ニホンジカが森林生態系に与える影響に関する研究

研究項目

  • ニホンジカの個体数変動の統計的モデリング
  • ニホンジカによる食害が発生しやすい条件の解明

ニホンジカの個体数変動の統計的モデリング

関連論文

本項目に関する詳細な内容は、
  • Iijima, H., Nagaike, T., and Honda, T. In press. Estimation of deer population dynamics by Bayesian state-space model with multiple abundance indices. Journal of Wildlife Management.
を参照して下さい。

はじめに

ニホンジカを直接観察することは難しい。そのため、ニホンジカの個体群動態を明らかにするためには、ニホンジカの密度と相関すると考えられる各種指標を調査することが一般的である。

しかし、これらの指標と個体数の関係は不明であることが多い。また、指標間で傾向が一致しないこともある。そのため、複数の指標を同一のモデルで統一的に扱う必要がある。さらに、これらの指標を全ての地点で測定することは不可能であるが、県全域の個体群動態を明らかにするためには、欠測箇所についても推定を行う必要がある。

そこで、本研究では複数のニホンジカの個体群密度指標からニホンジカ個体群の動態を推定する一般化状態空間モデルを開発した。

材料と方法

山梨県は、216個の狩猟メッシュ(約4.6×5.5km)に分割される。この狩猟メッシュごとに得られた、以下のデータを用いた。
  • 出猟カレンダー:ある年あるメッシュに狩猟者が出猟した際、出猟日×人、観察したシカ個体数、捕獲したシカ個体数を記録した物。
  • 総捕獲数:上記の捕獲数に、出猟日×人(捕獲努力量)が不明な捕獲数を加えた物。
  • 糞塊密度:固定のルート(36箇所)を歩き、発見した糞の塊の数をカウントする。
  • 区画法:調査者が固定範囲を歩き(10箇所)、発見したシカ個体数を記録する調査。

モデル

上記のデータを用い、以下のような状態空間モデルを構築した。

【観測方程式】


【システム方程式】


結果と考察

(注!この結果は飯島独自の計算に基づく物であり、山梨県公式の見解ではありません)
山梨県のニホンジカ個体群密度を、狩猟メッシュごとに推定できた。

推定の結果、山梨県のニホンジカの個体数は毎年増加しており、特に北西部および西部で個体数が多くなっていることが明らかになった。

本研究は、出猟カレンダー、糞塊密度、そして区画法のデータという、比較的少ないデータから場所別のニホンジカ個体群密度の時系列変化を推定できたところに特徴があると言える。そのため、様々な都道府県で応用が可能であると考えられ、ニホンジカの個体数管理に寄与できると考えられる。


ニホンジカによる食害が発生しやすい条件の解明


添付ファイル