国会質疑 > 在留特別許可 > 01

国会での審議の中継


参議院・予算委員会(1989/05/17)/柳澤錬造議員(民社党所属)

○委員長(初村滝一郎君) それでは、これより総括質疑を行います。柳澤錬造君。
(中略)

東京入管のあり方について

○柳澤錬造君 それから最後、これは外務省かしら、難民の各国別の受け入れ数を多い順番から日本に来るまでちょっとここで発表してください。総理に聞いてほしいんだ。

○政府委員(遠藤實君) 御質問はインドシナ難民についてということであると理解いたしておりますが、国連の難民高等弁務官府の資料によりまして、本年の三月現在でございますが、これを受け入れ国の順序でいきますと、一位が米国、これが七十一万四千、それから二位がカナダで十二万一千、それから三位がオーストラリア十一万七千、フランスが四位で十万八千、それから西ドイツが二万三千、それから六位の英国が一万七千、七位の香港が九千、八位のニュージーランドが八千、スイスが八千、オランダが六千、ノルウェーが六千、日本が六千五、それからベルギーが四千、デンマーク、スウェーデンそれぞれ三千、それで十五カ国でございます。

○柳澤錬造君 総理、おわかりですか。総理が国連に行って「世界に貢献する日本」という演説をしたんだけれども、それに見合った状態かどうかということですよ。
 それで、きょうここでなにしたいのは東京入管のあり方ですよ。
 法務大臣は行かれたって聞きましたけれども、もうただごとではない。私は犬猫とまで言わないけれども、あれが人間を扱う姿か。しかも、あそこへ来るのはみんな外国人なわけだから、不法残留であろうが何であろうが。だから、そういう点でもって、これは総理、ぜひ聞いてほしいけれども、そういう外国から来た連中が入管に行って、国営暴力団と言っているんですよ。それで、あそこへ手続に行って三時間から待たされて、廊下やなんかその辺にみんなたむろしている、少なくともまともな外国人に対する、人間に対する扱いじゃない。
 それで、これは法務大臣の方に申し上げたいんだけれども、韓国の朱秀玉さん、どうして出してあげてくれないんですか。夫の牧さんというのはぜんそくでもってぎつくり腰で働けないで、何とか早く出して看護してほしいと言っているんだけれども、結婚のあれを疑ったりなにしたり、そんな資格が何であるのかと。
 それからもう一つ、これもラオス難民の張金蘭さん、六十歳で心臓病でもっていつ発作が起きるかわからない状態で入管であんなことをさしておく。それで、長男の方はもうこの間出してくれたんだけれども、これは結婚したら、これもまたいちゃもんをつけて、ああだこうだ今やっているわけだ。これらについて法務大臣の方から御見解を聞いて、もう少し人間愛というか、それで扱ってほしいと思うんです。

○国務大臣(高辻正己君) まず、東京入管のことについてお話がございました。せっかくの御発言でございましたので私から一言言わしていただき
たいと思います。
 東京入管の業務量、これは柳澤先生よく御存じのとおり、近年急速に増加しまして、審査窓口の混雑は私も見てまいりましたが、これは恥ずかしいと思うほど目に余るものがございます。法務省としては、この事態の改善を図るために従来から業務運営の効率化であるとか、所要の体制の整備等に努めてきたところと承知しておりますけれども、なお、関係当局の御協力を仰ぎながら審査員の確保、施設の拡充等、審査体制の整備に向かって一段の努力をしてまいりたいと思います。どうか御支援のほどをお願いしたいと思います。
 それから、具体的な事例を掲げてのお話でございましたが、在留特別許可を与えるかどうかにつきまして、人道的な面が考慮されるべき一面であることは柳澤先生がたびたび仰せのとおり、私も全くそのとおりだと思いますが、ただこの在留特別許可を与えるかどうかが問題となる事案は、もともと退去強制事由に該当するものでございますので、人道的な見地からの配慮を行った上でも、なお退去強制の制度を実効的に運用する必要があることとか、特に他の事案に与える影響、これは言いかえれば平等取り扱いに及ぼす影響と言ってもいいと思いますが、そういう点を考慮する必要があるさまざまな事由によって在留特別許可を与えることができない場合もある。
 御指摘の事案が果たしてどういうわけでそうなったかということは、必要があれば当局からお答えをさせていただきますが、恐らく今申し上げたような関係で、やはりこれだけを特別に扱うわけにいかないというような事情があって、そのような結果になったことと私は承知しております。そのように御了解いただければ幸いでございます。

