SF百科図鑑

アイザック・アシモフ『永遠の終り』ハヤカワ文庫SF

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January 15, 2005

アイザック・アシモフ『永遠の終り』ハヤカワ文庫SF

永遠の終り方針変更してプリングル100冊の邦訳書を先に一気読みすることに。バッグジャックバロンはその合間にゆっくり味わいながら読みます。で、アシモフのこの本。この後はオールディス、バラード、ディレイニー、クロウリー、パングボーン、ヴァーリイ、ウィンダム、シルヴァーバーグ、タッカーと一気読みの予定。
silvering at 11:58 │Comments(3)TrackBack(0)読書

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この記事へのコメント

1. Posted by SLG   January 16, 2005 11:58
読了。
本書はストレートな時間テーマSF。それも、20世紀前後をちまちま行き来して細かいタイムパラドックスに一喜一憂するよくあるタイプではなくて、実に何万世紀もの時間を行き来し、22世紀頃から7万世紀までの歴史を矯正しながら、人類の福祉を高めるべく機能している、各時代から徴用されたエリートたちから構成される超時代的な<永遠人>機構の話である。まずそのスケールの大きさと、よく構築された機構のディテールに圧倒される。
このような魅力的な世界設定の中で、視点人物であるハーランと、ヒロイン的人物である482世紀の普通人美女、ノイエスの、規則に反した情交が前半の基調となる。
ところが後半になり事態は予想外の展開を見せる。ハーランは、<永遠人>機構の存立自体にかかわるある役割を果たすことになっていたのだ。失敗すれば<永遠人>機構そのものが非実在となる。しかし、ノイエスをめぐる周囲との葛藤が、ハーランを予想外の行動へと駆り立てる&&。
本作自体が一個のミステリとなっているため、ディテールを書けないのが残念だが、フェアな伏線を伴って、ラストには見事などんでん返しが用意されている。アシモフの多くの作品と同じく、一種のハッピーエンドだとはいえるだろうが、この人類拡張主義に対する無批判は、賛否はともかくアシモフらしいと思う。一つだけ指摘しておくと、ファウンデーション・シリーズに関係のあるラストである。
時間SFとしても、ミステリとしても、破綻が少なく完成度の高い作品である。恐らく「鋼鉄都市」「はだかの太陽」と並んで、アシモフの最高傑作の一つといっていいだろう。
ハインライン、クラークと並んでSF御三家と目されるアシモフだが、科学性と物語性のいずれかに偏り過ぎた他の2者と異なり、アシモフの作品はこの両者がバランスよく結合した知的エンタイテインメントとして、一般性は最も高い。そういう意味で、やはり歴代で最高のSF作家であろうと思う。

テーマ性  ★★★
奇想性   ★★
物語性   ★★★★
一般性   ★★★★
平均    3.25点
文体    ★★★
意外な結末 ★★★★
感情移入力 ★★★
主観評価  ★★★(31/50点)

2. Posted by 手下X22   January 17, 2005 01:21
 偶然、友人の汁馬氏もほぼ同時にこれを読んでいたらしい。コレはもっけの幸い、私の読み方と汁馬氏の読み方の比較が出来るまたとない機会である。
 異例ではあるが評価から。

 テーマ性  ★★★   
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