SF百科図鑑

ブライアン・オールディス『ヘリコニア3部作』

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可

June 08, 2004

ブライアン・オールディス『ヘリコニア3部作』

helliconia
『ヘリコニアの春』『ヘリコニアの夏』『ヘリコニアの冬』のスレです。
私が持っている写真の本は英国版の合本
『春』は既読。
『夏』を飛ばして『冬』を読み、後で気が向いたら『夏』を読むことにします。

なお、『ヘリコニアの春」を読んでいた昨年12月から今年3月(!)にかけての私の日記を以下にまとめておきます。参照用に。

『ヘリコニアの春』読書日記より再録(復習用)

私が持っているのは春、夏、冬の合本版である(どうせなら秋も書いて4部作にすりゃあよかったのに)。しゃれにならないぐらい分厚いが、仕方あるまい。春が362ページ、夏が398ページ、冬が282ページ。巻末にヘリコニア世界の解説がついており、至れり尽くせりの内容である。全部足すと1000ページを超える。活字も結構細かいので、普通のペーパーバックに直すともっと厚いかもしれない(ちょっと大判の変則ペーパーバックである、サイズ的には四六版てやつだ)。

ヘリコニアの春は、序章と15章からなる本章。序章が結構長くて74ページある。しかし、英国でベストセラーになったほどの人気作だから、きっと面白いのだろう。
そう思って読み始めたら実際面白い。
序章は「ユーリ」と題されているがこのユーリはヘリコニア人の少年である。父とともに雪の中を狩りに出かけるが、イエルクの死体の解体作業中にファゴールに襲われて、父は連れ去られ奴隷にされてしまう。
まず何と言っても寒そうな惑星上の情景描写がたまらない。しかもこの世界には太陽が2つもあるのだ。だからこの星の四季の変遷は非常にユニークなのだが、その辺りの解説は巻末に詳細に記されているので、後日採り上げる。
それと、奇妙な動物たちの生態。こういった才能は、既に名作「地球の長い午後」などでも証明済みであるが、その実力が遺憾なく発揮されている。例えば、一部のファゴールが移動に利用するイエルクという動物は、ほ乳類であるが、性交後、雌の体内でウジ虫大の幼生が母の胃を食べて成長し、動脈内で分裂増殖、母の体を食べて喰い殺す。その後、幼生同士が共食いしながら生存競争を繰り返し、2、3匹になり十分成長したところで、体外に出る。ユーリたちは、このイエルクの死体から幼生を取り出し(爪ほどの大きさ)、食べたり、鞄の装飾に使ったりする。
またファゴールはユーリたち(ハンター)とは別種の知的動物である。角の生えた牛のような容貌であるが、集団で地下に穴を掘って生活しており、ハンターを捕えては奴隷としてこき使っている。

文字数オーバーしそうなのでこの辺で切り上げるが、とにかくこういったディテール描写がすばらしい。特に「地球の長い午後」の好きな者には、たまらない作品である。

ユーリが橇を奪ってある町を訪れる。そこで商人夫婦に面倒を見てもらい、自分も店を持つため聖職者ギルドに入ろうと努める。アカー神をあがめる教団がこの町を統治しており、聖職者になるのは至難の業だ。

というのがだいたい30ページぐらいまでのストーリー。

今日中に序章だけでも読み終わらないと。実は、ハイペリオンの没落と併読なんだけど。なんか今日は超眠い。年越しぐらいまでは起きていたいけど超つらい。布団の誘惑&&。いかん。掃除もしないといかんし&&。外で読んでくるか。眠気覚ましにカフィーでも飲みつつ。

ユーリはカイアルらの反対を押し切って、牧師になろうとするが、その最後の関門でキャプテン・エブロンより、商人2人を殺害し橇を奪った容疑を告げられる。ユーリは否認し幽閉されるが、独房で3日煩悶の末、遂に自白をし、聖職ギルド入りを認められる。この地域では、聖職者階級の構成員の多くが罪人出身であり、牧師と囚人の違いはあまりない。ユーリはまず就任式の前に様々な儀式に参加をする。他の牧師の話から、死者と話す能力を持つ者がいることを知る。父がファゴールに捕えられて死んだと思っているユーリは、相手から「死者と意思を通じられるようになれば父が死んだかどうかはわかる」と言われる。やがて、ユーリは就任の儀式を経て、正式に牧師の職を与えられる。だがインターン期間があり、最初は、監獄地区で囚人の世話をすること、次は保安部員の専属牧師、この段階を経て、初めて民間で牧師として活動を許される。監獄に配属になった際、ユーリはカイアルらの息子で反逆罪で捕えられたウシリクが、事故で養殖池に落ちたかどで拷問されるのを目撃する。ユーリはウシリクに援護を申し出るがほっといてくれと拒否される。やがてユーリは保安部に異動になる。この仕事はいやな仕事だが、水に合っていた。ユーリは危険のないときを見計らってウシリクと接触を続けた。

以上で51ページまで。

正月中に序章を終えるのがノルマなので、今日中に達成可能な状況になった。後は予定通り掃除をしたい。

下記事情(注・体調不良)のため進まず。
68ページまでやっときた。
ウシリクの仲間のイスカドル(美女)とスコローを連れて脱出。谷間にさしかかり、イスカドールが弓矢を使って紐を向かいの岩に引っ掻かけ、反対側に渡る。谷間にユーリは、湖などのある「もう一つの世界」を垣間みる。
だるい。序章が終わるかどうかすら微妙になってきた。

序章終了。

山道を進み小穴で寝ていると何かが近づいてくる、巨大な二匹の虫。ウトラの虫か? 4人は隙を見て逃げ出す。その後キノコや鳥をとって食べたり、ヤギの乳を搾ろうとして失敗したりしながら進み、ついにウトラの町につく! ときは春分近く。4人は町で暮らすことにする。外見や言葉が違う点を除くと彼らは受け入れられた。近隣のドーツィンの攻撃を受けるが、弓矢で撃退。ユーリはイスカドルと子をもうけ、ウシリクはイシクと、スコローはフィティと結婚。疫病で王を失ったドーツィンに請われてユーリらはドーツィンに移住し湖畔に住む。彼はその湖をオルドランドと呼んだ。今にも春が訪れつつあった。

本章「エンブラドック」
序文
シェイ・タルの言葉
太古の災厄を忘れてはならぬ!

