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押しかけメイドモノ企画 シナリオデータ


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■押しかけメイドモノ企画 シナリオデータ
ここでは押しかけメイドモノ企画のシナリオデータを保管します。

【1日目/日曜日】
 全くどうなっているんだ。親は1週間の旅行に行くし、弟も3日前から帰ってこない。
 家には僕一人。何もする事はない。
 とりあえずテレビでも観ていよう。

 適当にチャンネルを変えて面白そうな番組に合わせる。
 ……暇だ。凄く暇だ。

 あーあ、何か面白い事でも起きないかな。
 はぁ。
 溜息を吐く。空しい。

 と。

 バリン!
 非常に危険な音が鳴った。
 おかしい。この家には誰もいない……ハズ。
 音のした僕の部屋へと行ってみることにする。

 行ってみると、僕の部屋の窓ガラスが見事に砕け散っていた。
 他にもおかしな事が起こっているとすれば、変な格好をした女の子がいるくらいか。

 え?

 女の子?

 いや待て待て。女の子が窓ガラスを割って侵入?

【?】「参りましたね。ここは誰の家なんでしょう」
 参ったのはこっちだ。この非道い有様をどうしてくれる。
【?】「!! 誰ですか?!」
【木下夕】「聞きたいのはこっちなんですが」
【?】「あ……そうですね。私が勝手に入ってきたんですものね。えーと、私の名前は姫野玲です」
【夕】「そうですか、僕は木下夕です。ていうか、この惨状何なんですか。あなたは一体何がしたいんですか」
【玲】「いや、何て言うか逃げてきました」
【夕】「意味がわかりません。何故逃げるなら僕の家に入ってくるんですか。しかも、窓ガラスまで割って」
【玲】「適当に人のいなさそうな家に隠れようと思いまして」
【夕】「何で逃げてるんですか」
【玲】「ごしゅ……あのヤローがまた今夜も卑猥な事をしてくるのです!」
【夕】「はぁ……。誰がですか」
【玲】「雇い主です。私達は今夜もヤラれるのです。だから逃げてきました」
【夕】「はぁ……。で、どうするの?」
【玲】「かくまってください。何とかしてください」
【夕】「その前に僕が何とかしてほしいんですけど。特に窓ガラスとか窓ガラスとか」
【玲】「あぁ!すいません。直します。だから……」
【夕】「いいですけど、この家には僕しかいないから特に何もできませんが」
【玲】「とにかく隠れられたらいいんです!」

 そう言うと、姫野さんは明らかにそれで割っただろうという箒で部屋を掃いていく。
 慣れているのか箒で掃く姿はとても似合う。綺麗。このまま絵に出来るくらい。
 あ、服装はおかしな気がするけど。

 そういやあの服テレビとかで視た事があるような。何だっけ。

【玲】「はい、終わりましたよ」
【夕】「早っ」
【玲】「こんなの簡単ですよ。慣れてますから」
【夕】「慣れてるって、主婦ですか?」
【玲】「いいえ。メイドです、メイド。今はもう“元”ですけど」

 え?え?
 メイド?そんな職業本当にあるのか?

【夕】「じゃあ、その服は……」
【玲】「そうです。メイド服です」
【夕】「うわぁー……」
【玲】「何ですか。どうかしましたか?」

 軽く引いた。コスプレじゃなく、本物だったのか。
 こんなフリフリを普段から着てるなんて。

【夕】「いや、なんていうか」
【玲】「変ですか?」
【夕】「変じゃないけど何か……」
【玲】「はぁ。とにかく窓はダンボールで一時的に塞いでおきますけど」
【夕】「ダンボールを持ってこいと?」
【玲】「ガムテープも忘れないでくださいよ」
【夕】「はいはい」

 アレ?メイドに命令されてないか?
 ……まあいい。仕方ない。とりあえず今はダンボールとガムテープ。

 居間に中元か何かのダンボールがあったはずだけど……、あった。

 ガムテープは押し入れのこの辺に……、ゲホゲホ。埃が凄いけどあった。

 よし、戻ろう。

【夕】「二つともあったよ」
【玲】「ありがとうございます」

 姫野さんにダンボールとガムテープを渡すと、動きにくそうなメイド服を揺らしながらテキパキとダンボールを貼り始めた。
 仕事が早いな。デキる女って感じ。いや、ちょっと違うか。

【玲】「はい、出来ました。暫くはこのままで我慢して下さい」
【夕】「そうする……。で、僕はテレビでも観てようと思うけど、姫野さんは?」
【玲】「あ、私もそうします。それと、姫野でいいですよ」
【夕】「え?うん、わかった。僕も木下でいいよ」

 いきなり呼び捨てでいいのか。よくわからないな。

 という訳で、姫野と一緒に居間に戻ってきた。

【夕】「僕はお笑いのを観ようと思うけど姫野は?」
【玲】「私は何でも良いです」
【夕】「あ、そう。じゃあそれにするね」

 ………。

 …………。

 ………………。

 うわぁ、お笑いを観てるハズなのに何故か気まずい。

【夕】「このコンビ面白いよね」
【玲】「よくわかりませんが、ウケてるようですね」

 あ、しまった。メイドだったんだからテレビなんて観てる訳ないよな。
 何をしてるんだ、僕。

【夕】「……何か食べる?」
【玲】「いいです」
【夕】「でも、もう12時過ぎてるよ」
【玲】「まだお腹減ってませんから」
【夕】「そう?僕はカップ麺でも食べてるけど」

