国際人権条約 > 女子差別撤廃条約

説明及び注意事項(最終更新日:2009/06/06)

①このページに関しては、全てまとめ管理人が書いています。管理人は法律の専門家ではありませんので、専門家から見た場合はやや捉え方に問題のある記述などをしてしまう場合もあります。
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③このページの最新更新日は2009/06/06で、各種の項目を追加しました。

目次(関連ページ一覧)

テーマ別まとめ
国会・国会議員情報

議論の整理

ネット運動側では、選択議定書を批准するとどのような問題が起こると認識されているのでしょうか?

この問題の危険性を訴えている元記事は以下のようになっていますので、ネット運動をしている人の間の認識は以下のようなものが出発点のようです。
Free Japan! 【04-18】 緊急「女性差別撤廃条約」が危険
http://www.freejapan.info/?News%2F2009-04-18
《女子差別撤廃条約議定書の批准問題について》
1.女子差別撤廃条約選択議定書とは?
個人や団体が国連女子差別撤廃委員会に訴えることのできる個人通報制度である。但し国内での救済を経てからではないと通報できない。

2.議定書を批准すれば確実に起こってくる問題
①非嫡出子の相続、夫婦別姓制度が差別であると、国が、国連女子差別撤廃委員会に訴えられる
②独立した人権擁護委員会設立が必要であると、国が委員会に訴えられる
③その他の人権条約、例えば、児童の権利条約等の議定書を批准する障害がなくなり、全ての人権条約の議定書が批准されてしまう

3.上記の問題の国内への影響
①非嫡出子、夫婦別姓の民法改正問題が再び起こり、わが国家族制度に大きな弊害をもたらす事態になる
②監視社会となるとして国民の中でも反対の多い人権擁護法案が再び浮上する
③その他の人権条約の議定書が批准されれば、例えば現在論議になっている不法滞在親子の問題は、「父母と共に生活する権利侵害」として国連に通報される。不法滞在者に在留特別許可を与えるか否かという国家の主権行使の問題が、児童の権利の問題にすり替えられてしまい、国家主権が侵害される。
④最高裁で敗訴しても、国連にその事柄について訴えることが可能となるため、わが国の司法制度は軽んじられ、司法権の独立を侵すこととなる。又、わが国の法律や制度を訴える訴訟が次々に起こされることが予想される。
今回の女子差別撤廃条約選択議定書の批准問題と類似の状況としては、人権擁護法案国籍法3条1項改正などの問題が挙げられると思います。

日本政府は選択議定書を批准するとどのような問題が起こると認識しているのでしょうか?

外務省や法務省は以下のような認識に立ち、条約批准には慎重姿勢を示しているようです。
女子差別撤廃条約選択議定書の部会報告  - イケイケあかいけ!赤池まさあき (山梨1区)の国政日記
http://blogs.yahoo.co.jp/masaaki_akaike/58537933.html
●政府の方針は一応慎重論
 重要なのは、政府の方針です。外務省の説明は以下でした。
(1)個人通報制度は、本条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度である。
(2)司法権の独立含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがある。
(3)政府は、個人通報制度の受け入れ是非につい、真剣かつ慎重に検討を進めている。
(4)平成11年から「個人通報制度関係省庁研究会」で検討中。意義と課題は以下。
(5)意義の第1は、我が国自身の制度・政策を不断に見直す過程に国際的視点が導入される。
(6)意義の第2は、我が国の人権尊重姿勢を改めて内外に表明でき、人権尊重普遍化へ貢献。
(7)課題の第1は、本委員会の見解と我が国の基本的な立法政策や裁判所の確定判決の内容とはが異なる場合等における対応の在り方。(通報事例として、非嫡出子、再婚禁止期間、労働関係の男女差別、「慰安婦」など過去の問題等が想定)
(8)課題の第2は、数多くの通報がなされた場合、膨大の事務処理の態勢整備。(通報された場合は受理可能性への反論、本案に関する情報を書面の形で半年以内に本委員会へ提出義務)
(9)課題の第3は、個人通報制度が設けられている他の人権条約への対応の在り方(人種差別条約53カ国、B規約(自由権)条約111カ国、拷問条約62カ国の3つ)
 以上が政府の方針です。法務省は司法権の独立などから慎重、外務省は事務処理が膨大で一応慎重ということでしょう。ただ、外務省の事前説明(20日夕方、西田昌司先生とともに説明を受けました)によると、国際的にはなぜ日本は「選択議定書」に批准しないのかと包囲網を敷かれているとのことです。差別を隠しているわけではないのであれば、批准してもよいのでは、という空気があるとのです。他国では、日本のように法行政や司法制度、国民の遵法精神がしっかりしていないので、ケースバイケースでいい加減なのだといいます。

