SF百科図鑑

グレッグ・イーガン「誘拐」「キューティ」

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匿名ユーザー

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1999年

10/2
SFM10月号掲載イーガン作2編読む。
「誘拐」
コンピューターにスキャンされた人物の脳の情報ファイルと、その人物の脳内状態が全く同じならその情報ファイルとその人物の意識との間に違いがあるか? イーガン得意の意識とアイデンティティに関するスペキュレーションを、綺麗なストーリーにまとめあげた地味ながらなかなかの佳作。
「キューティ」
イーガンがSF界入りするきっかけとなった短編だそうだ。アイデア、ストーリイともにシンプルで現在のような迫力あるスペキュレーションが展開されるわけではないが、やはり、「人間とは何か?」という根本の問いかけはこの作品から既に現れている。決して知性を持ち得ないはずの人工生命(ペット用赤ちゃん)が何かの手違いで、「成長」して知性を持ってしまったら、「人間」ではないのか? 単なるSFホラーにとどまらない思弁性の萌芽が既にある。

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