8823 【投稿日 2006/01/14】

カテゴリー-笹荻


とある冬の日。げんしけんの部室に笹原と咲が居た。
咲 「ねー、笹やん、どう?ラブラブ?」
笹原「やー、はは……まあ、普通だよ」
咲 「あれでしょ、年下の彼女だと甘えん坊で困っちゃうな~ み・た・い・な?」
笹原「うーん、むしろ全く甘えてくれないんだけど(苦笑)」
咲 「えー、二人の時もあんま変わんないの?面白くないな~アレ買ってコレ食べたいとかさ」
笹原「何か欲しいものあるか聞いても 特に無いデス で」
咲 「ディズニーランドとかショッピングに休日行きたがるとか」
笹原「……言われたこと無いけど、どうなんだろうねぇ」
咲 「一緒に帰れないとイジケてふくれちゃうとか?」
笹原「それは――」
ガチャ。
荻上「あ、こんにちは」
笹原「やー、今日は授業終わり?」
咲 「オギー、ラブラブかーい?」
荻上「ラブ…!フツーですよ!あ、授業はまだ2つ有りますので、今日は帰っておいて下さい」
笹原「ん、了解りょーかい」
咲 「ほんとフツーだぁ……」
笹原「ねぇ……」

その夜。
荻上『なんか喉が痛いような…』
笹原に「今日は風邪っぽいからもう早寝します。おやすみなさい」とメールを送っておく。
荻上『笑ゴールドでオリエンタルテレビだけチェックしたらもう寝るかぁ』
布団に入ったところから半纏を着て、TVをつける。

荻上『はあ…声ぐらい聞きたいなぁ』
~~~♪
電話の着信メロディーが鳴る。個別指定してあるからすぐわかる。
荻上「あ、もしもし……すみません、ちょっと喉が……」
確かに、ちょっと喋りづらそうだ。
荻上「いえ、いえ、……ありがとうございマス。ではおやすみなさい」
荻上『喋りづらいとはいえ、素っ気無かったかな(汗)』
ちょっと後悔しつつTVを眺めていると―――。
「デンデンデンンデ……」「あっちゃんカッコイー!」「カッキーン」
このコンビ、眼鏡の相方が抱きしめてるんですけど…!
そして軽くワープ。
それから3時間、鉛筆を走らせる荻上だった。

翌朝目が覚めると、喉がふさがっているような感触。暑くて寒くて体が重い。
荻上『本格的に風邪とは…今日一日寝てりゃ治るかな』
引越しの時に実家から持たされた木製の救急箱を押入れの下から出してくると
体温計を取り出した。ヒヤリとした感触にビクッとなりながら脇に挟む。
ボーっとしばし待つと…ピピッピピッという電子音。
37.6度だ。
笹原に
「今日は風邪っぽいので寝ます。感染したらいけないし、寝てるので来ないで下さいね」
とメールを送る。
荻上『迷惑かけらんねぇもんなぁ。風邪をうつしてもいけないし』
今日は風呂にも入ってないし、机には昨日描き散らかした絵が散乱している。
笹原だけには見られたくない状況ではある。片付ける体力は無いし。
そして食パンとオレンジジュースだけ採ると、救急箱の風邪薬を飲んで寝るのだった。
目が覚めると部屋は真っ暗。

荻上「はー……」
トイレに立つが、よろめいている。
布団に戻って携帯を見ると、メールが返って来ている。
「了解です。ホントお大事に。どうしても悪かったら言ってよね。すぐ行くからね」
今までの交友関係では携帯メールに不慣れだったぶん、いつも短文だ。
しかしそれは荻上も同じこと。
荻上『せっかくの休日が……はぁ…寝よ………』
それから、意外なほど深く眠ってしまったようだ。
目を覚ますと部屋は暗くなっていた。
体温計はベッドの所に置いているので測ってみる。
38.2度。
荻上「うっ」
もう日曜も寝込みそうだ。
真っ暗な窓の外を見ると、1日が終わった実感が強くなる。
荻上『寂しいなぁ……笹原さん……』

ピンポーン。不意に呼び鈴が鳴る。
荻上『まさか、笹原さん!?』
一瞬、思わず笑顔で扉の方に振り向く荻上だったが
荻上『いやいや、もしそうだとしてもそんな急に、この状況じゃ駄目だって』
玄関にヨタヨタと歩いていく。
荻上「は…はーい……」
覗き窓から外を見ると、見知らぬ女性が二人。
女性「すみませーん、世界の平和について―――」
荻上「間に合ってます!!」
喉が痛いのに叫んでしまった。
荻上「うう………喉が……」

冷蔵庫からお茶を出すと、コップに注いで飲む。
流石に昨日からの食器が流しに溜まってきた。
荻上『これじゃ駄目だなぁ。でも、仕方ないか、風邪だし』
布団にもぐりこむと、枕元の携帯から歌が流れる。
~~~♪
荻上『笹原さんだ!』
バッと携帯を開くと、息を整えて通話ボタンを押す。
荻上「もしもし……ええ、いえ、いえ……そうです……」
昨日よりも、声は出ていない。
荻上「………は?いえ、駄目ですよ!うつりますよ!」
荻上『うう~~~ほんとは逢いたいのに……でも、お風呂に入ってないし』
荻上「今からまた寝ますけど、合鍵使って入ったりしちゃ駄目ですからね」
荻上『しまった――。昨日描いた絵や、読みかけのBL誌や、流し台が(汗)』
荻上「ええ、ええ、ホントに具合悪かったら……はい、ではおやすみなさい」
電話を切ると、ガックリとうなだれる荻上。
荻上『眠くないけど、体は重いし、なんかあちこち痛いし…』
仕方なく、布団に入るが、TVでもつけておく。
荻上『明日朝には治ってるかなァ』