はっきりいって、こいつは面白い。何で訳されていないのか疑問。英国でベストセラーになったんだから一般受けする内容なんだし、売れないからというのは説明になっていない。
この先の展開が楽しみ。

本章
第1章 祖父の死
ユーリの曾孫の孫、レインタル・アイ(7歳=今年成人)が視点の中心。祖父の「リトル・ユーリ」が死にかけているとのことで、ボンドーロンガノン神父の訪問を受け、祖父の屋敷へ向かう。神父から角付き犬のミニチュア彫刻をもらったアイは喜ぶ。祖父は息を引き取り、葬儀が催される。祖母は悲嘆に取り乱す。葬儀後に酒宴が行われ、仕事を終えた神父は去る。
第1章のラストで、ヘリコニア上空にヘリコニアを観察する地球人の船が浮かんでいることが判明する。彼らの目的は何なのか?

第2章 夢のようだった過去
酒宴の席で、エンブルドック住民たちは、ユーリからの代々の歴史を口承で語り始める。序章から本章に至るストーリーの断絶部分をつなぐ(説明する)パートである。現在、途中まで呼んだ。続きは次回。

本作は、ヒロイックファンタジイ風の内容でありながら、惑星生態系や2つの太陽の描写、上空で観察を続ける地球人の船等、SFの要素をしっかり持っており、「新しい太陽の書」「雪の女王」等と同様のいわゆる「サイエンス・ファンタシイ」に分類されるものと思われるが、そこはオールディス、一筋縄でいかないはずだ、この先の展開が楽しみである。

第2章 夢のごとき過去
小ユーリの死の床で、部族民たちが伝承を語り継ぐ。ユーリ末裔のドレシルと小ユーリがたちがエンブラドックを攻略し占拠。この地に住み着き、旧領主ウォール・アインと提携。小ユーリはロイルを紹介され、ロイルの謎めいた言動に魅惑される。両部族は合同し防備を強化、ファゴールは一時襲ってこなくなる。彼らは共同作業で盃や剣を作った。

第3章 塔からの跳躍
ロイルが孫のレインテル・アイに語る話。小ユーリとロイルは結婚した。ドレシルは刀杜氏の娘ドライ・ホイン・デンと結婚。ユーリはロイルの多大な影響を受ける。ロイルはユーリに「死人(父、祖父など)との交信の方法を教える」と言い、ユーリは特訓を受け外出しないようになる。アサータル・デンがユーリを特訓のため北東地方に連れて行く。だがユーリは父と交信できない。ロイルの見解では「地程」(ランドオクターウ゛)が合わないためだという。2年後ドレシルにナークリが、ロイルにも娘ロイラナンが生まれる。やがてファゴールが来襲するも撃退さる。1人のファゴールは村内に突入し塔に登り、部族民が取り囲む中飛び降りて観衆の子一人を殺し暴れたあげく倒れる。その後、奇病が流行する。他方、ヘリコニア軌道上で、地球観測船アウ゛ァーナス上の地球人はヘリコニアの観測を続ける。

第4章 好ましい気温の漸変
ロイラナンは彼氏を作るが、男は獣に襲われ死す。彼女は妊娠。その子がレインテル・アイ。
他方、氷河地帯のイプート率いる救世軍がオルドランドへの進軍を続ける。
ドレシルは、部族の若者の無礼さに忸怩たる思い。合同暦17年、妻ホイン死す。
ウトラとアカの対決神話が語られる。
ドレシルの子のナークリとクリルス兄弟が領主の跡継ぎとなる。

少し開いたが再開。次は第5章「二重の日没」である。

第5章 二重の日没
ナークリ&クリルス兄弟がエンブラドクの新領主となり、会議を開く。ロイラナンは「レインタルが成人するまで自分が役を果たす」と叫ぶが「女には任せられない」と拒否される。しばらくはこの兄弟の治世が続く。狩人の頭領のアオズ・ルーンはブラシミプス旧領主ウォール・アインの叔父の末裔であったが、家族に反発し離れた塔内でエリーン、ファラリン、タンスらと暮らしていた。アオズの娘がオイアであった。アオズはレインテル・アイとともに狩りをした。あるときボーリエンからクツィンツ地方(北)に向かってきた商人8人を捕え、うち一人(カラリー)を奴隷にする。製造ギルドのダスカという若者が仕事に嫌気をさしやめさせてくれと言い出す。領主兄弟は難色を示すがアオズの進言で狩人に転職し、レインテルと仲良くなる。夫を亡くして以後ぼけ老人状態であったロイルはある日獣に食われて死ぬ。ロイラナンは、夫人ギルドに働きに出て皮の加工や料理などの業務に従事する。ある夜ロイラナンはシェイ・タルを訪ね、「ロイルと交信した、ロイルは知恵を尊重せよと説教をした」と語る。2人はそのまま仕事に出る。やがてロイラナンは病死するが、病床でシェイらに「学院を設立し、領主兄弟に対抗せよ」とアドバイスする。シェイ・タルは領主兄弟らの前で「知恵こそ貴重なり」との演説をぶつ。レインテルは成人(9歳)に達し、狩りの合間、オイアとともに辺境を探検する。ある日レインテルは外を探検中に獣の穴(罠)に足を踏み落とし、獣と交戦する。苦戦のあげくこれを倒し、村に凱旋する。折しも2つの太陽が同時に沈む「二重の日没」の祭りを控えており、たまたま正月にもあたっていた。その祭りで生け贄の儀式が行われるのだが、カラリーがウトラに生け贄に捧げられることになった。領主兄弟は臆病にも斧で奴隷の首をはねられず群衆からブーイングを浴び、代わってアオズが首をはねる。帰りにアオズは前もってカラリーに酒を飲ませていたので幸せな気持ちで逝ったはずだとレインテルに語る。レインテルは微かな恋情の芽生えたオイアに「獣を倒した話で俺に惚れたかい?」ときくが、オイアは舌を出し「あんた馬鹿みたいって思ったわよ」とにべもない。

