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げんしけんSSスレその3
- 1 : ◆9rae7Hwib2
:2006/01/10(火) 12:40:38 ID:FtWHL09E
- 「え〜何食ったらこんなん書けるの〜?」
「や、ちょっと!知りませんよ!いつの間にかこんな…」
「うわ文長いね〜とか言いつつ?」
「だから…やん!あっ…」
げんしけんSSスレ第3弾。
未成年の方や本スレにてスレ違い?と不安の方も安心してご利用下さい。
荒らし・煽りは完全放置のマターリー進行でおながいします。
本編はもちろん、くじアンSSも受付中。名前欄にキャラ(カプ)記載を忘れずに。
☆講談社月刊誌アフタヌーンにて好評連載中。
☆単行本第1〜7巻好評発売中。
☆作中作「くじびきアンバランス」ライトノベルも現在3巻まで絶賛発売中。
【注意】
ネタばれ含んだSSは公式発売日正午12:00以降。 公式発売日正午以前の最新話の話題は↓へ
げんしけん ネタバレスレ5
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1135204196/
げんしけん(現代視覚文化研究会)まとめサイト(過去ログや人物紹介はこちらへ)
http://ime.nu/www.zawax.info/~comic/
げんしけんSSスレまとめサイト(このスレのまとめはこちら)
ttp://www7.atwiki.jp/genshikenss/
エロ話801話などはこちらで
【椎応大】げんしけん@エロパロ板 その2【くじあん】 (21禁)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122566287/
げんしけん@801板 その4 (21禁)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1127539512/
- 2 :マロン名無しさん
:2006/01/10(火) 12:41:20 ID:FtWHL09E
- 前スレ
げんしけんSSスレその2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1133609152/
初代スレ
げんしけんSSスレ
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1128831969/
げんしけん本スレ
「げんしけん」 木尾士目 その113
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/comic/1136483176/
- 3 : ◆9rae7Hwib2
:2006/01/10(火) 12:46:35 ID:FtWHL09E
- というわけでたてちゃいました。
新スレ記念・即死回避にSS投下。
「マダやん」笹原編と言う事で、無断使用ご容赦。
- 4 :大魔王あらわる(1/4)
:2006/01/10(火) 12:48:36 ID:FtWHL09E
- 大阪府平方市、大森カズフサさん(28歳・無職)のお部屋。
「ま、お茶でも」
「……す、すいません」
「で、主人公らしいキャラになりたいと、そォ言う事で?」
「ええ、まぁ……」
「カズフサさんより数段ましな人間に見えるのは気のせいスかね?」
「だまれ金雌(ブロンダー)!!」目突き
「笹原くんは死をも辞さず己を磨くためにここを訪れたのだ!」
「そ、そうスか?それはご大層な覚悟っスねー」
「え、別にそんなご大層な覚悟があるわけじゃないんですが…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「なんかラブやんという人に『あんたここ行ってみろりん』とか言われて…」
……………………………………………………………………………………………………………………
(お、俺はどうしたら…!!)
(知んないっスよ!)
「あ、そうだ。これ…」
「はじめて名刺っての作ってみたんですよ!こういうの持つと社会人!とかその気になって来ますよね。」
……………………………………………………………………………………………………………………
「…編集?」
「はい!」
「ま、まぶしい!こ、これが伝説の新卒採用の輝き…ワタクシのような闇の住人には…とても…」
「ち、ちょっと!こんなんでダメージ受けないで欲しいっス!」
「え?あの…カズフサさんて28歳って聞いてきたんですが…」
「…ちょっといいスか?あの、カズフサに聞かれないあのスミの方で話したいことが…」
(ここだけの話…プーで…)
(ええ?そ、それは俺無神経だったかも…)
(…オタ話なら傷つく事はないと思うんで…)
(…)
- 5 :大魔王あらわる(2/4)
:2006/01/10(火) 12:49:25 ID:FtWHL09E
- 「…あのー、笹原くんとミノっちさん?何かワタクシに対する哀れみのようなものが感じられるのですが…」
「……いやー!!くじアン最高ですよね!!」
「…む?たしかにアレは名作だと思うが…」
「でしょ!いやー俺会長が卒業した時はリアルに一人お別れ会とかやりましたから!」
「ぬう…おぬしできるな!?やはりあの幼女会長は外せないというか何と言うか…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「あ…ちょっと待ってください…電話が…」
「…あ、荻上さん?あ、うん。今そこ。え?いや、うん。そうね。じゃ…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「オギウエサンて誰?」
「いや、その、後輩の子で…そ、そんな必死にならんでも…今度3年になります…」
「3年…」
「フウやれやれ、ワタクシとしたことが…とんだ取り越し苦労だったようだね」
(ミノっちさん…その…この人って…)
(ええ、ご推察の通り…なぜか幼女を妖精とか呼んだりする危険人物っス…)
「笹原くんはお姉さんキャラが好きとか…ならばこのミノっちは守備範囲なのかね?」
「…何を言い出すんでスかねこのニートオブニートは…笹原さん、答える必要ないっスよ」
「あ、いや…というか…すでにその…そういう人いますし…」
……………………………………………………………………………………………………………………
「…いるんスか?」
「はぁ…」
「彼女?…さっきのオギウエサンって人っスか?」
「まあ…ありていにいえばそのような…」
……………………………………………………………………………………………………………………
- 6 :大魔王あらわる(3/4)
:2006/01/10(火) 12:50:11 ID:FtWHL09E
- 「おあたあ!!」
「痛!何するんですかカズフサさん!」
「ダマレコゾウ!彼女のいるオタクなんて!こうしてくれるわ!」
「痛!ちょっと!やめてくださいよ!やめてって…」
ピンポーン
「…誰か来たっスよ。」
……………………………………………………………………………………………………………………
「荻上さん?」
「何でいきなり大阪まで来てるんですか…全く…」
「ごめんね、何か『サクシャノヒトガオモシロソウダトオモッタカラ』とかわけわかんない理由でこんなことに――」
「…まあ、会えたからいいです…そっちの人がカズフサさんですか?」
「うん。こっちの人はミノっちさんだって。」
「はじめまして。荻上千佳といいます。」
「ち…」
「ち?」
「千佳たーーーーーーーん!!!!!!」
「ちょ…何してんですか!離れてください!カズフサさん!…!…!」
「何いきなりやらかしてるんスか!こ、こんなことじゃげんしけんとの外交関係にひびが…」
「離れたくなーい!千佳たんと無人島生活すりゅーー!!」
……………………………………………………………………………………………………………………
- 7 :大魔王あらわる(4/4)
:2006/01/10(火) 12:51:10 ID:FtWHL09E
- 「…落ち着いたっスか?」
「ぼくからだじゅうがいたいの、こぶとかあざがいっぱいあるの」
「自業自得っスよ…」
「…千佳たんは?」
「とっくに帰ったっスよ。…笹原さんと荻上さん怒ってたから謝った方がいいと思うス」
「…いかん…」
「は?」
「そんな…あのような全てを手に入れた男に…このうえ謝ったら…!」
「ワタクシのみじめさが分裂してピッコロリータ大魔王とか出そうな勢いで…グスングスン…」
「ワタクシ涙が止まらないっス…」
- 8 : ◆9rae7Hwib2
:2006/01/10(火) 12:52:03 ID:FtWHL09E
- というわけでスレたて終わりっス
- 9 :マロン名無しさん
:2006/01/10(火) 14:29:46 ID:???
- >>1乙 エロいテンプレだw
- 10 :マロン名無しさん
:2006/01/10(火) 17:08:46 ID:???
- >>4-8
ちょwww・・おまっwwwwwwww吹いたダロッ!!!!!
ああんっ ――
アイスコーシーがキーボードにぃぃ〜〜 トホホ・・・
このコラボはヤバイ、ヤバ杉ーーww 脳内にカズフサさんが降臨して何もかもがラブやん化
しちまった!!こ、このSSは魔物デス。俺の脳内げんしけんワールズが獲って喰われるぅぅ〜〜!!!
- 11 :マロン名無しさん
:2006/01/10(火) 21:19:15 ID:2wzqoAn0
- >>1
スレ立て乙です!
そして
>>4-8
もう笑いはほんと才能ですよねっ!早々の傑作サンクスです。
- 12 :マロン名無しさん
:2006/01/10(火) 21:37:11 ID:???
- このコラボはすごいですねw
笹やんのまともっぷりとカズフサのダメっぷりの対比
がすばらしいです
- 13 :マロン名無しさん
:2006/01/10(火) 22:17:59 ID:???
- >>1
エロ乙
>>4-8
ヒーヒー言って転げまわってます。笑い殺す気ですか!!エ○臭く無いからおK!
荻上に一番会わせたくないなあwwwwww
- 14 :前スレ760
:2006/01/10(火) 22:50:19 ID:???
- >>4-8
ちょwwwおまwwww
カズフサが「ンゴゴゴゴゴゴゴゴ」という擬音と共にげんしけん部室に居る姿を
想像しちゃったじゃないスか。破壊力ありすぎてカズフサ封印してたのに(w
何か連続ネタの予感がします。クッチー・委員長・ラブやんの三連コンボとか。
- 15 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 00:28:21 ID:???
- >>1
スレたてご苦労様です!
>>4-8
腹がねじ切れるかと思ったYO!
前スレのマダやんも死ぬかと思ったが・・・。
荻上に襲い掛かるカズフサコワスwwwwwwさすがwwwww
しかもぼこぼこにしている笹原超バイオレンスww荻上もやったのか??www
>>14
今度はクッチーに愛の手を差し伸べるラブやんに期待する!ああするとも!
- 16 :ある朝の風景(1/6)
:2006/01/11(水) 01:40:53 ID:???
- 笹荻成立後の話。
夜、二人は荻上の部屋のベッドで共に眠りについていた。
初めて肌を合わせたのは少し前のことで、それから何度かそういう行為を重ねはしたが、
今日になって突然荻上の方から笹原へ「もし良かったら泊まっていきませんか」と切り出されたのだ。
普段は自分を極力抑える荻上の言葉に、笹原は内心驚きながらも嬉しく思い、
当然断ることなどあるはずもなく、その申し出を二つ返事で了承した。
ただその時の荻上の、他に何かもっと言いたい事がありそうで、
それを飲み込んだような表情が少し気になったと言えば言えた。
- 17 :ある朝の風景(2/6)
:2006/01/11(水) 01:41:30 ID:???
- そして時刻は2時。ふと何かに気付いて笹原が目を覚ますと、
目の前で眠る荻上の顔が苦しそうに歪んでいた。
呼吸は荒く、顔色は青ざめ、うっすらと汗をかいてうなされている。
そんな荻上の様子に、笹原の寝惚けていた頭が急速にはっきりと覚醒していく。
(…荻上さん?)
胸の前で固く拳を握りしめ、何かを耐えるような荻上の姿に、一瞬どうしたのだろうと訝しみ、
「起こした方が良いだろうか」という思いが浮かんだが、すぐさまその考えを否定した。
思えば、あの荻上が自分から笹原に泊まっていくことを勧めたのは、
ひょっとしてこれが原因だったのではないかと薄々感じたからだ。
結果として起こすことになっても、出来るだけのことをしよう。
そう思った笹原は、きつく握りしめられた荻上の右手に、そっと自分の手を重ねた。
(ひどく冷えてるな)
その小ささに内心どぎまぎしながら、優しく手を包む。
少しでも自分の温もりが伝われば、と。
しかし、荻上の苦しそうな様子は変わらない。寄せられた眉根。
きつく閉じられた唇。目元には涙も滲んでいる。
- 18 :ある朝の風景(3/6)
:2006/01/11(水) 01:42:09 ID:???
- 堪えきれず、笹原はそっと囁いた。
「…大丈夫だよ、荻上さん」
少し、添えた手に力を込める。ほんの僅か。思いの分だけ。
「俺は、ここにいるから」
その声が聞こえたわけでもないだろうが、眠ったままの荻上の手が笹原の手をそっと握り返した。
まるで確かめるように。
(起こしちゃったかな)
そう思って様子を窺うも、その心配は杞憂だったようで、
荻上の寝息は次第に穏やかなものへと変わっていった。
あれだけ苦しそうだった表情も、今は子供のように落ち着いている。
冷え切っていた手もいつの間にかすっかり温もりを取り戻していた。
繋がったままの手。落ち着きを取り戻した今も、荻上は笹原の手を離そうとはしない。
その様子に何となく苦笑を浮かべながらも、笹原の心は嬉しさで満たされていた。
改めて見る荻上の寝顔は、笹原を動揺させるに充分な程愛らしく、
思わず頭の一つでも撫でたいところであったが、
さすがにそれは目を覚ますだろうとぎりぎりのところで思いとどまった。
握りしめられた荻上の手から感じる温もりが、笹原を次第に眠りへと誘う。
目を閉じる前、最後に見た荻上の表情は何だか少し微笑んでいるように見えた。
(おやすみ、荻上さん…)
もう一度だけ軽く手に力を込める。
どうか彼女の見る夢が、穏やかで優しく暖かなものでありますようにという願いと共に。
- 19 :ある朝の風景(4/6)
:2006/01/11(水) 01:42:47 ID:???