そうして一晩、寝たり起きたりして、やがて窓からに朝の光が差し込む。
汗びっしょりなのでパジャマを着替えて、体温を測ってみると…。
40度6分!
荻上『えーーーっ!これってまさか、インフルエンザ?』
ガガーーーン!
荻上『病院も日曜じゃ休みか、開いてても救急病院の窓口だろうし、それは嫌だし』
ドサッと布団に倒れこむ荻上であった。

夕方、薄暗くなった部屋に呼び鈴が響く。
しかしベッドの中の荻上は額に汗を浮かべたまま、起きる気配が無い。
枕元の携帯電話は、着信を知らせるランプが点滅している。
ガチャ…ガチャリ。しばらくしてから、玄関のドアに鍵を差し込む音がする。
笹原「荻上さん、大丈夫!?」
姿を現したのは、やはり笹原だった。手にはコンビニのビニール袋を提げている。
部屋の中は寒いとはいえ、荻上の存在によってやや甘い女の子らしい汗臭さが満ちていた。
ベッドの上で目を覚まさない荻上を見ると、荷物をソファの上に投げて駆け寄る。
笹原「すごい汗だし」
右手で汗で張り付いた前髪をかき上げると、そのまま額に掌を当てる。
笹原「熱っ……」
荻上「………んぅ」
額に触れる笹原の手の下で荻上のまぶたが開き、黒い瞳が笹原の方に彷徨う。
荻上『頭に手が……え?笹原さん………??体も汚れてるし、部屋が、は、恥ずかしい―――』
荻上「…だ…め……す……ょ」
笹原「え、何? 大丈夫?じゃないよね」
荻上「はず……しぃ…し」
どうやら上手く声が出せないようだ。乾いた喉に唾を飲み込むと、なんとか声を出す。
荻上「うつりますから………」
そういうと、額に伸びた笹原の腕の肘あたりをぐいと押し返す。
笹原「とりあえず病院に連れて行くよ。すごい熱だし、インフルエンザじゃないかな」
荻上「………スミマセン」
消え入りそうな声で、喉の奥でつぶやく荻上だった。
笹原「着替え手伝おうか?」
全力で首を振り、真っ赤になって拒否する荻上の姿に苦笑しつつ笹原は隣の部屋へ。