○柳澤錬造君 時間ですから終わります。

参議院・法務委員会(1989/12/07)/ 千葉恵子議員(社会党所属)

千葉景子 - Wikipedia
○千葉景子君 時間が限られておりますので、同僚の清水委員から質問させていただいたことなど、できるだけ重ならないような形で質問させていただきたいというふうに思います。
(中略)

不法滞在者へのアムネスティについて

○千葉景子君 ところで、今永住者の方の問題もちょっと指摘したんですけれども、現在滞在しているいわゆる資格外の労働者の方、とりわけいろいろな事情で朝鮮半島などから密入国をして家族のもとへ、あるいはいろいろな事情で戦後の混乱の中でという方がたくさんおられると思うんですね。その実態というのは法務省は把握なさっているんでしょうか、どの程度。

○政府委員(股野景親君) 歴史的な経緯というようなこともあってある時期に日本へ不法入国をして在留資格というものを持たないでそのまま滞在しているという人たちがあるということは、これは先生御指摘のとおりでありまして、ただ、事柄がやはりそういう入国の経緯にかんがみましておのずと明らかになるというところではございませんので、我々としても実態を十分把握するということには困難を感じております。
 ただ、いろいろな情報というものを総合して我々の方で推測をいたしますと、朝鮮半島の出身者の方というものが中心になりますが、こういう潜在的な不法入国に係る居住者というものは現時点で数万人という単位であろうと考えております。

○千葉景子君 本当に推測の範囲でも数万人、こういう皆さんは、今回の改正によりましても、就労資格証明書などもこれは資格がないということで交付を受けるわけにはいかない、何かあったときに雇用主からどうかと言われるようなことも、今非常にびくびくなさっているようなケースもあるのではないかというふうに思うわけですね。附則に、従来から就労していた者については処罰をしないというようなこともあるんですけれども、これまた証明をするというのも難しい問題点を残します。
 そういうことを考え、それからもう長年にわたってこの日本で暮らし、生活もここに基盤がある。もうどこへ帰っても、むしろそっちがもう生活をするには不適切な土地になってしまっている。あるいは人道上考えても、今また出ていっていただくなどということも非常にこれは人道上問題がある。
 こういうことを考えますと、こういう新しい法律を導入する、そして改めて資格をきちっと付与していこうとなさっているとするならば、こういう機会にこういう長年にわたるいろいろな経緯もあって滞在をされる皆さんに対する救済ですね、どこかで決着をつけて救済をしていく必要があるのではなかろうか。そうしませんと、いつまでもこういうお互いに不幸な状況を含み込みながら法の運用をしていかなければいけない、そういうことにもなりかねないわけですが、いわゆるアムネスティーというふうに言われておりますが、これを何とか検討されるお気持ちはありませんか。

○政府委員(股野景親君) 今委員御指摘の、長年日本にもう既に滞在をしておる、そしてその間に例えば地縁血縁というような関係ができておって、そういう意味での日本の国とのかかわり合いというものが非常に深まっている状況にある方々についてどうするかということが法務当局として考えなければならない問題ではございますが、まず従来からこういう方たちにつきましてはやはり人道的な考慮ということを法務当局としてもこれは払う必要があるという観点で臨んできておりまして、不法入国者であるということが明らかになりました場合には、これは退去強制手続ということが当然出てくるわけでございますが、そういう退去強制手続の判断の中で、ただいまの御指摘のような長年本邦でもう居住をした、そしてそういう日本との御縁が非常に深い、こういうような状況にある方については、これは人道的な見地からやはり在留をむしろ認めていった方が適切であると判断されるケースが現にございます。
 そういう方たちにつきましては、個別の事情をよく我々実際に吟味いたしまして、私どももそういう吟味には念には念を入れた上で、そういう観点から適当だと考えられる人については個別に在留特別許可というものを現に与えてきておるわけでございます。そういう意味で、その観点からの配慮というのは今後も十分にまずしていくという必要があるというふうに考えております。
 それから今の御指摘のアムネスティーの問題でございますが、これは先般来の御論議がございまして、我々の観点から申しますと、この問題のもう一つの側面である今周辺諸国から、日本の近隣諸国から日本に渡航したいということを考えている人が非常に多数に及んでいる状況において、これのアムネスティーというものがどういうふうに海外で受け取られるだろうかということも十分にやはり考えなきゃならぬと思いますので、そういう現状から見ますと一律に在留を合法化するということについては今の情勢からは適当ではないという感じを持っておるわけでございますけれども、ただ先ほど来、人道的配慮ということを申しておりますので、こういう潜在的な不法入国にかかわる居住者の今後のあるべき処遇の仕方ということについては多様な角度からよく検討はしていきたいと、こう考えております。