- 翌朝。荻上は実にすっきりと目を覚ました。自分でも驚くほど静かな目覚め。
こんなに自然な気持ちで朝を迎えるのはいつ以来だろう、と荻上は考えた。
恐らくは中学生の頃の「あれ」以来だろう。
あの一件があってからずっと、眠れば悪夢に襲われ続けていたのだから。
そう思い、そして何故今日に限って悪夢にうなされず目を覚ますことが出来たのか戸惑った。
そんな荻上の目に、ようやくぼんやりと笹原の姿が映る。
寝る時は眼鏡もコンタクトも外しているので、非常に視界が悪い。
ただ、それでもいつも見慣れている笹原の姿を見間違うことはない。
そしてようやく自分が笹原の手を握りしめていることに気が付いた。
意識すると同時に伝わってくる笹原の体温に、改めて赤面する。
(え…? 何で私笹原さんの手を握ってんの? 寝る時はちゃんと離れてたのに、いつの間に)
途端に手の平に汗が滲むのを感じて、焦りつつもそっと荻上は手を解いた。
急速に冷えていく手の平の感覚に、弱冠の寂しさを覚えながら。
改めて笹原の寝顔を見つめる。ややぼやけてはいるが、それでも分かるひよこのような無防備な寝顔。
そのあまりに笹原らしい寝顔に、荻上は少しの間見入っていた。
(可愛い寝顔だぁ…)
そして思った。この穏やかな目覚めは、きっとこの人がいてくれたからなんだろう、と。
- 20 :ある朝の風景(5/6)
:2006/01/11(水) 01:43:18 ID:???
- 期待していなかったと言えば嘘になる。いや、正直に言えば笹原ならばあの悪夢からも助けてくれると、
助けて欲しいとそう思ったからこそ、泊まっていくよう勧めたのだろう。
そして事実助けてくれた。思わず視界が滲む。嬉しさと喜びと愛しさで。
(いつも私は笹原さんに助けてもらってばっかりだ)
些かの罪悪感もある。悪夢を拭い去るために笹原を利用したとも言えるのだから。
けれど、それすらも笹原ならば、「俺で良ければいくらでも手助けするよ。と言っても、
あまり役に立たないかもしれないけどね」などと言って、
いつものように優しく微笑みながら受け入れてくれるのだろう。
知らず、涙が頬を伝う。笹原への思いと、自分への嫌悪で頭の中がいっぱいになる。
(私って本当に嫌な女だ…)
笹原を起こさないよう気遣いながらゆっくりと身を起こし、目元を拭う。
しかし、涙は後から溢れてきて止まってくれない。
何故こんな自分をこの人は選んでくれたのだろう、そんな暗い考えに囚われかけた時。
「ん………」
ごろりと笹原が寝返りを打った。投げ出された手が荻上の膝に落ちる。
そしてむにゃむにゃと口元を動かした後、にこりと幸せそうに微笑んだ。
弛緩しきった、だらしないとも言える幸福に満ちた顔。
「……ぷっ」
そのあまりに明るい笑顔に、思わず荻上は吹き出した。
同時にすうっと心が晴れていくのを感じた。
(眩しいなぁ…。目の前でこんな顔されちゃ、泣いてる自分が馬鹿みたいだぁ)
緩む口元。そっと手を伸ばすと、荻上は笹原の頬を人差し指で軽くつついた。
「うぅ…、ん」
再び寝返りを打ち、荻上のつついた頬の辺りをぽりぽりと掻く。
そんなお約束でとても愛らしい行動に、荻上はくすくすと笑って、もう一度だけ頬をつついた。
笹原は夜中に一度目を覚ましていた所為か、起きるそぶりも見せない。
- 21 :ある朝の風景(6/6)
:2006/01/11(水) 01:43:52 ID:???
- 「さて、と」
ベッドから下りると、荻上は大きく伸びを一つ。そして鏡を見てコンタクトを付けると、
布団にかけていた半纏を手に取り、慣れた様子で上に羽織った。
振り返ってもう一度笹原の寝顔を見つめる。
(せっかくだから、いつも傍にいてくれるこの大切な人のために、
せめて朝食でも用意しよう。精一杯の感謝を込めて)
心の中で呟きながら、台所へと足を運ぶ。
眠ったままの笹原を気遣って閉じられたままのカーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいる。
それは今日も快晴である証。まるで台所で我知らず鼻歌を口ずさんでいる荻上の心のように晴れ渡った空。
やがて朝食の支度を終えた荻上は、笹原を起こすためにカーテンを開いた。
瞼に差し込む光と荻上の声に促されて目を覚ました笹原は、窓越しの光に照らされた荻上の笑顔を見る。
かけがえのない大切な物。
それはいつまでも消えることなく心に残る、ある朝の風景。
- 22 :10 :2006/01/11(水) 01:51:59 ID:???
- >>4-8のSSを見た後にしばらくして>>16-21を見てコレはエロパロVerでも見たいのぉ〜〜
(*´д`*)ハァハァハァアハァ
・・・なーんて脳内で浸っていたんだが、ふと>>4-8で笹荻がカズフサの元を
怒って去った日に荻んち泊まったンだよなぁ、とか勝手に脳内変換されちゃって
また吹いちゃったよーww
- 23 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 02:46:58 ID:Y8dAnUiv
- >>16-21
ものごっついこと、萌えました。 うは………!!
もう、血が沸騰するような、ゴロゴロ転がるような―――。
SSは前スレでリライト他書いたんですが、
最近荻スレの流れに乗っかって絵など描いてまして…
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/loveogi/621.jpg
こんなアホなことしてる場合じゃないです。
明日からまたSSの構想練ります。
- 24 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 05:10:22 ID:ay4eBQpe
- >>4-8
ワロス・・・・
続編を頼む!!
- 25 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 11:23:33 ID:???
- >>16-21
GJ!
惜しむべきは、眼鏡でなくコンタクトだったこと…
- 26 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 13:13:17 ID:???
- >>25
笹原の前では、まだ出来るだけコンタクトで居たい、という初々しい乙女心が
それはそれで良いんじゃないか?
- 27 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 19:50:47 ID:???
- まとめサイトの神様、更新ありがとう!
- 28 :ある朝の風景――おまけ――(1/5)
:2006/01/11(水) 22:11:36 ID:???
- 朝食が用意されたテーブルの前に二人座る。
目の前に並んだ皿からは、湯気と共に食欲を誘う香りが漂う。思わず唾を飲み込む笹原。
「あ…、荻上さん、料理上手だね」
「まあ一応。これでも一人暮らししてますんで」
照れているためか、やや赤面した様子で荻上は素っ気なく答える。
何だかまるで新婚家庭のようだ、という思いが脳裏をよぎったのは果たしてどちらだったのか。
落ち着くために視線を逸らしお互いに小さく息をついた後、
二人、いただきますと手を合わせ、笹原はゆっくりと箸をのばした。
(…まさかここで実は見た目はちゃんとしてるけど、本当はそりゃあもうすごい味でしたー、
なんてどこぞのゲームみたいなオチはないよな)
頭の中をそんな妄想が駆けめぐる。そんな笹原の様子を緊張した面持ちで見つめる荻上。
(さっき味見した時はちゃんと出来てたっぽいけど…。笹原さん、美味しいって言ってくれっかなぁ)
微妙な緊張感に包まれながら、ゆっくりと料理が笹原の口へと運ばれる。
自分の箸を動かすことも忘れ、笹原の様子を見守る荻上。
そんな視線にも気付かず、笹原はもごもごと咀嚼した後、ゆっくりと飲み込んで口を開いた。
- 29 :ある朝の風景――おまけ――(2/5)
:2006/01/11(水) 22:12:15 ID:???
- 「うん、美味しいよ。荻上さん」
にこりと笑って言い終わると同時に、箸はすでに次の皿へ伸びている。
実に美味しそうに目の前で箸を進める笹原の様子に、荻上はようやくほうっと息を漏らして安堵した。
「…あれ? 荻上さん、お箸動いてないみたいだけど。食欲ない?」
「あ、いえ! 私、ちょっと食べるの遅ぐっで。ええ」
慌てて箸を動かす荻上。急いだためか、思わず喉につかえて噎せて咳き込む。
「ごほっ、ごほっ」
「だ、大丈夫? そんなに慌てなくても別に誰も取ったりしないよ」
飲み物を差し出しながら、優しく背を撫でる。
辛うじて飲み物で喉のつかえを流し込んだ荻上は、涙目になっていた。
「す、すみません…」
「いや、気にしないで」
苦笑しながらそう言うも、自分の失態が余程気になるのか縮こまったままの荻上の様子に、
何とか場を和らげようと思いつくままに笹原は言葉を続けた。
「でも、あれだね。荻上さん」
「…はい?」
「これだけ料理出来るなら、いい奥さんになれそうだよね」
「――――――ッ!!!!!!」
- 30 :ある朝の風景――おまけ――(3/5)
:2006/01/11(水) 22:12:47 ID:???
- それはそれは見事な噴水だった。野外でならば虹がかかってもおかしくないくらい。
しかし、もしそうなったとしても笹原が目にすることは出来なかったであろう。
荻上が吹いた水は、物の見事に笹原の顔面に浴びせかけられたのだから。
「う、うわっ! え!? 何? 一体何が!!!?」
「ちょっ! な、何言ってんすか、笹原さん!!!!」
思わず顔を真っ赤にして抗議するも、笹原はそれに答えるどころではない。
毒霧ばりの目つぶしを喰らって、前後不覚に陥り、まるで阿波踊りのように手をばたばたとさせるのが精一杯だ。
その様子を見てようやく我を取り戻したのか、荻上は慌てて何か拭くものを探すために立ち上がった。
「え、えっと、タオル…、タオル」
とりあえず傍の棚にかけてあった物の中から一番近くにあった布巾を取って笹原へ渡す。
「と、とりあえずこれを」
「あ、ありがとう」
助かった、そう思ってひとまず目元を拭い、ようやく人心地ついた笹原は、
もう一度顔を拭おうとして手にした布をしげしげと見つめた。
タオルと一緒に何やら淡い色をした小さな布きれが見え隠れしている。
「…………荻上さん」
「はい?」
「ひょっとしてこれ…」
- 31 :ある朝の風景――おまけ――(4/5)
:2006/01/11(水) 22:13:18 ID:???
- ぎぎぎ…、と首を回して差し出された笹原の手にあるのは、見間違うはずもない荻上自身の下着であった。
「――――――ッッッきゃあああああああああああああああああああああっっっっ!!!」
文字通り目にも止まらぬ速度で笹原の手から引ったくるようにして奪還を図る。
二人ともこれ以上赤くなる箇所が見当たらない程赤面している。
「そういう行為」に及んだ関係であるにしては、実に初々しい反応であると言えた。
「み、見ましたか?」
分かり切っている答えをあえて訊ねる荻上。
その目は笹原の顔面を突き刺して更に向こう三軒両隣に行き渡るほど据わっており、
ここで選択肢を誤れば確実に即「DEAD END」だ、と笹原のゴーストが囁くくらい鋭かった。
「い、いや…、その」
脳裏にいくつもの選択肢が浮かんだ。しかし、どれもこれも即死の匂いがもの凄い勢いで漂っている。
脳内カーソルがめまぐるしく動く。
(…せ、正解はどれだ)
笹原の背筋に冷たい汗が流れる。
「見ましたよね?」
じり、と迫る荻上。笹原を追いつめているようで、実は自分を追いつめていることにはまるで気が付いていない。
「えーと、その、ね? 見たと言うか…」
「見たんですね?」
- 32 :ある朝の風景――おまけ――(5/5)
:2006/01/11(水) 22:14:24 ID:???
- (ああっ、タイムテーブルが今にもアウトゾーンへまっしぐらでGO!!)