「家族問題」に関する「フェミニズム」と「保守」の対立軸はどのようになっているのでしょうか?

諸外国での実情・学問的な論争はどうなっているのかは分かりませんが、一般的にいえば、「フェミニズム」というものは「家父長制」とそれに伴う制度を批判するものだそうです。

その上で、「日本政治の論点」という枠組みに絞った場合、両者の間では「多様な家族」「女性の権利」というものに対する捉え方が違っていて、「多様な家族を前提とした制度」「標準的な家族を前提とした制度」という「家族」観で対立をしていて、具体的には以下の点が争点になっています。
①選択的夫婦別姓
②女性への離婚後180日の再婚禁止期間・民法772条問題(離婚後300日以内に生まれた子供の嫡出推定)
③嫡出子・非嫡出子の関係(民法での相続分の差)

論者によってそれぞれの問題に関する立場は様々ですが、より深い「家族」観という所では、お互いの認識は以下のようになっている傾向にあります(比較表は、議論を分かりやすくするために単純化しています)。
女性観 家族像 選択的夫婦別姓 女性への再婚禁止期間 嫡出子・非嫡出子関係 同性愛・同性婚 法律婚の保護
フェミニズム 男性同様に働く 多様な家族 認める 廃止ないしは短縮 区別なし 法律で保護 無くす方向
保守 家庭優先 標準的な家族 認めない 維持 区別あり(相続分差別) 法律で保護しない 維持する方向

関連項目

この問題に関する基本的事項のQ&Aとかはないのでしょうか?

2ちゃんねるでのQ&Aには、以下のようなものがあります。
Q.何の法案が成立しそうなの?
A.法案じゃなくて条約に付随する議定書を内閣が批准するか、って問題。

Q.女性差別撤廃条約ってヤバそうな名前だね。
A.条約の本体自体は1985年に締結済みで、もう20年以上日本国内でも有効。
 世界では185の国が当事国になっています。先進国では唯一アメリカが締結していない。

Q.議定書って何?
A.条約についてくるオプションです。
 今問題となっている議定書は185のうち90の国が当事国。
 1999年に作られたもので、締約国は毎年のように増えています。

Q.議定書を批准するとどうなるの?
A.既に条約は締結しているため、議定書で変わる大きな点は「当事者通報制度」です。

Q.当事者通報制度ってなに?
A.差別を受けたと主張する人が、日本国内で裁判を起こしても救済されなかった場合等に、
 国連の差別撤廃委員会に通報することができるのです。

Q.で、委員会が内政干渉しに来るの?
A.国連憲章で内政干渉は固く禁じられています。そのため、委員会の議決に法的拘束力はありません。
 そもそも、当事国が十分な手当てを行っている場合は、通報も受理されないです。

Q.でも>>1を見るといろいろヤバそうだよ?
A.不思議なことに、誰もなぜ>>1のようなことが起こるかを説明できていないんです。
 よく読めば論理が飛びすぎていて話にならないことがわかるはず。

Q.この議定書批准を推進してる奴らがヤバすぎる!
A.確かにかなりアレな方々が名前を連ねてますね。
 しかし、日弁連も採択を求める意見書を提出したりしていて、
 必ずしもアレな人々が勝手に盛り上がっているわけではありません。

この問題に関する政府や政党の賛成・反対の状況はどうなっているのでしょうか?