ここでちょっと一休み、この合本版は冒頭に作者の「ヘリコニア3部作が生まれるまで」の創作秘話が載っている。それによると、このシリーズはまずはじめに編集者から「何か本を書いてくれ」と頼まれた作者が「地球に似ているが季節のものすごく長い星の話を書きたい、その星の名はヘリコニア」と答えたことから始まった。最初に題名が決まり、その後にディテールを決めていった。彼は当時、一世を風靡した「ガイア」概念を基本にヘリコニア世界を構築し、特に植物相については苦労をしたが、ある日イギリス国内を旅しているときみた工場の煙突の様子を見て思いついた。また、当時「3つの世界の相克」を描いた「西部での生活」という小説が好評だったため同じテーマを入れようとも考えたが断念し、「3つの大陸」だけが残った。とのことである。

巻末にはヘリコニア世界についての解説が載っており、これはこの合本版用の書き下ろしである。これについては後日。

第6章 「もし私がビファドックならば&&」
レインタルはアオズ、ナークリらとともに鹿狩りに出かけ、囮の鹿を使って鹿の群れに近づく。その過程でファゴールとでくわしたアオズはファゴールを倒す。彼らが数頭の鹿の獲物を携えて村に帰ると女たちが彼らを迎える。しかし、ダスカとアオズを迎える女はない。アオズはシェイを探し、なぜ迎えに来ないのだと訪ねるが、彼女は学院の仕事で忙しい、知識の方が重要だからと答える。アオズはシェイに自分を愛せよ、学院をやめろと迫るが受け入れられない。夜の宴会で酔って塔に登ったアオズは、追い出しにきたクリルスをよった勢いで塔から突き落として殺害してしまう。更にダスカが呼んできたナークリも同様に突き落として殺す。この様を目撃したレインタルやオイアは口止めをされる。

他方、2つの太陽のうちフライヤーは徐々にヘリコニアに近づき大きくなる。地球の船はヘリコニア地上のデータを正確に記録し、地球に送っている。

アオズは殺人の罪悪感に苛まれる。2つの死体を互いに喧嘩して死んだように見せかけるため寄せた後、塔に登り、毛皮を脱ぐ。全身に燃えるような模様が現れている。

地球観測船の一部の乗員は、ヘリコニアに降りて暮らしてみたいと考え始める。

アオズは領主となるための会議を催し、7つのギルドの長を招集し、レインタルとダスカを首席補佐官にすると宣言し反発を買う。その後、アオズはオイアに命じてオイルを全身に塗らせる。

オルドランド近辺にいたマディ族の家族がヨール・ガー・ウィリーク(クツァーン族)の一味に殺害される。クツァーンの救世軍は「フライアの子」の都市に向かって進軍を続ける。
この先、オルドランドとクツァーンの命運が相まみえることになるとはどちらも想像すらしていない&&。


読んでないといいながら、ちょっとずつは読んでるんっすよ、ねえさん。
いよいよファゴールの軍団とオルドランドの住民が対戦&&なんと、ファゴール連中が凍りついてしまった! ウトラの神の仕業? 面白くなってきた。って、やっぱりまとまった時間を取って一気に読むのが一番面白いんだけどね。なんか忙しくてさあ・・・(中略)・・・その時にじっくり読むつもりだけんど。 

前回要約した「ファゴールが湖で凍った」は第7章「ファゴールへの冷たい歓待」。

第8章「黒曜石にくるまれて」
ダスカは自分の倒した巨大なスタンジバグをブライに見せ、解体作業が始まる。ダスカとブライは、スタンジバグを魅きつけた巨大なブラシミプの木に登り、側面の穴から幹の中央の空洞となった管の中におりてゆき、冬眠中の小動物(グロッシイ、冬眠明け後はホクスニイと呼ばれる)を発見する。村に戻ったブライにシェイ・タルはある実験をすることと、母のゴッシイと交信をすること、その後オルドランドを離れ旅に出ることを告げる。グロッシイは冬眠から目覚めるとすぐ死ぬ。シェイはファゴールを水に入れて凍るか否かの実験をするが、そのような現象は起こらず、奇跡の原因は突止められない。次の委員会で、レインタル・アイは学院を支援するよう求めるが、アオツ・ルーンは拒否する。委員会では彼らの歴史上の連続性について議論がなされる。シェイ、ブライ、オイアらは数日後、星の動きを議論し、星が動くのではなく地面が動いているのではないか、また「ワンダラー」(惑星)やカイドー(特に速く動く星)はもっと近くにあるのではないか、などの推測を述べる。
実は、「カイドー」とは地球観測船アウ゛ァナスのことであった。ヘリコニアの星系においては、ヘリコニアはバタリスク(B星)の周囲を480日(1小年)かけて回り、バタリスクがフライア(A星)の周囲を1825小年(1大年)かけて回る。つまり、B星をめぐる小さな季節のサイクルと、A星をめぐる大きな季節のサイクルが存在し、大きなサイクルは1825小年もの巨大なサイクルなのである。
いまわの際にある老婆アミム・リムは、塔の下の前任領主兄弟の遺体が離れて落ちていたのを目撃したことから、二人が争って一緒に落ちたのでなく誰かに突き落とされたこと、その犯人はアオツ・ルーンと思われることをシェイらに告白する。シェイは母のゴッシイと交信する。気温は上昇し、3大陸上の生き物たちの生死も活発化する。シェイはブライとともに寺院を訪れウトラの偶像を見上げる。母のゴシイが言ったように、それはファゴールの姿であった。

次回は第9章「ホクスニイの毛皮の内外で」。話が動いてきたよ。

あかん。本格的に英語が読めなくなってきた。意味が頭に入って来ない。脳が受容を拒絶しているようだ。それとファンタジー、特にヒロイックファンタジーが日本語でも全く読めない。頭が拒絶反応を示して、先に進まないのだ。やっぱり苦手なものを無理に読もうとするからか。困ったもんだ。
てなわけで、フードのついてる服好きな人!違った。ヘリコニア9章が読めねえ。1週間でたった14ページ。まあ1ページに小さい活字で詰め込んであるから普通より遅いのはしょうがないとしても、いくらなんでもこれは・・・39分程度で読まなきゃならんページ数。この章やけに長くて40ページぐらいあるとはいえ、これはあんまりだよ。
いちおう読んだ分だけね。