目の前の荻上から発せられる恐ろしいほどの重圧に、
焦りのあまり頭の中が真っ白になった笹原は、蚊の鳴くような声で答えた。
「…淡いブルー?」
「――――ッッ!!!!!!!!!!!!!!!」
同時にまるで瞬間移動のようなタイミングで窓辺へ駆ける荻上。振り向く間もあらばこそ、
笹原は大慌てで荻上の腰へタックルを敢行した。
「待って! 荻上さん!! だから窓から飛び出しちゃダメだって!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
そんな笹原の制止の言葉も耳に入らず、荻上は半泣きでじたばたと窓へと手を伸ばす。
そしてやはり窓の外は快晴で、二人を暖かな日差しが優しく見守っていた。
これもまた、一つのいつまでも消えることなく心に残る、ある朝の風景。めでたしめでたし。
- 33 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 23:14:00 ID:???
- >>28-32
お約束の見たいシーン満載ですね!
うまーーい。こんなのどうしたら書けるんだろう…。
- 34 :マロン名無しさん
:2006/01/11(水) 23:51:55 ID:???
- >>33
俺ね最近思ったんだけど、SSの神々は皆脳内荻が実体化出来るLVに達してて
一緒に生活出来るんだと思う。第三者からみるとそりゃぁもうシャドー相手に
何かとお話されたり扱いに困ってるお姿が見える。そう、まるで範馬刃牙のシャドーように・・・
そうじゃなけりゃこんなリアルなSSは書けない、うん絶対!
だって漏れの前にもそろそろオギーがくる筈だからね・・・・・・・(ノД`)
- 35 :マロン名無しさん
:2006/01/12(木) 04:12:06 ID:???
- >>28-32
∩
( ⌒) ∩__
/ ,ノ i 、E)
/ / / /"
/ /_、_ /ノ
`/ /,_ノ`)//
( /
ヽ |淡いブルー
グッジョブ!!
\ \
- 36 :マロン名無しさん
:2006/01/12(木) 05:40:02 ID:???
- >>28-32
おまけ、乙、淡いブルーGJ!早寝したんで今起きて読んでます。
なにやら、内面描写と日常の細微な視点の描写が深まってますね。
日常のやりとりがリアリティ溢れてきてます。あっ俺の隣にもオギーが・・・。
今週号発売前に俺も書こうかなー。
- 37 :マロン名無しさん
:2006/01/12(木) 09:00:36 ID:???
- >>28-32
( ・∀・)イイ!
淡いブルーでピチピチ、ムチムチでお尻がプルルン♪
笹原が羨マシス
- 38 :マロン名無しさん
:2006/01/12(木) 19:17:08 ID:???
- 前スレでキックオフ(笑)な笹荻、現スレである朝の風景(おまけ含む)を書いた者です。
読んでくださった方、レスしてくださった方、皆さんに心から感謝いたします。ありがとうございます。
現在、また頭の中で妄想が渦を巻いてきましたので、形に出来ればこちらへ貼り付けたいと思います。
それでは、最後にげんしけんという作品ともう一度皆さんに感謝しつつ。
- 39 :五月雨(さみだれ)
:2006/01/13(金) 00:36:01 ID:???
- えー、連作乙!GJ!
そろそろ皆さんの荻上も幸せそうなイメージになってきましたねー
俺の中でもそうなってきてます。リレーするつもりは無いですが、
同じ舞台設定として、「タンドリーチキン」と「淡いブルー」
拝借させていただきました。
「小早川伸木の恋」みました。誠実男とトラウマ女。あれは最悪の関係だなと
思いつつ、笹荻にはああなってほしくないと思いつつ、書きました。
はっきりいって特別「何もしない」日を描きました。「何もしない」日常が幸せ
なら言う事ないんですけどねー。
- 40 :五月雨(さみだれ)1−6
:2006/01/13(金) 00:36:46 ID:???
- 梅雨入りの長雨に笹原と荻上の二人はどこにも出かけられず、せっかくの休
日なのに荻上のアパートで、何をする事無く過していた。
シトシトと霧雨のような雨が降っていた。雨だれがアパートの雨どいをつた
って、ピチャリ、ピチャリと音を立てている。荻上はぼんやりと机に座って、
窓から見える滴り落ちる雨だれを眺めていた。
荻「さっぱりやんでくれませんねー。笹原さん・・・」
荻上は描きかけの漫画の原稿の下書きの上に、エンピツを遊ばせながらつぶ
やいた。
笹「んー、そうね」
笹原はテーブルで漫画を読みながら答えた。
荻「これじゃあ、洗濯もできないし・・・どこにも行けないし・・・、滅入
ってきます・・・」
笹「・・・原稿・・・進まないの?」
荻「はあ、まあ・・・」
笹「気分転換にゲームでもする?」
荻「でも古いのしかないですよ。最近新しいの買ってないですし・・・」
笹「俺もだよ、えーと、プレステ2だよね。あっこの格ゲー懐かしい!」
荻「あー、それ・・・買ったもののあんまりやってないんですよね、得意じ
ゃないし・・・」
笹「いいよ、教えてあげる」
荻「・・・そうですね、ヒマだし・・・」
二人はテレビの前に並んで、格ゲーを始めた。
荻「・・・で・・・やっぱり巨乳女性キャラなわけですね(怒)」
笹「いや(汗)、習慣で・・・はは(汗)」
- 41 :五月雨(さみだれ)2−6
:2006/01/13(金) 00:37:23 ID:???
- 荻「あれ・・・、こうか!」
笹「そうそう、このコンポはそのボタンで!」
小1時間が過ぎる・・・
荻「やった!また勝った!笹原さん?初心者だからって手をそんなに抜かな
くても・・・」
笹「はは、そうね!でも上達早いよ(強え・・・)」
荻「そろそろ、お昼近いですね、食べるもの何も無いですね。買い物に行き
ましょうか?」
笹「そうだね」
荻「この前食べたタンドリーチキン美味しかったですよね」
笹「うん、でもあそこ今日は定休日だしなあ」
荻「じゃあ、足りない食材だけ買い足して、簡単にすませますか?」
笹「そうだね、スーパー行ってから決めようか?」
- 42 :五月雨(さみだれ)3−6
:2006/01/13(金) 00:38:18 ID:???
- アパートの外は雨足は穏やかであったが、長雨で湿った空気が包んでいた。
荻「やみそうもないですね。しばらく・・・」
笹「梅雨だしね・・・」
二人は五月雨がシトシトと降りつづける中を、近くのスーパーまで、一緒の
傘で歩いていった。アスファルトが濡れ、むせかえる雨の匂いが二人を包ん
でいる。
荻「ナスとタマネギとひき肉買い足せば、買い置きのトマトピューレとコン
ソメで、ミートソースとオニオンスープ作れますね」
笹「でも、二人だと野菜余っちゃわない?」
荻「大丈夫デス。使い足せますから」
笹「そうそう、ついでにレンタルでDVD借りていこうよ」
帰り道、公園のそばの紫陽花に目が止まった。
荻「ああ、綺麗ですね!わたしアパート決めるときに、近くに紫陽花のある
事を理由に決めたんですよ!故郷にも紫陽花が綺麗なところがありました
から・・・」
笹「そうなんだ・・・」
荻「雨に打たれながらも、深いあざやかな藍色の色をたたえて耐え忍ぶ姿が
けなげで儚げ(はかなげ)で好きなんです。」
笹「・・・・うん、俺も好きなんだ・・・」
- 43 :五月雨(さみだれ)4−6
:2006/01/13(金) 00:39:02 ID:???
- アパートに着くと、二人で台所に立ち、料理を始めた。
笹「俺、何すればいいかな・・・」
荻「うーん、そうですね、じゃあ、水につけたタマネギを切ってもらえます
か?その後でスパゲティー茹でてもらえます?」
笹「んー、分かった!スパゲティーはアル・・なんだっけ?」
荻「アルデンテですね、芯が残るくらいがちょうどいいですよ」
料理が出来上がると、二人は一緒にテレビを見ながら、ミートソーススパゲ
ティーとオニオンスープを食べ始めた。
笹「どんなもん?うまく茹でれたでしょ?」
荻「そうですね!初めてとは思えませんね」
笹「いやだなあ、料理くらい(インスタントラーメンとか・・・)」
笹原は荻上がスパゲティーをその小さい口に運ぶしぐさをぼんやりと眺め
ていた。
荻「どうかしました?」
笹「・・・いや、なんでもない。ところで洗濯物どうしてる?俺はもうまと
めてコインランドリーに持ってくよ」
荻「わたしもですね。こんなんじゃ洗濯できません。家の中になんか干せま
せんし、梅雨は嫌ですね」
笹「気にしなくていいよ・・・俺も淡いブルーは好きなんだ・・・」
荻「なっ何の話してるんですか!いやらしいですね!」
笹「えっ!いや、紫陽花の話!(うっかり口がすべった・・・)」
- 44 :五月雨(さみだれ)5−6
:2006/01/13(金) 00:39:41 ID:???
- 食後、二人は荻上がレンタルで借りてきた『スクラムダンク』のDVDを一
緒に観た。
笹「最終回の話だよね」
荻「ええ、そうです」
笹「やっぱり主人公のライバルがお気に入りなわけ?」
荻「わたしはそれほど・・・その・・・どちらかと言えば副キャプテンの・・・」
笹「ああ(汗)大野さんはやっぱりキャプテンだろうね」
荻「そうなんですよ!しかもわたしにキャプテンと副キャプテンの話描け描
けって・・・やっぱ趣味合いませんね!あっいやその・・・」
笹「まっまあ、そういうこともあるよね!」
荻「おっお茶入れますね」
笹「うっうん!」
荻上は中国茶の道具を用意し始めた。
笹「へえ、本格的だね」
荻「そんな本格的って言うほどじゃないですよ。・・・酒はコリゴリなんで・・・こういうのに少し興味が出ただけで・・・」
笹「ああ(汗)」
- 45 :五月雨(さみだれ)6−6
:2006/01/13(金) 00:40:22 ID:???
- 荻上の動作によどみは無かった。言動は相変わらずだったが、以前に比べて、
荻上のしぐさに険しさは無かった。ゆっくりとした手つきでお湯を茶壷に注
ぐ姿にはむしろ穏やかささえ感じさせた。あたりにお茶の芳香が溢れかえる。
笹「ああ、いい香り!」
荻「キンモクセイの花の香りがするお茶なんだそうです」
笹「こういうのもいいよね、空気がゆるりとした雰囲気かもし出してるよ」
荻「・・・そうですね。スクラムダンクの最終回ですけどね・・・」
笹「うん」
荻「主人公って、最初は好きな子の為にバスケ始めるじゃありませんか。」
お茶を入れながら荻上は話続ける・・・。
笹「そうだったよね」
荻「でもバスケが出来なくなって初めて自分にとってバスケが大事なものだ
って気付くんですよね。」
笹「・・・うん、そうだね」
笹原は荻上に入れてもらったお茶をすすりながら話を聞いていた。
荻「大好きで、大好きで・・・そのシーン好きなんですよね・・・」
笹「・・・うん」
笹原は荻上の目が少し潤んだような気がしたが、黙って気付かないふりをし
た。
笹「スクラムダンク見終わったら、また漫画の原稿始めようか!」
荻「そうですね」
と荻上はそう言って、にこりと笑った。
窓から見える雨はやむ事無く降り続け、遠くの景色をかすませていた。
- 46 :マロン名無しさん
:2006/01/13(金) 01:35:47 ID:???
- >五月雨
他のSSとも絡みつつ、五月?と思いましたが…笹原は在学中なのか仕事の休日なのか
時間軸が何時とか設定もよくわからないのがいいですね!
そのことによって、過去や未来の予想から切り取られて、幸せな時間の永続性が感じられます。
そしてタンドリチキンの引用ありがとうございます。むしろ嬉しいです。
今、新たに書いてる途中ですけど明日か明後日には僕も出します。
- 47 :マロン名無しさん
:2006/01/13(金) 10:02:56 ID:???
- >五月雨
最後のところがいいなあ・・・。
アニメの最終回に感情移入する荻。
いいですねえ・・・。
皆さんが笹荻成立後を書きまくっているので、
あえて成立前をかく俺は天邪鬼なんでしょうかね?
シリアスものですよ。
11レスぐらいで投下しときます。
- 48 :If I ever hear ・・・(1/10)
:2006/01/13(金) 10:04:12 ID:???
- 「さいんぷりーず。」
見られた。一番見られたくない人に見られた。
「い、いや、俺は平気だよ・・・。見ちゃいけないと思って・・・。」
そうは言っても、どう思っているのか。
それを考えるだけで、心が痛む。
If I ever hear you knocking on my door
- 49 :If I ever hear・・・(2/10)
:2006/01/13(金) 10:06:07 ID:???