 会話が続かない。どうしようか、とヤカンに水を入れながら考える。

【玲】「何をしてるんですか。それくらい私がやりますよ」
【夕】「え?」
【玲】「私がしますから」

 ヤカンを取り上げられ、キッチンから居間に戻される。
 世話焼きだな。メイドだったし、仕方ないか。

【夕】「まだー?」
【玲】「今からお湯を入れますからあと3分です」

 カップ麺の上に箸を乗せて姫野が戻ってきた。
 何だか違和感がある。カップ麺とメイドはおかしすぎる。

【玲】「どうぞ」
【夕】「ありがとう。でもこんなことまでしなくていいのに」
【玲】「いや、いいんです。元々メイドですし」
【夕】「はぁ……」

 目をテレビの方に向けて3分間待つ。
 その間も会話無し。凄く気まずい。

【夕】「さて、食べるか」

 はぁ。テレビの音声だけが返事をしてくれる。
 さっきから姫野はじーっと目を動かさずテレビの画面を睨むだけ。
 何この状況。

【玲】「美味しいですか?」
【夕】「そりゃ市販品だから舌に合うようにはなってるけど」
【玲】「夕飯は私が作ってあげますよ?」
【夕】「ほんと?」
【玲】「ええ、二人分なんて余裕です」
【夕】「ありがとう。野菜とかはまだ残ってるはずだから」
【玲】「買い物は行かなくていいんですね」
【夕】「うん」

 これで栄養の偏りは防がれた。姫野が作るなんて言うとは思わなかったけど。
 とりあえず良かった。夕飯は心配要らない。


 で、夕方5時。
 冬だからか、既に辺りは暗い。月もうっすらと見える。

【玲】「お腹が空いてきました」
【夕】「僕はちょっと空いてるかな」
【玲】「では、そろそろ夕飯の仕度を始めます」
【夕】「早くない?」
【玲】「いいえ。これくらい早くからでないと美味しく作れませんから」
【夕】「へぇ、そうなんだ。って、どんな料理を作ろうとしているの?」
【玲】「残ってる食材を見てみないと分かりません」
【夕】「じゃあ、冷蔵庫を見に行こう」
【玲】「はい」

 居間から近い台所なのかキッチンなのかにある冷蔵庫の前。
 姫野が一歩前に出て冷蔵庫を開ける。

【玲】「失礼します」
【夕】「どうぞ」

 冷蔵庫の中の食材はまだまだ残っている。
 玉葱、じゃが芋、人参……。とにかくいっぱい。

【玲】「これなら美味しい料理が出来ますよ」
【夕】「そうか。期待してるよ」
【玲】「はい。期待してて下さい」

 キッチンに姫野を残し、居間でテレビの続きを観る。
 テレビの画面にはアナウンサー。スラスラとニュースの内容を喋っている。
 夕飯の用意ってどれくらいかかるのかな?
 一人で居間にいると空しくなってくる。ベタだけど手伝いに行こうかな。

 ……うーん。
 よし、やっぱり手伝おう。

【夕】「ねぇ、姫野。何か手伝えることない?」
【玲】「気持ちだけで十分ですよ」
【夕】「いやでも」
【玲】「木下に苦労をかける訳にはいきませんから」
【夕】「どうして?」
【玲】「世話をかけてますから」
【夕】「そんなこと。いいよ別に」
【玲】「私なりの恩返しですよ。だから私にやらせてください」
【夕】「じゃあ、見ててもいいかな」
【玲】「え……、ま、まぁそれくらいなら」

 ちょっとだけ驚いた顔をして料理を再開する姫野。
 やっぱり慣れている。包丁裁きが違う。料理人姫野、みたいな。
 どんな料理が出来るんだろうか。

 フライパンで野菜を炒め、鍋に入れて、スパイスを取り出し……。
 あ。

 カレーライスか。結構好きなんだよな。

【夕】「カレー?」
【玲】「分かりましたか?」
【夕】「スパイスを出した辺りから」
【玲】「そうですか」
【夕】「料理上手いね」
【玲】「まあメイドですから」
【夕】「はは」
【玲】「じゃ、後は煮込んでルーを入れるだけなのでテレビでも観ていましょうか」
【夕】「え、テレビ観るの?」
【玲】「観たい番組があるので」
【夕】「メイドでもテレビって観るんだ」
【玲】「当たり前じゃないですか。娯楽無しでは生きていけませんよ」
【夕】「そ、そうだよね……」

 もっと堅いイメージだったよ。
 とか思いながらテレビを点けっぱなしにしてある居間へ。

【夕】「で、何を観るの?」
【玲】「日曜日にやってるニュース番組です」
【夕】「ああ、あれか……」

 そそくさとテレビの前に正座する姫野。何だか面白い。
 元メイドでも、メイドが日曜日の庶民が観る番組を観てるなんて。