報道記事 > 事業仕分け



関空補給金も対象 事業仕分け(読売新聞/2009/11/10)

http://osaka.yomiuri.co.jp/eco/news/20091110-OYO8T00243.htm
 政府の行政刷新会議が9日決めた「事業仕分け」の対象には、これまで切り込めなかった事業も含まれた。

総務省
 対象となった「地方交付税交付金」は、所得、法人など国税5税の一定割合を地方自治体に配分するものだ。2010年度予算の概算要求に総額15兆7773億円盛り込んだ。刷新会議は「事実上の『ひも付き補助金』となっている」とし、災害など特別の財政需要が生じた自治体に交付される特別交付税を中心に、交付税の算定基準の見直しを議論する考えだ。しかし、小泉改革で地方交付税が大幅に削減されたことが、地方の疲弊につながったとの批判も根強い。

経産省
 エネルギー対策特別会計の「電源立地地域対策交付金」が対象に含まれた。原子力発電所などを抱える自治体などへの交付金で、10年度は1149億円を要望した。社会福祉や公共事業の財源に当て込んでいる自治体も多く「ハシゴを外せば、反発は必至だ」(経産省幹部)と原子力推進への影響を懸念する声も上がる。

外務省
 発展途上国向けの政府開発援助(ODA)なども対象となった。
 外務省からは、「途上国向けのODAなどを削減すれば、日本の外交力低下につながりかねない」(幹部)と反発の声が上がっている。同省は10年度予算の概算要求にODA予算全体で3080億円を盛り込んでいる。

国交省
 まちづくり交付金(1300億円)や独立行政法人・都市再生機構への出資金(514億円)などのほか、過疎地の足につながるバス運行対策費や離島航路補助も対象となった。
 関西国際空港会社への補給金(160億円)も対象に含まれた。概算要求は例年より70億円増額しており、関空会社はこれを前提に着陸料値下げに踏み切る方針で、「大変驚いている。国際競争力の強化は待ったなしの状態で、必要性が理解されることを期待している」とのコメントを発表した。

 一方、概算要求で6000億円もの巨額の費用を計上した高速道路の無料化は対象とならなかった。

(2009年11月10日 読売新聞)

【事業仕分け】マニュアルが存在していた! 背後に財務省の影(産経新聞/2009/11/17)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091117/plc0911172346018-n1.htm
 行政刷新会議の事務局が事業仕分け作業にあたって作成したマニュアルの存在が17日、明らかになった。マニュアルは事前に仕分け人に配布され、これをもとに仕分け作業が進められた。マニュアル作成について、仕分け作業の統括役を務める民主党の枝野幸男元政調会長は同日、「情報を共有するために私の判断で作った」と述べたが、マニュアルの背後には財務省の影がちらついている。実際の仕分け作業でも民主党マニフェスト(政権公約)に基づく一部の政策を除けば、財務省のお膳(ぜん)立てに従った判定が目立っている。
 仕分けマニュアルは対象事業の問題点を列挙した上で、担当省庁の反論に対する再反論の方法までも指南した内容。そこに盛り込まれた具体例からは、財務省が好みそうな「成果主義」「行政効率」「受益者負担」などの原則が浮き彫りになっている。
 実際の仕分け作業でも、短期に成果があがらない事業は冷遇された。特に文科省は長期的視野に立った事業が多く、予算全体の約7割が仕分け対象となった。教育、人材育成の関連する事業の「廃止」について、同省幹部は「『コンクリートから人へ』という政権の方針はどこへ行ったのか」と不満を漏らす。
 また、「行政効率」という面で、広告宣伝費や複数の省庁にまたがる事業や民間に移行可能な事業は整理統廃合される傾向にある。法務省が要求した「裁判員制度の啓発推進費」も「最高裁や弁護士会と重複している」との批判を受けて、予算計上見送りとなった。
 一方、歳出規模の削減を進めたい財務省に対して、民主党はマニフェストに掲げた政策についてはぎりぎりで主張を押し通した。とりわけ社会保障関連予算は、マニフェストに「自公政権が続けてきた2200億円の削減方針は撤回する」と記述されており、仕分けでも厚遇されている。仕分け対象として取り上げられる数も少なく、削減額も小幅にとどまっている。
 エネルギー関連事業にもこの傾向が表れている。民主党は、マニフェストで「原子力利用について着実に取り組む」としている上に、鳩山由紀夫首相は2020年までの温室効果ガス25%削減を掲げており、原子力発電の推進は欠かせない要素だ。17日の仕分け作業では、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運転に慎重な意見が相次いだにもかかわらず、仕分け結果では、運転再開を容認。民主党の方針に沿った結論となった。
 仕分け作業は、公開の場で行うことによって予算編成の透明化を図るという建前になっている。しかし、見えない部分にからくりがあり、そもそも仕分けの俎上に載せた事業の選定は、財務省の作成したリストがもとになっている上に、仕分けマニュアルにも財務省の意向が色濃く反映されたふしがある。あらかじめ財務省が書いたシナリオに沿い、一部に民主党の独自色を加えたのが今回の仕分け作業の本質だ。(小田博士)