- 「・・・。」
誰もいない部室。最近はこういうことも多い。
少しため息をつくものの、どうしようもないことも知っている。
9月に入って、人が集まりにくくなっていた。
高坂先輩はすでに働いていて、缶詰だって言うし、
春日部先輩はあっちこっちで人脈作り。
大野先輩はコスプレのためにいろいろしなきゃならないし・・・。
まあ、そこまでいないっていうわけでもないんだけど・・・。
朽木先輩は知らないし・・・。普段何してんだろ?あまり興味もないけど。
そう、笹原先輩も・・・。
- 50 :If I ever hear・・・(3/10)
:2006/01/13(金) 10:08:03 ID:???
- ガチャ。
ビクッ!
「こんにちは、荻上さん。」
大野先輩だ。
「こんちは。」
笹原さんのことを考えてたせいか、彼が来たのではないかと思った。
正直、違ってて良かった。二人きりには耐えられない。
「合宿の話聞きました?」
「・・・ええ、まあ。」
恵子さんがいってたのは知ってたけど、まあ兄のことも良く考えない人だな。
「笹原さんが早く決まるといいんですけどねえ。」
「・・・そうですね。」
今現状としては笹原さん待ちのような状況らしい。
「でも、それで無理して決めても意味がありませんし・・・。
笹原さんがいるときはこの話題は無しで・・・。」
「・・・はあ。」
とはいっても、コミフェス以降、まともに話してない。
だって・・・。
- 51 :If I ever hear・・・(4/10)
:2006/01/13(金) 10:09:56 ID:???
- 特にすることも無い私は、そのまま買ってきていたコミックを読むことにした。
デスブック。最近ジャプンでネームの深さと美麗な絵によって人気の漫画。
私も好きなんだけど・・・。惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと。
まあ・・・。それだけで漫画読んでるわけじゃないからいいんだけど・・・。
しかし、読めば読むほどどう締めるのかが気になる。
これ誰もが納得いくエンドにするのって大変そうだ。
Kとロウの話で最後まで突き抜けたらすごいんだけど。
本誌の連載じゃそうはなってないらしい・・・。って笹原さんが話してた。
笹原さん・・・。あれ以来話してないけど・・・。
やっぱり、引いたよなあ・・・。あれはなあ・・・。
・・・それでいいじゃない・・・。そうは思う。
このまま離れられれば私は・・・。諦められる。
諦める?何を?私は・・・。そういうことを考えちゃいけないはずなのに。
でも、そうなったらいいなって考えてた自分は否定できない。
だからかな・・・。本心が見えてしまいそうで・・・。
話しかけられない・・・。
- 52 :If I ever hear・・・(5/10)
:2006/01/13(金) 10:14:34 ID:???
- ガチャ。
ビクッ!
「よ〜〜。あっついなあ・・・。」
入ってきたのは春日部先輩。Tシャツ一枚というあまり見ないラフな格好。
「・・・こんちは。」
またも笹原さんのことを考えてたときに扉の開く音。
何でこうも驚かなきゃいけないの・・・。
「こんにちは〜〜、どうですか、調子のほうは。」
「そうね〜、まあまあかなあ。もう少しってところ。」
「そうですか〜。」
私には良く分からないけど、店を開くっていうのは大変なんだろう。
あんなに大変そうにしててもいまだにもう少しってぐらいにしかならないのか。
二人はそのまま会話を始めてしまった。
- 53 :If I ever hear・・・(6/10)
:2006/01/13(金) 10:16:37 ID:???
- 漫画を読み続けながらも私の思考は別のことに向かってしまっていた。
それでもなるべく平静を装うためにも手放すことはできなかった。
でも、何でああも笹原さんは私の面倒を見てくれるんだろう。
それはサークルの後輩だからなんだろう。優しい人だから。
それ以上は無い。・・・無い。
だから、私が離れておけば、きっと問題は無い。そう、無い。
私が、これ以上そうなりたいって思わなければ・・・。
優しい人だから、私の気持ちを知れば付き合ってくれるのかもしれない。
でも・・・。それは違うんだ。私はそうなっちゃいけないんだ。
結論は出た。これ以上近寄らないこと。
まあ、就職活動で忙しそうだし・・・。このまま卒業してくれれば・・・。
卒業?そうか、あと半年で卒業なんだ・・・。
- 54 :If I ever hear・・・(7/10)
:2006/01/13(金) 10:18:37 ID:???
- ガチャ。
ビクッ!
「やあ・・・。」
「おー、笹やんじゃーん。」
「お久しぶりです〜。」
ついに現れてしまった。どうしたらいいのか分からない。
「・・・こん・・・。」
挨拶ぐらいしっかりしなきゃ逆にやばいだろって!
そうは思っても声が出ない。どうしよう・・・。
「えーっとですねえ・・・。決まりました・・・。」
「えっ?」
彼の口から出たのは思いも寄らない言葉。
視線は顔の方に持っていけない。
「ウン・・・。内定・・・でましたよ。」
内容のわりに気弱な声が、彼らしいと思った。
「えー!すごーい!おめでとうございますー!」
「へー、おめでと。」
あ、そうか、こういうときにはおめでとうか。
「どこ?」
「お・・・。」
「編集プロダクションっていってね・・・。」
「おめ・・・。」
やっぱり声が出ない・・・。うう・・・。
- 55 :If I ever hear・・・(8/10)
:2006/01/13(金) 10:21:19 ID:???
- 何やかんや話をしたあと。
どうも大野さんのあの友達二人に前作った本を送るらしい。
ビクッ!
しまってあるロッカーが私の隣なんだからしょうがないんだけれど。
笹原さんが私の横に移動してきた。
顔はやはり向けれない。
顔が、赤くなっているのが分かる。
逆に、普通にできなくなっている。
「これ・・・、二人に送ってあげてくれる?」
懐かしい表紙を見て、思い出すのはあの数日の出来事。
私がはじめて現視研の一人だなって思えたあの日々。
完成した本を売っていた先輩たちの・・・。
いや、笹原さんの顔はすごくうれしそうだった。
だから、私もやりたくなったんだ。
あれだけ突き放してたことを、いまさらやろうなんて思ったのは。
その後の冬コミでも色々あったしなあ・・・。
- 56 :If I ever hear・・・(9/10)
:2006/01/13(金) 10:23:07 ID:???
- と、ここまで考えているうちに、違う話題になっていた。
「じゃあ、すぐに企画たてれそうだね、合宿。」
「ああ・・・。一応あいつにもメールしといたんだけどね。
まあ、おめでとうも無しにいきなり合宿いつにする?
だもんな・・・。」
「あはは・・・。お兄ちゃんはあいかわらずだねえ。」
「まあね・・・。」
「荻上も行けるんでしょ?」
ビクッ!
いきなり話が振られて驚いてしまった。
「え?ええ、ま、まあ・・・。」
「?ま、わかった。でも、高坂行けるのかな・・・。」
「マスターアップがもう少しらしいから・・・。何とかなるんじゃない?」
「え、何で知ってるのそんなこと?」
「メールが来てね、マスターアップが今日から数日後で
締め切りやばいみたいなことが書いてあったんだよ。」
「あ、似たようなの来てた。そういう意味だったんだ・・・。」
「うん、その日までにあげなきゃどっちにしろ出せないから終わりだよね。」
「そっか、なら大丈夫かな。」
「多分ね。」
- 57 :If I ever hear・・・(10/10)
:2006/01/13(金) 10:25:15 ID:???
- そんな会話を聞き流していたんだけど、視線がたまにこっちに向いてるのがわかる。
ずっと俯いたままなのはいつものことなのに、何を気にしてるんだろう。
「じゃあ、俺はいったん帰ります・・・。」
「え、早いじゃん。」
「ちょっとやらなきゃいけないこともあるしね・・・。」
「ふーん、おつかれさん。ま、よかったじゃん。」
「あはは。そうね・・・。」
「おつかれさまです〜。」
「おつ・・・。」
ああ、また声が出ない・・・。
「それじゃあね・・・。」
そのまま扉を開けて出て行ってしまった。
二人とも私のほうを見てる・・・。やっぱり不自然だったかな・・・。
それでも何もできず、私は漫画を見てるフリを続けるだけだった。
- 58 :If I ever hear・・・(幕後)
:2006/01/13(金) 10:26:33 ID:???
- でも・・・。もし、もしかしてだけど・・・。
笹原さんが私のこと好きだっていってきたらどうする?
考えたことが無かったけど・・・。絶対ありえないから。
あれを見てまでそういってくれるなら・・・。
いや、それでもきっとだめなんだ。
でも、もしそうなったらどうなってしまうんだろう、私は。
考えても結論は出ず。
どうしようもないので、考えるのをやめた。
- 59 :If I ever hear・・・(笹原)
:2006/01/13(金) 10:27:28 ID:???
- はあ・・・。
荻上さん何も話してくれなかったよ・・・。
やっぱり本見たのが原因か?
あれは事故だしなあ・・・。
でもあれ以来だし・・・。
嫌われてたら嫌だなあ・・・。
こっちからは声かけずらいしなあ・・・。
合宿で何かできるといいんだけど・・・。
なんか考えてることがゲームの主人公っぽくなってるなあ・・・。
はあ・・・。
- 60 :If I ever hear・・・(後書)
:2006/01/13(金) 10:33:22 ID:???
- 一応、正式タイトルは
If I ever hear you knocking on my door
です。某バンドの曲名です。
直訳だと「もしあなたが私のドアを叩く音を聞くことができたなら」
ですが、私は思いっきり意訳して考えて、
私のドアを叩く→告白する、としてこのタイトルをつけました。
曲的にはどっちかといえば笹っぽい感じなんですけどね。
それはともかく、3月号楽しみですねえ。
うまくくっつくと信じてるからこそこういうSS書くんであって。
うまくいかなきゃ困る。書いてて悲しくなっちゃうんで。
- 61 :マロン名無しさん
:2006/01/13(金) 12:21:09 ID:???
- >>If I ever hear・・・
乙!
原作とうまくからめてるせいでリアリティが高くすごく良かったです!
- 62 :マロン名無しさん
:2006/01/13(金) 22:59:45 ID:???
- >>If I ever here…
読んでて当時の荻上心情をそうだと思ってても、改めて書き出されると
くっきりつきつけられてまた萌え…悶えますね!
3月号でかは分かりませんが、最終的にはうまくいくと信じてます!
(夢を見る方法 みたいな鬱展開書いてるので…でもハッピーエンドですよ!)
- 63 :五月雨 :2006/01/13(金)
23:24:35 ID:???
- >>46
その辺の時間軸や整合性はSSパラレルということでご容赦
むしろ、はっきりさせないほうが、おっしゃるように永遠の一瞬の
余韻にひたれますよね。書いてる俺が気付かなかった・・・。
>タンドリーチキン
ということはリライトの人ですね。アジカンのCD見ました。「筆頭!筆頭!」
って吹いたwwwwww。新作楽しみしてます。
>>If I ever hear・・・
いいっすねー。原作の内面描写の掘り起こしですね。実際、みんなの心は
すでに成立に飛んでるかもしれないですけど、成立前の心の機微やすれ違い
の掘り起こしも十分じゃないし、もったいないですよねー。
細微な心理描写に心打たれ、感銘しましたが、一部だけ笑いとりました。
ここ↓
>惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと
>デスブック。最近ジャプン・・・。
- 64 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 03:20:57 ID:???
- 前スレ埋まった
- 65 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 07:06:40 ID:???
- >惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと
>デスブック。最近ジャプン・・・。
>Kとロウ
原作には無い設定だよね。デスノをおいしくいただいてる
荻上かわいいよ荻上
- 66 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 09:12:41 ID:???
- >>63
アジカンのまさに「崩壊アンプリファー」、サンデイという曲の歌詞が
成立前(というか現在)のオギーそのものです。是非堪能下さい。
さて、季節柄思いつきやすい看病ネタを書きました。
当然成立後です。いや、3月号予想2つも書くと、成功成立後に頭がワープしてしまってます。
そして自分でもびっくりな明る過ぎるノリに…。
もっとしんみりしたの書くつもりだったのに、しかもえらいツンデレで
こんなオギーは有りなのか?と我ながら思ったので、違和感感じた方はご容赦下さい。
BGMがアジカンDVDだったのが悪かったのか……。
- 67 :8823(1/13)
:2006/01/14(土) 09:16:49 ID:???