○千葉景子君 難しい問題であるということは私も承知をしております。しかし、本当に歴史的なさまざまな経緯などを考慮してそれは知恵を働かせていただきたいと思うんです。どういう条件なり部分に適用するかということも含めて、やはりこれは新しいことをやろう、本来難しいことをやろうということですから、どこかでやっぱり勇気を奮いませんとこれはいつまで行ってもやっぱりやれないことだというふうに思うんですよ。そういう意味では、困難は承知の上ですけれども、ぜひどこかで決断をやはりなさっていただきたいと思いますが、その心構えのような点だけぜひ少しお聞かせいただきたいと思います。

○政府委員(股野景親君) 今申し上げました考慮をいろいろ払うべき事柄が今多うございますので、そういう点を十分考えかつ先生御指摘の人道という面もよく考えて、繰り返しになりますが、多様な角度でこの問題は見ていく必要があると思いますので、そういうことからよく検討をしていきたいと考えております。

参議院・法務委員会(1991/04/12)/ 木島日出夫議員(日本共産党所属)

木島日出夫 - Wikipedia
○田辺(広)委員長代理 引き続いて、質問を続行いたします。木島日出夫君。

退去強制の問題について(在日コリアン向けの「在留特別許可」の運用)

○木島委員 今回の改正の一つの柱であります、退去強制の問題についてお伺いをいたします。
 昭和四十年法律第百四十六号の日韓法的地位協定の実施に伴う出入国管理特別法六条で退去強制に関する特例がつくられて、今回の法改正でそれが新法の第九条になるわけであります。最初に昭和四十年に特別法がつくられてから今日までの間に、第六条に基づく退去強制が実行された件数、及び一号から六号まであるわけですが、その何号が何件使われたか、数字を示していただきたいと思います。

○股野政府委員 ただいま御指摘の、在日韓国人・朝鮮人の人であって退去強制手続の対象になった方ということでございますが、この統計につきましては、私ども法務省として統計をつくっているのが昭和五十三年以降のことについて統計をとっている次第でございますので、その統計をとっている内容で御説明させていただきますと、昭和五十三年以降平成二年末までの間に退去強制手続というものの対象になった人は千九百九十五名、こういうことになっております。その中で今御指摘の昭和四十年の日韓法的地位協定に基づいてつくられました出入国管理特別法の第六条の該当者ということになってまいりますと、この六条該当の刑罰法令の違反者は、ただいま申し上げました数として八十五名が統計の中で記録をされております。(木島委員「一、二、三号、四号、五号、六号の種別。八十五名のうち」と呼ぶ)
 この八十五名の中で、いろいろな状況を判断しまして、退去強制手続の対象にはなりましたが、いろいろな審判手続等を経まして法務大臣による在留特別許可の対象になった者が五十五名ございました。結果として、実際に退去強制令書が発付された者は、八十五名のうち三十名ということになってまいります。
 実際に送還された者につきまして、これは先ほど申し上げましたように昭和五十三年以降の統計になっておりますが、ただいまの出入国管理特別法第六条の中の一項の六号「無期又は七年をこえる懲役又は禁錮(こ)に処せられた者」という条項に該当する者でございますが、これが十九名でございます。それから、別途入管法の二十四条の該当者で「無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮(こ)に処せられた者。」すなわち二十四条の第四号のリという条項に該当する者が十三名。それから同じく入管法の第二十四条の第四号のヘ、これは外国人登録法に違反して禁錮以上の刑に処せられた者という条項になりますが、これが一名。さらに入管法の第二十四条の第四号のヘ、ロに該当する者、すなわち外国人登録法に違反して禁錮以上の刑に処せられた者であって、不法残留となった者、これが一名。さらにもう一人、入管法の第二十四条第四号のチとロの該当、すなわち覚せい剤取締法に違反して有罪の判決を受けた者でかつ不法残留となった者、これが一名。こういう内訳になっております。

○木島委員 ただいまの答弁に明らかなように、少なくとも昭和五十三年以降は、特別法第六条一項一号、二号、三号に基づく理由、要するに内乱、外患、外交に対する罪及び外国の元首、外交使節またはその公館に対する犯罪行為により禁錮以上の刑に処せられた者、これらを理由とする退去強制は全くなかったということは確認してよろしいわけですね。