第9章 ホクスニイの毛皮を着ては脱ぎ
2つの太陽の蝕現象が起こる。それを宇宙船から地球人が観測する。洪水が起こり彼らはボラル川に橋を架ける。彼らは多様な穀物を育て、星を語る。シェイは地球が太陽の周りを回っていると考える。シェイは石打師範のところへ行き、歴史書を調べ、かつてファゴールがオルドランドを治めていたと確信する。彼らはホクスニイを狩って、その毛皮を使う。気候は暖かくなった。男たちはホクスニイを狩り、毛皮を持ち帰る。シェイはヘリコニアが2つの太陽をいかに回るかの考察を深める。オイアとブライは全裸で泳ぐ。アオツがゴイヤと話しながらダスカと進む。アイはオイアと話す。あの奇跡の夜からファゴールは襲って来ない。

ここで226ページ 疲れる。

第9章 ホクスニイの毛皮の着脱
気候は暖かくなり男たちはホクスニイを狩りその毛皮を女たちは着る。シェイはヘリコニアの公転についての推論を語る。オイアとブライは泳ぐ。アオツはゴイヤと語りつつダスカと狩りに出る。アイとオイアは初めて性交する。アオツはダトニルを処刑する。アイはアオツの殺人の事実を指摘しようとして殴られ、破門される。地球人の観測船はヘリコニアの気温の上昇のデータを採取し地球に送る。氷が溶けて川になる。祝宴中に侵入者の報が入り、アオツは厳戒態勢を命じ現地に赴き、カイドーに乗ったファゴルを倒す。アイはオイアに約束した「偉大な振る舞い」としてカイドーを綱で捕え、村に連れ帰る。

ヘリコニアの春 第10章 レインタル・アイの功績  (引用)

「草原は見渡す限り、いかなる人間も、いかなる二足歩行動物も目の届かない彼方まで、咲き乱れる花におおわれていた。白、黄、橙、青、淡緑、桜色の花弁の嵐が地図にない何マイルもの距離を越えてオルドランドの壁に吹きつけ、色の竜巻の中に村をつつみこんだ。
雨が花を運び、そして雨は消えた。花は残り、熱い帯となって輝く地平線まで、距離そのものが春に汚されたかのように、咲き広がっていた。
この壮大な景観の一部分だけが柵に囲まれていた。
レインタル・アイとダスカは仕事を終え、友人たちとともに成果を確認していた。
若木と棘の木で柵を建造したのだ。剣からしたたった樹液が手首に滴り落ちるまで、若木を切り倒した。若木は切りそろえられ、柵の横木として、地面に平行に据えつけられた。縦横に束ねた枝や棘の木が組み込まれた。できあがったものは頑丈で、人の背丈ほどの高さがあった。この柵は一ヘクタールほどの地面を囲んでいた。
この新たな囲い地の中央にカイドーが立っていたが、人が乗るのを拒んでいた。
カイドーの女主人であるギロットは、慣習に従い、倒れた場所で腐るに任されていた。わずか三日後にマイクほか二名の奴隷が埋葬のために派遣されたが、既に死体は臭い始めていた。
花がカイドーの唇からよだれのごとくぶら下がっていた。ピンクの花を口いっぱいほおばったのだ。捕われた状態で食べても本来の味が感じられないのか、この偉大で不気味な動物は、頭を高くして立ち、柵のてっぺんから外を眺め、食うことをすっかり忘れていた。時々数ヤード脚を高く上げて移動しては、元の見晴らしの良い場所に戻り、白目を剥いた。・・・」

冒頭だけ引用してみました。こんな感じの内容です。章読み終わり次第要約。多分、アイがカイドーを乗りこなすようになるんだろうな、だいたい想像がつく。

第10章 レインタル・アイの功績

アイは捕えたカイドーを柵で囲い、手なづけようとするがうまくいかない。ファゴールの毛皮をかぶって近づき、乗ることには成功するが、主人でないことに気づいたカイドーは暴れた上、自らの心臓に角を突き立て自害する。アイらは、やむなくホクスニイを手なづけて乗ることに成功する。ホクスニイの家畜化によって、労働の省力化が飛躍的に進み、「ホクスニイ革命」と称される。かれらは騎馬隊を組織し、隣村のヴァンリアンを征服する。かれらは更に南方、シボーナルに進軍する。だが、アイはまたもオイアにふられる。

第11章 シェイ・タルのゆくとき(冒頭)
オルドランドの文明はボラルの川向こうにまで拡張する。アオツは学問、宗教を軽視し、これを重視すべきとするシェイ・タルとの対立を深める。

これ、期待したほど面白くないんだよな。何か話の展開がゆったりし過ぎ。しかも、先が読めてしまうし。ヘリコニア人ってのは恐らく大昔植民した地球人の末裔とかいう設定なんだろきっと。異常にサイクルの長い季節っていう設定は、アシモフ「夜来る」とかとかぶるネタだし、長い冬で退化した文明が春の訪れとともに復活するというテーマも、ホロコーストものでよく見かけるテーマを異星に置き換えただけ的な見方も出来る。意外な要素がないんだよな、だからぐいぐい引き込む力がない。
出てくる動植物がもっと奇抜だったり、地球と月が巨大な蔓でつながってる的な大ネタがあれば、「地球の長い午後」みたいにハマれるんだが、それもパワー不足。
つまり、奇麗にまとまり過ぎなのだ。「いいんだけどすぐ忘れてしまう」と山形氏も評していたが、まさにそんな感じ。

あまり多くは望まず完読だけを目指すことにします。

第11章 シェイ・タル出発のとき
ホクスニイの家畜化により、オルドランドの部族は勢力を増し、ボラル川を越えて版図を広げる。ここに至り、宗教/知識無用論者のアオズとシェイ・タルの対立は激化する。彼らは南方へ進軍をはじめる。折しもマディたちは、気温の上昇とともに骨熱菌を繁殖させた状態で人間たちに捕まる。