- とある冬の日。げんしけんの部室に笹原と咲が居た。
咲 「ねー、笹やん、どう?ラブラブ?」
笹原「やー、はは……まあ、普通だよ」
咲 「あれでしょ、年下の彼女だと甘えん坊で困っちゃうな〜 み・た・い・な?」
笹原「うーん、むしろ全く甘えてくれないんだけど(苦笑)」
咲 「えー、二人の時もあんま変わんないの?面白くないな〜アレ買ってコレ食べたいとかさ」
笹原「何か欲しいものあるか聞いても 特に無いデス で」
咲 「ディズニーランドとかショッピングに休日行きたがるとか」
笹原「……言われたこと無いけど、どうなんだろうねぇ」
咲 「一緒に帰れないとイジケてふくれちゃうとか?」
笹原「それは――」
ガチャ。
荻上「あ、こんにちは」
笹原「やー、今日は授業終わり?」
咲 「オギー、ラブラブかーい?」
荻上「ラブ…!フツーですよ!あ、授業はまだ2つ有りますので、今日は帰っておいて下さい」
笹原「ん、了解りょーかい」
咲 「ほんとフツーだぁ……」
笹原「ねぇ……」
その夜。
荻上『なんか喉が痛いような…』
笹原に「今日は風邪っぽいからもう早寝します。おやすみなさい」とメールを送っておく。
荻上『笑ゴールドでオリエンタルテレビだけチェックしたらもう寝るかぁ』
布団に入ったところから半纏を着て、TVをつける。
- 68 :8823(2/13)
:2006/01/14(土) 09:17:28 ID:???
- 荻上『はあ…声ぐらい聞きたいなぁ』
〜〜〜♪
電話の着信メロディーが鳴る。個別指定してあるからすぐわかる。
荻上「あ、もしもし……すみません、ちょっと喉が……」
確かに、ちょっと喋りづらそうだ。
荻上「いえ、いえ、……ありがとうございマス。ではおやすみなさい」
荻上『喋りづらいとはいえ、素っ気無かったかな(汗)』
ちょっと後悔しつつTVを眺めていると―――。
「デンデンデンンデ……」「あっちゃんカッコイー!」「カッキーン」
このコンビ、眼鏡の相方が抱きしめてるんですけど…!
そして軽くワープ。
それから3時間、鉛筆を走らせる荻上だった。
翌朝目が覚めると、喉がふさがっているような感触。暑くて寒くて体が重い。
荻上『本格的に風邪とは…今日一日寝てりゃ治るかな』
引越しの時に実家から持たされた木製の救急箱を押入れの下から出してくると
体温計を取り出した。ヒヤリとした感触にビクッとなりながら脇に挟む。
ボーっとしばし待つと…ピピッピピッという電子音。
37.6度だ。
笹原に
「今日は風邪っぽいので寝ます。感染したらいけないし、寝てるので来ないで下さいね」
とメールを送る。
荻上『迷惑かけらんねぇもんなぁ。風邪をうつしてもいけないし』
今日は風呂にも入ってないし、机には昨日描き散らかした絵が散乱している。
笹原だけには見られたくない状況ではある。片付ける体力は無いし。
そして食パンとオレンジジュースだけ採ると、救急箱の風邪薬を飲んで寝るのだった。
目が覚めると部屋は真っ暗。
- 69 :8823(3/13)
:2006/01/14(土) 09:18:00 ID:???
- 荻上「はー……」
トイレに立つが、よろめいている。
布団に戻って携帯を見ると、メールが返って来ている。
「了解です。ホントお大事に。どうしても悪かったら言ってよね。すぐ行くからね」
今までの交友関係では携帯メールに不慣れだったぶん、いつも短文だ。
しかしそれは荻上も同じこと。
荻上『せっかくの休日が……はぁ…寝よ………』
それから、意外なほど深く眠ってしまったようだ。
目を覚ますと部屋は暗くなっていた。
体温計はベッドの所に置いているので測ってみる。
38.2度。
荻上「うっ」
もう日曜も寝込みそうだ。
真っ暗な窓の外を見ると、1日が終わった実感が強くなる。
荻上『寂しいなぁ……笹原さん……』
ピンポーン。不意に呼び鈴が鳴る。
荻上『まさか、笹原さん!?』
一瞬、思わず笑顔で扉の方に振り向く荻上だったが
荻上『いやいや、もしそうだとしてもそんな急に、この状況じゃ駄目だって』
玄関にヨタヨタと歩いていく。
荻上「は…はーい……」
覗き窓から外を見ると、見知らぬ女性が二人。
女性「すみませーん、世界の平和について―――」
荻上「間に合ってます!!」
喉が痛いのに叫んでしまった。
荻上「うう………喉が……」
- 70 :8823(4/13)
:2006/01/14(土) 09:18:30 ID:???
- 冷蔵庫からお茶を出すと、コップに注いで飲む。
流石に昨日からの食器が流しに溜まってきた。
荻上『これじゃ駄目だなぁ。でも、仕方ないか、風邪だし』
布団にもぐりこむと、枕元の携帯から歌が流れる。
〜〜〜♪
荻上『笹原さんだ!』
バッと携帯を開くと、息を整えて通話ボタンを押す。
荻上「もしもし……ええ、いえ、いえ……そうです……」
昨日よりも、声は出ていない。
荻上「………は?いえ、駄目ですよ!うつりますよ!」
荻上『うう〜〜〜ほんとは逢いたいのに……でも、お風呂に入ってないし』
荻上「今からまた寝ますけど、合鍵使って入ったりしちゃ駄目ですからね」
荻上『しまった――。昨日描いた絵や、読みかけのBL誌や、流し台が(汗)』
荻上「ええ、ええ、ホントに具合悪かったら……はい、ではおやすみなさい」
電話を切ると、ガックリとうなだれる荻上。
荻上『眠くないけど、体は重いし、なんかあちこち痛いし…』
仕方なく、布団に入るが、TVでもつけておく。
荻上『明日朝には治ってるかなァ』
そうして一晩、寝たり起きたりして、やがて窓からに朝の光が差し込む。
汗びっしょりなのでパジャマを着替えて、体温を測ってみると…。
40度6分!
荻上『えーーーっ!これってまさか、インフルエンザ?』
ガガーーーン!
荻上『病院も日曜じゃ休みか、開いてても救急病院の窓口だろうし、それは嫌だし』
ドサッと布団に倒れこむ荻上であった。
- 71 :8823(5/13)
:2006/01/14(土) 09:20:00 ID:???
- 夕方、薄暗くなった部屋に呼び鈴が響く。
しかしベッドの中の荻上は額に汗を浮かべたまま、起きる気配が無い。
枕元の携帯電話は、着信を知らせるランプが点滅している。
ガチャ…ガチャリ。しばらくしてから、玄関のドアに鍵を差し込む音がする。
笹原「荻上さん、大丈夫!?」
姿を現したのは、やはり笹原だった。手にはコンビニのビニール袋を提げている。
部屋の中は寒いとはいえ、荻上の存在によってやや甘い女の子らしい汗臭さが満ちていた。
ベッドの上で目を覚まさない荻上を見ると、荷物をソファの上に投げて駆け寄る。
笹原「すごい汗だし」
右手で汗で張り付いた前髪をかき上げると、そのまま額に掌を当てる。
笹原「熱っ……」
荻上「………んぅ」
額に触れる笹原の手の下で荻上のまぶたが開き、黒い瞳が笹原の方に彷徨う。
荻上『頭に手が……え?笹原さん………??体も汚れてるし、部屋が、は、恥ずかしい―――』
荻上「…だ…め……す……ょ」
笹原「え、何? 大丈夫?じゃないよね」
荻上「はず……しぃ…し」
どうやら上手く声が出せないようだ。乾いた喉に唾を飲み込むと、なんとか声を出す。
荻上「うつりますから………」
そういうと、額に伸びた笹原の腕の肘あたりをぐいと押し返す。
笹原「とりあえず病院に連れて行くよ。すごい熱だし、インフルエンザじゃないかな」
荻上「………スミマセン」
消え入りそうな声で、喉の奥でつぶやく荻上だった。
笹原「着替え手伝おうか?」
全力で首を振り、真っ赤になって拒否する荻上の姿に苦笑しつつ笹原は隣の部屋へ。
- 72 :8823(6/13)
:2006/01/14(土) 09:21:02 ID:???
- 着替える荻上を待つ間、下駄箱の横にあったタウンページを見てタクシー会社に電話をする。
荻上はタンスから、服の中でも着易いトレーナーとセーター、カーゴパンツを選ぶと、
もそもそと着ている。壁に掛かったダッフルコートを羽織っていこう。
荻上『はぁ、今回は凄い迷惑かけちまって申し訳ないし、部屋を見られちまうし………』
そして隣から聴こえてくる笹原の電話の声。近場の病院に電話している。
荻上『でも、やっぱりいざとなると頼もしいなぁ……かっこいい〜〜〜』
ちょっと嬉しそうな荻上の笑顔は、笹原に見られることは無かった。
医者「はい、インフルエンザね。熱もまだ41度あるし、隣の処置室へ行ってください」
笹原「わかりました」
ぺこりと会釈する荻上は、病院に来たことで疲労もあるようだ。
医者「あと、解熱剤とトローチ3日分出しておきます。お大事に」
年配の看護士にいざなわれると、先に立ち上がった笹原は荻上の手をとり
隣の処置室へ向かう。と、ここで荻上独りが連れて行かれる。
そう、高熱が出たときは定番の解熱剤は座薬だから―――。
荻上『うう、カーテン2枚の外には笹原さんが……』
看護士さんに服をずらされ、なすがままのうちに薬の処置は終わった。
カーテンから出てきた荻上は疲れと熱だけではなく、恥ずかしさでも顔を赤くして
うつむいたまま手を引かれて受付ロビーに戻るのだった。
笹原「最近話題のタミフルって、やっぱりインフルエンザかかってすぐじゃないと駄目みたいだね」
休日の病院なので受付ロビーや廊下の照明は少ない。
他にも救急で来ている小さな男の子と母親が、待合ベンチの逆サイドに座っているだけで
がらんとした病院は物寂しい雰囲気だ。
受付に呼ばれて笹原は支払いと薬の受け取りをしている。
- 73 :8823(7/13)
:2006/01/14(土) 09:21:34 ID:???
- 薬の説明を受けた笹原が、少し赤くなって戻ってきた。
笹原「座薬って冷蔵庫に入れておくんだね」
荻上「もう使いませんから…!」
笹原「う、うん、熱が下がって使わずに済むといいよね(苦笑)」
荻上は部屋に戻ると、着替えで出てもらっている間に微かな抵抗で
昨夜描いた絵などを箱に入れるが、その疲れもあってか飲み薬の作用か、
布団に寝かし付けられるとすぐに眠りについてしまうのだった。
荻上が再び目を覚まし、携帯を見ると0時をまわっていた。
額にはジェルの入った冷却シートが乗っていた。
今日は今まで未チェックだったが、メールと電話の着信が笹原から数件有った事に気づく。
朝からメールが何度か入ってから、電話が何度か有ったようだ。
荻上『そっか、完全にダウンしてたんだなぁ(汗)』
トイレに立とうと真っ暗な部屋の中ベットから起き出すと、笹原が台所の方から入ってくる。
笹原「あ、目が覚めた?具合はどう?」
手に持ったPSPの液晶が明るく光る。
部屋の電気をつけられると眩しくて目が痛い。
枕元の眼鏡を探してかける荻上。
荻上「色々と本当にスミマセン。だいぶ楽になりましたから」
笹原「熱、測ってみようか?」
うなずいて笹原に背を向けると、荻上は胸元を開け体温計を脇に挟む。
38.1度。
笹原「うーん、まだまだ高いね…。今夜は泊まるよ」
荻上「そんな、悪いですよ。うつりますし」
笹原「看病ぐらいするよ。だって俺、彼氏なんだし、こんな時ぐらいもっと甘えてよ(苦笑)」
ボッと真っ赤になってしまう荻上。
- 74 :8823(8/13)
:2006/01/14(土) 09:22:30 ID:???