○股野政府委員 この昭和五十三年以降の現在の三十名の退去強制令書が発付された者については、御指摘のとおりでございます。

○木島委員 続いて、その具体的なものをもうちょっと詰めてお聞きしたいのですが、過去五年間においてもとの協定永住者等韓国人の退去強制件数が三件あるとお伺いしているのですが、その具体的な中身についてお示しいただきたいと思います。

○股野政府委員 これは、過去五年間におけるもと協定永住者等の韓国人の退去強制件数の中で、韓国人の三人の方について御説明を申し上げますが、この三人の方のうちの一人の方が殺人罪、それからあと二人の人が覚せい剤取締法違反、こういうケースになったわけでございますが、これらについてはそういう内訳でございます。
 まず第一の殺人の刑でございますが、これは韓国人で、協定永住許可で在留中に昭和五十年に殺人により懲役十五年の刑が確定して、服役後、六十二年に送還を行ったというのが第一でございます。
 それから、覚せい剤取締法違反に関連しまして
二人ございますが、一人は、協定永住許可で在留中に昭和五十三年に覚せい剤取締法違反で懲役十年の刑が確定いたしまして、服役後、六十一年に出国をしたということでございます。それからもう一人、同じ覚せい剤取締法違反によった者については、これは特例永住許可で在留中の者でありまして、実は覚せい剤取締法違反で一遍服役をしました後、昭和五十八年に在留特別許可を一遍受けた経緯があるのでございますが、六十年に再び覚せい剤取締法違反で服役をして、またそれの結果として六十二年に懲役一年八カ月という判決が確定し、服役後、六十三年にこの人物は送還をした、こういう三つのケースでございます。

○木島委員 特別法第六条の四号と五号は今回の法案が成立いたしますとなくなりますから、少なくとも本法案対象の永住者については覚せい剤等を理由とする退去強制はなくなるというわけでありますが、今回の特例法の第九条の第四号には「無期又は七年を超える懲役又は禁錮(こ)に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により日本国の重大な利益が害されたと認定したもの」は退去強制の対象になるということで、これが残るわけですね。特別法との違いは、特別法は「日本国の重大な利益が害されたと認定したもの」という要件がない。今回はその要件が入ってきたわけであります。先日の同僚委員の、「日本国の重大な利益が害された」とはどういう場合かという質問に対する答弁もありました。
 そこで、具体的にお聞きしますが、先ほど、過去五年間に一件殺人により懲役十五年の刑が確定後退去強制になったという例を指摘されましたが、今回の法改正ができますと、これは退去強制の対象に具体的になるのでしょうか、ならないのでしょうか。日本国の重大な利益が害されたと認定される事案でしょうか、されない事案でしょうか、どうでしょうか。

○股野政府委員 今非常に具体的なケースについて御指摘がございました。法令上、まず委員御指摘のとおり、この新しい特例法では、昭和四十年の法的地位協定に基づく日韓特別法の第六条の第六号よりもさらに限定を付しているということでございます。そうしますと、ここで申し上げておりますように、日本国の外交上の重大な利益……(木島委員「いや、四号は外交上ではないですよ」と呼ぶ)三号が外交上の重大な利益でございますが、四号で日本国の重大な利益ということでございます。ここは、先般申し上げましたように、国家的な利益という観点での犯罪行為ということになっておりますので、通常の犯罪行為、一般人の個人的な犯罪あるいは通常の社会的な犯罪というものでなくて、国家の利益というものにかかわってくるような犯罪でございますから、その意味で、御指摘のケースの通常の殺人罪だと、これは当たってこないということになります。

○木島委員 わかりました。
 先ほどの答弁の中に、六条の一項六号の「無期又は七年をこえる懲役又は禁錮(こ)に処せられた者」で十九名が退去強制の対象になったという御答弁ですが、これはおわかりでしたら答弁願いたいのですが、この十九名の中身は今私は聞きませんが、今回の法改正で、この十九名のうち日本国の重大な利益が害されたと認定できるものがあるかどうか、わかりますでしょうか。わからなかったら結構です。

○股野政府委員 恐縮でございますが、十九名の個別についての資料がございませんので、ちょっとその点の御答弁は差し控えさせていただきます。

○木島委員 続いて、では本法案の九条一項三号の、外国の元首、外交使節またはその公館に対する犯罪行為により禁錮以上の刑に処せられた者で、法務大臣が日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定したもの、ということについてお聞きします。
 これは特別法の六条の一項三号と全く同じ文章ですから、法解釈も全く同じだと思うわけなんで、ちょっと確認をしたいのですが、「外国の元首、外交使節又はその公館に対する犯罪行為」というのは、外国の元首や外交使節やその公館が被害の対象であるという意味に解釈してよろしいのですか。

