏らした独り言。きょとりと私を見つめる目に、本当にこの人は私の気持ちを知らないのだろうか?という疑いが私の胸に芽生えてしまう。・・・最も知っていたとしたら・・相当な確信犯だろうけど。</p>
<p> 「ううん、なんでもないよ??」<br>
そう言って私は何事も無かったかのように跳ね上がるようにして立ち上がる。それに続いて日の光を受けてきらきらと光る白銀が――――揺れる。<br>
「帰ろっか?」<br>
「・・・はい」<br>
譲くん、今日のご飯は何作ってるのかなぁ?と微笑いながら私は前へと進む。</p>
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(・・・本当に、平和。)</p>
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ふいにぽつりと心の中でもらした独り言は現在の平泉を的確に現していて。私の隣で穏やかに微笑ってくれるこの青年は、一体どれだけ疲れた私の支えになってくれているか知れない。</p>
<p> 「・・・銀」<br>
「はい」</p>
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立ち止まる青年を小走りに追い抜き、くるりと振り返ると私はにっこりと笑顔を浮かべた。</p>
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<p> 「――――ありがと」</p>
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さぁっと風が吹き抜け、刹那に世界が止まる。なんで急に「有難う」なんて言いたくなったかなんて分からない。でもなんとなく・・・言わなきゃいけないような気がしてた。</p>
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青年は驚いたかのように目を見開き、私を見つめる。そして何度か瞬きして青年は「・・・はい」と花が綻ぶように柔らかな微笑を、とても嬉しそうに零した―――</p>
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・・・まさか「有難う」と言われるとは思っていなかった。その名のとおり満月のように美しい微笑を浮かべ、私には勿体無いくらいの言葉を授けてくれた。</p>
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「・・・はい」</p>
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そういうだけで
精一杯だった。胸が苦しかった。・・・・嬉しかったから。</p>
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<p> 「神子様」</p>
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有難う。それは私こそが貴女へと向ける言葉です。いつもいつも・・・私は貴女をお守りできることを誇りに思います。</p>
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「銀」</p>
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鈴の転がるような声音。 柔らかな 微笑。 ・・・
暖かな人。<br>
嗚呼、私はきっと――――</p>
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そして私は歩き出す。いけないとは分かっていても、その手をとって前へと進む。</p>
<p> 「しっ銀!?」</p>
<p>貴女の慌てた声音。紅く染まった頬。</p>
<p> 「はい?」</p>
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小走り気味の貴女に歩調を合わせ少しずつ、歩いていきましょう。</p>
<p> 「はいってその・・・手・・」<br>
「手がどうかなさいましたか?」</p>
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きゅっと小さな手を握る力を込めて、私は少し笑みを浮かべた。<br>
「そろそろ暗くなってきましたので逸れないようにと思ったのですが・・」<br>
「・・・もういいです・・」<br>
諦めたかのような言葉が聞こえると同時に暖かな手の温もりに静かに握り返される。私は思わず口元が緩むのを感じた。</p>
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「では、参りましょうか」<br>
「――――はい」</p>
<p><br>
そして私たちは暗がりの道を真っ直ぐと見据える。・・・これから起こる事にも逃げずに立ち向かおうと、心の中に決意を秘めて――――</p>
<br>
<p align="right">END</p>
<p>あとがきという名の言い訳。<br>
はい、お初☆銀でっす♪あはははははー・・・誰だよこいつら。(聞くな)<br>
・・・実はこれ、管理人のお友達である咲紅羅様に捧げるお誕生日リクの筈・・・・なんですが!!管理人が不甲斐ないばかりにお誕生日から相当過ぎてしまいました。咲紅羅様っっ本当にごめんなさいですっっ!!(ジャンピング土下座/ぇ)こんなSSで宜しければ貰ってやって下さい。<br>
お持ち帰りは 咲紅羅様のみOKです!!<br></p>
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