着替える荻上を待つ間、下駄箱の横にあったタウンページを見てタクシー会社に電話をする。
荻上はタンスから、服の中でも着易いトレーナーとセーター、カーゴパンツを選ぶと、
もそもそと着ている。壁に掛かったダッフルコートを羽織っていこう。
荻上『はぁ、今回は凄い迷惑かけちまって申し訳ないし、部屋を見られちまうし………』
そして隣から聴こえてくる笹原の電話の声。近場の病院に電話している。
荻上『でも、やっぱりいざとなると頼もしいなぁ……かっこいい~~~』
ちょっと嬉しそうな荻上の笑顔は、笹原に見られることは無かった。

医者「はい、インフルエンザね。熱もまだ41度あるし、隣の処置室へ行ってください」
笹原「わかりました」
ぺこりと会釈する荻上は、病院に来たことで疲労もあるようだ。
医者「あと、解熱剤とトローチ3日分出しておきます。お大事に」
年配の看護士にいざなわれると、先に立ち上がった笹原は荻上の手をとり
隣の処置室へ向かう。と、ここで荻上独りが連れて行かれる。
そう、高熱が出たときは定番の解熱剤は座薬だから―――。
荻上『うう、カーテン2枚の外には笹原さんが……』
看護士さんに服をずらされ、なすがままのうちに薬の処置は終わった。
カーテンから出てきた荻上は疲れと熱だけではなく、恥ずかしさでも顔を赤くして
うつむいたまま手を引かれて受付ロビーに戻るのだった。
笹原「最近話題のタミフルって、やっぱりインフルエンザかかってすぐじゃないと駄目みたいだね」
休日の病院なので受付ロビーや廊下の照明は少ない。
他にも救急で来ている小さな男の子と母親が、待合ベンチの逆サイドに座っているだけで
がらんとした病院は物寂しい雰囲気だ。
受付に呼ばれて笹原は支払いと薬の受け取りをしている。

薬の説明を受けた笹原が、少し赤くなって戻ってきた。
笹原「座薬って冷蔵庫に入れておくんだね」
荻上「もう使いませんから…!」
笹原「う、うん、熱が下がって使わずに済むといいよね(苦笑)」

荻上は部屋に戻ると、着替えで出てもらっている間に微かな抵抗で
昨夜描いた絵などを箱に入れるが、その疲れもあってか飲み薬の作用か、
布団に寝かし付けられるとすぐに眠りについてしまうのだった。
荻上が再び目を覚まし、携帯を見ると0時をまわっていた。
額にはジェルの入った冷却シートが乗っていた。
今日は今まで未チェックだったが、メールと電話の着信が笹原から数件有った事に気づく。
朝からメールが何度か入ってから、電話が何度か有ったようだ。
荻上『そっか、完全にダウンしてたんだなぁ(汗)』
トイレに立とうと真っ暗な部屋の中ベットから起き出すと、笹原が台所の方から入ってくる。
笹原「あ、目が覚めた?具合はどう?」
手に持ったPSPの液晶が明るく光る。
部屋の電気をつけられると眩しくて目が痛い。
枕元の眼鏡を探してかける荻上。
荻上「色々と本当にスミマセン。だいぶ楽になりましたから」
笹原「熱、測ってみようか?」
うなずいて笹原に背を向けると、荻上は胸元を開け体温計を脇に挟む。
38.1度。
笹原「うーん、まだまだ高いね…。今夜は泊まるよ」
荻上「そんな、悪いですよ。うつりますし」
笹原「看病ぐらいするよ。だって俺、彼氏なんだし、こんな時ぐらいもっと甘えてよ(苦笑)」
ボッと真っ赤になってしまう荻上。