政府機関としては、外務省と法務省が慎重姿勢を見せています。
政党レベルでは、自民党は賛成・反対が分かれていて党としての見解がまとまっていません。
公明党は議員個人に賛成派はいるようですが、党としての見解はまだ出していません。
民主党・社民党・共産党は以下の通り、賛成として党の見解を表明しました。

参考サイト

この問題に関する自民党内での議論はどうなっているのでしょうか?

2009/04/21の部会の様子とそれを受けての自民党議員のブログ記事へのリンクをまとめましたので、関連項目の方を参照して下さい。

関連項目

この問題に関する新聞報道は、どのようなものがありますか?

2009/01/01以降の記事で、今現在確認されているものは以下のものになります。

ネットでの議論内容に関するQ&A

この問題を「家族制度の崩壊につながる」と捉える人がいるのはなぜでしょうか?

条約批准の推進勢力に、フェミニストの人が多数いるからだと思います。
保守的で「家族の価値」というものを大事にする女性団体から見ると、フェミニスト達の思想は下記のように解釈されており、条約批准後はフェミニストや条約批准の支援団体が個人通報制度を利用して、日本の家族関係の立法政策を次々に「差別」と通報する事が想定されているようです。
家族の絆を守る会・FAVS WCF(世界家族会議)関連ニュース
http://familyvalueofjapan.blog100.fc2.com/blog-entry-82.html
「家庭崩壊は、人権にとっての勝利である」と、国連人口基金(UNFPA)のリーダーが述べた。
最近行われたメキシコシティでの会議で、アリー・ホークマン(オランダのUNFPA代表)は、 離婚・婚外子の増加は、「家父長制度」に「人権」が勝利したことを表わすものであると、参加者に伝えた。
World Congress of Families(世界家族会議)のラリー・ジェイコブスは、「UNFPAは国際法、及び子供や自然な家族の基本的人権を述べている世界人権宣言(UDHR)を無視している。」と述べた。
1948年に採択された国連世界人権宣言(UDHR)の16条には、次のように述べられている。
「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する。」「成年の男女は、人権、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。」
ジェイコブスは次のように述べた。
自然な家族を壊そうとすることは、常にUNFPAグループの一番の課題に置かれてきた。彼らは、国際法・国内法を無視して、堕胎や強圧的な人口抑制に資金を提供し促進することによって、その目標を達成しようとしている。
一方、穏健派のフェミニストによると、上記の解釈には誤解が含まれており、フェミニズムは家庭崩壊を目指しているのではなくて、「家庭」というプライベートな領域で見えなくなっていた問題の数々を問題視することで、より実質的な「幸せな家庭とは何か?」を問うてきた思想だとの事です。
フェミニズム運動にしても、「多様な家族」ありきの運動ではなくて、「本当に愛情に満ちた家庭というのは、法律婚という「形式」があればできるものではない」という認識に立ち、実質的な家庭・それぞれが幸せでいられる家庭を求めていく結果、法律婚以外の婚姻形態(事実婚・母子家庭・父子家庭、同性愛カップル)などにも法律婚に準じた保護を求めていくというのが本来の趣旨であるとの事です。

関連項目

この問題を「国家解体に繋がる条約」として捉える人がいるのは、なぜでしょうか?

