黄金の髪飾り
L:黄金の髪飾り = { t:名称 = 黄金の髪飾り(アイテム) t:要点 = かわいい,金色,派手すぎない t:周辺環境 = 首 t:特殊 = { *黄金の髪飾りのアイテムカテゴリ = ,,着用型アイテム。 *黄金の髪飾りの着用箇所 = ,,頭に着用するもの。 *黄金の髪飾りの形状 = ,,髪飾り。 *黄金の髪飾りの特殊能力 = ,,外見+1 *黄金の髪飾りの特殊能力2 = ,,これを作るのに関わった国は宝飾業が+10%栄える。 } t:→次のアイドレス = 綺麗なマニュキュア(アイテム),ティアラ(アイテム) }
掌に収まる大きさの髪飾りに、多くの人の想いが込められている。 何しろ髪飾り一つのために星鋼京、詩歌藩国、後ほねっこ男爵領の三ヶ国が協力したのだから。 その髪飾りは、ポチ皇帝への献上品として製作された。 全体のデザインは詩歌藩国、宝石のカットは星鋼京、製作を後ほねっこ男爵領がそれぞれ担当し、 文字通り三国の宝飾産業界が総力を結集したものに出来上がっている。 そもそもの事の発端は、産業育成の機運がNW全体で高まる中、後ほねっこ男爵領が宝飾産業の振興を思い立ったことにある。 かつて後ほねっこ男爵領は、宝飾産業分野において帝國に冠たる……というほどではないものの、それなりに名の 知られたブランドであった。 だが、長い時間の中で、貧乏藩国・地味藩国という評価が定着するとともに、そういったブランドも廃れ、或いは忘れ去られていった。 ゆえに、今回の産業振興は、後ほねっこ男爵領にとっては再興、再発見という面が強い。 ゼロからの出発より、例え一度は忘れかけた物であっても、土台が存在するものの方が発展はさせ易かろうという理屈である。 ついでに言えば、後ほねっこ男爵領は意外にも豊富に宝石を産出するため、原材料費を抑えられるという目算もあった。 だがしかし、そうそう思い通りに事が進まないのが世の常というものである。 高級宝飾産業には、すでに先行する強力な競争相手が存在したのだ――それも二ヶ国も。 一つには帝國にその名を轟かせる芸術の都詩歌藩国。 もう一つは超絶のカッティング技術で詩歌藩国のデザインに拮抗する星鋼京である。 この事に気付いた後ほねっこ男爵領首脳陣は頭を抱えた。 産業振興に関して、すでに多方面で走り出してしまっている。 今更方向転換もブレーキをかける事も出来ない。 しかし、競争相手はあまりにも強力すぎた――ライバルと呼ぶのも憚られるほどに。 もちろん、後ほねっこ男爵領にも意地はある。 技術でおさおさ劣るものではないという自信もある。 だが、長年にわたって浸透した貧乏藩国という認識は、後発のブランドが背負うには、あまりにも重すぎた。 さて、ここで浮上したのが、産業振興にあわせた献上品の製作である。 つまり、後ほねっこ男爵領が総力を結集して作り上げた逸品を、帝國で最も影響ある人物――つまりぽち皇帝――に献上し、 あわよくば身に着けてもらう事で、新興ブランドとして一気に知名度を上げようという目論見である。 これは中々の妙手であるように思われた。 詩歌藩国、星鋼京との真正面からの衝突を避けつつ、後発という不利を新興というインパクトへと転換する事で、 もしやすると、後ほねっこ男爵領製ジュエリーの一大ブームへの布石を打つ事も可能ではないか、と。 なるほど、確かに一石二鳥、ブームを起こせるなら一石三鳥である。 ほかに良い方策がなかったこともあって、とりあえずその方向に決まり、 献上品はポチ皇帝の豪奢なブロンドを飾る髪飾りがよろしかろうという事で話がまとまったところで、思わぬ横やりが入った。 藩王火足水極の鶴の一声である。 さて、ここで本末が転倒する。 本来、黄金の髪飾りの製作は、詩歌藩国と星鋼京につけられたリードを埋め、あわよくば逆転しようという試みである。 だが、ここに来て藩王火足水極は、他ならぬ詩歌藩国と星鋼京に協力を求めようと言いだしたのである。 みな、唖然となったのは想像に難くない。 当たり前の話である。 どこにわざわざ競争相手が有利になるように手を貸してくれるお人よしがいるというのだ…… いや、探せば結構NWにはいそうであるが、ことはビジネスである。 相手の温情に期待して計算する愚を犯してはならない。 こういった当然の反論がなされたが、藩王の決断は覆らなかった。 臣下の反論に対する藩王の答えはただ一つである。 陛下への献上品とは、つまり、最高の品でなければならない。 ここに言う最高の品とは、すなわちNWで最高の品であることを意味する。 なるほどそれならば、後ほねっこ男爵領の力だけでは足りない。 