事業仕分け:前半終了 「聖域」にもメス 3兆円捻出へ、なお険しい道のり(2009/11/18)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091118ddm002010055000c.html
 行政刷新会議の5日間の「事業仕分け」で、政府予算の無駄約1・4兆円が指摘された。だが、このうち、恒久財源として期待できる事業廃止分は約880億円。大半は、公益法人に積まれた基金などの国庫返納分で一度使うとなくなってしまう。政府は、仕分けの対象からはずれた事業にも、「予算削減の基準」を適用し、一層の予算圧縮を目指すが、目標とする3兆円捻出(ねんしゅつ)への道のりは険しい。【谷川貴史、坂井隆之】

 「廃止」「自治体への事業移管」など要求官庁にとって厳しい評決が下ったのは、政府内や自治体で事業の重複が目立つケースだ。

 「青少年交流の家」を全国展開する独立行政法人「国立青少年教育振興機構」(文部科学省、10年度概算要求104億円)。豊かな自然環境の中で宿泊できるのが特徴だが、類似施設は地方自治体でも運営されている。仕分けでは「国が行うべき事業か」などの意見が相次ぎ、「自治体・民間へ移管」と判断された。

 高齢者の職業相談を受ける「高年齢者職業相談室運営費」(厚生労働省、3億円)はハローワークと比較され、「二重行政の典型」との痛烈な批判の末、廃止と判定された。道路や公園の整備などを後押しする国土交通省の「まちづくり関連事業」(1821億円)では、仕分け人から「まちづくりは自治体の責任そのもの」「地方に財源を移譲すべきだ」といった指摘が続出。国交省は「国も都市政策の方向から、問題提起する必要がある」と国が事業を進める意義を訴えたものの議論はかみ合わず、「自治体移管」と判断された。

 専門性が高く、効果を見通しにくい研究開発の分野でも、事業の必要性、緊急性が厳しく問われた。

 官民共同で開発中の次世代スーパーコンピューター(スパコン)関連費(文科省、267億円)に対しては「巨額の税金を投入し、どんな効果があるのか」「科学の重要性は理解できるが、世界一を目指す時代ではない」などとして、来年度予算の計上額を大幅縮減するよう求めた。

 厚労省の「女性の健康支援対策事業委託費」(4・9億円)も「自治体の先進的な取り組みがあり、緊急性はない」として廃止判定に。仕分け第1弾の5日間の作業で、生活に密着した事業から、最先端分野まで聖域なく予算の無駄を洗い出す姿勢が鮮明になった。

 ◇独法基金に批判集中
 「毎年の国の査定もなく、運用益の使い方が全部、独立行政法人に任されている」「独法本体ばかりか、取引先にも天下り団体が多い」。17日の仕分けでは、厚生労働省所管の独法「福祉医療機構」の基金2787億円に仕分け人の批判が集中した。

 機構の基金は、消費税法が成立した88年に「弱者の負担軽減」を名目に、国からの100億円の出資で創設。その後「子育て支援」や「高齢者の生きがい作り」などのため4度にわたり増額され、3000億円近くまで膨らんでいる。08年度は障害者団体への助成など931事業に30億円を使った。

 機構は「安定的に事業を続ける上で必要」としたが、作業チームは「事業は天下り団体経由でなく、国が責任を持って進めるべきだ」として、全額国に返し、必要な事業については毎年度、予算措置するよう求めた。

 財務省も十分チェックしていない基金やその運用益。仕分けチームの重点的な洗い出しの結果、国に返すべきだとした基金の総額は5日間で約9500億円に達した。政府は、基金の国庫繰り入れで衆院選マニフェスト(政権公約)関連の財源を賄いたい考えだ。