Free Japan! 【04-18】 緊急「女性差別撤廃条約」が危険
http://www.freejapan.info/?News%2F2009-04-18
この日本解体法の支援団体は、 VAWW-NETジャパン、 部落解放同盟、 新日本婦人の会( 共産党)、 朝鮮総連女性局など、名うての 左翼団体です。このような団体が支援している法案を自民党が通すことが、皆さん信じられないでしょう。
条約や選択議定書の内容はともかく、「批准支援団体がそういう人達だから」というのが運動をしている人達の主な理由だと思います。
支援団体である日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(Japan NGO Network for CEDAW (JNNC))には、従軍慰安婦問題に関わった組織や朝鮮総連、日本共産党系の組織が関係しているようです。

思想的な所では、中西輝政京都大学教授が「国連、知られざる誕生の秘密」という論文(「諸君(2005年07月号)」)にて「フェミニズムの目指す家父長制の解体=国家解体」という事の問題を指摘しています。
支援団体の具体的な組織名、中西教授の指摘内容に関しては、追加ページの当該項目に記載しました。

この条約を批准すると「人権擁護法案」が再び浮上するのでしょうか?

女子差別撤廃条約実施状況 第5回報告 (仮訳)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/fifth/index.html
(2)人権侵害に対する支援サービス
 ア)法務省の人権擁護機関
 法務省の人権擁護機関では、これまでも全国の常設・特設相談所において、夫・パートナーからの暴力や職場等におけるセクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為といった女性をめぐる各種の人権問題に対して積極的に取り組んできたところである。2000年7月に、専用の電話相談窓口である「女性の人権ホットライン」を全国50の法務局・地方法務局に設置し、人権相談体制のより一層の充実を図っている。相談担当者には、女性の相談者が利用しやすいようにとの観点から、原則として女性の人権擁護委員や法務局職員を配置するとともに、女性の人権に関する専門家などを配置するよう努めている。
 また、人権相談を受けた場合、相談者の問題解決に資するため、その内容に応じて、関係機関への通報、(財)法律扶助協会への紹介、助言などを行っているほか、夫やパートナーからの暴力、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為といった女性をめぐる各種の人権問題をはじめとした人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として速やかに調査し、事実の有無を確かめ、事案に応じた適切な措置を講ずるとともに、関係者に人権思想を啓発し、もって被害の救済及び予防を図っている。
 なお、政府は、現行の人権擁護制度を抜本的に改革するため、2002年3月、人権擁護法案を国会に提出した。この法案では、性別による差別的取扱いやセクシュアル・ハラスメントを含む差別・虐待等の人権侵害を禁止するとともに、新たに独立行政委員会として設置する人権委員会を主たる担い手とする新しい人権救済制度を創設し、人権侵害による被害の適正かつ迅速な救済・実効的な予防等を図ることとしている。
外務省公式HPにある「女子差別撤廃条約実施状況 第5回報告」の所に人権擁護法案に関する項目がありますが、その事と「独立した人権擁護委員会設立が必要であると、国が委員会に訴えられる」という事は別問題です。
日本の人権状況・人権意識はOECD加盟国の中で比較すると低位に位置しますが、世界中の国を比較対象とした場合は上位に位置します。
女子差別撤廃条約における個人通報制度が利用されたのは、(世界中の国が対象となっている条約にも関わらず)この10年間で通報19件で条約違反と認められたものは6件ですので、この条約(選択議定書)を批准したからといって、日本において独立した人権委員会がない程度で国が訴えられる事はありませんし、仮に訴えられたとしても受理されません。

5年に1回の定期的な報告では国連女性差別撤廃委員会から「独立した人権委員会を作るように」という勧告も来ていますが、それは多数ある勧告の項目の一つに過ぎず、(今までこういった勧告に従って独立した人権委員会が作られなかった事から分かる通り)勧告には強制力はありません。
なお、法務省人権擁護局は女性差別撤廃条約とは関係なしに人権擁護法案推進派ですので、そちらの方から人権擁護法案が再浮上してくる事はあるかもしれません。

この条約を批准すると国連に日本の司法権を委譲する事になるのでしょうか?

