「クドリャフカの順番」が真っ先に頭に浮かんで頭を抱えたが、どうせ一番紹介したい春季限定いちごタルト事件も不可なので米澤氏はいいや。やあ、だから早く秋季限定洋梨ゼリー事件(適当)出してくださいね。寝言はやめてそろそろ本題に入りましょうか、例によって未読棚から引っ張り出してきたのは「アルジャーノンに花束を」のダニエル・キイス作品なので安心して読んだのですが。
がっかりした、というのが本音。ノンフィクションとして基本的にはキイス氏本人の一人称で書いてあるのだが、有り体に言って事件描写が対岸の火事で、まるで読んでいて緊張感がない。いや、上巻を読んでいてこの企画でなければ投げ出そうかと思った。
単純に言ってしまうとこれは斉藤由紀の解説が端的にあらわしている通り、精神障害を抱えた女性が真実を思い出す……いや、ここは英語タイトルを彼女に習って引っ張ってこよう。うん、Unveiling Claudiaが原題であり、ベールを剥ぐ、というそのまんまの意味です。すこし読者の方から目線がそれて、クローディアの為に書かれた本とでも言えばいいのだろうか、あるいは氏のノンフィクションの才能はその程度のものなのか、とにかく続きを読ませよう、というようなサービス精神がない。
一体これはどういう本なのか、というと結局はキイス氏が2年以上だかかけてクローディアから話を引き出しました、という話に過ぎない。いや、その話が面白ければまだ救いがあるんですが、いかんせん「24人のビリー・ミリガン」を書いてしまった著者の出す本ではない、というのが正直なところであり残念な読書であったわけです。少しは良いところがないものか、と探してみたのですが、ぶっちゃけた話斉藤由紀の解説くらいしか私にとって楽しめるところはありませんでした。
単純に既読の面白い本を紹介する方がお互いハッピーかもしれませんが、しかししりとりリレーだからこそ読む本、というのもあってなかなか難しい。
ifさん、ではそのまんま「く」でお願いしたく。