SF百科図鑑

グレッグ・イーガン『宇宙消失』創元SF文庫

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匿名ユーザー

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1999年

9/30
とうとう9月も終わり。早い。
さて、イーガン「宇宙消失」読了。★★★★
正直言って、量子力学の知識がないと後半はつらい(私など、巻末の解説だけでは足りなくて、ブルーバックスまで買ってしまった)が、ワンアイデア(仮説)をとことん突き詰めて理詰めでスペキュレーションする迫力は尋常でない。完璧に短編向きの素材なのだが、それを長編でやってしまう凄さ。
個人的には、「観測」によって波動関数が「収縮」するという説には難くせをつけたいことがいっぱいあるが。「収縮」じゃなくて単なる無数の可能性世界の断面に過ぎないんじゃないの、とか、粒子性と波動性を別個のものと観念する発想自体がマクロ世界の常識にとらわれ過ぎてるんじゃないの、とか、電子の照射実験で電子の到達位置を予測できないといっても、電子が波動性を有するのなら時間線における位置と電子の状態(波動)の推移との相関関係を考慮に入れれば法則性が発見できるんではないかとか、「同じ条件で電子を発射」といっても、時間線における位置や空間的位置が異なれば、電子波動パターンにずれが生じるから、電子の到達位置が異なってきて、予測できないように見えるだけなのではないかとか。特にシュレディンガーの猫の話なんて、「生死」自体が全く人間の観念によって捏造された概念なんだし、「観測」するまで生死がわからないけど「観測」したとたん、「生」または「死」に確定するのは不思議だとかいうけど、「観測」したとき「生」または「死」が判明したからって、その後また箱を覆ってしまえば状態が変化する可能性もある(「死」

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