- 笹原「食欲ある?何か作ろうか?」
問われて、少し考える荻上。
荻上「…いえ、まだ食欲は無くって」
笹原「何か食べたいものはある?何でも言ってよ」
荻上「……そんな、いいですから」
笹原「遠慮しないで、ほら―――。」
荻上「………アイスクリームが」
笹原「アイスだね?どんなの?」
荻上「バニラの…できれば、キャラメルのが……」
要望を出すことに対して何故か照れがある様子だ。
笹原「うん、わかったよ。じゃあ寝て待っててね。電気消すよ?」
にっこりと笑顔で答え、笹原はベッドの脇から立ち上がる。
荻上「あ、電気はつけてて下さい。ありがとうございます」
へたりと深々、頭を下げる荻上だった。
コンビニに買いに行くのだろう。笹原は出かけていった。
よく寝たので眠気はあまりない。ふらつきながらトイレに立つと
台所の食器が一応全て洗われている事に気づく。
荻上『優しい―― 笹原さん。もっと甘えてって言われても、どうしたもんか?』
すぐ下の弟のお姉さんとして育てられた荻上は、あまり甘え方を知らない。
やっぱり寝汗がひどいので、ふたたびパジャマを着替える。
荻上『笹原さん、遅いなぁ。大丈夫かな……』
まだ出てから10分ぐらいしか経っていないが、恋する乙女モード発動中のようだ。
そうしてさらに10分ぐらい待つと、笹原が帰ってきた音がした。
荻上『帰ってきた〜〜〜』
ドキドキする荻上。
- 75 :8823(9/13)
:2006/01/14(土) 09:23:04 ID:???
- 精神的には玄関にダッシュして飛びつきたいぐらいだが―――。
荻上『いやいや、ありえないし』
飛びつく自分をシミュレーションしてみるが、やはり自ら否定している。
笹原「ただいま、お待たせ」
荻上「おかえりなさい、ありがとうございます」
笹原がソファの上の大きなクッションを荻上の背中側に入れ、起き上がり易くしてくれる。
買ってきてくれたのはハーゲンダッシのカップアイス(キャラメル)。
笹原にしては奮発したようだ。
胸まで布団を被ったまま起き上がった荻上だったが、腕が寒い。
荻上『あ、思いついちゃったけど、甘えすぎのような……』
自分の思いつきに荻上は赤面しながら、布団に腕をしまう。
荻上「あ、あの……」
笹原「ん?どうしたの?アイスどうするの?」
手に持ったアイスを渡そうとしていた手を止めながら、笹原が聞いてくる。
荻上「………」
じっと笹原と視線が合って―――、
恥ずかしくて言えない台詞をテレパシーで送ろうとしているのだろうか?
その口元が、あーんと開いたのを見て笹原はようやく気付いた。。
笹原「あ、ああそうね」
笹原は急いでカップを開け、固くてスプーンが刺さらなくてさらに焦っている。
荻上『ああっ、やっぱりやめときゃ良かった』
後悔し始めたときに、笹原はようやく掬い取ると、照れた笑顔で口元にスプーンを運んできた。
ぱくっ。
美味しいし、食べさせてもらうというシチュエーションが嬉しくて
笑顔がポロリと顔から落ちるんじゃないかといった様子の荻上だ。
- 76 :8823(10/13)
:2006/01/14(土) 09:23:46 ID:???
- 笹原「美味しい?」
荻上「はい」
喜色満面で答える荻上。
笹原も、介抱冥利に尽きるというものだ。
荻上『ふふふふふふ 笹原さん大好き〜〜〜』
乙女モード継続中のようだが、言葉には出さない。
小さなカップだが、けっこう時間は掛かった。
背中に入れていたクッションを外すと、荻上はそろそろ再び寝る準備に入る。
笹原から受け取ったホットレモンを飲み干すと、荻上はまだ筋肉痛もあるだろうが
幸せそうに笹原を見続けている。
荻上『ん?笹原さんもこっちを見ている……見すぎたべか(汗)?』
近づいてくる笹原の顔の、その意図に気付いたものの荻上は素直に目を閉じた。
軽い接吻。
荻上『あ…唇の感触が気持ちいい―――』
そして荻上は笹原に頭を撫でられると、そのまま寝そうになる。
荻上『はーーー、幸せ………』
しかし、目をぱちっと開くと荻上はがばっと起き上がった。
荻上『はっ!でも、インフルエンザがうつっちまう』
荻上「だ、駄目ですよ笹原さん!すぐに口を洗ってください!インフルエンザうつりますから!」
笹原「えーーー」
荻上「早く早く!」
洗面台に向かう笹原の背中を見送ると、荻上は今度こそ安心して布団にもぐりこんだ。
戻ってきた笹原が見ると、微笑みを浮かべたまま荻上はもう眠っていた。
それを見て電気を消すと、笹原もソファーと寝袋で眠りに就くのだった。
- 77 :8823(11/13)
:2006/01/14(土) 09:24:37 ID:???
- 翌朝、荻上は目が覚めるとすぐに笹原の姿を探す。
スリガラス越しに、台所に笹原の居るシルエットが見える。
ほっとした様子だ。
荻上『トイレトイレ……』
布団から出ると、昨日までよりは体が楽になったような気はするが、まだダルイ。
笹原「おはよう、まだ無理しちゃ駄目だよ」
荻上「おはようございます」
布団に戻ると、荻上は笹原が来るのを待っていた。
笹原「まずは、また熱でも測ってみようか」
37.4度。
笹原「あともうちょっとだね。食欲は?」
言われて荻上のお腹が鳴った。
荻上「あっ…あります……」
荻上『あーもう、私のお腹のバカ!』
恥ずかしさに赤くなるが、笹原には熱のせいだと見えるかも知れない。
笹原「インスタントだけど、おじや作ったんだ。ちょっと食べて薬飲もう」
荻上に半纏を着せてあげると笹原は台所からお盆を運んでくる。
今度は笹原の方から、スプーンを荻上の口に運んでくる。
荻上「あーん」
思わず声が出ているが、気付いてないようだ。
荻上『鼻が詰まってるからあんまり味がしないけど、美味しいなぁ』
- 78 :8823(12/13)
:2006/01/14(土) 09:26:28 ID:???
- 荻上が食べたあと笹原も食べ終わり、台所で食器を洗いながら笹原が言う。
笹原「今日はゼミも無いし、ずっと居るからね」
荻上「あ、ありがとうございます。ほんとすみません」
荻上『わーい、やった!』
台詞と裏腹に、荻上から嬉しそうな様子が溢れている。
まあ、笹原は台所なのでそれを見ることは無いのだが。
荻上は、今までにない甘えっぷりだった。
荻上「あの、何か音楽を掛けていて下さい」
笹原「ん、分かった」
荻上「ミルクティー、ロイヤルで砂糖いっぱいのが飲みたいんですけど……」
笹原「うーん、買ってくるよ」
荻上「あ、今日発売のジャプンもお願いします」
さらにトイレに行く時は、半纏は笹原に着せてもらって、手を取ってエスコート。
そんな感じで寝たり起きたりの状態で、暗くなるまで布団で過ごした。
夕方になって体温測定。荻上は体温計を取り出して見てみた。
荻上『あ、36.3度だ。もう治ってる?』
もう筋肉痛は治っている。体も軽くなった。
荻上『もう甘えられないのは、勿体な―――』
そこまで考えると、頭を振って思い直す。
荻上『いやいや、勿体無いじゃなくて、迷惑掛けすぎだし!』
と思いつつ、ガッカリの雰囲気がちょっと漂っている。
荻上『でも、笹原さんもう帰っちゃうんだなぁ。結局居てもらっただけだし』
寂しさが募ってくる。
- 79 :8823(13/13)
:2006/01/14(土) 09:27:23 ID:???
- ソファーでジャプンを読んでいた笹原が顔を上げる。
笹原「ん?もう熱は下がった?」
荻上「はい、おかげさまで、36.3度でした。病院とかほんとご迷惑を……」
笹原「苦しかったし、動けないと大変だったよね」
荻上『さ……!ささはらさーーーーん!』
内心叫んでいる。
その荻上の大きな目が潤んでくる。ちなみに今は眼鏡。
笹原「今晩の夕食は煮込みうどんにするよ。鶏肉でいいよね」
荻上「はい、鶏肉は好きですので」
笹原「荻上さんが寝るまでは居るよ。DVD借りてきてるんだ」
荻上「…嬉しいです」
みるみるうちにニヤケてくる荻上に釣られて、笹原もニヤケてしまう。
荻上『やた!やった!』
荻上は3日も入浴してないし、いくらなんでも流石に今夜は健全に過ごすはずだ。
しかし、今後は二人っきりの時は今までより荻上は甘えるようになるんじゃないだろうか。
……まずはインフルエンザを完治させる事が肝心だ。
ちなみに笹原は、運良くインフルエンザにうつりませんでしたとさ。
- 80 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 09:30:14 ID:???
- 徹夜で書くのはやりすぎでした。
そしてアジカン聞きながら書いたのにタイトルは別のバンド。頭おかしいです。
- 81 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 11:48:49 ID:???
- >8823
うわ、なにこの甘え子ちゃんなオギーは!こんな荻上も見てみたいwwwwww
思わず顔がニヤニヤしてしまいましたよ!!俺もかいがいしくお世話申し上げたい!!
笹原がウラヤマシス。
今度は荻上が笹原を介抱するシチュキボン!!そろそろ愛されるだけでなく、愛する
事で変貌した荻上を見てみたい気もします。
- 82 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 12:16:03 ID:???
- 超ロングパスが出ました。
- 83 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 13:26:31 ID:???
- >8823
ハヤブサ、いいねえw
多分、付き合い始めはこんな感じ。はじめはそう変わらんでしょ。
甘えること事態にいやだと思ってる部分もありそうだしねえ。
でも、徐々にそれをやっていいんだと思うことで堰を切ったように・・・。
悶え死ぬよ〜〜〜w
- 84 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 13:27:02 ID:???
- >>82
いや、アンカーじゃないし
- 85 :81 :2006/01/14(土) 13:27:17 ID:???
- あっ!ほんとだ!
- 86 :60 :2006/01/14(土) 13:35:29 ID:???
- 読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
>>61
リアリティは最高の褒め言葉w
>>62
話間みたいなSSが大好きですw
どうかハッピーエンドで!はみんなの願いですよね〜。
>>63
掘り下げていくとさらに読めてくるキャラの一面が面白いです。
あと、デスノネタ、笑ってくれたなら満足ですw
>>65
実は、この話のときに荻上が読んでるのはデスノートらしい、
ということからここまで膨らませていきました。コミックご確認くださいw
しかし、甘々もいいね・・・。俺には書けません・・・。
書こうかな?やめとこう・・・・。
- 87 :マロン名無しさん
:2006/01/14(土) 14:01:50 ID:???
- >>84
専用ブラウザだとアンカーになってるw
- 88 :8823
:2006/01/15(日) 01:07:56 ID:???
- >>81
デレというより甘え子ちゃん。いくらでも世話しますよね!
介抱かどうかはともかく、尽くすオギーの話も考えてますので、たぶん…
3月号待つ間に書いてしまいます。
>>83
自分で書いたのに自分で楽しめてます(というか書きながら悶えてました←この人おかしい)
大野予想では、がらりと豹変するようなことを言ってましたが、やっぱり普段は
今までどおり素っ気無いぐらいのほうが良いですよ!!
>>86
是非、甘々話も期待してますので!!
みなさん読んでいただきましてありがとうございます。
絵も描き始めましたけど、自分で自分の絵が萌えずにガックリです。
SSだと自分の書いたものに萌えてるんですけどね。ハアハア
やっぱりSS書きまくりたい所存ですのでこのスレの厄介になります。
……ペンタブレットも買ってしまいましたけど。
- 89 :前スレの632
:2006/01/16(月) 01:25:40 ID:xmlaOaIN
- 今日は宿直なのでPCが使えますので少しだけ続きを・・・。
とりあえず、このOB会編は回想がメインになりそうです!
あと、斑目目線だけでなく、ほかのメンバーの回想も考えています!!
そんないつもの『オタ話』に咲はさらなるいらだちを隠せなかった。
「いつも疑問に思っているんだけどさ・・・田中は別として
オタクってタバコ吸わないわけ・・・?」
その言葉に笹原は「別に人が吸うのは構わないけど・・・うーん俺は
タバコ買う金あったら、食頑買ってるな・・・。」
「おっ俺は部屋でタバコ吸われるとヤニで汚れるから、いっいやだけど
田中はマっマナーを守ってるし・・・」
「田中の場合、職人気質のオタクだからな・・・そういうのは何故か
咥えタバコがよく似合うんだ・・・」斑目は机に肘をつき両手を顔の前で
組んだ姿勢でニヤリとした!!