Free Japan! 【04-19】緊急「日本人でいれる幸せ」を護る
http://www.freejapan.info/?News%2F2009-04-19
国連に、日本の「司法権」を委譲することになります。具体的に説明すると、現在、日本の司法制度は、三審制度を採用しています。ところが、この議定書を批准することにより、最終審の最高裁で敗訴した「事件」でも、個人及び団体が国連に訴える権利を認めることになります。要するに、現在の「三審制」を「四審制」に変えることになるのです。
これは、日本解体を望んでいるものに取って、「喉から手が出る」くらい欲していた法権力だったのです。
個人通報制度は、司法機関(裁判所)の判断にクレームをつけて変更を促す制度ではないので、判決の内容は、裁判所の判断で確定します。
勧告は政府(立法府)に対してなされるものですが、過去国連から死刑制度廃止・民法改正問題・入管法などでの勧告がされた事はありますが、日本政府はそれらはスルーしてきています。
結局の所、勧告にしろ個人通報制度にしろ、NGOが騒ぐネタになるといった程度の代物で、実質的な問題はそれらが世論形成に与える影響力であり、自民党議員が「問題」として認識しているのもそちらだと思います。

但し、日本の司法関係者には「司法の独立性」を重視する人も多く、最高裁などでは「4審制をつくる」という比喩を使って反対の姿勢を示しているようです。
国際人権規約 (社会権規約) と日本
http://www.ki.rim.or.jp/~jclu_oh/kouen/2001_11_10_a.shtml
個人通報制度の実現問題、社会権規約はこれからなんですが、我々は、今では反対しているのは最高裁だけだ、もう大体法務省と外務省は落ちたという印象でおりました。最高裁が要するに上に4審制をつくるだとか、あるいは終局的な裁判所だと憲法の規定に反するんじゃないかというふうなことで反対していると、あるいはメンツの問題で反対していると、そういう理解でおりましたけれども、今回先程のパーティなどで話をしていますと、やっぱり法務省サイドもかなり批判が強いですね。かつて、自由権規約の見解もそうだと言っているんですが、今回は自由権規約以外の見解が結構齟齬があったり矛盾があったりする、あるいはとても採用できないというふうな露骨な批判が結構ありました。個人通報制度は自由権規約、それから拷問、それから差別等々にもあるわけですが、1 つ応じてしまうと全部応じてしまわないといけないから、結局全部について応じられないんだということをパーティーの場で言っておりました。余りおもしろくないことですけれども、そういう生の声をパーティーで聞けたというのはいいことだと思います。

関連項目

参考サイト
  • 閑寂な草庵 - kanjaku - 女子差別撤廃条約の選択議定書批准に賛成する!(その1)(その2)(その3

この条約を批准すると批准支援団体が国連に通報して従軍慰安婦問題が再燃するのでしょうか?

女子差別撤廃条約の選択議定書を採択
http://www.unic.or.jp/recent/protoc.htm
議定書 第4条
1. 委員会は、利用し得るすべての国内的救済措置が尽くされたことを確認した場合を除き、通報を検討しない。ただし、かかる救済措置の適用が不当に引き延ばされたり、効果的な救済の見込みがない場合は、この限りでない。
2. 委員会は、次の場合、通報を受理することができないと宣言する。
1. 同一の問題が委員会によってすでに審議されており、若しくは他の国際的調査又は解決手続きの下ですでに審議され又は審議中である。
2. 通報が条約の規定に抵触する場合
3. 通報が明らかに根拠を欠いており又は十分に立証されない。
4. 通報提出の権利の乱用である。
5. 通報の対象となった事実が、当該締約国について本議定書が発効する以前に発生している。ただし、かかる事実がこの期日以降も継続している場合は、この限りでない。
この条約の批准に向けた支援団体はそちら系統の団体・組織が多いので、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)に訴える事はほぼ確実だと思いますが、従軍慰安婦の件は4条2項5号に該当するので、受理されないのではないかと思います。

関連項目

この条約を批准すると外国人参政権の問題も「差別」の問題になっていくのでしょうか?