こいつらが病気をうつすんだろうな、きっと。人とファゴールはどっかで衝突するんだろうし。意外な要素がないんだよな、先の予想がついてはらはらしない。

残り25ページ。
ファゴルと衝突して川の中の島に乗り上げ、骨熱の発作を起こしたルーンだったが、何と生きていた! しかも、ファゴルと友情を育んでいたとは(笑)。一方、レインタル・エイは、領主宣言をせよというダスカの提言を断り、オルドランドを出て南へ。骨熱に感染しながら生き延び、ボレリアンの町で職を貰う。この町で門番と仲良くなり、一緒にオルドランドに戻ろうとしている矢先にルーンと再会、ルーンも一緒に戻ることとなる。折しも大「救世軍」が北へ向かって行く。エイらはこの後を追ってオルドランドへ向かう。
SFとは言いながら、内容は完全にヒロイック・ファンタジイ。ただ、「骨熱」だの「肥死病」といったファゴルの寄生虫が媒介するウイルス性疾患が、ヘリコニアの季節サイクルと相まって、ヘリコニア上の人口調節作用を営んでいるという説明などに「サイエンス」の要素が垣間見える。この星を軌道上から観測し、地球にデータを送っている地球人の存在が謎のまま。この辺りの謎が明かされればSFに移行するのかもしれないが&&。

第13章「0・5ルーン貨幣からの眺め」第14章「針の目をくぐる」第15章「焼ける匂い」で「ヘリコニアの春」をようやく読み終える。
骨熱に襲われ混乱するオルドランドの領主代行として、副官らを手なづけたり辱めた上、就任演説を行おうとしたダスカは、思わぬ反発にあい、ルーンの悪行を暴露するも、暴動を巻き起こし敗走する。ダスカをかくまったブライは、急遽機転を利かせ、自ら「20回の蝕の最後の蝕が訪れても、それはただの天体現象にすぎないからパニックを起こす必要はない」ことを理詰めで説く。他方、ルーンらとともにオルドランドへ向かっていたアイは、途中でファゴルの一団と遭遇し戦闘となるも、その最中にラジャバラルの木が爆発し巨大な種をまき散らす。仰天したファゴルは逃走する。門番らと別れてオルドランドへ向かったルーンとアイは、最後の蝕を経て、レイニル(金作り師)と再会を果たす。更に進んだアイらは、子供を連れたドルとオイアに劇的再会を果たす。アイはオイアとともに、オルドランドへ向かう。ファゴルから仲間たちを救うために&&。ここで第1巻は幕を閉じる。
第2巻の「ヘリコニアの夏」は恐らく数世代後の話だろうから、アイとオイアのこの後の運命は結局語られずじまいとなり、そりゃないよというところだが、ドラマティックな幕引きで面目を保った。
正直なところ、あまりにもヒロイックファンタジイ色が強すぎて、「SFとしてはどうかな&&」というところだが、純粋に物語として楽しめばなかなかのもの。登場人物は多彩だし、その権力抗争、権謀術数は見応えがある。オルドランドの緩やかな文明の進展と政治抗争、そして「地動説の発見」と、「二重の公転によって2種類の季節が存在する惑星」という壮大な舞台で展開するゆったりした物語は確かに人気を博したのもうなずけるところ。そして、軌道上から地球にデータを送るアウ゛ァーナス号の謎は&&? これは「夏」以降にお預けのようだが、これで次作以降を読む楽しみが出来たというものだ。
silvering at 13:27 │Comments(43)TrackBack(1)読書

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 英国SF協会賞 [ 馬とSFの日々 ]  June 11, 2004 15:40
ここらでまとめておく。

この記事へのコメント

1. Posted by silvering   June 09, 2004 14:08
「冬」から読もうと思ったが、気が向いたので、「夏」から読むことにする。
でも斜め読みだけど。ストーリーが大体分かればいいという読み方で、辞書も引かん。1日最低100ページ読むようにすれば4日で読み終わるはず。無理やり内容が頭に入らなくても最低音読はするべし。
2. Posted by シルバリング   June 09, 2004 17:24
ヘリコニアの夏

第1章 ボーリアンの海岸 読了

「春」よりだいぶ時間が経っていると思われる。王から離縁された女王が浜辺で遊泳中に死体を見つけ、町の解剖屋に売りに行かせる。死体を買った解剖屋キャラバンシティは、この死体がデジタル腕時計をしているのを見つける。
「春」がただのヒロイックファンタシイで終わったことを考えると、やっとSFらしくなってきたなという感じ。いいぞ、その調子だ。
今日中に100ページ逝く予定。つうことは、第6章までか。
3. Posted by シルヴァリング   June 09, 2004 18:44
今『ヘリコニアの春」の日記を読み返して気づいたんだけど、ボブ・ショウの「襤褸の宇宙飛行士」って、「ヘリコニア」からのぱくりが結構多いね。二重の太陽を二重の惑星にしたりはしてるが、惑星状の生態系(特に、伝染病の話と、爆発する樹の話はほとんどかぶる)、遅れた文明が徐々に発展する設定、中世的なチャンバラ活劇の多用など、あまりにも似すぎている。そういえば、惑星から惑星へ気球で渡るという発想は、植物の鞘で地球から月に渡る「地球の長い午後」と通ずる。

でも面白いから、いいけど。もともとボブ・ショウは、ヴォクトなどの古典作をモチーフにしたオマージュ的作品が結構多いだけに、二重惑星シリーズも多分、意図的にオールディスへのオマージュとして書いた可能性がある。それでつまらなければただの盗作野郎だが、面白いから許す。