それどころか、詩歌藩国、星鋼京の力を集めても、まだ不足である可能性さえある。 三国の総力を結集する必要があるのは、当然の結論であると言えよう。 最高の品だからこそ献上するのだ、自国の利益のために利用するなど以ての外。 それはヒロイックではない。 そして、ヒロイックではないものが、帝國貴族の末席を汚していい理由など何一つないのだ。 後ほねっこ男爵領藩王火足水極。 彼もまた、骨の髄まで帝國貴族なのであった。 かくして後ほねっこ男爵領の産業振興戦略は初手から頓挫した。 そして、高級宝飾を諦め、若年層に狙いを絞った低価格帯市場へとターゲットを変更するのだが、それはまた別の話になる。 こうして作り上げられた黄金の髪飾りを初めて目にした者は、しかし、程度の差こそあれ、おおむね落胆するという。 それはそうだろう。 何しろ三国が協力して作り上げた献上品なのだから、数え切れぬほどの宝石を散りばめた、豪華絢爛たるものを想像するのが当然である。 だが、実際には中央の見事なカットの大粒のサファイアが目を引くとはいえ、後はダイヤがあしらってある程度。 派手すぎない、華美にすぎない、可愛いと言えば聞こえがいいが、地味である。 だが、それは一面の評価にすぎない。 この髪飾りは、見る者を圧倒するために造られた、権威と財力の象徴ではない。 この髪飾りは、NWでただ一人、ポチ皇帝が身につける事を前提にデザインされた、 徹底的にポチ皇帝を美しく装うために製作されたアクセサリーなのである。 髪飾りだけみて、地味に感じるのは当然だと言える。 その真価は、ポチ皇帝の豪奢に波打つ金色の髪を飾った時にこそ発揮されるのだ。 グラニエーションをはじめとする高度な技法がさり気なく用いられたその髪飾りは、 緩やかに波打ちながら広がるポチ皇帝のブロンドを纏めるアクセントとして、その美しさを十分に引き立てるだろう。 表面に施された微細な細工の質感が、髪飾りが同じ黄金色の豊かな髪の中に埋没してしまう事を防いでいる。 ダイヤモンドの輝きは、中央のサファイアを照らし、まるでサファイア自体が光を発しているように輝く。 その輝きは、星の光のごとく、凛として立つポチ皇帝の後姿に視線を集めるだろう。 そして、まとめられた髪の間から覗く白い首筋が描く優美な曲線が、ポチ皇帝の美しさを見る者に印象付ける。 必要にして最低限しか宝石を用いていないのは、ポチ皇帝よりもアクセサリーに注目が集まる事を避けるため。 控え目なサイズは、大きくなりすぎて髪を纏めるという用を為さなくなる事を防ぐため。 シンプルなデザインは、ポチ皇帝の美しさを引き立てる目的以外の装飾を排しているため。 徹頭徹尾、その髪飾りはポチ皇帝を美しく装うために造りあげられている。 それはアクセサリーの精髄とさえ言えるだろう。 何故ならば、アクセサリーとは、身に着けた者を美しく装う事にこそ、その存在理由があるのだから。 まさしく火足水極が望んだとおりの、最高の品と言えるだろう。
星鋼京の宝石カッティング技術(星鋼京さまより寄稿)
――宝飾用宝石の真価は、カッティングにある。
宝飾業界では一般的に語られる理論であり、石の大きさよりもそのカッティングの美しさによって、宝石の価値が決定するとされる。
何故なら、どの面から見ても宝石が美しく光を反射し、或いは屈折させ、その美しさを際立たせるには、
緻密かつ複雑にして、正確なカッティング技術と気の遠くなるような工数が要求されるのである。
宝飾業界では一般的に語られる理論であり、石の大きさよりもそのカッティングの美しさによって、宝石の価値が決定するとされる。
何故なら、どの面から見ても宝石が美しく光を反射し、或いは屈折させ、その美しさを際立たせるには、
緻密かつ複雑にして、正確なカッティング技術と気の遠くなるような工数が要求されるのである。
その究極へと至る挑戦が、星鋼京の職人達の間で行われようとしていた――。
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その切っ掛けとは、後ほねっこ男爵領より打診された、金の髪飾りの制作についてであった。
後ほねっこ男爵領、星鋼京、詩歌藩国という、宝飾と美術にまつわる3カ国での共同制作を提案する程のもの…
皇帝陛下への献上品であった。
だからこそ、末永く帝國の宝重とされるような、最高の物となるようにという熱き思いからの要請であった。
“帝國の、陛下の御為とあらば、協力を惜しまず”
多くの帝國貴族がそうであるように、彼らもまたその思いに応えた。
更に言うなれば、この後ほねっこ男爵領が行った決断。