笹原「食欲ある?何か作ろうか?」
問われて、少し考える荻上。
荻上「…いえ、まだ食欲は無くって」
笹原「何か食べたいものはある?何でも言ってよ」
荻上「……そんな、いいですから」
笹原「遠慮しないで、ほら―――。」
荻上「………アイスクリームが」
笹原「アイスだね?どんなの?」
荻上「バニラの…できれば、キャラメルのが……」
要望を出すことに対して何故か照れがある様子だ。
笹原「うん、わかったよ。じゃあ寝て待っててね。電気消すよ?」
にっこりと笑顔で答え、笹原はベッドの脇から立ち上がる。
荻上「あ、電気はつけてて下さい。ありがとうございます」
へたりと深々、頭を下げる荻上だった。
コンビニに買いに行くのだろう。笹原は出かけていった。
よく寝たので眠気はあまりない。ふらつきながらトイレに立つと
台所の食器が一応全て洗われている事に気づく。
荻上『優しい―― 笹原さん。もっと甘えてって言われても、どうしたもんか?』
すぐ下の弟のお姉さんとして育てられた荻上は、あまり甘え方を知らない。
やっぱり寝汗がひどいので、ふたたびパジャマを着替える。
荻上『笹原さん、遅いなぁ。大丈夫かな……』
まだ出てから10分ぐらいしか経っていないが、恋する乙女モード発動中のようだ。
そうしてさらに10分ぐらい待つと、笹原が帰ってきた音がした。
荻上『帰ってきた~~~』
ドキドキする荻上。

精神的には玄関にダッシュして飛びつきたいぐらいだが―――。
荻上『いやいや、ありえないし』
飛びつく自分をシミュレーションしてみるが、やはり自ら否定している。
笹原「ただいま、お待たせ」
荻上「おかえりなさい、ありがとうございます」
笹原がソファの上の大きなクッションを荻上の背中側に入れ、起き上がり易くしてくれる。
買ってきてくれたのはハーゲンダッシのカップアイス(キャラメル)。
笹原にしては奮発したようだ。
胸まで布団を被ったまま起き上がった荻上だったが、腕が寒い。
荻上『あ、思いついちゃったけど、甘えすぎのような……』
自分の思いつきに荻上は赤面しながら、布団に腕をしまう。
荻上「あ、あの……」
笹原「ん?どうしたの?アイスどうするの?」
手に持ったアイスを渡そうとしていた手を止めながら、笹原が聞いてくる。
荻上「………」
じっと笹原と視線が合って―――、
恥ずかしくて言えない台詞をテレパシーで送ろうとしているのだろうか?
その口元が、あーんと開いたのを見て笹原はようやく気付いた。。
笹原「あ、ああそうね」
笹原は急いでカップを開け、固くてスプーンが刺さらなくてさらに焦っている。
荻上『ああっ、やっぱりやめときゃ良かった』
後悔し始めたときに、笹原はようやく掬い取ると、照れた笑顔で口元にスプーンを運んできた。
ぱくっ。
美味しいし、食べさせてもらうというシチュエーションが嬉しくて
笑顔がポロリと顔から落ちるんじゃないかといった様子の荻上だ。

笹原「美味しい?」
荻上「はい」
喜色満面で答える荻上。
笹原も、介抱冥利に尽きるというものだ。
荻上『ふふふふふふ 笹原さん大好き~~~』
乙女モード継続中のようだが、言葉には出さない。
小さなカップだが、けっこう時間は掛かった。
背中に入れていたクッションを外すと、荻上はそろそろ再び寝る準備に入る。
笹原から受け取ったホットレモンを飲み干すと、荻上はまだ筋肉痛もあるだろうが
幸せそうに笹原を見続けている。
荻上『ん?笹原さんもこっちを見ている……見すぎたべか(汗)?』
近づいてくる笹原の顔の、その意図に気付いたものの荻上は素直に目を閉じた。
軽い接吻。
荻上『あ…唇の感触が気持ちいい―――』
そして荻上は笹原に頭を撫でられると、そのまま寝そうになる。
荻上『はーーー、幸せ………』
しかし、目をぱちっと開くと荻上はがばっと起き上がった。
荻上『はっ!でも、インフルエンザがうつっちまう』
荻上「だ、駄目ですよ笹原さん!すぐに口を洗ってください!インフルエンザうつりますから!」
笹原「えーーー」
荻上「早く早く!」
洗面台に向かう笹原の背中を見送ると、荻上は今度こそ安心して布団にもぐりこんだ。
戻ってきた笹原が見ると、微笑みを浮かべたまま荻上はもう眠っていた。
それを見て電気を消すと、笹原もソファーと寝袋で眠りに就くのだった。