閑話休題。夏読みます。
4. Posted by silvering   June 10, 2004 03:28
第2章 宮廷の訪問者たち
ボーリニエン(オルドランドの南東、川下にある国。地図によると首都から海まで川が流れ、河口にオタッソルが所在する)の王ジャンドルアンガノル(25歳と1~2テナー。テナーとはtenからきた月に該当する時間単位だが、数え方が違う)は、追放したボーリエン王妃マーデムインガラ(男女一人ずつ子をもうけた)に正式な離婚書(教会の最高権威聖セサルの認可をもらったもの)を届けに、首都マトラシルから川づたいに港都オタッソルに立ち寄り、そこから海路で、王妃の追放先のグラババガリニエンに赴く予定であった。王は、ユーリというファゴルを伴い宮廷を出発する。そして川を下る途中、オソイリマに立ち寄りアカナバの神の神殿に詣でる。(夏を迎えたヘリコニアのこの地域の国々は、宗教が最上位であり、国王は皆信仰に厚い。)儀式を終えた国王は再び船に乗る。やがて船はオタッソルに着く。当地では「国を破綻させた」と揶揄される国王よりむしろ追放された王妃の方が国民の信望が厚い。したがって国王はこの町が好きでない。国王は出迎えられてオタッソルの宮廷に入る。国王の先代ウ゛ァーパルアンガノルが各地に宮廷を建てたのだ。だが息子は気に入らなかった。3歳の頃宮廷に侵入者があったが撃退され、以後警備がきつくなった。王は宮廷で神に祈りを捧げた後、しばらく当地に滞在し、(聖パノバラン帝国の)法王キランダー9世の特使(アラム・エソンバー。2年間のパノバラン修道院への滞在時に知り合った)と会見するなどしてから出発の予定であった。エソンバーは王妃の使いの者から手紙を渡され、宮廷への到着が遅れた。王の船が来たとあって、市民が前庭に殺到し謁見を求めた。その中にキャラバンシティもいた。3人目にキャラバンシティが通され会見した(キャラバンシティの師匠のサートルアーブラッシュも王に仕えた)。王は彼に気温の異常な上昇について尋ね、キャラバンシティは「1825年周期の大年が一巡りし、大きな太陽のフライヤーに近づいているためだ、カイドーは星ではなくヘリコニアを回る円盤だ」と科学的説明をするが、信じてもらえない。王は、別の国から王妃をめとる予定を語る。またキャラバンシティは死体から外した腕時計を王に売ろうとするが、時計は奪われ、不信心を詰られ、自分のチーフアドバイザーにならないかと誘われる。キャラバンシティは考える時間をくれと答える(結局オーケーする)。その後王は、エドンバーから法王に宛てた王妃の手紙を見せられる。そこには王の王妃への接触を禁じるよう王の仕打ちを告発する文面が綴られていた。王は「何とかせねば」といい、エドンバーは任せろという。王は、キャラバンシティらとともにボーリアンに向かう。
このヘリコニア上の動きをカイドー(アウ゛ァーナス号)は地球に中継放送している。ヘリコニアの1大年は地球の2592年にあたる。そのうち夏は地球の2と3分の1世紀である。今まさに2600地球年に一度の「短い」夏が始まろうとしている。

今日はいろいろ他にすることがあったので、ここまで。
5. Posted by silvering   June 10, 2004 03:32
それにしても、固有名詞長過ぎ。覚えられんし発音できんよ。

今日2章しか読めなかったので、明日150ページまで行く。
6. Posted by silvering   June 10, 2004 22:50
第3章 早過ぎた離婚

王の船は西へ進むが、その途上、王の具合が悪くなる。しかし船がガラババガリニエン港に着くと回復し、エソンバーを伴って降りる。一行は徒歩で寂れた宮殿に着く。そこで王妃と会う。王妃は、「今ここには私とタトロマンアダラ王女しかいない。殺しても誰にもばれない」と言う。エソンバーは「そのつもりはない、離婚の認可を得た旨を知らせ、自分が証人になるだけだ」という。王妃はどのような根拠で離婚を認めたかと尋ねると、エソンバーは認可状を読み上げる。「王妃は禁じられた海の国に入り何度も裸で泳ぎ、教会の禁忌に違反した」と理由を告げ、王妃は王に「あんたは私を侮辱し自分を奴隷以下に貶めることでしか離婚できないのか」と難詰する。しかしエソンバーの指揮で離婚式は終了する。

(注)この離婚式が面白い。夫婦が結婚状を両側から持ち、それを牧師が刀でまっ二つに切るという儀式である。実際にやってみたい。

すると雨が降り始める。エソンバーは、「既に王妃でなくなった元王妃の侍女たちがもてなしてくれるはず」と要求し、失意の元王妃は部屋を去る。エソンバーは椅子を二つ持ってきて王と座り、王がパノヴァルの王女シモダ・タルと結婚した後の戦略を話し合う。

(注)パノヴァルとは、カンパンラク大半島の北岸に位置する国。オルドランドを挟んで北東に位置する。

エソンバーの戦略では、パノヴァルと契りを交わした後、ここを拠点に北極を取り巻くシボーナル大陸に対する防衛体制を固められる。シボーナルはカンパンラク大半島との宗教的相違が大きいため、戦闘は困難を極めるとエソンバーは予想する。またパノヴァルと結べば、その間にあるオルドランドを味方につけることができ、その西方にあるケイス国も和平を申し入れてくると予想される。ケイスとオルドランドはファゴルやマジ族のような半人間の東西にわたる重要な交易路を構成する(実はシモダの母も半人間種である)。ケイスとボーリエンが和平を結べば、ケイスをランドナン(ケイスの南方にある国)侵攻に協力させることができるのだ。王は「モードリアト問題」(注、詳細不明。分かったら後で記す。)に専念できる。しかし、王は不安を感じている。侍女たちは王や戦士たちを酒や魚でもてなす。王はワインと銀鯛を喰う。屋根から雨漏りが始まる。王は、元王妃と話したいというが、エソンバーは止める。娘は明日出発するときに引き取るから、と説得する。そこで、エソンバーは、ポケットから刺繍のある箱を王に取り出す。再婚相手の母(??)であるオルドランド女王バスカーネット手製の贈り物だという。開けると、シモダ・タルの肖像画だ。11歳の誕生日に描いたもの。マジ族特有のはっきりした目鼻立ちである。ヴァルボラル川のほとりの城の模型を持っている。エソンバーは「彼女めちゃめちゃ可愛いですよ」と薦める。「まじうらやましいっす。でも実は妹のミルア・タルちゃんもっとカワイイ!!!」と褒める。「学はあるのか?」と王。「そりゃ無理ってもんですよ、前の王様の真似をすれば別ですけど」とエソンバーはいい、二人で笑い転げながらメートルを上げる。

以上、とりあえず前半の要約実況でした。

後で後半も実況します。
7. Posted by silvering   June 10, 2004 22:55
その前に、上の訂正。「前の王様の真似をすれば別ですけど」は、「前の王様の例にならえば、それはありえない」の間違いです。
8. Posted by silvering   June 10, 2004 23:32
さあて! じゃあ後半の実況いっちゃうよ~~~~ん!

