国会議員ブログ > 転載記事03


稲田朋美議員(自民党所属/衆議院・福井1区)

国籍法改正案について

11月27日付け産経新聞・正論欄に執筆致しました。
国籍付与は国会の権限 -DNA鑑定は慎重に-

 だれに国籍を与えるか、だれを国民として認めるか、これは国にとって基本的かつ重大な問題である。だからこそ憲法10条で国権の最高機関である立法府にその広い裁量が認められている。もちろん、国民は平等に扱わなければならないが、それは本来国民になってからの問題で、だれを国民と認めるかは立法の裁量であり、主権の問題なのである。

 現在の国籍法の3条1項を最高裁は6月4日違憲と判断し、この判決を受けて改正案が衆議院を通過し参議院で審議されている。現在の国籍法は、日本人の父が出生後認知した子(母親は外国人)は父母が結婚(準正)してはじめて日本国籍を認め、単に父が認知したにすぎない場合には日本国籍を認めていない。6月4日、最高裁はこの規定が憲法14条の平等の原則に違反し違憲だとした。さらに国籍法3条1項が「父母の婚姻」を要件としているところを無効として、子に日本国籍を与えた。この判決は二重の意味で問題がある。

 まず、最高裁が違憲とした理由である この規定ができた昭和59年から今までの間の我が国の家族のありかたの変化は、法律を違憲とするほどの変化とはいえない。さらに最高裁が単に違憲を宣言したにとどまらず、勝手に国籍法3条1項を読み替えて、国籍を付与してしまったことは司法権の逸脱である。民主的背景を持たない裁判所による事実上の立法がなされてしまったのだから。
それでも最高裁判決なのである。憲法解釈の最高権威であり、違憲立法審査権をもっている最高裁が現在の国籍法を違憲と判断した以上、立法府はその判断を尊重しなければならない。しかし盲目的に従うのではなく、立法府の矜持を示して最高裁の判断を尊重しつつ、できるかぎりさまざまな場合を想定して慎重に審議し、国籍付与を立法府の裁量としたことを意味あることとすることが国会に求められている。

 今回の改正について多くの反対意見が寄せられた。そのほとんどが偽装認知の横行への不安からDNA鑑定を必須条件にせよというものである。偽装認知は全力で防がなければならないが、DNA鑑定を要件とするのは、日本の家族法制度に変容をきたすおそれがないか慎重に検討しなければならない。昨年自民党内で民法772条の300日規定が見直されようとしたときに、私はDNA鑑定を法制度にもちこむことの危険性を主張した(平成19年4月17日 本欄参照)。民法は親子関係=生物学的親子という考え方をとっておらず、法的親子関係は子の安全な成長を確保するための法制度であって、安易にDNA鑑定を取り入れることは、生物学的親子関係をすべてとする風潮につながりかねず、民法の家族法制度を根本から覆す結果になるおそれがあるからだ。これに対して国籍付与の前提としての認知にDNA鑑定を行うことは「血統主義」をとる我が国では当然であり、民法の親子関係に直接影響を与えるものではないと主張する人もいる。
しかし、仮に国籍付与の認知にDNA鑑定を要件とすれば、今までであれば、父の認知後父母が婚姻をして準正により当然に国籍を付与していた場合にもDNA鑑定を要件としなければ平仄が合わない。なぜなら最高裁は「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは、子にとってはみずからの意思や努力によっては変えることのできない身分行為」であり、これによって区別することは憲法14条の差別だとしたのだから、認知しただけの非嫡出子にDNA鑑定を要件とするのであれば父母が結婚した嫡出子にもDNA鑑定を要件としなければ再度最高裁に憲法違反をいわれるおそれが大きいからだ。
さらには現行法で当然に国籍を付与する、日本人男性が「胎児認知」した場合にも、結婚している外国人母、日本人父の間に生まれた子にもDNA鑑定を要件としなければバランスが悪い。
しかし、父母が結婚している場合にまでDNA鑑定を要件とすることは、婚姻中に妻が懐胎した子を夫の子と推定している民法772条に真実の父を確定するためのDNA鑑定を持ち込まないとつじつまがあわなくなるおそれがある。
そもそも国籍法上の「血統主義」は子の出生時に母または父が日本国籍であることを要求するということであり、そこにいう「父」は生物学上の父ではなく法律上の親子関係の発生した父を指す。つまり「血統主義」だからDNA鑑定を義務付けるのが当然とはならないのである。 むしろ国籍付与の条件としての父子関係と民法上の父子関係とはちがうとして、国籍付与の場合にのみDNA鑑定を要件とするという考え方は、法的父子関係を複雑にし、理論上はありえても法制度として妥当とは言いがたい。
 DNA鑑定を要件とすることによる偽装の防止と民法の家族制度のあり方への影響は慎重に検討しなければならない。それゆえ衆議院の付帯決議には将来の課題として『父子関係の科学的確認を導入することの要否と当否について検討する』という文言が入れられた。現時点では届出の際に認知した日本人男性との面談を義務付け、母と知り合った経過を確認するなどして偽装認知でないことを調査するなど運用面での防止策を充実させる方途をしっかりと模索すべきである。   
2008年12月02日(火)15時38分 執筆

女子差別撤廃条約選択議定書について

 21日朝8時から自民党本部で外交部会が開催され、「女子差別撤廃条約選択議定書」の批准について議論されました。
 すでに日本も昭和60年に条約に批准していますがまだ選択議定書は批准していません。もしこの選択議定書に批准をすると、個人や団体が直接国連に通報できることになります。私は「選択議定書」に批准することには慎重にすべきであるという意見をいいました。その要旨は次のとおりです。
①日本は国内での救済が不十分で国連に直接訴えなければならないほど男女差別の国ではない
②仮に個人通報を認めると最高裁で結論がでたものについて国連から勧告が来ることにより下級審の裁判に影響を与えかねない。これは司法権の独立にも影響がでる
③夫婦別姓や非嫡出子の相続分の問題など自民党内部でも議論があることについて日本の文化も伝統も関係ない外圧がかかることはよくない
④そもそも審議会などの委員に30パーセントは女性にするというような考え方はむしろ能力のある女性を馬鹿にしている。機会さえ平等に与えられればあとは能力で登用されるべきだ。
なお、この問題はこれからも議論されるようです。
2009年04月22日(水)18時33分 今日の直言

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最終更新:2009年04月24日 19:11
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