 だが、基金の中には複数年契約の補助事業など、すぐ返納できないものも多い。返納させたとしても、一度使えばなくなる上、事業そのものを廃止しない限り、一般会計で予算措置する必要がある。鳩山由紀夫首相は事業仕分けを今回限りとする考えを示唆しているが、安定財源の確保には、仕分け対象外の事業、基金についても総点検が欠かせない。

 ■田中耕一さんが傍聴

 17日の事業仕分けには、ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローも訪れ、技術顧問を務める文部科学省の「計測分析機器の産学官連携開発事業」の審議を、傍聴席の最前列から見つめた。

 事業は、研究用分析装置の大半を海外製に頼る現状を改善するのが狙い。田中さんの受賞を機に02年に創設された。概算要求55億円に対し、仕分け人は他の補助金との重複を避けることなどによる「1~2割削減」を求めた。

 田中さんは「削る場と思っていたが、装置開発という裏方の仕事が重要との意見もあり、うれしかった」。一方、製品化など成果への質問が多かったことに対し「人材育成が一番大切。国内で開発が進めば、若手の意欲が導ける」と語った。

 科学技術分野に対し厳しい判定が相次いでいることについて、鳩山由紀夫首相は同日、「科学技術は日本の将来を決める知的財産だ。すぐに(効果が)目に見えないとばっさり行っていいのか、立ち止まって考える必要も出てくる」と述べ、政治判断による予算計上もあり得るとの考えを示した。

 ■平田オリザさん官邸に

 首相官邸には17日、内閣官房参与で劇作家の平田オリザさんが訪れた。事業仕分けについて「文化関連事業が切られやすい」と疑問に思い、仕分け担当スタッフの説明を求めたという。平田さんは記者団に「いるか、いらないかを仕分けで判断するのは違う。別の方法がいる」と強調。「文化は誰かが守らないといけないから、私が」と、仕分けの責任者の仙谷由人行政刷新担当相に「直談判」する構えも見せた。

 ■裁判員候補に絞って

 裁判員制度の啓発推進事業(法務省、1億2500万円)はこの日の仕分けで予算計上見送りとされた。法務省は「今後は経験者の声も紹介でき、さらに効果的になる」と主張。これに対し仕分け人は「個別にアプローチしなければ砂漠に水をまくようなもの」などと指摘、電車広告など全国民向けの手法を見直し、年間30万人超の候補者に対象を絞ることも検討した上で要求すべきだとした。【山田大輔、山崎理絵、石川淳一】

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 ■17日の事業仕分けの結果(項目)

 ▼廃止

 <総務省>選挙関連経費(547億円)の一部<財務省>国際機関への任意拠出金(16億円)の一部<内閣府>現場の出番創出モデル調査(30億円)<厚労省>年金に関する広報等に必要な経費(1億円)<文科省>研究環境国際化の手法開発(2億円)

 ▼来年度は見送り

 <法務省>裁判員制度の啓発促進(1億円)<厚労省>仕事と生活の調和推進事業(9億円)<文科省>(独)宇宙航空研究開発機構=GXロケット(58億円)

 ▼見直し

 <法務省>登記事項証明書の交付事務等の包括的民間委託の実施(78億円)<厚労省>(独)福祉医療機構(0)▽(独)高齢・障害者雇用支援機構運営費交付金等(351億円)▽国立保健医療科学院の養成訓練及び試験研究に必要な経費(6億円)▽保育所運営費負担金=保育所の利用料の設定の仕組みを含む(3621億円)▽国連・障害者の10年記念施設運営委託費(3億円)

 ▼予算縮減

 <総務省>国勢調査の実施(682億円)<法務省>登記情報システムの維持管理(181億円)<厚労省>企業年金等普及促進費(22億円)▽介護予防事業=地域支援事業の一部(200億円)<文科省>(独)宇宙航空研究開発機構=宇宙ステーション補給機(HTV)等(349億円)▽競争的資金=原子力システム研究開発等(110億円)▽同=ライフサイエンス分野(73億円)▽同=女性研究者支援(30億円)<防衛省>情報システム借料、開発・改修経費のコスト削減(343億円)

 ▼自治体や民間などに移管

 <総務省>消防関係補助金(80億円)の一部

 ※注=金額は概算要求額。(独)は独立行政法人

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最終更新:2009年11月21日 04:23
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