バタリクスが沈み嵐もやむ。酒池肉林のどんちゃん騒ぎも終わり、酔くろうた兵士やファゴルが辺り構わず眠りこける。王も侍女の膝枕で寝てしまう。ゲロを吐く音や胸焼けにもだえ苦しむ声だけになりみんな寝静まったころ、元王妃は侍女をさがらせ、目を覚ましたまま娘の身を案じる。ノックの音がして、エソンバーがにやけながら入ってくる。元王妃「出てってよ。あんたと話したくないわ、うぜーーんだよ! 警備員呼ぶよ!」と怒る。「みんな酔っぱらってるよ。ぼくちゃんですらちょっと酔っぱらってるよ~~ん」そしてドアを蹴って閉め、王妃をソファに突き飛ばす。「奥さん、冷たくしないでよ。僕は奥さんの味方だ。あんたの元旦那はあんたを殺そうとしてるから、警告しにきただけだ。もし僕に優しくしてくれるなら、僕が奥さんも娘さんも守ってあげる」怖がる王妃を無理矢理抱きしめる(こいついいキャラしてるわ)。「あとで? あとであとでって、女の人はいつもそういうんだな。男と女の違いかな? 僕は待てないんだ。今あなたを抱きたい。お願い、エッチさせて。絶対に後悔はさせない」王妃平手打ち。「いいかな? 貴女は王に殺されるという手紙を法王に送ったよね? 実はメッセンジャーはあんたを裏切ってその手紙を王に渡したのさ。王はそれを見て激怒!」(注/いうまでもなく、手紙を王に見せたのはエソンバー自身です。)「スカフバーが裏切るなんてあり得ない!」エソンバーは王妃の腕をつかむ。「貴女は自分の立場をよく解っていらっしゃらないようだ。貴女の味方は誰もいないんだよ? 僕を除いてね」王妃泣き出す。「王は私をまだ愛してるの。あの人の気持ちは解ってる」「いいやあんたを憎んでる。今はシモダ・タルちゃんとやりたくてたまらないのさ」そして遂に服を脱がす。王妃ピンチ!
と、そのときドアが開く! ナイフを持ったキャラバンシティ登場!!! エソンバー、あわててズボンを上げ、出て行けとわめく。がキャラバンシティは一歩も引かぬ! 「弱い者いじめはもうやめるんだ! そんなことしてる場合じゃない。この宮殿は今守りは誰もいない。北から軍隊が迫っているんだぞ!」「カンケイないね」「緊急事態だ! 皆殺しにされるぞ!」
エソンバー仕方なしにキャラバンシティに着いて出る。バルコニーから見下ろすと森の中を火が近づいて来るのが見える。キャラバンシティは「俺が様子を見てくるからあんたは見張っててくれ」と言い残し降りていく。やがてキャラバンシティに呼ばれ降りていくと、二人の訪問客がいる。一人が言う、「オルドランド王セイレン・スタンドの命で参りやした。王様にメッセージがござる」「寝てるよ」「悪いニュースでござる」王のところに連れてくと王はびっくりして剣を構えて跳び上がる。「驚かせてすみません。大変なニュースです」「何だ?」「シモダ・タルお嬢様が殺されますた。マジ族にです」「マジで?」沈黙。エソンバー笑い転げる。

いやあ、ヒロイックファンタシイ調全開ですな。こおりゃあ面白いかも。グフフ&&。願わくばもっとHにしてくれ。
9. Posted by silvering   June 11, 2004 00:10
ついで、第4章「コスガットの技術革新」。

まず、ヘリコニア地上の出来事を地球に実況中継しているアウ゛ァーナス号の説明があります。エソンバーの笑い声までリアルタイムで実況するなんて、いったいどんな技術を使っているんでしょうかね。
アウ゛ァーナス上には人がいて、生まれながらにヘリコニアの研究以外の仕事はない。そのかわり生活は保障されている。このステーションの直径は1000メートルしかない。外殻の内側に大半の人は住んでいる。ここの住人の典型像がビリー・シャオ・ピンという人。表面的には世間体を繕って普通人ぶっているが、内心は「ヘリコニアに降りたい! 超降りたい!」と思っている。地表は1500キロ下。しかもこいつ、超マーデムインガラ王妃萌えで、エッチしたいと思っており、毎晩エッチな夢を見ている。
で、この中継を見ている地球上の人びとは、この離婚で、離婚の原因となった5テナー(240日、半小年)前のコスガット(首都マトラッシルの東にある)の戦いに逆戻りするのではと危惧している。この戦いで王は怪我をして精神的にも参ったのだった。ドライアト部族ごときにこてんぱんにやられたことで。あるいは、その技術革新によって。いやそれは王と王妃の生活を変えただけではない、人びと全ての生活を変えたのだ、その発明とは&&「銃」である。