「まあ、俺は高校の時から吸っているし、『彼女』でもできたら
わからないけど」
「ふーん、なんか変な拘りがあるんだね・・・・」
咲は呆れたように言い放った・・・。
- 90 :前スレの632
:2006/01/16(月) 01:46:39 ID:xmlaOaIN
- 夕方になり、他のメンバーが帰った後、斑目は一人部室にいた
机に置いてあったアパートのカギを取るとその指の先には、
田中が忘れていったタバコの箱が置いてあった・・・。
『田中の奴、捨て忘れたな・・・。』
斑目は箱を手にとると、そこから何かがポロりと落ちた・・・。
よく見るとそれは、最後の一本であろうタバコであった・・・。
斑目はそれを手にとると、おもむろに咥えてみた・・・。
同じく、机の上に置いてあるライターに手を伸ばし火をつける・・・。
『たしか『ろくでもねえ!ブルータス』にはタバコは
吸いながら火をつけないといけないってあったな・・・。』
斑目は内心ドキドキしながら、火をつけると、
タバコの煙を吸い込んだ・・・・・
ゴッ・・・くぁswでfrtgひゅじこlp;「’・・・ゲホゲホ・・・
彼は座り込むとorzの体勢で激しく咳き込むのであった・・・。
とりあえず、グダグダ感になったが斑目の喫煙に関しては次回がラスト
そのあとは斑目を中心にして大野さんや笹・荻の回想も入れていきます。
これから仕事があるのでそれまで、さらばじゃー
- 91 :8823
:2006/01/16(月) 21:31:23 ID:???
- ふむぅ。
orzの姿勢で咳き込む斑目、萌え。
- 92 :マロン名無しさん
:2006/01/17(火) 19:33:30 ID:???
- >『ろくでもねえ!ブルータス』
ワロタwww
モトネタはあれですな・・・。漫画の知識信じて実行する斑目いいね。
煙草を吸いながら火をつける?はて?そういや無意識に火を吸い込んでたか。
(ヘビーだったが今はやめた。たまに気休めに吸う)
初めて煙草吸ってた頃思い出すな。かっこつけて、最初はふかしてただけで、ようやく
肺に吸い込んだときは、やっぱ斑目みたいに・・・。ちょっと目を細めて懐かしい気分に
なった。でも煙草は覚えてもしょーないぞー、斑目!!
- 93 :マロン名無しさん
:2006/01/17(火) 19:47:27 ID:???
- 斑目の職場の場合、付き合いで吸えないとさらに居心地悪くなる予感。
- 94 :マロン名無しさん
:2006/01/17(火) 20:13:52 ID:???
- あと、競馬、競輪、パチンコ、パチスロ、マージャン、野球、相撲、飲み屋、風俗etc・・・。
数年後、斑目は別人になってました。ありがとうごさいました。
- 95 :パンを焼く(1/6)
:2006/01/18(水) 01:17:11 ID:???
- 合宿も終わってしばらく―――。
夕暮れは早くなってきたが山の木々は蒼い、とある初秋のこと。
笹原のアパートの台所に立つ荻上の姿があった。
その背中ごしの動きはギクシャクしていて心なしか、緊張している………
どころではない。横顔は焦っていて、軽くパニック気味のようなのだ。
全ては笹原の「……手料理食べてみたいな」の一言から始まった。
彼はウッカリと本音をダイレクトに言ってしまうところが有る。
それがゆえに、荻上も「じゃあやってみマス」と二人でスーパーに行ったのだ。
二人でスーパーで買い物してる所までは熱々カップル気分でよかったのだが
荻上自身、節約のために自炊はしているものの
荻上『自分の創った料理って食べ終わる頃には飽きているんだけど……』
といった状況だった。つまりは消極的に不味いという事。
それでも惣菜は売っているし、材料を加熱してこの袋を混ぜるだけ、みたいな
ちょっと手を加えるだけで良い物も色々と売っている。
本格的な「一から作る料理」なんて必要性が無かったのだ。
- 96 :パンを焼く(2/6)
:2006/01/18(水) 01:17:44 ID:???
- 話は戻って。
料理を作る荻上の背中を見ながら、テーブルに座ってデレデレと待つ笹原には
その焦りは幸いにも(?)伝わっていなかった。
荻上『ハンバーグってタマネギ以外に何か野菜入れるべか?』
『混ぜるものってパン粉だったのか小麦粉だったのか……』
『ああっ!表面は焦げが激しいのに、いつまで経っても中が生っぽい!』
この脳内の経路を辿ってみれば、どんな料理が出来たかわかるだろう。
やがて、
テーブルの上に並んだ黒い塊を挟んで沈黙する笹荻ふたり。
笹原『ある意味、これはドジッ子の料理失敗萌えというベタなシチュエーションで美味しい状況?』
笹原「……作ってくれてありがとう。じゃあ、いただきます」
もう笹原の方を見ちゃ居られない荻上。自分でもどう見ても失敗なのは分かりすぎている。
カリッ。ハンバーグらしからぬ音を立てて食べられている。
笹原『お約束どおり、中身は生なんだな……』ごくり
笹原「うん、これは…その………」
荻上「無理しなくていいです!もう食べなくて良いですから!」
笹原「いや、全部食べるよ!」
二人にとって最初の喧嘩がこれだった。
- 97 :パンを焼く(3/6)
:2006/01/18(水) 01:18:36 ID:???
- それからしばらく。秋雨がしとしと降る日曜日、荻上の部屋でくつろぐ笹原が言った。
笹原「そろそろ晩御飯だね。雨だけどどこか出ようか?」
荻上「いえ、今日は私が作ります」
笹原「え………」
その気配に少しムッとする荻上。
荻上「こんなこともあろうかと―――ネットでレシピをチェックしてますので!」
笹原「それは楽しみだなぁ」
自分を追い込んでしまう荻上。
荻上『よし、ジャガイモは美味しそうに茹であがったべ』
『キュウリの厚さが色々だけど…不味くはならないはず?』
『マヨネーズ使いすぎはよく無さそうだけど薄味だと不味くなりそう。塩を多めに入れて…』
『ゆで卵を切ったりするのもなんだし、炒り卵でも…ああっフライパンにこびりつく!』
『何か一工夫して…この搾った木綿豆腐を!ヘルシーに!』
そうこうして美味しそうなポテトサラダが、鍋一杯に出来上がった。
今回は成功っぽい。笑顔で丼に山盛りのサラダを受け取る笹原。
ぱくり×2。
笹原「うんおいしいよ」
荻上「ちょっと柔らかいですけどね…豆腐で」
しかし、食べ進むうちに無言になる二人。
笹原『うーん……だんだん食べるのが辛くなってきた(汗)』
荻上『ああ、やっぱり私の料理って食べてる最中に飽きるというか…不味いというか』
添えられたインスタントのコーンスープが救済措置となった。
しかし盛り下がって、その夜は別れた―――。
- 98 :パンを焼く(4/6)
:2006/01/18(水) 01:19:11 ID:???
- 荻上は本来、長く描いている漫画でもテクニック本をよく読む方だ。
となると料理でも、レシピ本しか有るまい。
翌日のこと。
荻上『笹原さんが優しいといっても、このままじゃ自分に負けてるし』
『だいたい自分で食べる分にも飽きるのって駄目だぁ』
自己弁護してみたりしつつ、簡単とか初心者とかいうキーワードを元に本屋で
1時間近く粘ってしまった荻上だった。
山の緑がところどころ黄色くなってきたのが見える。夕風が冷たい中秋の頃。
そんな夕方、荻上に呼ばれて部屋を訪ねた笹原は、部屋に入る前から美味しい匂いが
外に漂っているのに気付いた。
笹原『なんの料理の匂いだろう?和食じゃないけど』
夕暮れと対照的に輝かんばかりの笑顔で玄関の扉を開けた荻上は
後ろを歩いてついてくる笹原に知られずニヤリとした笑みに変わった。
荻上「ちょっと待ってくださいね、今仕上げますから」
フライパンからはニンニクの匂いが漂ってくるが、まだ空のようだ。
そこへガラッと固い音。次に何か激しくジューっという音が上がる。
しばらくして出てきたものは、何かの貝料理のようだが
荻上「アサリのワイン蒸しです。使った以外の白ワインも飲んでくださいね」
荻上の酌で、普通のグラスに注がれる白ワイン。
そして台所に行った荻上が炊飯器を開ける音。
荻上「秋ナスと鶏肉のトマトピラフです。炊飯器で作ってみました」
笹原「うわ―――。」
- 99 :パンを焼く(5/6)
:2006/01/18(水) 01:20:48 ID:???
- 今までの失敗料理とうって変わっての本格料理に台詞が出てこない笹原。
笹原「お店で食べるような本格料理じゃない?ほんと凄いよ!」
荻上「まずは食べてください」
笹原「うんうん!ほんと美味しいよ!」
荻上「たくさんありますから、どんどん食べてくださいね」
その日は二人とも、食べ過ぎて苦しくなるまで食べても美味しかった。
荻上が使ったレシピの4人前の分量を守ったので、全ては食べ切れなかった。
荻上『レシピどおりに作っただけで吃驚するぐらい美味しいんだなァ』
イメージを再現する能力が優れているのと、舌が良いのかも知れない。
それからというもの、
荻上「実家から新米が送られてきましたので」
笹原「うわ。このお米、今まで食べたのとか良いお店のより絶対美味しいよ!」
荻上「今日は肉じゃがを作りました。定番ですので」
笹原「良いお嫁さんになれるよっていうのが定番の反応?でもほんと美味しいよ」
荻上「今日はパスタです。カルボナーラに挑戦してみました」
「トンカツってなかなか難しいですね、衣が厚すぎてもいけませんし」
「ゴーヤチャンプルーで沖縄気分ですよ」
「餃子の皮を一緒に作りましょう。具は特製ですのでお楽しみに」
「オーブンレンジ買いました。パンを焼いて見ましたので」
そんな感じで、笹原はいつのまにかほぼ毎日、荻上宅で満腹まで食べるようになっていた。
材料費はけっこう笹原持ちだが、お米は荻上持ちだし、ほくほくの日々だった。
- 100 :パンを焼く(6/6)
:2006/01/18(水) 01:21:20 ID:???
- そして数ヶ月。ゼミ発表のために久しぶりにスーツを着た笹原は
…いや、正確には「着ようとした」笹原は、愕然とした。
笹原『ズボンのフックが止まらねぇじゃん―――!』
それはベルトで乗り切ったが、穴は2つも大きくなっている。
上着もどうみてもパッツンパッツンだ。
大学の正門前で春日部さんに会った笹原は、いきなり爆笑された。
咲 「笹やん、ちょっと!!(爆笑)」
「ぶっちゃけ忘年会の時に荻上共々丸くなったと思ったけどさ。久しぶりに見たら、何それ―――!」
笹原「ひでーな春日部さん……」
咲 「あんた、スーツ買いなおすかダイエットするかしなよ」
笹原「この時期に出費は痛いけど、まあねぇ」
咲 「どうしちゃったのさ?運動不足とか今更関係無いでしょ」
笹原「いや、たぶん……荻上さんの料理が美味しくって」
咲 「うわーーベタなノロケ!!」
- 101 :パンを焼く
:2006/01/18(水) 01:22:28 ID:???
- タイトル元になった曲は、男が料理してますけどね…。
こんなんで太るんだったら豚になってもいいよ!もう!!
- 102 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 02:15:06 ID:???
- >>101 ベタなオチ乙w
だがそれがいいwww
- 103 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 02:17:28 ID:???
- >>95-100
読んでてニヤけたw 上手いね、そして面白い。刺激された。GJ!
- 104 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 04:48:58 ID:???
- >>95-100
いいねえw
料理が少しづつうまく・・・。それは笹原のため・・・。
ムハア(゜Д゜)
まだ、われわれは戦えますよ!
- 105 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 09:12:15 ID:???
- バレスレ行ったら萌殺された。
- 106 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 10:34:52 ID:???
- このスレすらもう来れないのか。
あでゅー
- 107 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 13:10:11 ID:???
- ここもか!発売前に新作投下したかったけど退散する!
投下済新作感想は後で必ずするよ!
- 108 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 13:25:27 ID:???
- その後、>>107を見た者は誰もいない・・・
- 109 :マロン名無しさん
:2006/01/18(水) 17:08:29 ID:???
- >>95-100
イイヨイイヨー
25日にまた会おうな!
- 110 :パンを焼く
:2006/01/18(水) 21:53:46 ID:???
- >>101
全てがベタです。タイトルも「ベタ」とか「ありがちなシチュエーションに引っ掛かるもんか」
とかにしようとしたぐらいです。
>>103
こんな風に作ってもらえたらニヤケますよね。書いててお腹が空きました。
>>104
まだまだ戦い続けますよ!バレの嵐が吹き荒ぼうとも撤退しません!