それは自国のみが栄誉に浴する事が出来る所を、最善とするために両国に助力を請い、名誉を分かち合うというものであった。
更に言うなれば、この後ほねっこ男爵領が行った決断。
それは自国のみが栄誉に浴する事が出来る所を、最善とするために両国に助力を請い、名誉を分かち合うというものであった。
一つのヒロイックである。
それは、帝國貴族が命を賭して守らんとする矜持であった。
かくして、星鋼京は宝石加工に関する技術供与を行う事となったのである。
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――無論、これだけが全てでは無いのが複雑な所だが、そこはそれ。
この場においてはは語るに及ばない部分である――。
この場においてはは語るに及ばない部分である――。
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そして、星鋼京に依頼されたのが、わんわん帝國皇帝を象徴する青玉=サファイアのカッティングであった。
サファイアは、鋼玉と呼ばれる鉱石に分類され、その名が示す通り極めて硬い鉱石である。
その硬さは、天然鉱石ではダイアモンドに次ぐ硬さを示す。
その為、加工が難しいとされる事が、高い宝石加工技術を持つ星鋼京に技術供与が依頼された一因であった。
その硬さは、天然鉱石ではダイアモンドに次ぐ硬さを示す。
その為、加工が難しいとされる事が、高い宝石加工技術を持つ星鋼京に技術供与が依頼された一因であった。
この依頼を星鋼京政府より受けた宝飾職人達は、色めきたった。
皇帝陛下への献上品、その一事だけでも、彼らの職人魂に火をつけるには十分だったのである。
ここに、陛下への献上品として相応しく、末永く帝室の宝重となるようなカッティングの模索が行われたのである。
皇帝陛下への献上品、その一事だけでも、彼らの職人魂に火をつけるには十分だったのである。
ここに、陛下への献上品として相応しく、末永く帝室の宝重となるようなカッティングの模索が行われたのである。
――作業は、彼らの熱気とは裏腹に粛々と進められた。
その過程で様々な試行錯誤が合ったことは想像に難くないが、彼らは過程を多くは語らず、ただ期日通りに完成品を静かに提出するにとどめた。
それは、彼らがこの仕事に込められた意味を真に理解し、個人の仕事を誇るのではなく、
“星鋼京の技術”として応える事をよしとした結果であった。
それは、彼らがこの仕事に込められた意味を真に理解し、個人の仕事を誇るのではなく、
“星鋼京の技術”として応える事をよしとした結果であった。
職人達がインペリアル・カットと称したそのカッティングは、その巨大なサファイアを華美に過ぎず、しかし典雅さと気品を湛え、
自然から生み出された輝きをどの面から見ても美しく描き出す構造となっていた。
その輝きは、正に星の如く。
“星鋼京の技術”として、恥ずべき所の無い輝きであった。
自然から生み出された輝きをどの面から見ても美しく描き出す構造となっていた。
その輝きは、正に星の如く。
“星鋼京の技術”として、恥ずべき所の無い輝きであった。
(作成:吾妻 勲@星鋼京さん、セタ・ロスティフンケ・フシミ@星鋼京さん)
詩歌藩国声明(詩歌藩国様より寄稿)
星鋼京、後ほねっこ男爵領、詩歌藩国。
宝飾業の盛んな三国ですが、それぞれ国による個性、方向性があります。
互いの領域を食い合うことがあるかもしれません。
しかし、互いを刺激し合い、高め合う関係として上手くやっていくこともできるでしょう。
そして三国の技術を合わせて創られたこの髪飾りが皇帝の御許にある限り、我々は忘れないでしょう。
我々は協力し合え、素晴らしいものを創れるということを。
宝飾業の盛んな三国ですが、それぞれ国による個性、方向性があります。
互いの領域を食い合うことがあるかもしれません。
しかし、互いを刺激し合い、高め合う関係として上手くやっていくこともできるでしょう。
そして三国の技術を合わせて創られたこの髪飾りが皇帝の御許にある限り、我々は忘れないでしょう。
我々は協力し合え、素晴らしいものを創れるということを。
竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン 詩歌藩国摂政
(作成:竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン@詩歌藩国さん)
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