うーん、なんかいかにも「文明の進歩」を描くこの手のSFの典型ぽくなってきたけど、まあいいか。

本文の実況はまたちょっとしてから書き込みます。
10. Posted by silvering   June 11, 2004 01:04
本文実況に入ります。

王はドライアット族に負けたのを超恥じている。なぜなら、みんなやつらを人間ではあるがそれ以上でもないただそれだけ、と馬鹿にしているからだ。もっと正確に言うと、このヘリコニアにおいて人間と人間以下の区別の基準は不明確で、知性の有無ではなくその生活態様によって区別される。自由に生きるのが人間、奴隷が人間以下。森で生きるのは人間以下、タダの動物。遊牧生活を営むマジ族は人間と非人間の境界の半人間。ドライアット族はその境界をやっと超えて人間に入ったばかりというレベルである。要するに、
普通人>ドライアット>(人間)>マジ族>(非人間)>ファゴルその他
ということか。ドライアッドはスリブリアト(ボーリエン南東、タキッサを超えたところ)の草原に住んでる。そこでイエルク、バイイエルクの遊牧生活を営む。彼らは野蛮な風習を持つために他民族から敬遠されてる。
=家族を過酷なテストにさらし、失敗した無能なやつを見せしめに殺す。このせいで悪名高いのだが、実際は戦争が嫌い、というか、頭が悪いので戦い方を知らない。そこで各国が連合を組み、アンドレイド・ザ・ハマーの指揮のもと、ンクトリーク(カンパンラク大半島東部の総称)南方への征伐を試みた。このためドライアットは谷間に移住。ダービシュ・ザ・スカル将軍がドライアットを訓練し、3つの部隊に分け、コスガットに派遣。その目的は&&マトラッシル陥落!
当時、ボーリエンは不評な西部戦争で手一杯。イーグル王ですら、ランドナンやケイスに勝てない。山が多く、たとえ勝っても統治するのは無理。
しょうがなく、王は第5軍をケイスから引き上げコスガットに派遣。戦争というほどのものではないと思われたが、ケイスよりも首都に近いからマジで戦わざるを得ない。実はダービシュの父はボーリエンの男爵だったが、領土争いで、父が王に手をかけられたことを恨んでいた。その戦いでダービシュは父の軍とともに敗走した。11年後に復讐の機会をうかがっていたダービシュが遂に挙に出たというわけだ。彼は「鷹がわが名を讃える!」と絶叫し(完全に狂ってる)攻撃を命じた。
当時離婚するかどうか悩んでいた王は自分で前線にいかねばならないはめになり、しかもドライアットなんぞを倒しても何の報酬も得られそうにないため兵士がぶーたれて行くのをいやがる。結局、フォゴルに「頑張れば土地と自由をやる」と約束してフォゴルを前線につけるはめになる。
第5軍(コロブエクトファ指揮)は東進するが、ドライアッドは隠れて真昼と夜に奇襲を仕掛ける。谷とジャングルと変な動物だらけで進軍は遅々として進まぬ。コルブエクトファは王に、「やつは我々を首都から切り離し襲うという古い作戦をやっているが、対策は万全でっせ」と語る。翌日ダーブリシュが攻撃してきた。谷をはさんでの戦い。ブルという有能な軍人が「あれは囮ですよ、古い手だ」と言い捨てる。またブルは、「敵軍に女がいないから襲う価値がない。どっかに隠しやがったな」という。コロブは「向こうの方が人数が倍だし、接近戦ではホクスニイとイエルクでは分が悪い」という。だが王は「臆病者めが」と怒る。

以上がとりあえず前半部です。あと10ページぐらいあるので、ちょっと休んでから。
11. Posted by silvering   June 11, 2004 01:54
ゴメン、風呂はいった後、実況忘れて読みふけってた。

遂に両軍対決ですよ。王とダービシュが罵りあう場面のセリフがすごい。こんな感じ。

「きこえねえのかジャンドル、ここな耳に毛の生えた甲虫のウンコ野郎。オヤジの左の内股からひり出されたようなオナラ野郎が、何を血迷っておれたち本物の男の前にしゃしゃり出てきたかな? おめえら怖がって同士討ちしてんじゃねーの? ウンコちびりながら這って逃げなボケが」
「ああ聞こえるともお前の女の腐ったような声がな、コエダメ野郎ダービシュちゃんよ。その3つ脚の動物どもが真の男とかぬかしやがってるのがな。真の男ならそんな連中の助けなんて借りないっつーの。お前超クセエ、お前の臭いに耐えられるのはその動物どもぐらいなんだろうが」
「だまらっしゃいこのウンコをかぶったゴキブリ野郎めが」

ヒデー。

ちょいと実況中断して、読んだ後で粗筋を簡単に紹介するね。
12. Posted by silvering   June 11, 2004 03:09
太陽は照りつけ、いよいよ決戦のときとなる。王は敵軍がやはり囮と判断し両サイドから攻めると部下に指令。そしてフォゴルたちに、人間と非人間の両方に通じるシボーナルに源を発する言語、「ハードゥ語」で語りかける(このハードゥ語の説明が結構詳しくしてあるが、あっさり省略する)。
んでいよいよ戦いが始まり、槍が投げられ、指令の声が罵りあいに、やがて悲鳴に変わる。女好きのブル軍曹は、近くに女がいるんじゃねえかと疑い始める。でこっそり崖を登り辺りを見回し女の集落を見つけ、こっそり降りていく途中で、フォゴルの群衆がなだれ込み戦場になる。ブルは部下に支援を命じる一方で、自分は女のところへ降りていき、その一人の腕を折り、ものにしようとする。ところが銃を持った二人に銃撃され、肩に一発くらい、女に槍で腹を刺される。ドライアッドは次々と銃でボーリエン軍を壊滅に追い込み、王は敗走する。コロブは果敢にも崖の上の銃撃兵を虐殺するが、結局多勢に無勢で最後は皆殺しにされる。

場面は変わり、マトラシル郊外の家で氷商人クリリオ(34歳)が娼婦(現地妻、情婦)メティ(29歳)と目覚める。メティは既に年を取って引退し、今は商人の女房気取りだ。クリリオは昨夜母国ヘスパゴラト(南極を取り巻く大陸)のロードリアードリーから積み荷船できた。鷹の海を通り、オタッソルから川を上ってきた。引っ込み思案の息子ディブに世間というのはこういうものなのだと教えるために連れてきていた。メティはディブのために生娘を用意していた。西部戦争の戦災孤児の娘だった。クリリオはメティにあんたの娘はどうしたと尋ねる。メティは、あの子はオタッソルに行くってきかなくてねえ。何にもないよというんだけどいうこときかずに今じゃ一人暮らしさ、パトロン見つけて南にいっちまいそうだよ。若いし、可愛いし。
そのパトロンは誰さ。
実はね&&(ごにょごにょ)
まじ?
だが二人はもう年なのでその程度のことでは驚かない(つーか、誰なんだよそりゃ?)。
親父クリリオは、夕べ息子の筆おろしに立ち会い父の務めを果たしたことを思い返すが、その満足感よりもむしろ、自分が性欲を抑えたことに「俺も年を取ったなあ、昔は土下座してでもやらしてくれというぐらい女好きだったのに」と寂しく思う。ヘスパゴラトは宗教が必要なのに存在しない。だがこの宗教腐れしたコンパンラトの真似をしちゃダメだ。メティのおまんこのほうが神より力強く思えるのは何でなんだ。
クリリオは教会に出掛けるメティを送り出し、窓から見下ろしていると、怪我をした男がメティに近づく。慌てて駆け下り、「近づくな! 危ない!」男の顔を見ると&&「げっ、王様!!!!!!!」

王の軍は壊滅状態で、生きて帰った者はほとんどなかった。
この惨敗がきっかけとなって、王は、聖パノバラン帝国と同盟を結ぶしかないという結論に至った。特にその中の、オルドランドとパノバル。そしてあの奇天烈な武器(銃)を手に入れなくてはならぬ。そして側近と話し合った結果、「政略結婚以外ない」との結論に至り、王妃との別居
記事メニュー
目安箱バナー