支援団体の中にはそう主張する人もいるようですが、それは活動をしている人達がそう主張しているだけです。
外国人男性にのみ参政権が認められ、外国人女性には参政権が認められていないなら「女性差別」の問題になりますが、日本においては外国人男性にも参政権は認められていないので、外国人女性に参政権が認められていない事は「女性差別」の問題にはなりません。

選択議定書に関するQ&A

「女子差別撤廃条約」と「女性差別撤廃条約」はどちらが正しい読み方なのでしょうか?

国連「女性差別撤廃条約選択議定書」と「女子差別撤廃条約選択議定書」は同じものです。
「Women」の訳し方で、外務省は「女子」と訳し、「女子」の語は女性差別であると主張するフェミニズム系の人などは「女性」と訳しています。
公式の呼び方は、公的機関が使用しているものになりますので、「女子差別撤廃条約」が正式な名称になります。

過去に個人通報されたケースにはどのようなものがあるのでしょうか?

女子差別撤廃条約における個人通報制度が利用されたのは、(世界中の国が対象となっている条約ですが)この10年間で通報19件で条約違反と認められたものは6件です。
具体的なケースには、以下のようなものがあります。
  • ドイツにおける離婚後扶養問題 → 不受理(国内救済を尽くしていない、選択議定書批准前の事実)
  • ハンガリーにおけるDVからの保護問題 → 条約違反(選択議定書批准前の事実であるが、締約国は受理要件を争わず、また事実(暴力)が批准後も継続)
  • オランダにおける産休中の所得補償問題 → 条約違反なし
  • ハンガリーにおける十分な同意なしに実施された不妊手術問題 → 条約違反(選択議定書前の事実であるが不妊の被害は選択議定書批准後も継続しており受理可能)
  • オーストリアにおけるDVからの保護問題 → 条約違反
  • スペインにおける貴族的称号の継承問題 → 不受理(選択議定書批准前の事実。事実の継続は無し)
  • トルコにおけるスカーフ着用禁止問題 → 不受理(議定書批准前の事実だが効果が継続、しかし国内裁判において性差別の主張をしておらず、国内救済が尽くされたと言えない)
  • イギリスにおけるDVの危険のある本国への送還問題 → 不受理(国内裁判において性差別の主張をしておらず、国内救済が尽くされたとは言えない)
  • イギリスにおける父系血統主義の国籍継承問題 →不受理(議定書批准前の事実、国内救済が尽くされていない)

他国では、日本のように法行政や司法制度がしっかりしていないので、ケースバイケースでいい加減というのはどういう意味でしょうか?

女子差別撤廃条約選択議定書の部会報告  - イケイケあかいけ!赤池まさあき (山梨1区)の国政日記
http://blogs.yahoo.co.jp/masaaki_akaike/58537933.html
法務省は司法権の独立などから慎重、外務省は事務処理が膨大で一応慎重ということでしょう。 ただ、外務省の事前説明(20日夕方、西田昌司先生とともに説明を受けました)によると、国際的にはなぜ日本は「選択議定書」に批准しないのかと包囲網を敷かれているとのことです。差別を隠しているわけではないのであれば、批准してもよいのでは、という空気があるとのです。他国では、日本のように法行政や司法制度、国民の遵法精神がしっかりしていないので、ケースバイケースでいい加減なのだといいます。
国際人権条約はOECD加盟国限定やEU加盟国限定の条約ではなく、世界中の国が対象となっている条約です。
こういった条約の議論の際は欧州先進国のみを比較対照にした議論がされる事が多いですが、それ以外の国では条約の文章と現実が違ってもいいから、見切り発車で署名・批准してしまっているのが常態化しているという意味だと思います。

関連項目

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は意見・勧告には、どの程度の拘束力があるのでしょうか?