>>109
25日以後も宜しくです。書けども尽きませんよね。
皆さんほんとありがとうございます。さて…あと1週間、SSや模写で頑張って乗り切ります。
- 111 :パンを焼く
:2006/01/19(木) 00:49:40 ID:???
- 自作で激萌えオギー待ち受け画像も思いのままって、すごいですよね…
- 112 :マロン名無しさん
:2006/01/19(木) 00:50:14 ID:???
- あ、荻スレ誤爆 今日はもう寝よう…
- 113 :影踏み
:2006/01/19(木) 01:48:27 ID:???
- >パンを焼く
何のタイトルでしょう?幸せ太りの笹原いいねー。うらやましい・・・。
新婚さんみたいwwwwww
俺もタイトルに歌からとるの好きです。今回は一青窈の影踏み。看病のシーン
の続編のつもりでアイスクリームのシーン拝借しちゃいました。すいません。
しかし、俺の作風はどうしてもセンチに・・・。歌のイメージを引きずっちゃ
って・・・。すごい覚悟ですね。俺はSS書きたし、バレ怖しで・・・。
- 114 :影踏み(1−8)
:2006/01/19(木) 01:52:51 ID:???
- 初冬にさしかかろうという、ある乾燥した日の朝、笹原は唸りながら、目覚
めた。
笹「さむ!!むっ」
喉が痛い。頭痛もする。肩や足も筋肉痛がする。
(風邪か?昨日、ヒーターつけたまま、コタツでうたたねしちまったから
な・・・)
むくむくと布団からはい出し、四つんばいで、がさごそ部屋を漁り始めた。
(体温計・・・あれ、くそ!どこに片付けたっけ?めったに使わねーから
な・・・救急箱・・・。ああ、あったよ・・・はは、押入れのエロゲーの雑
誌の下敷きになってら・・・)
布団にごろんと横になり、体温計で体温を測り始めた。
(・・・38度2分・・・。けっこうあるな・・・)
笹原は布団にもぐりこみ、掛け布団に丸まった。
(寝てりゃ直るかな・・・どうせ講義も無いしな。風邪薬・・・ありゃ使用
期間過ぎてるよ!大丈夫か?)
笹原はそんなに頻繁に病気になる人間ではない。薬関係も大学入学時に購入
したきりだ。服用しても問題ないような気がしたが、不安になってやめた。
汗が止まらない。熱がさらに上がったようだ。
- 115 :影踏み(2−8)
:2006/01/19(木) 01:53:28 ID:???
- (・・・惠子・・・あいつ今日はどこだ?メールで・・・)
笹原はなれない手つきで、惠子にメールする。
「風邪ひいたみたいだ。動けない。風邪薬とか買ってきてくれ」
なかなか返事が返ってこない。じりじりと笹原は待つ。やっと返事がくる。
「兄貴 悪い 今横浜のダチの家に遊びにいってる 無理」
笹「くそ!」
笹原は携帯を壁に投げつけた。熱で気が立っている。八つ当たりすることで
は無い。最近、惠子もここには寄り付かなくなった。惠子なりに気を使って
いるのだ。しかたがないことだ・・・。
(荻上さん・・・)
荻上の顔が脳裏に浮かんだ。だがすぐにかぶりを振った。駄目だ。かっこ悪
い。最近ようやく、甘えてくれ頼りにしてくれるようになったのに・・・。
こんなことで、迷惑はかけられない。自分でなんとか・・・。
- 116 :影踏み(3−8)
:2006/01/19(木) 01:54:33 ID:???
- しかし、思ったより笹原の症状は重かった。着替えて、よろよろと外出を試
みようと、扉の鍵を開けた。その時点で立ちくらみして、歩ける状態じゃ無
い事に気付いた。次第に意識が薄れてきた。
(やばい!マジでやばい!こんな一人で洒落にならない・・・)
笹原はかろうじてメールで荻上にメッセージを送った。
「風邪ひきました」
これだけ送信して、普段着のまま布団にもぐりこみ、そのまま寝入った。
次に笹原が目を覚ました時、そばには心配そうな表情の荻上がいた。
笹「荻上さん?どうして?」
荻「どうしてじゃないですよ!メールで風邪ひいたって送られてきたから、
返信して症状聞いても、一向に返事返ってこないし、心配になって見舞いに
来て見たら、ドアは開いたままで、声かけても出てこないし・・・」
笹「はは、そのまま寝入っちゃったみたいで・・・」
荻「死んじゃったのかって驚きましたよ!何回か声かけても目を覚まさなか
ったし・・・」
荻上の顔は動揺して、目は涙目になっている。
- 117 :影踏み(4−8)
:2006/01/19(木) 01:55:09 ID:???
- 笹「心配かけたね、ごめん・・・」
荻上のその表情に胸が痛んだ。
荻「とにかく、着替えてください!汗だらけです。着替えはどこです?」
笹「ああ・・・そこ衣装ボックスに・・・あっ自分でやるから・・・」
荻「こっこれですね、体が冷えると危険ですから、急いで!」
荻上は笹原の下着とパジャマを手に取り、すこし顔が赤らんでいる。
笹「うっうん。」
荻「まだ、熱はありますね。少し寝てて待ってください。必要なもの買い揃
えてきます」
笹「悪い・・・」
荻「まあ、前にお世話になりましたからお互い様デス」
- 118 :影踏み(5−8)
:2006/01/19(木) 01:55:48 ID:???
- 荻上は買出しに出かけた。笹原は布団の中で、ふーと安堵の声を上げた。正
直、一人で病気になった時、これほど不安な気持ちになるとは思ってもいな
かった。目を覚ました時に、荻上がそばにいてくれた事が、どんなに嬉しか
ったか分からない。
荻上は小さい体に両手に大きな買い物袋を抱えて、戻ってきた。
笹「色々買ってきたね!」
荻「ええ、薬のほかに、スポーツドリンク、レトルトのおかゆ、あと食材も
少々・・・」
笹「そんなに・・・悪いよ・・・」
荻「いえ!前に風邪の看病してもらったじゃありませんか。わたしもすこし
勉強しましたから」
笹「薬飲んで寝てりゃ直るよ・・・そんな大げさな・・・」
荻「ヒスタミン系の薬は強いですけど、強い解熱剤は回復を遅くします。飲
んでも漢方薬系の薬で、水分と栄養を補給する事が一番です!水分もただの
水では体力を奪いますから、スポーツドリンクを飲んで汗をかいて安静にす
るんです。寝ててください」
笹「うっうん。わかった」
笹原は荻上の迫力に気おされて、大人しく寝た。
- 119 :影踏み(6−8)
:2006/01/19(木) 01:56:33 ID:???
- 荻上は台所で何かしている。
笹「ゲホ ゲホ 何してるの?」
荻「空気、乾燥してますよね。風邪に良くないですから、やかんでお湯を沸
かしてます。加湿器無いですもんね」
笹「そうなんだ・・・。昨日もヒーター付けっぱなしで、空気乾燥させたし・・・」
荻「何か食べれます?」
笹「そうだね、おかゆとか軽いものなら・・・」
荻「そうですか。じゃあ、これ・・・」
荻上はレトルトのおかゆに添え物にゆずを刻んだものを出した。
笹「これは?」
荻「実家から送られたものです。ゆずを刻んで蜂蜜と砂糖、酢で漬け込んだ
ものです。おかゆとからめて食べると美味しいですよ」
笹「ああ、ほんと!ゆずの香りが食欲そそるね!甘くて美味しい・・・」
荻「あと、生姜湯もあります。それとネギを刻んだ湯豆腐・・・。あの・・・
この前の・・・アイスクリームのお返しで・・・」
荻上は顔を赤らめて、油豆腐をれんげに取って、笹原の口に運んだ。
笹原も顔を赤らめて、それを口にした。
笹「あっありがとう」
- 120 :影踏み(7−8)
:2006/01/19(木) 01:57:08 ID:???
- 満腹になると、笹原は睡魔に襲われて、寝入った。そして夢を見た。それは
合宿の黄昏の空の色だった。浅い眠りの夢うつつの中、笹原は考えていた。
あの時と逆だな・・・。こんなにも病気が人の心を弱くするとは思ってなか
った・・・。荻上さんもこんな不安な気持ちでいたのかな・・・。俺・・・
そんな彼女につけこんだみたいだ・・・。あの時の彼女の寝顔をずっと見守
っていきたいって気持ちには偽りは無いのだけれども・・・。
笹原が目を覚ますと、となりで荻上もうたたねしていた。
荻「あっ!わたしもうっかり寝ちゃってました!」
笹「・・・ねえ、合宿の時、君、俺に『何でここにいる』のかって聞いたよ
ね。こんなこと・・・聞くなんて・・・男らしく無いと思うんだけど・・・
何故君は俺のそばにいてくれるの?」
荻「何故って・・・だって・・・笹原さんは・・・わたしが一番いてほしい
と思った時にそばにいてくれたじゃありませんか・・・それだけです・・・」
笹原は顔を見せたくなくて、背を向けて布団をかぶった。
笹「俺も・・・今そんな気持ちだよ」
- 121 :影踏み(8−8)
:2006/01/19(木) 01:57:53 ID:???
- 荻上は気恥ずかしさに場をはずして、窓辺に目を向けた。
荻「ああ、ここからつつじの木が見えるんですね。春になったら花が咲くん
ですね。今は散ってますけど・・・。わたし夢を見てました。子供の頃です。
幼馴染と影踏みとかして遊んでるんです。キャッキャ飛び跳ねて、夢中にな
って遊んで、黄昏時になってもやめないんです。でもあたりが薄暗くなり、
わたしが振り向くと友達の顔や影が見えなくなってるんです。あんなに仲良
く遊んだのに顔が思い出せないんです・・・」
笹「・・・そうだね。でも俺も君も影じゃないし、今たしかにここに・・・
いるし、消えたりは・・・しないよ。・・・うまく言えないけど・・・二人
でいれば散らない花も見れると・・・思う・・・ははっまだ熱があるみたい
だ!こんな恥ずかしいセリフ!」
荻「そうですね。熱のせいにしましょう。元気になって良かったデス!」
- 122 :マロン名無しさん
:2006/01/19(木) 02:33:23 ID:0y1u5e5x
- このおセンチ野郎めw
GJ
- 123 :パンを焼く
:2006/01/19(木) 02:38:29 ID:???
- 日課(といっても3日目)の模写が終わってみたら、ネタバレ回避過疎中にも関わらず新作が!
>>113
パンを焼く/山崎まさよし です。
そして看病の続編、ありがとうございます!
荻上の看病じゃなくて料理で尽くすというか太らせるSS書いちゃいましたので…。
むしろ続きを書かれたりするとありがたいですね。
しかし今月予想SS2本書いて2本とも続編とか書かれてるの僕だけなのは、
未完成感が強い(尻切れ)な印象なんじゃないかとちょっと悩んだりorz
SS書きたい欲求は、まあ書いておいて25日以後に貼れば良いのかも知れませんけど
すぐに張っちゃうんですよねー。
「結局は見せたがりなのが私達のサガ」ですねorz
>>114-121
看病とかの時って女性は迫力出ますよねぇ。
そして湯豆腐を手ずから食べさせてもらう萌えシーンもありつつ、センチメンタルな…。
いつも良い仕事されてますねぇ。この時期に長編、乙でした!
- 124 :影踏み
:2006/01/19(木) 03:36:19 ID:???
- >>122
どもです。
>>123
ありがとございます。俺もうたたねしてました。いやいや誤解無きよう。
あなたのは完成されてますよ。あなたが多作なのと、あなたのシチュが
俺のツボをつくというか、「タンドリーチキンを家で一緒に食べる?くはー」
とか「アッアイスクリームをあーんって・・・ガクガク」とかSSに妄想ふくらんじゃう
わけですよ!
とはいえホントやばい!解禁まで待てばいいのに・・・。書き上げちゃうと、ああ
明日のことは誰にも分からん!俺も影だ、とまあ・・・。そろそろ本当にウロウロ
してると、やばいので撤収します。心静かに待つべし。しかして希望せよ?
- 125 :マロン名無しさん
:2006/01/19(木) 04:35:12 ID:???
- うむ!いろいろなSSは見てて面白いものだ!
おセンチばんじゃーい!
おセンチばんじゃーい!
ネタバレ?知るんかんなもん!
- 126 :マロン名無しさん
:2006/01/19(木) 16:31:43 ID:???
- >>114〜影踏み
切なさ炸裂GJ!
そしてオギーに叱られながら看護されたいYO…
レス数はともかく書いてる奴らが熱いな、このスレ。