SF百科図鑑

フリッツ・ライバー『放浪惑星』創元SF文庫

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2000年

7/9
「中継ステーション」は、まあまあだった。内容的には、ドラえもん+21エモンという感じかな。次々と現れる奇妙な異星生物のユーモラスな描写は21エモンそのもの(笑)。ほのぼのとした友情や人類愛、一貫した性善説も藤子不二雄そっくり。プロットが弱い。ストーリーに起伏が少なくて単線的構造。例えば、地下室の射撃訓練の描写などはなくてもよいサブアイデアで、冗長な感じは否めない(ブラッドベリの短編で似たアイデアがあったなあ)。やはりシマックは長編よりも短編の作家だと思う。長編でもオムニバス形式の「都市」のほうが、やっぱり上。この作品も悪くはないけど、熱狂はできない。味は良いけどすぐ忘れてしまうインパクトの薄さは、中華料理のよう(笑)。
次のライバー「放浪惑星」もやはり同様に、冗長な感じがする。今300ページ読んだけど、この作品のメインアイデア自体は20ページの短編で表現できてしまうだろう。それに多数の相互の関連性のない登場人物/サブストーリーを並行させ、映画的に目まぐるしく場面転換してリアリティを持たせようとしているようだが、惑星の引力による地球上の災厄の描写が必要以上に詳細過ぎて、かえって興醒めする。他方、円盤内部の異星生物とのコンタクトのくだりは、ライバーの多数の短編作品でその才能が証明されているように、極彩色の幻想風景が悪夢のように展開し、流石の出来。この両方を同時にやろうとしたために必然的に凝った描写にページ数を割くあまり、ストーリーの展開が異常に遅く、読んでいるうちにいらいらして眠くなってくる(笑)。「プロットが弱い」情緒派という点では、ライバーもシマックと同じ弱点を抱えており、そういう意味でどうしても「読者を選ぶ」作家とならざるを得ず、第一線に躍り出ることはできない。まあ、まだこの作品、全部読んだわけではないから、読み終わる前から貶すのはできるだけ避けたいけど。ストーリー的には、面白くないです、はっきりいって(笑)。この作品の読みどころは、月を分解して吸収し燃料源にしてしまう惑星大の宇宙船と猫に似た異星生物の絡み。この奇想、幻想的な描写(絵)をどれだけ楽しめるか、この一点に尽きる。SFに絵を求める人、思弁を求める人など何を求めるかは様々だが、この作品は前者の人向き。どちらかというと思弁派の私としては、思弁性の少ない(引力による災厄の科学考証とかそういう凝り性の部分は別としても)この作品はちょっと苦手の部類に入るかも知れない。といってライバーの幻想性はそれはそれで好きで、ただ、それを長編でやられてはつらい、ということ。やっぱりライバーも短編向きの作家と思う。
昨日、(略)で多少の収穫があったので、本店である(略)に行ってきたが、文庫は、(略)より少なく(かつ絶版文庫はなお少なく)がっかりしたものの、SFマガジンの90年代以後の品揃えが良く、しかも安いので8冊もまとめ買いしてしまった。根付けは絶版文庫が1000円前後と比較的良心的だが、単なる品切れ作品まで同じ値付けなので中には高めのものもあり、注意が必要。
結局、目当ての講談社文庫「世界SF大賞1」は見つからなかったが、代わりにロングイヤー「わが友なる敵」((略)で見かけて買わずにいたら他人に買われてしまって以来、一度も見かけたことはなかった超稀覯本)を1000円という格安でゲット! ついでに勢いでマーフィ「落ちゆく女」まで買ってしまった。
しかし、一般の古本屋におけるSF絶版本の閉め出し傾向の加速ぶりには愕然とする毎日。ホームページの「SF絶版文庫あり」の紹介を見て行ってみたら、ハヤカワ文庫が10冊程度しかなくサンリオなしで絶版本皆無、というようなショッキングな経験に5店ぐらい連続して出くわすと、泣きたい気分を通り越して感覚が麻痺してほとんどマゾヒスティックな快感にまで錯覚しそうになるほどだ。
結局、今まで何10軒という古本屋を回ったのに、まともな品揃えをしていたのは、(略)の2軒と、後は、(略)、やや落ちるが、(略)本店がぎりぎりセーフ、という惨状はほんとうに絶望的である。インターネットの古本屋の品揃えも偏りが激しいし・・・。受難の時代は続きそうである。

競馬の方は、昨日、ノボエイコウオーが2着に来て1万1000円超ぐらいだったが、単勝は取れなかった。今日はあえなく全敗し、トータル4500円使ったので、今週はプラス7000円ぐらい。相変わらず儲け方がせこい(笑)。でも今日は、トウカイテイオーの弟のトウカイオーザが好メンバーの条件戦を好時計勝ち。SSというのが気に入らんけど、頑張ってほしい。全姉トウカイティアラは、メインレースでブービー負けしていたけど(笑)。

7/13
グランシャリオ、マイネルブライアン勝った。
「放浪惑星」やっとおもちろくなってきた。もうすぐよみおわる。

7/14
アグネスワールドはどうでも良い。国内G1勝てない馬なんだもの、しらけちまう。

プリングル「SF完全百科事典」「SF名作長編100選」届く。さいこー。インターゾーン1、2、チックタック等の絶版注文、「ああバビロン」等を注文。(略)

放浪惑星読み終わる、★★★1/2。やっぱりビッグタイムの方がよいなあ、プリングルはこっちのほうが好きなようだけど。ただ、おびただしいSF旧作からのモチーフ借用(特にレンズマンと、ステープルドン)は、メタSFとしての楽しみ方ができるという意味でSFファンに受けた面もあろう。円盤マニアというキャラも今では古い感じがしますしね。僕はライバーはやっぱり短編の方が良いです。

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