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%82%E3%82%89%E3%82%86%E3%82%8B%E5%BD%A2%E6%85%8B%E3%81%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5%E3%81%AE%E6%92%A4%E5%BB%83%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84
選択議定書
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(略称: 女子差別撤廃条約の選択議定書)は、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の締約国の管轄下にある個人または集団が、国による条約違反によって被害を受けた場合、国際連合の女子差別撤廃委員会にたいして通報できる個人通報制度を定めたものである。
通報には、利用できるすべての国内的救済措置を尽くしていることが条件とされるが、救済措置の実施が不当に引き延ばされている場合や、効果的な救済をもたらさない場合は通報できる。
通報を受けた委員会は、報告の受理可能性や、内容が差別撤廃条約に違反しているか否かを審査し、締約国に意見や勧告を行う。ただし、委員会の意見及び勧告には法的拘束力はない。
採択---1999年10月6日(国連第54回総会)
今回検討されている選択議定書は、個人や団体が国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)に訴える個人通報制度通報を定めるものです。
通報を受けた国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は意見・勧告を出すことができ(選択議定書6条3項)それに対し締約国は6ヶ月以内回答書を提出する(選択議定書6条4項)ことになっています。
国際労働機関(ILO)の提訴・勧告とほぼ同じ制度です。

連合などの労働組合がILOに提訴し、2002年にILOから「国家の運営に直接関与しない公務員に結社の自由の原則に則り団体交渉権とスト権を付与すること」などの勧告が出ましたが、その後公務員にスト権は付与されていません。
公務員のスト禁止を合憲とする最高裁の判例も変わっていません。

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の意見・勧告に従う条約上の義務はありませんので、選択議定書を批准しても「国連に、日本の「司法権」を委譲することになります」といった事態は起こりません。

国連女性差別撤廃委員会の勧告には拘束力が無いのならば、問題は起こらないのではないでしょうか?

国連の各種人権条約委員会の勧告には拘束力はありませんが、そういった「国連の見解」「国際条約違反」がマスメディア等で流布される事によって社会(世論形成)に影響を与える事もあり、多くの自民党議員が問題視しているのはそちらだと思います。
女子差別撤廃条約選択議定書の部会報告  - イケイケあかいけ!赤池まさあき (山梨1区)の国政日記
http://blogs.yahoo.co.jp/masaaki_akaike/58537933.html
 選択議定書が導入されれば、外務省の懸念の通り、非嫡出子の相続区別、再婚禁止期間、夫婦別姓など民法・家族法の問題、「慰安婦」など過去の問題等が持ち出されることは必至です。その事務量は膨大となり、財政難の中で予算も人員も相当かかるでしょう。法的拘束力がなくても、反日的なNGOとマスコミが騒ぎたて、国連の勧告を御旗にして、運動を強め、世論を誘導し、法改正を迫ることは容易に予測がつきます。敗戦ショックのせいか、日本人にはなぜか国連信仰があるので、世論誘導にはもってこいです。
 そして、女子差別撤廃条約を突破口に、人種差別条約、B規約(自由権)条約、拷問条約と次々に個人通報制度を導入し、国内法にも制度化するべきだという流れとなり、人権擁護法制定や、各種法律にも個人通報制度が入るなどと、きっと次々とエスカレートするでしょう。まさに、共産主義国のように、監視国家の到来です。

いなば大和のブログサイト 女子差別撤廃の為の議定書(4月21日)
http://inabayamato.blog52.fc2.com/blog-entry-344.html
この制度は一見、女子差別撤廃を目的としている為、議定書の批准は大きな役割を果たすものと映りやすいのですが、最高裁判所で判断された案件が本人にとって不服な判決であった場合、国連に訴える事が出来る事を記しています。
もし国連が個人(団体)の訴えを認め、日本に対して国連としての見解通知を行った場合、我が国はどう対応すればいいかを考えて下さい。
国連の見解通知によって最高裁が判決を覆した場合、司法権の独立を侵すことになりますし、行政から司法に対して正規外手続きで要求を行う場合も、三権分立に違反しています。
国連の見解通知には法的拘束力が無いので、放置・無視するという選択肢もありますが、見解通知をされた場合、書面にて半年以内に女子差別撤廃委員会へ提出する必要がある為、放置・無視をすれば国際的に差別国家と思われてしまう可能性があります。もし、国連からそう思われても平然と受け入れる・論破できる事が出来なければ、見解通知を受け入れる以外に選択肢はなく、結局、司法権への侵害、ひいては我が国の主権侵害にも繋がるのです。