翌朝、荻上は目が覚めるとすぐに笹原の姿を探す。
スリガラス越しに、台所に笹原の居るシルエットが見える。
ほっとした様子だ。
荻上『トイレトイレ……』
布団から出ると、昨日までよりは体が楽になったような気はするが、まだダルイ。
笹原「おはよう、まだ無理しちゃ駄目だよ」
荻上「おはようございます」
布団に戻ると、荻上は笹原が来るのを待っていた。
笹原「まずは、また熱でも測ってみようか」
37.4度。
笹原「あともうちょっとだね。食欲は?」
言われて荻上のお腹が鳴った。
荻上「あっ…あります……」
荻上『あーもう、私のお腹のバカ!』
恥ずかしさに赤くなるが、笹原には熱のせいだと見えるかも知れない。
笹原「インスタントだけど、おじや作ったんだ。ちょっと食べて薬飲もう」
荻上に半纏を着せてあげると笹原は台所からお盆を運んでくる。
今度は笹原の方から、スプーンを荻上の口に運んでくる。
荻上「あーん」
思わず声が出ているが、気付いてないようだ。
荻上『鼻が詰まってるからあんまり味がしないけど、美味しいなぁ』

荻上が食べたあと笹原も食べ終わり、台所で食器を洗いながら笹原が言う。
笹原「今日はゼミも無いし、ずっと居るからね」
荻上「あ、ありがとうございます。ほんとすみません」
荻上『わーい、やった!』
台詞と裏腹に、荻上から嬉しそうな様子が溢れている。
まあ、笹原は台所なのでそれを見ることは無いのだが。

荻上は、今までにない甘えっぷりだった。
荻上「あの、何か音楽を掛けていて下さい」
笹原「ん、分かった」
荻上「ミルクティー、ロイヤルで砂糖いっぱいのが飲みたいんですけど……」
笹原「うーん、買ってくるよ」
荻上「あ、今日発売のジャプンもお願いします」
さらにトイレに行く時は、半纏は笹原に着せてもらって、手を取ってエスコート。
そんな感じで寝たり起きたりの状態で、暗くなるまで布団で過ごした。

夕方になって体温測定。荻上は体温計を取り出して見てみた。
荻上『あ、36.3度だ。もう治ってる?』
もう筋肉痛は治っている。体も軽くなった。
荻上『もう甘えられないのは、勿体な―――』
そこまで考えると、頭を振って思い直す。
荻上『いやいや、勿体無いじゃなくて、迷惑掛けすぎだし!』
と思いつつ、ガッカリの雰囲気がちょっと漂っている。
荻上『でも、笹原さんもう帰っちゃうんだなぁ。結局居てもらっただけだし』
寂しさが募ってくる。

ソファーでジャプンを読んでいた笹原が顔を上げる。
笹原「ん?もう熱は下がった?」
荻上「はい、おかげさまで、36.3度でした。病院とかほんとご迷惑を……」
笹原「苦しかったし、動けないと大変だったよね」
荻上『さ……!ささはらさーーーーん!』
内心叫んでいる。
その荻上の大きな目が潤んでくる。ちなみに今は眼鏡。
笹原「今晩の夕食は煮込みうどんにするよ。鶏肉でいいよね」
荻上「はい、鶏肉は好きですので」
笹原「荻上さんが寝るまでは居るよ。DVD借りてきてるんだ」
荻上「…嬉しいです」
みるみるうちにニヤケてくる荻上に釣られて、笹原もニヤケてしまう。
荻上『やた!やった!』
荻上は3日も入浴してないし、いくらなんでも流石に今夜は健全に過ごすはずだ。
しかし、今後は二人っきりの時は今までより荻上は甘えるようになるんじゃないだろうか。
……まずはインフルエンザを完治させる事が肝心だ。
ちなみに笹原は、運良くインフルエンザにうつりませんでしたとさ。
最終更新:2006年01月19日 05:04