○股野政府委員 その犯罪行為の対象がそうなっているということでございます。

○木島委員 ちょっと具体的にお聞きしますが、例えば公館に対する犯罪行為としてちょっと考えられるものとして、在外公館に関する住居侵入とか不退去、それから建造物損壊あるいは放火などが考えられるわけですが、在外公館がこういう罪名に当たる犯罪の被害者になった場合にはこの条文が発動されるというふうに聞いていいわけですね。
〇股野政府委員 委員も御指摘のとおり、そういう犯罪行為で日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定された場合でございます。

○木島委員 それから、外国の元首、外交使節を被害法益とする犯罪としていろいろ考えられるのですが、公務執行妨害の対象になった傷害、暴行、逮捕、監禁、脅迫、強要、名誉棄損、こういう罪名の被害者が外国の元首、外交使節の場合は、もちろん日本国の外交上の重大な利益が害されることが前提ですが、発動されるということになるわけですね。
    〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

○股野政府委員 さように考えております。

○木島委員 さてそこで、そうしますと、例えば北朝鮮や南朝鮮や台湾等の政治に対する不満があって例えばこういう在外公館に対して住居侵入があったということになると、この条文が発動される可能性が非常に強まってくるのですが、そこで、「日本国の外交上の重大な利益」というのはどういう要件で縛るのでしょうか。

○股野政府委員 これは、その個々の行為でまた判断しなければなりませんが、その犯罪行為のまず目的とするところは何だ、それからその犯罪行為が一体どういう態様で行われたのか、それからまたその結果がどうであったかということ、さらには例えば外国の元首なり外国の使節の本国が事件についてどういう反応なり対応をしたかというようなこと、そしてそういうことを総合的に判断して、我が国とその国との外交関係にどういう影響がそれで及ぶのか、こういったようなものが総合的に判断されて、そしてこの「外交上の重大な利益」ということを判定していくということになると思います。

○木島委員 私は、本法に基づく法定特別永住者や特別永住許可をされた者については、歴史上の経緯等にかんがみ、退去強制は本来やってはならぬものであると考えるわけです。少なくとも社会党案に見られるような内乱、外患に限るというのが最低限の態度ではないかと思うわけであります。今回枠が若干拡大されているという点は大変不満なわけであります。その運用において厳しく縛りをかけるべきではないかということを申し述べまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。

参議院・法務委員会(1997/04/24)/ 伊藤基隆議員(民主党所属)

伊藤基隆 - Wikipedia
○伊藤基隆君 私は、民主党・新緑風会の伊藤であります。
(中略)

「在留特別許可」制度について

 さて、在留特別許可というものがあるようですけれども、この在留特別許可というのはどのような効力を持つのか。それは、人権相談を受けても入管局に直ちに報ずるというようなことはしないという答弁が先ほど人権擁護局長からございましたけれども、在留特別許可というのはどのような考えまたはどのような根拠で行うものなのか、その手続と実態について少しお聞かせいただきたいと思います。

○説明員(安田博延君) お答えします。
 この在留特別許可と申しますのは、これは退去強制の手続の中で行われるものでございます。したがいまして、退去強制事由に該当すると思われる外国人につきましては、私どもの方で調査をした後に主任審査官の方へ引き継ぎますが、そこで退去強制事由の該当性があるかどうか、この審査がされるわけでございます。その段階がいわゆる三審制度に似た手続になっておりまして、その最初の段階での審査に異議がある外国人は特別審理官に対して異議の申し立てができる。その特別審理官の判断でも退去強制事由に該当すると判断された者に対して、さらに異議がある場合は法務大臣に対して異議の申し立てができる。法務大臣も退去強制事由があるかどうかということについても判断いたしますが、そのほか一切の事情を考慮してその在留を認めるべきかどうかという判断ができるというふうになっております。その段階での判断、法務大臣の方でこれは特に在留を認めるべき事由がある、こう判断いたしました場合になされるのが在留特別許可でございます。
 そういうものでございますので、これはいろんなケースで、もうケース・バイ・ケースでございますが、大体これまでの運用等からいたしますと、在留を希望する理由でありますとか経歴、家族関係、生活状況、素行その他の事情を総合的に勘案して、まさにケース・バイ・ケースで判断しておるところでございます。
 以上でございます。

○伊藤基隆君 質問通告のときに余り明確に言わなかったので、大変失礼しました。少し御迷惑をかけたと思いますが、在留特別許可というものがあるそうですねというふうに聞いただけだったものですから。
(省略)

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最終更新:2009年01月27日 18:27
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