女子差別撤廃条約選択議定書について 稲田朋美の『今日の直言』
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/290.html#id_3bc368a8
 21日朝8時から自民党本部で外交部会が開催され、「女子差別撤廃条約選択議定書」の批准について議論されました。
 すでに日本も昭和60年に条約に批准していますがまだ選択議定書は批准していません。もしこの選択議定書に批准をすると、個人や団体が直接国連に通報できることになります。私は「選択議定書」に批准することには慎重にすべきであるという意見をいいました。その要旨は次のとおりです。
①日本は国内での救済が不十分で国連に直接訴えなければならないほど男女差別の国ではない
仮に個人通報を認めると最高裁で結論がでたものについて国連から勧告が来ることにより下級審の裁判に影響を与えかねない。これは司法権の独立にも影響がでる
夫婦別姓や非嫡出子の相続分の問題など自民党内部でも議論があることについて日本の文化も伝統も関係ない外圧がかかることはよくない
④そもそも審議会などの委員に30パーセントは女性にするというような考え方はむしろ能力のある女性を馬鹿にしている。機会さえ平等に与えられればあとは能力で登用されるべきだ。

女性差別撤廃条約選択議定書Ⅱ - 丸坊主日記
http://blog.goo.ne.jp/toidahimeji/e/541df588ad60e6531d44ac925a9e9e74
『人権擁護法の時にも人権侵害の事例も全くと言って良いほどはっきりと人権侵害と言われるような事例は無かったではないですか。男女共同参画基本法が出来てから、成立に合せたかのように十代の堕胎率と離婚率がうなぎ登りに上昇している。これでは離婚堕胎促進法ではないか。更に以前男女共同参画法について議論した時に、これからは「ジェンダー」と言う言葉は使わないはずだったのが、今は「ジェンダー」が溢れている。これはおかしい!日本の伝統文化に国連からとやかく言われる必要は無いと思います!!』

【女子差別撤廃条約選択議定書にNO!】じゅん坊日記
http://www.hayashi-jun.com/blog/diary.cgi?no=156
「選択議定書は、日本国の主権を脅かすおそれが大いにあり、私は一国会議員として絶対に反対である。法的に影響ないにしても、社会的には影響与える。私は新聞記者をしていたが、国会の主権である司法の判断と、人権がぶつかった場合、社会的に記事に十分になりうる。結果として、司法の決定が軽んじられ、社会の混乱を招き、国益を損ねる。例えば、慰安婦の件は、最高裁で棄却されたが、人権問題だとして人権擁護委員会の設立を要求し、再び問題とすることができる。
 全て「女性差別」や「人権」の大義名分の下、あらゆる差別を争う訴訟は、国内で敗訴しても国連の権威を借りて、問題とすることができる。よって自民党は立党の精神に立ち返り、絶対に批准など賛成すべきでない。保守政党として自殺行為である。」

代議士まわたり始末控 選択議定書
http://blog.mawatari.info/?eid=721557
「法的拘束力がないとか、他の国が批准しているから日本の国も批准すべきという安易な考えはいかがなものか。例えば、最高裁での判決が出た後、委員会からそれと違う見解が通知された場合、最高裁の判決を変えるのか、それともその見解を無視するのか。無視するのだとしたら、なぜ批准するのかということになる。もっと精査しなければならない」と私からの意見をいっておきました。

関連項目

参考サイト

最近の新聞報道・ブログ記事

女子差別撤廃条約に関する新聞報道




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最終更新:2009年06月06日 22:04
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